北アルプス 五龍岳登頂とG0稜登攀
もう10年にもなろうか、岳樺クラブとして初めて5月の五龍岳へ登ったのは・・・
それから毎年のようにこの時期になると、五龍岳、特にG0稜登攀の計画が持ち上がるが、そのたびに、メンバーの日程調整などで実際には行くことがなかった。
しかし、今年は久しぶりに、メンバーも充実し、一般ルートだけでなく、久恋のG0稜へもメンバーを出すことが出来た。天気予報はこの三連休は約束されている。後は山で何事も無いことを祈るばかりだ。
■事前準備
3月の岳樺クラブの総会時に今年のGWは五龍岳それもG0稜と決まった。
八ヶ岳、谷川岳・西黒尾根そして上越の荒沢山へとそれぞれにトレーニングをし、雪山への自分自身のコンデショニングを行う。
また、装備、食料そして意識合わせも含めて、綿密に打ち合わせを重ねて山に備えた。
入山直前に「シャンティ」から五龍岳の最新の情報を入手することができた。
■5月3日 白馬五竜テレキャビン~遠見尾根BC
懐かしい白馬五竜スキー場のテレキャビン。もう一本リフトを乗り継ぐところも10年前と全く同じだ。
リフトを降りれば既に1673mの標高に立っている。
抜けるような青空と真っ白い雪面。正に春山。小遠見山を小さく巻いて中遠見山で一本立てる。
昨年の5月、爺ヶ岳で滑落のあと道迷いをしてしまい、現在位置の確認の重要性を一番身に沁みて感じたのは他ならぬ僕なのだ。
そのため、ハンディGPSを今年は導入して、なんとしてもマスターしたい、と思っている。
GPSと地図を見ていたら、通りがかりの登山者に「ここはどの辺りですか。」と聞かれたので得々と説明してあげた。
大遠見山を越えると広い雪原になる。チラホラとテントが見える。
Miyaさんが先行して幕営地を見に行ってくれる。
西遠見山近くのテント村を避け、その少し手前にテントを2張設営する。
爺ヶ岳、カクネ里の上にキリリと立つ鹿島槍、そして五龍岳、G0稜も目の前にある。
明日晴れてくれたらもう言うことは無いのだが、と心配しながらシュラフに潜り込む。
夜半から息をするように間断なく強風がテントを揺らし続けていた。
■5月4日 五龍岳登頂とG0稜登攀
■5月5日 BC~遠見尾根~テレキャビン~神城
3日の夜半から吹き出した強風が今朝もまだ吹き続けている。が、空は青く澄んでいる。
下山ルートは往路と同じ遠見尾根を下る。
尾根はまだそこここに雪稜があり、滑落は絶対に許されない。
強風に備えるため、各自にはハーネスを着けてもらい、ロープは何時でも出せる状態にして下山を開始した。
万が一の安全策である。
しかし、標高が下がるにつれて、それも杞憂に終わりホッとした。
五龍岳が段々と遠くなりやがて五龍遠見のスキー場を下りテレキャビン乗り場についたときには、本当によかった、誰一人かすり傷一つ負わずに下山ができたと胸を撫で下ろした。
僕は、皆が無事であったことが嬉しくて胸がイッパイになった。皆よくやってくれた、ありがとう、と。
■まとめ
ここ数年の年末始、GWの合宿は細々と竜少年、ヨーコ、T嬢の3人であった。
しかし、今年のGWは7名もの参加があり、一般ルート隊とG0隊の2隊を出すことができた。
その上、各隊とも、無事目的を果たす事が出来たことは喜ばしいことであった。
しかし、反省点もあるであろう。次回の集会はこの反省会でもあるので、そのこともこの記録に残しておき、また、次のステップに繋げることができたら、なお、嬉しいことである。
■感想
ちょうど一年前、鹿島槍の頂上から五龍岳を眺めた。今年はその五龍岳の頂上から鹿島槍を眺めることが出来てもう感無量だった。
あの時はもう山を止めようと本気で思った。でも一年後こうして又五龍岳の頂上に立っている私。
この一年、竜少年さんはじめ、T嬢、Nobさん、ヒロリンさん、ミエリンさん、m3nbさん、Miyaさん、(そして私の夫)達の静かで暖かい気持ちに支えられてやって来られたのだと思う。
五龍岳の頂きで私は心の中で「みんな、ありがとう」って大声で叫んでいた。
今回の私の反省は、食当としてスパゲティスープは失敗でしたね。食材は皆さんが担いで下さって本当にありがとうございました。軽くて美味しい山の食事を研究します。(ヨーコ)
西遠見の手前に張ったベースキャンプ、そこは雨飾、妙高、火打、白馬、五龍、鹿島槍等々が見渡せる私たちだけの最高の一等地でした。
鹿島槍を間近に眺めていたら、クニさんを思い出しました。
ただただ山に夢中になっていた若い頃と違って、背負うものも多くなり、仕事に忙殺され、今は山から少し遠ざかっていますが、クニさんはよく「鹿島槍が大好きだ!」と言っていましたっけ・・。
私もあれこれ調整して滑り込みの参加でしたが、天気、メンバーに恵まれ、最高の春山を満喫し、山行を終えた今、充実した気持ちでいます。(ヒロリン)
今年は例年に無く山には雪が多く、雪崩や雪尻の崩壊などが心配され、特にG0隊は取り付きまでにシラタケ沢を下らなければならなかったので、出発前はとても心配であった。
正確に言えば、1994年に岳樺として五龍岳に登ったので、11年ぶり、ということになろうか。歳をとる訳だ。
僕はそのときと同じルートを辿ったが、なんだか、今回の方が余裕があったように思われる。
それはよく考えてみれば、メンバーが荷物を背負ってくれて、食当もなく、水作りもしてもらい、ブロック積みも「腰を痛めるから見ていて」と、体力のいる仕事は全てしてもらったからだと思う。嬉しいような悲しいような、どちらかというと、悲しさに情けなさが加わったか。
段々アルパインから、いやライトアルパインからも遠ざかって行く事を宣告されたような気がしないでもない。
いずれにしても、全員無事でよかった、よかった。(竜少年)