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中央アルプス 宝剣岳・南稜

■日程 2009年5月3日(前日5月2日に宝剣山荘に宿泊)
■目的地 中央アルプス 宝剣岳南稜
■コース 宝剣山荘~宝剣岳北稜~宝剣岳頂上~宝剣岳南稜~極楽平~
       ロープウェイ畳平駅
■メンバー 竜少年(L)、Nob、ヨーコ、tomo

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■5月3日 晴れ後薄曇り
6:00起床、6:30朝食、7:30出発
前日、ロープウェイ畳平(千畳敷カール)駅での登山計画書提出の折、かなり厳しいチェックと指導を受け、さらに、宝剣岳北稜偵察でも、地元の遭対協のメンバーが監視しており、「危険だから登るな!」と言わんばかりの意見を言われ、かなりのプレッシャーを受けて当日の朝を迎えました。
私は緊張を通り越し、開き直りの気持ちで出発しましたが、リーダー竜少年や、トップのNobさんはパーティ全員の安全を考えていたので、気が気ではなかったかと思います。

7:35 北稜取付き
岩頭でセルフビレーを取り、Nobさんトップ、竜少年がビレーヤーで、ロープをフィックスした後、ヨーコさん、続いて私がロープにマッシャー結びで自己確保をしながら登る方法を取りました。

1ピッチ目が今から思えばコース全体を通しての核心部であったと思います。
急傾斜の雪渓のトラバースで、緊張を強いられながらの通過でした。
途中、スノーバーを打ち込んで支点を作った所があり、見ていてとても緊張しました。

2ピッチ目は、岩に掛けてあったナイロンロープを支点として、15m程度の短い距離ですが、やはり、雪渓のトラバースで岩が多く露出している場所でピッチを切りました。
今回、ロープが45mだったのと、慎重を期すため、Nobさんはピッチ間隔を細かくしています。

3ピッチ目は、傾斜の緩い雪壁の直登で始まり、直登後、大岩を回りこんで岩場をトラバース、ロープいっぱいまで延ばしました。
雪壁は所々とても硬かったので、アイゼンやピッケルが思う様に入らなく、怖い思いをしました。
3ピッチ目の終了点は、頂上直下、頂上まで数メートルの場所でした。

9:05 雄大な南アルプスの峰々や、威厳ある木曽御嶽山の山容はとても素晴らしいものでした。
また、山行計画に入っていた三ノ沢岳の姿も美しかったです。今回は、時間の都合で足を伸ばせませんでしたが、次回、是非登ってみたい山となりました。

9:15 南稜の下降
岩稜の下降で、岩頭や、岩に打ち込んである鉄環を支点として、登りと同様のオーダーで臨みました。
最初の下降で2ピッチ、その後、岩峰を3つ越え、計7ピッチ(だと思う。)で雪面に降り立ちました。
途中、短い雪渓を3ヶ所通過しましたが、1ヶ所目がその中で一番厳しかった雪渓でした。

南稜での核心部は6ピッチ目の雪壁の登攀。
雪壁といっても、アイゼンで蹴りこむと草が出てきて滑るといった状態で、岳樺の幹にしがみ付いて、ようやく登りました。
アイゼンを履いているため、思うような位置まで足が上がらないのには苦労しました。
また、ビレイ中、時折、通過する風がとても冷たかったのが印象に残っています。
岩場にあきあきしながら、平らな雪面に降り立ち、ほっとしました。

その後、休憩もとらず、稜線上を歩き、三ノ沢岳の分岐地点着12:25。
極楽平で12:35。ロープウェイ畳平駅まで下り、パーティで握手を交わしたのが12:58でした。宝剣岳の頂上からはノンストップでした。(記 tomo)



■感想

まず、竜少年はじめ、Nobさん、ヨーコさん、たいへんお世話になりありがとうございました。たいへん緊張した、素晴らしい山行になりました。
全体を通して、素晴らしい経験をさせて頂き、メンバーの皆様に感謝しています。変化に富んだルートで緊張しましたが、楽しかったです。
リーダーである竜少年、始終トップに立ってくれたNobさんお疲れ様でした。そして、かっこいい写真を撮ってくれ、細かな心使いをしてくれたヨーコさん、ありがとうございました。
最後に、私の課題としては、雪面の足の置き方に安定感が無いことや、アイゼン、ピッケルの使い方に慣れていなく、使いこなせていないことだと思います。今後、経験をつんで、会得したいと思います。(tomo)

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宝剣岳のロープウェイを降りた途端に補導員から計画書の内容の詳細を聞かれる。
アイゼンは何本爪か、ロープは持っているか、冬山の経験はあるのかなど等。更に宝剣山荘から少し上がった宝剣岳への縦走路には二人の補導員が居て、何処にいくのか、昨日も滑落している、冬山の経験はどのくらいか分からないが道具は持っているだけではダメでどのくらい使いこなせるのか、スタッカット法でいくのはどうするのか?行くなと止めはしないけれど、と懇々と諭す。更に更に宝剣山荘には二人の県警山岳警備隊員がいて見回っているのだ。

確かに宝剣岳はロープウェイのお蔭で、冬山の経験、未経験を問わず2,612mの雪山の真っ只中にまで上がれてしまう。
その安易さで、目の前の急峻な山に入ってしまい、その上事故を起こす。これでは地元の方にとっては堪らない話で、常に監視と注意喚起を行っているようだ。
ただ、その辺のPRというか、情報も長野県警のホームページなどを見てもないし、インタネット情報もない。来ないと分からない、という点だ。

さて、雪稜と岩稜のミックスされた宝剣北稜・南稜は補導員の言うように決して安易なルートではないが、十分な注意と確保技術があれば、静かで木曾御岳や南アルプスの展望、間近に迫る岩稜の迫力を楽しみつつ登ることができる。
アプローチの良さ、雪と岩の世界を楽しみ、サッと登って、サッと降りて帰れる、という正にライトアルパインそのもののように思われる。
岳樺クラブのライトアルパイン12景にプラスできそうだ。ただし、往復の費用と時間が掛かるけれど。(竜少年)

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五月の連休山行は「宝剣岳」と決まって、以前宝剣岳に登った時、特に雪の季節でも無かったけれど怖かった、いう記憶があって参加を躊躇していた。
宝剣山荘に着き、宝剣岳を間近に眺め、その上厳重な登山規制にますます不安感が高まってしまった。
でも竜少年さんとNobさんから「ヨーコさん、絶対大丈夫だから、」と励まされ、自分を奮い立たせた。
当日、歩き始めると覚悟も決まって、トップのNobさんとラストの竜少年さんがセットしてくれたロープに支えられ、一歩一歩を慎重に運んだ。遠くに南アルプスや木曾の御嶽山、近くに三ノ沢岳、檜尾から空木に続く中央アルプスの峰々、そして宝剣沢の深い谷等を眺めながら切り立った岩稜、雪稜を歩いている自分が信じられない気持ちだった。
頂上を越え、小ピークをいくつか越え、極楽平に着いた時は胸が一杯、そして千畳敷に着いてメンバーと握手をした時は涙々でした。竜少年さん、Nobさん、tomoちゃん、お世話になりました。ありがとうございました。(ヨーコ)

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