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初冬の富士山に登る(富士宮口ルート)

富士山再訪
~今年2回目の表富士からの富士登山~

■日時 2008年11月23日(日曜日)
■目的地 富士山新五合目(富士宮口)から剣ヶ峰
■メンバー HINA、Nob、Hammer

剣ヶ峰と山頂火口

初冬の富士山へ、耐寒訓練とアイゼントレーニングを兼ねて登りましょうということで、今年の春に続きNobさん、Hammerさんの3人で臨みました。



■11月22日(土)
会の月例集会が終わった20時前に新小岩を出発。
3連休ということもあり、夜なのに首都高は渋滞していたが、23時過ぎには富士宮口の新五合目に到着。
富士山スカイラインが冬季通行止め期間に入る25日が迫っているためか、通行止め前の最後の週末ということもあって深夜にもかかわらず富士山スカイラインを登り降りする車は多く、五合目の駐車場にも結構な数の車が停まっていた。

我々と同じく登山者であろうテント泊の人たちもいる。でも車が多いのも頷けます。駿河湾方面の夜景と、とにかく満天の星空は素晴らしく綺麗で、星見スポット、一見の価値ありです。
とはいうものの翌朝も早いので、缶チューハイを1本だけ飲んでそそくさと寝袋に入るが、深夜まで車の往来があったり、強風でテントがバタつく音などであまり熟睡はできなかった(気がする)。

■11月23日(日) 晴れ
九合目付近を登る5時に起床。Hammerさん特製の豚汁を朝からいただく。簡単だけど美味しくて暖まった。そしてテント撤収や身支度などを整えてAM6:35に登り始める。

ところで雪の状況はというと、事前にライブカメラなどで見ていたのでわかってはいたのだが、五合目にはまったく何もなく、山頂方面を見上げても上部にうっすらと控えめに被っているだけである。

早めに雪が現れることを期待してとりあえず完全装備で夏道登山道を登っていく。我々の前後にも登山者が登っているが、思ったほど登山者は多くはない。
火山礫の登山道を冬用ブーツで登るのはもったいないなぁなどと思いながら特に危ないところもなく登っていくが、風は時々強く吹いていて、しばらく耐風姿勢をとって動けないほどの時もあり、手袋を重ねないと指先が痺れてくる。本当に寒くて汗もかかない。
そのかわり天気は申し分なくすっきりと晴れ渡り、背後を振り返ると駿河湾の綺麗な海岸線と、キラキラ光る太平洋が目の前に広がっていて、左側には伊豆半島から伊豆諸島、三浦半島が見え、右側は御前崎から遠くは志摩半島方面まで見渡せるという、アルプスとはまた違った雄大な眺望である。

剣ヶ峰を目指す八合目でようやくアイゼンを付ける。滑ったら滑落してしまうような雪の量、アイスバーンでもないが、カチカチに凍った雪(氷)で滑ってころんで痛い目に遭うのは嫌ですからね。
八合目で3,200mを越えると空気が薄くなって傾斜も急になり、時々強風の影響もあって、さすがに結構きつくなってくる。

さらに九合目の上、胸突八丁のあたりが一番きついところ、そこを頑張って登ると富士宮口ルートの頂上、浅間大社奥宮へ到着、鳥居の前でお参りをする。頂上火口壁の絶景も広がっていて、なかなか他では見れない景色です。

そこから最高峰の剣ヶ峰までは300mほどの距離、馬の背の急登を最後のひと頑張りで登ると、もうそれ以上高いところはない。3人でがっちりと握手をして無事の登頂を祝った。

5月に登ったときに比べると雪の量は圧倒的に少ないが、気温は断然今回のほうが低くて風も強い。あとで山頂の気温を調べたら-13℃、なるほどザックに入れていたスポーツドリンクもカチカチに凍っていて寒いはずである。
伊豆半島と遠く伊豆諸島の島影それでも白い雪をまとった山頂の風景は美しく、南側は駿河湾を中心とした太平洋の景色、北西方向には雪をかぶった南アルプスが綺麗に見え、抜けるような青空、澄みきった晴天に感謝です。

登った後は下るのみ。5月に登ったときは尻セードを交えて駆けるように下れたのだが、今回はそういうわけにはいかない。

八合目までは氷雪と岩交じりの下りで、アイゼンを引っ掛けないように気をつかう。アイゼンを外した後は楽にはなったものの普通の砂礫の登山道なので膝にくるし、前を歩く人の砂埃が風に巻き上がって埃っぽくて嫌になる。
それでも歩き続ければ着くもので、新六合目まで降りると一気に下界へ突入、観光客がいっぱいの世界であった。そしてそこから10分ほどで五合目に降り立ち、事故もなく天気に恵まれた山行が無事に終わったことを感謝した。
(記 HINA)

■コースタイム
新五合目発6:35 ~ 7:35 六合五勺(新七合目) 7:45 ~ 8:55 八合目 9:20 ~ 10:00九合目
10:10 ~ 11:23富士宮口山頂11:30 ~ 11:45 剣ヶ峰 11:55 ~ 12:05富士宮口山頂12:22 ~
13:07八合目 13:25 ~ 14:00七合目14:10 ~ 新五合目着 14:45



■感想
日本最高地点にて今年2度目の雪の富士登山でしたが、前回に劣らず良い天気に恵まれて、とても気持ちよい充実した山行でした。
ちょっと雪が少なかったのが残念ですが、本格的な冬山に登る前の良いアイゼン歩行、耐寒トレーニングとなりました。(寒さと風は厳冬並みでしたが)
岳樺クラブの冬山トレーニングメニューとして天覧山アイゼントレ、西黒尾根雪稜に加えてみてはいかがでしょうか。

それにしてもこの時期の富士山は色んな人が登っていますねぇ。誰も登山口で止める人がいないのでしょうが、ちょっとびっくりするような格好の登山者が少なくありません。
甘くみているのか何も知らない初心者の為せる技なのか、いずれも上部の雪のあるところで出会った遭難予備軍と思われる人々です。


  • 足元だけは登山靴を履いているが、何も荷物を持たずに空身でアイゼンも付けずに金剛杖をついて登っている外国人二人組。

  • ジーパンで登っている単独登山者。夏用アイゼンは付けているが、ピッケルは持っていない。

  • 八合目で初めて他の人にピッケルを握らせてもらって、使い方を教わっている人がいた。

  • ピッケル、アイゼンなしでストックだけの登山者は結構見かけた。この時期にピッケル、アイゼンを持っていない富士登山というのは非常識。しかもやはり単独の中高年が多い。


(HINA)

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富士山に登った知人から「富士山は登るより、遠くから見ている方がいいよ」と聞いていた。
また、日の出を見るために暗いうちから何百人ものヘッドランプの列をテレビ画面で見てから富士登山には全く興味が無かった。
ところが頂上が真っ白く見えるようになった11月、登山計画を見て突然スイッチ・オン!

登山口の新五合目は夜の強風が少し収まっていたが標高が上がるに連れて寒風が強くなってきた。
休憩出来るのは閉めている小屋の前だけで、あとはひたすら登るだけだ。
八合目の小屋から見た眺望は素晴らしかった。
海が淡いプラチナ色に輝き、伊豆半島がはるか遠くまで見えた。
見上げると濃い青空、頂上は目前だった。
しかし、九合目からがキツカッタ。
小屋のカンバンに「ここから胸突き八丁」と書いてあった。
空気が薄くなっていると思った。
頂上は強風・快晴、360度の展望がどこまでも広がっていた。
(Hammer)

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「一度も登らないバカ、二度登るバカ」と言われている富士山に今年は二度も登る機会を得ました。
5月の富士はソフトクリームのようなポッチャリ姿。11月の富士は生硬なヴァージンの肌合い。
キリリとした硬い雪面が登る身に適度な緊張感を与えてくれました。

温暖化が言われて久しいこの頃ですが、11月の晩秋にマイナス10度C以下の低温に身を晒すことができる場所が夜行日帰り圏内にあるということに素直に感謝。
耐寒・アイゼンワークの訓練に初冬の富士山ほど格好の場所はないと思います。
来年もまた日本一の頂に仲間と立ってみたいな。
(Nob)

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