表丹沢 水無川流域・源次郎沢溯行
■日時 2008年8月3日(日)
■メンバー Nob(単独)
■コースタイム
大倉(8:35)---新茅ノ沢出合(9:31)---源次郎沢入口(10:00)---F1下(10:12~10:20 入渓)---三段ノ滝上の二股(11:08)---花立山荘(12:08~30)---大倉(14:16)
■8月3日(日) 晴れ時々曇り
今日の予想最高気温は34度Cということで、小田急線渋沢駅に降り立った登山者の数もあまり多くない。
シーズン中なら臨時便も出るほどの大倉行きであるが、空席も目立つ中で出発した。
大倉で登山届けを済ませて出発する。
260m余の大吊り橋を渡り水無川左岸沿いの林道を歩く。車が何台も抜いていくが「よかったら同乗しませんか」などという奇特な人は誰もいない。
仕方なく黙々と歩くが、やはり暑い。
新茅荘の前の広場ではこれから表尾根方面に登るハイカーの車が何台も駐車していたが、この暑さで烏尾尾根を登るのはちょっとなあ。
作治小屋を過ぎたところに県警の派出所があったので源次郎沢への取り付きを尋ねる。
単独行であることとザックの中にヘルメットをしまっておいたため、かなり不安視されてしまう。
「あなた、ヘルメットを持ってきたでしょうねぇ?」
「沢で単独で入ると何があるかわからないから本当に気をつけてね!」
教えてもらった道順をすっかり忘れてしまい案の定間違えてしまった。水無川本谷の堰堤に行き詰まってルートの誤りに気づき、引き返すと「源次郎沢入口」の立派な標識があった。
いくつかの堰堤を越えたところにF1らしき小滝が現れたので沢靴に履き替え入渓の準備をする。
F1は正面からじゃぶじゃぶと水流の中を越えた。
次に現れるのが4段のF2。4段というより、小滝の連続といったほうがいいだろうか。特にむずかしいところもない。
続いて、左から大岩がせり出したところに出る。F3だろうか。右岸を水流沿いに小さく巻き気味に越える。
しばらくすると、源次郎沢で最も大きな滝が現れる。
F4(8m)は二条に流れ落ちており、右の方が少し高い。なかなか見事な滝である。
ここは左手の乾いたカンテ状を直登する。上部は落口に向かってトラバースするがやや滑りやすかった。
F4の上で二俣になり、右俣に入る。
右俣にはいると、まもなく3段10mのF5である。
下段を右手から登って、中段はおとなしく左から巻く。昔の記憶では左壁を直登したはずだが、今はとてもとても・・。
落ち口へのトラバースは外傾していて一瞬緊張した。ここで落ちたら只ではすまない。
F5より上は徐々に水が少なくなっていき、やがて涸れる。
F6の下で靴を履き替え、ちょっと休憩。
今日は日曜日なのに誰にも会わない。人気の沢ではあるがこういう日もあるのかも知れない。
涸れ棚のF6は特に問題なく真ん中から登るが、ザックがひっかかりちょっと手こずる。
F7はプレートがかかっているだけで、すでに滝の形をなしていない。聞くところによれば平成13年の大雨で大石が動いて滝が埋まったとか。怖い。
F7のすぐ先で二俣になり、左に行く。
F8は4m+4mのチムニーの滝でチムニー内部を登れそうだが、無理しないで二つの滝とも右の側壁を登って越える。
F9は涸滝ながらこの沢でもっとも落差のある滝なのではないだろうか。
CS(チョックストーン)の滝で、右壁にはリングボルト、左壁に残置スリングがあるが、今回は単独なので左壁を残置スリングにボディからのびたカラビナを掛けて乗り越す。
上部が意外と立っていてスリルがあった。
残置スリングを固定しているハーケンは錆びて心許ないし、スリング自体も年代物なので、無理しないで左から高巻けばよかったと反省。
過去に3回登っているがいずれも右壁、左壁を直登している。秋に訪れたときは全体に乾いていて右壁が快適に登れたのだが今回は濡れていて悪そうだった。
源治郎沢の上部は涸れ棚の連続である。
F10のプレートを越え、さらに沢沿いに登っていったが、風が通らなくなり蒸し暑さに参ってしまう。
やがて、踏み跡が現れてきて植林帯に入り、それを抜けると、大倉尾根の花立山荘直下のトイレの脇から登山道に出た。
当初の予定では、源次郎の岩場付近に出るはずだったのだが、左に登ってしまったのが間違いだったようである。もう少し忠実に沢を詰めていくほうがよかったのだろう。
花立山荘の前では、涼風が肌にあたり下界を眺めながらの休憩は最高の贅沢だった。
ゆっくりと体を休めて下山の途についた。
大倉尾根は階段ばかりで好きになれないが、これを克服しなければビールは飲めないので仕方なく下る。
腰痛をかばいながら膝がガクガクする頃、出発点の大倉のバス停にたどり着いた。
■感想
源次郎沢は今回で4度目である。
といっても過去の3回とも20年以上も昔のことである。
今回久しぶりに溯行してみて感じたことは、沢が荒れたなあということ。
昔はもっと美しかったように記憶している。とくにF6以降の上部の涸棚群の荒れが目立った。
アプローチの林道歩きと下山の大倉尾根のことを考えると、盛夏に訪れる沢ではなく春や秋こそこの沢の良さが光る季節なのかも知れない。
(記 Nob)