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五月の涸沢の青い月

■はじめに
盛夏から晩秋に掛けての「涸沢カール」には数度と無く訪問しているが、この残雪期の五月の時期は全く行ったことが無かった。

そんな折に40年前の福岡時代の大学山岳部の先輩・同期(3名)が行くとのことで、小生もご一緒させて戴くことにした。


【05/17(土)】
新宿発(23:00)のさわやか信州号にて上高地へと出発する。

【05/18(日)】
上高地バスセンターにて身支度の後に仲間3人が前々夜から宿泊している徳沢のキャンプ場まで歩く。

徳沢には既に(16日/焼岳)&(17日/徳本峠)と山歩きを楽しんで来た3人(O先輩(72才)、U先輩(64才)、K同期(60))と久し振りの再会を喜ぶ。

O先輩は新穂高ロープウェイで平湯温泉へと下山、K同期は仕事で大阪へと下山、U先輩は一寸股関節の痛みとかで暫く休養とかで、取り敢えず一人で涸沢へと向けて出発する。

横尾を過ぎて本谷橋か近くなった所より若干の雪道となり、橋を渡ってからは全く夏道は出ておらず、腐った雪に脚を取られながらもどうにか歩きやっとのことで涸沢ヒュッテに辿り着く。

五月の青空の中に飛行機雲の筋が一つ・二つ、そして涸沢カールを取り巻く峰々も雲一つ無くまぶしく輝いている。

U先輩も16時過ぎにはヒュッテに入られ、昔話(40年前の阿蘇.鷲ヶ峰での岩登り、北アルプスでの夏・秋(偵察)・冬・春(3月)山合宿・・・等)に花を咲かせ酒を酌み交わす。

今夜の涸沢ヒュッテは宿泊客にとっては嬉しい少人数(7名)と静かに夜は更けて行く。

夜中に空を見上げると前穂高岳から吊尾根の上部に満月を一寸細めた正に「五月の涸沢の青い月」が浮かんでいる。

■ルートタイム
上高地BC(05:45 バス着/05:50 歩き始め)~ 徳沢(07:05/07:50)~ 横尾(08:40/08:50)~ 本谷橋(09:50/10:00)~ 涸沢ヒュッテ(12:05 歩き終り)

【05/19(月)】
昨夜の気象情報では「今日は昼頃より雨」とのことで、朝食の後 即 下山してから徳沢のテントを撤収して上高地へと下ろうとしていたが、今朝の気象情報では「今日は15時頃より雨」となっていた。

ザイデングラードを登るその様な訳で「U先輩、申し訳けないが涸沢には09時には戻りますから・・・」とお願いして、06時からの朝食を急いで食べて身支度(アイゼン装着)の後に一人で「ザイデングラード」を時間の許すところまで登ることにする。

涸沢カールを登っている人は北尾根下部でのスキーヤーと小生の二人だけの模様である。

この朝の早い時間でも既に雪は腐っており、一週間前の40cmの降雪もあり、若干のトレースはあるものの、一歩・一歩と腐れ雪に難渋しながらも高みへと体を持ち上げ、北尾根の横顔が美しく見える「2,750m付近」(右に獅子岩の上部)から下ることとする。

沢分岐でアイゼンを外して、腐れ雪に脚を取られながら本谷橋へ、そしてU先輩の待つ徳沢にて一休みの後で、雨の心配もあり上高地へと歩を進める。

このまま帰京しようかとも思ったが、今夜は上高地でのんびり過ごそうと思い、案内所で紹介して戴いた「西糸屋山荘」さんに靴を脱いだ。

気象情報より若干遅かったが18時頃より激しい雨が降り出す。

■ルートタイム
涸沢ヒュッテ 2,300m付近(06:25 歩き始め)~ ザイデングラード 2,750m付近(08:10/08:15)~ 涸沢分岐(09:10/09:15)~ 徳沢(11:35/12:40)~ 上高地BC(14:30 歩き終り)

【05/20(火)】
一晩中の激しい雨も6時過ぎよりは普通の雨となり、7時よりの美味しい宿の朝食を食べチエックアウト(09:30)までのんびりと過ごす。

只、上高地発のバスは14:00と時間があるので、上・下の雨具と山荘の傘を借りて「36年前の思い出の岳沢」を歩くことにする。

石畳・残雪の道を帰りのバスの時間もあり、空身でもありノンストップでどんどん上がって行く。一瞬だが吊尾根のスカイラインや明神岳の諸岩壁も見ることが出来た。

いよいよ右に畳岩尾根&コブ尾根の下部が見える地点(岳沢ヒュッテがあった2,200m付近)の雪渓上から折り返すことにする。

思い出の36年前の6月6日に登った「奥明神沢 ~ 前穂高岳」のルートもほぼ見ることが出来た。
登る時の雨模様も段々と収まる気配で河童橋に帰る頃には完全に雨も上がった。

■ルートタイム
西糸屋山荘(09:20 歩き始め)~ 岳沢登山口(09:35)~ 岳沢 2,200m付近/岳沢ヒュッテ跡付近(11:00/11:05)~ 西糸屋山荘(12:25 歩き終り)

西糸屋山荘さんにて熱燗(白馬錦)と ざる蕎麦を戴き、上高地BC(14:00発)のさわやか信州号に乗り込み(乗客は7名と少人数)新宿(18:30着)に無事に帰り着いた。



■感想
U先輩(64才)は大学一年生(19才)の夏山・春山合宿が「穂高連峰」と初めての北アルプスでの強烈な経験から、社会人になってからもほぼ毎年の様に若い頃にはご家族で、そして今は昔の仲間と、この穂高の山を楽しんで居られる。

次回の穂高での再会(出来ればこの秋にでも)を約束して河童橋で別れた。この時期(GW明け)の涸沢カールは数えることの出来る人の少なさで最高ではあるが、たまたまなのかどうか気温が高めで雪質が悪く(腐れ雪)歩きそのものは快適とは言えなかった。

(記 富士丸)

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