.トップページ -> 雪山・雪稜 -> 上越・足拍子岳南尾根

*掲載内容についての注意がございますのでこちらをご覧下さい→

上越・足拍子岳南尾根

- 駅から至近の手強い山 -

足拍子岳本峰

【日時】2008年3月23日
【目的地】上越・足拍子岳南尾根(南峰まで)
【メンバー】竜少年、Nob、ヨーコ、HINA、Hammer

■3月23日(日)晴れ
前日のうちに土樽駅まで行ってステーションビバーク、空が白み始めた早朝5:15に出発する。連日のポカポカ陽気で麓の道路に雪は全くないが、道路わきには除雪された雪が1~2mほど残っている。

トラバース足拍子岳から真南に伸びる南尾根は1,142m付近からいくつかの尾根に分かれるが、土樽に向かって南西に伸びる尾根が今回のルートとなる。

取り付きは駅から10分ほどの清水トンネルの入り口付近、早朝の締まった雪の斜面を登り始める。

念のため持ってきたワカンも全く必要がないので、登り始めて40分くらいの尾根筋で休憩を兼ねてデポすることに。

南峰直下の急な雪田を登るその後すぐにアイゼンもつけて登るものの、かなり急な尾根のせいか標高が上がるにつれ尾根筋の雪は完全に落ちていて地面が露出しており、けもの道っぽい尾根を半分藪こぎ状態で進むしかなく、まるで奥多摩のバリエーション尾根でアイゼントレをしているような感覚で快適な春山を期待していただけに余計に疲れてしまう。

そのうち再び尾根上に雪が現れ出すが、歩きやすい方を求めてあまり雪のほうに寄ると今度は雪庇を踏み抜く恐れもあるので、雪と地面の境を慎重にジグザグと進み、陽春の天気の中、大汗をかいてフーフーいいながら急な雪藪登りに疲れるころ、ようやくブッシュもまばらとなり視界も開けてきて、左には荒沢山、背後には上越国境のまぶしい白い山々が聳え疲れが癒される。

雪庇を通過中標高1,142mの台地付近までは全くトレースはなかったが、このあたりで左下方面から合流するトレースがあり、尾根筋ではなく谷筋からのルートも登られているようで、今回のように雪が少なくて締まっていればそちらのほうがずっと歩き易そうである。

そこからさらに少し登ると樹林帯を抜けて綺麗な雪稜となりようやく前方の視界も開け、目指す足拍子の本峰は見えないが、雪をまとった南峰が見るからに手強そうな容姿を見せている。

いやらしいギャップの通過しばらく平坦な雪稜を進むとルートは急な雪壁となり尾根の左急斜面をトラバース気味に登ることになるが、ここは足元がスッパリと切れていて高度感もありスリップしたらかなりヤバイ。

幸い雪は硬いのでピッケルとアイゼンを効かせて慎重に登る。次に現れたのは岩の露出した鋭いリッジ、ここは岩を馬乗りになって進むか、危なそうな左側壁を巻いて登るか思案したが、結局ロープを出して左から巻くことに。

南峰直下の雪稜ガレた岩場をトラバースして、ちょっとした木登りのあと雪壁を登ってロープをフィックスする。

下りのことも考えて、ここはそのままロープを残置していく。

そのあとも急な雪壁が続くがそこはロープを出さずに慎重に登った。そして右側に雪庇の張り出した雪稜を登りつめるとようやく足拍子岳南峰のピークに到着!

足拍子岳南峰頂上にて。バックは主峰目の前にはさらに鋭い本峰が聳えているが、写真で見ていた純白のピークには程遠く、既に上部岩壁の雪はすっかり落ちてしまっていて、目指すルートは見るからに危険。

頂上付近には今にも崩れそうな雪庇も乗っかっていて、期待していた雪壁登攀は全然無理な状況で登攀意欲はなくなってしまい、下りのことも考えると時間的にもあまり余裕がないので、全員一致で今回は潔くここまでと決める。

しかし天気は薄曇となってきたものの360度の展望、上越国境の純白の山々は見事にパノラマ状に広がり荒沢山も眼下に望むことができ、ここまで登って来れただけでも皆満足して、ゆっくりと食事と景色を楽しんでから下山にとりかかる。

南峰からの下降とにかくゴールデンウィークの山のような暑さで、雪も腐ってきてアイゼンもあまり効かないため、登りではロープを出さなかった雪壁にもロープをフィックスして、バックステップも交えながら慎重に下っていく。

登りでロープをフィックスした箇所で本日初めて登山者と出会った。単独行の山スキー屋さんであったが、我々のフィックスしたロープが大いに役に立ったのではないかと思う。(その後回収してしまったので、下りは怖かったと思うが・・・)

さらに登りでは急斜面のトラバースだった箇所もなんとかロープを出さずに通過できたが、やはりここまで下るのもかなり時間がかかった。

ここで別の3人パーティがこれから登ろうとロープを出して準備をしていたが、この時間からどこまで行くのだろうと人ごとながらちょっと心配になった。

そこからはロープを出すほどの箇所はなくなり、ワカンをデポした場所を目指して、雪の斜面のあとは再びけもの道を藪こぎし、腐った雪とスノーホールに何度も足をとられながらひたすら下っていく。

Nobさんの的確なGPS操作によりワカンをデポした場所にも無事に到着できた。そして土樽駅を目指して280度、斜めに滑るように一気に下降し、午後2時前、皆無事に下山することができた。

土樽駅にはビールがなくて残念、しかし水上駅3分の乗り換え時間にNobさんが超人的な技でビールをゲットしていただき、皆で乾杯して無事を祝った。

本峰登頂はならなかったが、たっぷりの緊張感と疲労感&上越の雄大な景色&静かなバリエーションルートを存分に楽しむことができた。

■コースタイム
土樽駅発5:15 --- 取り付き5:25 --- 1,142m付近 7:30着 7:40発 --- 足拍子岳南峰 9:40着 10:00下山開始 --- 1,142m付近 12:20 --- 土樽駅 13:50着


■感想
向かって一番左が私です足拍子岳は会としては初めての山で、お隣の荒沢山を何度か登るたびに前々から狙っていたそうですが、私自身は何しろ谷川山系の山は一度も登ったことがなかったので、今回南峰に立てただけでも満足できました。

温暖化の影響で年々雪が少なくなっているようで、過去の記録ではこの時期がベストだったようですが、今年は3月の初め頃がベストだったのではと思います。

初めて見る上越の山々はとても綺麗ですばらしく、登りたくなるような山がまた増えましたが、この足拍子岳のリベンジという楽しみもまた増えました。次回はもっと良いコンディションで登れたらと思います。

皆さん、お疲れさまでした!

記 HINA

雪山・雪稜の最近記事(5件)

上記以外の記事は「雪山・雪稜」のカテゴリーページをご覧下さい。

PageTop

Copyright © 2006-2024 山の会「岳樺クラブ」 All Rights Reserved.