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八ヶ岳・阿弥陀岳南稜

【日時】2007年4月15日
【目的地】八ヶ岳・阿弥陀岳南稜
【メンバー】Nob、他1


当初は、広河原沢大滝を登攀した後、3ルンゼ右俣を詰めて南稜P3に直接取り付く計画だった。
ところが前日の朝、八ヶ岳一帯に降雪があり、さらには気温も高めだったので、当初計画は中止とし、阿弥陀岳南稜のみの計画に変更した。
雪崩も怖いし、ラッセルもしんどそうだったので、この計画変更は正解だったと思う。



■4月15日(日) 晴れ

前夜のうちに小淵沢にある道の駅にて車中泊。
15日は未明に出発し、舟山十字路には4時半頃に着く。5時少し前、ヘッドランプを点けて出発。

ゲートを過ぎてしばらく林道を進む。20分ほどで右に阿弥陀岳南稜を示す道標があり、それにしたがって伏流となった広河原沢を越えて尾根に取り付く。
いきなりの急登に加えて、凍結した急坂を慎重に登って南稜上に飛び出した。
ここからは長い道のりをスリップに注意しながら徐々に高度を上げていく。
20年ほど前に訪れた時もあった「四区」の境界標識がいたるところに点在している。

立場山までは長い登りが続く。しばらくはノーアイゼンを通していたが、やがてツルツルの凍った斜面が続くようになり途中でアイゼンを装着した。


立場山はそれとはわからずに通過。
一面雪原となった青ナギからは阿弥陀岳南稜や広河原沢奥壁の全貌が視界いっぱいに飛び込んでくる。

今シーズンは暖冬で積雪は期待していなかったが、3月、4月に意外と低温が続いたせいか積雪は思ったよりも豊富だった。
加えて前日の降雪(4,5cm位)が程良い新雪の薄化粧を施してくれている。
先行者のトレースはあるものの、無名峰を越えるまでの軽いラッセルを交えての登りは結構しんどかった

無名峰を越えるといよいよ岩稜帯に入る。P1、P2は問題なく通過。
核心のP3は定石どおり、ピーク左側にトラバースして、3ルンゼ右俣の源頭部を直上する。
私たちは慎重を期してルンゼの手前からロープで確保してルンゼ内に入る。、
ここは最近、フィックスロープが設置してあり、夏場ならロープ操作のできない一般ハイカーも通過しているらしい。

さすがにこの時期のルンゼ内は雪と氷の世界で、フィックスロープも一部は氷の中に埋もれていた。
P3の核心は約2ピッチだ。錦少年(風来坊・岳樺クラブOB)、Nobと交互にリードして登る。
3ピッチ目は草付き帯までの約20m。合計2ピッチ半でP3を抜けることができた。

最後のP4は左から巻き気味に登るが、凍っていて靴の幅ぐらいしかない数歩のトラバースが嫌らしかった。
P4を慎重に越えて、さあ後は頂上を踏むだけ。と思ったら、最後の最後に5m程の垂壁(III-程度)に行く手を阻まれてしまう。
左右を見てもトレースがないので、この岩場を越えなければならない。
手がかり足がかりともに十分なのだが、岩自体が脆そうでちょっと怖かった。
ここは錦少年がフリーで乗り越えて、私のためにお助け紐をぶら下げてくれた。感謝!

垂壁を越えれば、後はゆるやかに続く雪の斜面が頂上へ私たちを導いてくれた。

一歩一歩高度を上げて、11時47分、待望の阿弥陀岳頂上へ。
ちょうど同時刻に北稜側からは若い二人組が頂上に到着していた。
広い頂上を南北のバリエーションルートから登ってきた4人で独占したことになる。


帰路は御小屋尾根を下った。
尾根の上部が氷化していたので1箇所念のためロープを使ったが、後は急な斜面をぐんぐん下って御小屋山とのコルに達する。雪があるから下りやすかったが、雪が少なかったら岩が露出して下りにくい所だ。
御小屋山で美濃戸口への道を分け、舟山十字路めざしてさらに下る。

この道も残雪に道形が隠されてしまっており、途中で道を見失ったが、ところどころに付けられている赤やオレンジの布のおかげで迷わずに済んだ。

早朝5時前に出発して、午後3時過ぎにはスタート地点である舟山十字路に戻ることができた。
長い一日だったが、静かな陽春の八ヶ岳らしい登りを堪能できた。

■タイム

舟山十字路(4:53)・・・南稜分岐(5:12)・・・南稜上(5:33)・・・P3ガリー取り付き(9:51)・・・阿弥陀岳(11:47~12:10)・・・舟山十字路(15:06)



■感想

4月は気温も高くなり、何よりも日照時間が大幅に増える。
それでいて積雪量はシーズンを通して多い時期になるため、行動体力や防衛体力に不安をもつ中高年にとってはベストなシーズンだと思う。
行動時間が増えるので、荷物を極力軽くして早朝発日帰りでライトなバリエーションを登るスタイルを今後も続けてみたい。
(記 Nob)

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