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一ノ倉沢 雪訓風景

【目的】 堅い雪をもとめての雪上訓練
【日時】2005年06月05日
【メンバー】竜少年(L)、Miya(SL)、ヨーコ、ヒロリン、Nob(以上岳樺クラブ)、T嬢(NGFC)



一ノ倉沢出合風景雪上技術訓練(雪訓)は雪山登山を楽しもうとする登山者なら必ず行うトレーニングメニューです。

しかし、訓練を行う時期や訓練場所の選定でいつも悩みます。

雪山登山で一番警戒する事故の一つは滑落。

急な雪面での身体バランスの保持や万が一の滑落に対する防止技術の習得、あるいはロープを使った確保方法の習得には、堅い雪の急斜面での訓練ができれば最善だと思うのですが、なかなか適地が見つかりません。

訓練前の緊張?以前は冬山シーズン前に関東周辺の登山者なら11月下旬から12月初旬の富士山が格好の訓練場所でした。

ところが、昨今の地球温暖化現象の影響で11月、12月の富士山ではなかなか訓練になりません。雪がないか、あってもフカフカの頼りない雪ばかり。シーズン前に締まった雪面での訓練は出来にくくなりました。

そこで、当会では初冬の時期はゲレンデでのアイゼン登高トレ以外は実際の雪山登高で足慣らしをしていきます。

二ノ沢訓練風景いわゆる雪訓は5月から6月にかけてのシーズン後に行うようになりました。この時期ならばスプーンカット状の堅い雪面が期待できます。

ところが、今度は場所の選定に頭を悩まされます。時期が早いとブロック雪崩が怖いし、遅くなると肝心の雪面がブロック状に寸断されてしまいます。

北アルプスまで足を運べば格好の斜面はごろごろしていますが、訓練のために遠出はなかなかできません。

滝沢遠望そこで、候補に上がったのが谷川岳の一ノ倉沢です。ここでは過去にも5月下旬に雪訓を実施しています。

今年は19年ぶりの豪雪の影響からか、本谷にはたっぷりと残雪がありました。

例年なら6月に入るとブロック状に寸断されてしまう二ノ沢や衝立沢も豊かな残雪に覆われていました。

【今回確認した雪上技術】 スタンディングアックスビレイ

キックステップ系:直登、直下降、斜登、斜下降

アイゼン歩行系:直登、斜歩行、斜歩行の方向転換、ロープ確保による急斜面の直下降

ロープによる確保:スタンディングアックスビレイ、強固な支点による確保 etc

これらの中で、「ロープ確保による直下降」体験は参加者に強い印象を与えたと思います。

訓練を終えてフラットフッティングの原則を守れば、かなりの急傾斜でもスリップすることなく直下降できるということを実際に体験できたからです。

危険だと感じたら即ロープによる確保をするのは安全上はいいのですが、それだけスピードが犠牲になります。

自分がロープ無しで下ることのできる限界斜度が広がればそれだけ、スピードアップにつながります。

おまけのWアックス
今後は、さらに傾斜の増した斜面で、直下降の態勢からピッケルを使った後ろ向き下降に反転して下降を続ける体験ができたらといいな、と皆で話し合いました。

この時期の雪訓は堅い雪での得難い体験ができる反面、来シーズンまでの間隔が長く、せっかく習得した技術・経験を忘れてしまうという欠点もあります。


また、訓練場所を慎重に選択しないとブロック雪崩など危険な事態も起こりえます。

それらを今後の課題として、今後の雪上訓練開催に活かしていければと思いました。

Nob

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