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上越・荒沢尾根敗退記

快適な雪稜を行く
上越の荒沢山は駅からほど近い便利な山である。

眼下の関越道の騒音がちょっと気になるものの、展望は天下一品。

今回はまだトレースしたことのない荒沢尾根から登り、既知のルートであるカドナミ尾根を下る計画で入山した。

■4月9日(土) 晴れ

ビーコン操作実習土樽駅には14時過ぎに着く。早大山荘まではほんの一投足の距離。途中プロガイドのパーティーに挨拶。彼らも明日荒沢山をカドナミ尾根から登るとのこと。

早大山荘前にテントを張り、ビーコン操作実習を行う。久しぶりに行うのでなかなか埋没地点を特定できない。やはり冬季は目的意識的に操作に慣れるべきだ。

夕食はヨーコさん特製のスペシャル鍋でぴよぴよさんの入会を祝いワインで乾杯。就寝までの楽しい一時を過ごす。

■4月10日(日) 晴れのち薄曇り

下部は美しい雪稜
4時起床の予定が5時までぐっすり寝てしまい慌てて起きる。急いで身支度をして6時半出発。

ラジオ予報では今日いっぱい保つとのことで、予定どおり荒沢尾根を登ることにする。

尾根取り付きへは前日に下見をしておいたので迷うことなく着いた。取付点には古い赤布がつけられている。

最初のうちは植林帯の中を進む。やがて、灌木帯になると傾斜は増し尾根の西側面を斜上するが、ところどころ雪が切れている箇所もありいやらしい。

尾根上に上がれば快適な雪の斜面が続くようになる。尾根筋がはっきりすると雪稜となる。

疎林下の雪稜を登りきると標高820mの展望の好いコブに着く(8:00~8:15)。

快適の一語につきる

振り返ると眼下には関越道、対岸にはタカマタギ、平標山、仙ノ倉山、万太郎山といった白銀の山々が聳えている。

ここからもしばらくは快適な雪稜が続く。やがて急な雪壁が現れたためロープで確保して登る。中間支点にはデッドマン、スノーバーが活躍してくれた。

まあ、このあたりまでは順調だった。しかし、標高1000mを越えたあたりから状況が一変する。

振り返ると白銀の山々が

それまで快適な雪稜だったのが、雪庇が崩れてブロック状に点在するようになる。

これらの不安定なブロックを越えたりブッシュ帯を巻いたりしながら進むことを余儀なくされた。

立木を掴みながら登り標高1140m地点のコブに立つ。頂上はすぐ先に見える。

やばい!ブロックが!

しかし、ここから先はギャップになっており、進むには西側の急な雪面をトラバース気味に下降しなければならない。

今回のパーティー力量では安全が十分に確保できないと考え、ここで引き返すことにする。

テン場からここまで標高差540mに4時間以上もかかってしまった。(10:40)

うーん、これは…下りは不安定な斜面の連続であったため、安全のために60mロープをべた張りにしながらマッシャー結びによる確保で降りる。

雪慣れしていないメンバーもいたので、急な雪面ではタイトロープによる確保でゆっくり降りた。

しかし、ロープを使ったため予想外に時間がかかり正直すこし慌てる。

ぴよぴよさんの確保をm3nbさんに任せて、私とヨーコさんとで先行し荒沢尾根取り付き点まで下降した。(16:15)

ヨーコさんにはそのままテント撤収に向かってもらい、私は遅れてくる二人を迎えに登り返す。

植林帯と灌木帯の分界点付近で無事に二人に合流。ぴよぴよさんは比較的元気だったのでm3nbさんに任せて再びテン場へと向かう。

全員がテン場に戻ったのは17時過ぎ。あわてて撤収を完了し土樽駅発18:11の電車にどうにか間に合った。



■感想
今回はルート選定のミスとターニングポイントの見誤りに尽きる。

たしかに昨年2月にカドナミ尾根を登っていたので今回の荒沢尾根は決して無理な計画ではなかったと思う。

しかし、雪庇が崩れる不安定な時期であることを考慮に入れれば、未知のルートである荒沢尾根をとるべきではなかった。

また、メンバー全員の力量を完全に把握していなかったため、下り斜面で思わぬ時間を要してしまった。それにより引き返し点であるターニングポイントを見誤ってしまった。

しかし、思わぬ失敗もあったが、緊張した登下降の繰り返しを体験でき、パーティーとしては貴重な経験が得られたことも事実。ヒヤリハットの一種であるがポジティブに考えていこうと思う。(Nob)

記念すべき岳樺の初山行。期待と不安にドキドキしながらの参加でした。

リーダーが細かくステップをきってくれるので歩きやすい。おかげでじっくりと雪の感触を楽しむことができて嬉しい。突然現れたウサギや白く雪化粧した山々にも大感激。

しかし、さすが名にしおう豪雪地帯の山。雪山気分に浸るのもつかの間、下降は緊張を強いられるものに‥!

楽な山しか行っていない私には厳しく、へたりそうになったけれど良い経験になりました。

こういう経験をすると普通の登山道がとっても楽に感じられます。皆さんのフォロー、ありがとうございます。

これからジムは週二回に増やそう。「ガンバ隊」の名に恥じないように。(ぴよぴよ)

昨年2月に続きまたまた敗退となってしまった荒沢山。昨年はスノーシューでカドナミ尾根を登って「あと20分で頂上」というところで私だけギブアップ。

今年こそはと思っていたが、頂上を踏むどころの話ではなく、とにかく全員無事に下山出来て本当に良かった。

リーダーNobさんの責任感、m3nbさんの実力と冷静さのお蔭です。(お二人共本当にカッコ良かったですよ。)日常のトレーニングと勉強がいかに大切かということを改めて肝に銘じた次第です。(ヨーコ)

残雪期の山は積雪期の山よりも難しい。…と言うのが今回の山行で得た経験でした。

去年9月に岳樺クラブに入会させて頂き、その後、年末から毎月の雪山山行に参加させて頂きましたが、今回の山行が一番得る事があったと思います。

今年年末からの雪山シーズンに向けて更なる向上心を持って、学習とトレーニングを継続させようと新たに誓いを立てました。Nob先輩。これからも宜しくお願いします。(m3nb)

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