北アルプス 餓鬼岳
久しく山から遠ざかっている身には標高差約1,650mの登高は厳しい。天気予報が晴れから曇りに、更に雨へと目まぐるしく変わる。雨にならなければいいが、と心配しながら新宿の夜行バスに乗り込んだ。
■9月25日 雨

雨に打たれながらの山行も標高2000mを過ぎる辺りからの一足早い紅葉に滅入りがちな気分が和らげられる。直下の百曲がりをジッとこらえて、足元の色づいた落ち葉を踏むころには、さしもの大雨も一息入れてくれた。

白沢登山口(6:15)・・・紅葉ノ滝(7:15~25)・・・魚止めノ滝(7:55~8:05)・・・最終水場(8:35~45)・・・大凪山(10:50~11:05)・・・餓鬼岳小屋(13:40)
■9月26日 曇り時々晴れ
寝るところも、食べるところも同じ一つ部屋。そんな小さな餓鬼岳の小屋に別れを告げ、花崗岩の白砂の中を行く。よかった、雨でなくて。
剣ズリの難所にさしかかる。花崗岩の立った岩が小川山の岩峰群のような、乾徳山の旗立岩のような、瑞牆山の岩場のような、しばし見とれる。「あそこにフレンズをセットして、あれはレイバックでいけそうだぞ、手の切れそうなナイフエッジ、うーん、難しそう。」などと独り言とも話し言葉ともつかず。
そんなことは青空に映える紅葉と山の素晴らしさには到底かなわない。剣ズリの岩場の通過は、心配したほどの事も無く、程々の緊張感が気持ちいい。
野口五郎から烏帽子への稜線が高瀬ダムの向こうに遠望できるが、他は雲の下。好天なら槍まで見えるという。雨にならないだけでも幸いとしなければ。東沢岳に登り最後の展望を楽しむ。深い樹林が東沢乗越まで続いている。乗越から中房温泉への道をとる。沢音が聞こえてくるようになるとやがて西大ホラ沢出合。
東沢は、沢全体が荒れ、大崩壊の爪跡が所々にあり痛々しい。沢を右に左に、飛び石伝い。赤ペンキと微かな踏み跡を探し探し。ようやく「東沢登山道」の標識が見つかり、安堵。
冷たい沢の水を沸かしてコーヒータイム。
安堵の後も、大きい高巻、今にも崩れ落ちそうな桟道や濡れて苔むして斜めに傾いだハシゴ、滑りそうな細い2本の丸木橋、堰堤越え。
皆、怪我も無く山を終わることができてよかった。なんとなく温泉臭くなると中房温泉。少し下って有明荘の露天風呂で汗を流した。(記 竜少年)
餓鬼岳小屋(6:40)・・・2508mピーク(8:58~9:11)・・・東沢岳(10:09~25)・・・東沢乗越(10:53~58)・・・西大ホラノ沢出合(11:33)・・・ブナ平(13:15)・・・中房温泉(14:15)・・・有明荘(14:30)
■感想
以前には考えても見なかった事が、最近は気になるようになった。例え何の問題のない縦走路でも絶対に滑ったり、転んだりしてはいけないと思うようになった。転ぶことは、注意力散漫、疲労、体力不足が原因。正にヒヤリハット。下りで転びそうになったことが2回、そして一回手を付いてしまった。(竜少年)
シトシトと、時には音をたてて降る雨の中、秋の恵みの色々な木の実・草の実を味見しながら小屋に到着。長い登りを歩いた割にはまだ余力の残っている自分にびっくりしました。リードしてくれた方のおかげです。小屋前のテーブルで涼しい風に吹かれながらのメンバーとのおしゃべりは最高でした。
翌日も予報に反して良い天気の中、素晴らしい稜線歩きになりました。7月には4日間も雨の中を歩いたので、やっぱり景色の見える山行が良いですね。
雨具を着るタイミングを間違え、足が冷えかかった事は要反省!面倒がってはいけません。またご一緒できるのを楽しみにしています。(こまくさHC・ツノジュン)

剣ズリの岩峰群を巻くように岩場を上り下りしましたが、結構緊張しました。ミエリンさんにサポートしていただいたりして、やはり普段から岩トレをすることは大事なんだなぁと反省した次第です。ちょっとした岩場でも普段から練習していれば、気持ちが全然違いますものね。(ヨーコ)