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上越 谷川岳・東尾根とマチガ沢東南稜

■谷川岳・東尾根

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【日時】2001.10.14
【メンバー】竜少年、Nob,Miya
【ルート】シンセン右股からシンセンのコル~東尾根~オキの耳
【タイム】
マチガ沢出合(6:10)~第1見晴(6:50)~シンセン沢出合(7:30~47)~シンセンのコル(8:55~9:05)~観倉台(10:50)~第1岩峰上(11:45)~オキの耳(12:03~13:00)~厳剛新道分岐(14:10)~マチガ沢出合(15:20)

 天気予報は幸い好天を約束している。東尾根はMiyaさんが昔々その昔経験している。竜少年は5,6年前3月に一の倉一の沢から入って途中で敗退している。

 「日本の岩場」の紹介では、グレードは1級である。紹介記事もシンセン右股は一般ルートとしか記述がない。ま、難しくないから書きようがないのだろう、問題は無さそうと3人で勝手に決める。ところがどうしてどうして我ら中高年にとっては第一級のルートであった。



■行動概要 

 マチガ沢の出合は折からの紅葉見物の車で朝の6時だというのに既にごった返している。少しの隙間を見つけてレガシーを割り込むように駐車する。

 紅葉が始まった巌剛新道を40分程行くと第1見晴台に着く。ここから急坂を降りてマチガ沢に入る。少し河原を歩くと赤ペンキでシンセン沢と書いた大岩に着く。丁度、東南稜へいく錦少年、MIKI組と合流して、例によって暢気に道具談義で自慢し合う。

 ハーネスを付けわれわれはシンセン沢へ、錦少年パーティは東南稜へと再会を約して手を振って分かれる。シンセン沢は最初は伏流となったガレ場を詰めていくと顕著な分岐が出てくる。この頃から急な草付き帯となり、踏み跡を拾ってシンセンのコル目指して登るようになる。といってもどこも踏み跡で、草紅葉の始まったボサに掴まって、「草よ抜けるな!」と半分祈るような気持ちで上へ上へと這い登る。

Miyaさんはとうとうバイルをドスン、ドスンと打ち込んで登って来る。下を見れば、黄色い草がスベリ台のように遥か下まで続いている、怖いよー、コェー、コェーを連発して、ようやくシンセンのコルに着く。

 コルからは大筋で稜線通しに行くが、巻く場合はマチガ沢側を巻く。稜線通しは注意深く歩けば特に危険なところはないが、踏み跡も多数交錯していて、どこを通っても踏み跡である。第2岩峰には、錆びたハーケンが一枚とその上に同じく錆びたハーケンが2枚手を伸ばしたイッパイのところに打ってある。多分ビレイ用だろうと思う。そこから少し左に回り込んで良く見ると、ルンゼ状になっていて、ルンゼの下に錆びたリングボルトが一本、その上にハーケンが一本打ってある。

 出口まで約10m弱くらいか。「最近心境著しい竜少年の出番でしょ!」などと二人におだてられて、ロープを結ぶ。III級くらいか、Nobさんビレイで竜少年ハイキングシューズで登る。ホンチャンのII級は下が切れているし、いやっぽい。
 上がるとちゃんと錆びたハーケンと錆びたボルトと古いスリングでビレイ点があってホッとする。新しいスリングを補強して、殆ど二人同時にあがって貰う。

 第2岩峰から観倉台までが本当に長い。ちょっとしたピークがあるとここが観倉台か、と何度もだまされる、マチガ沢側を巻いたり稜線通しに行ったり、とルートファインディングを繰り返していくとやがて観倉台に着く。紅葉に飾られた一ノ倉沢の全貌が見え、また一段と見ごたえがある。滝沢リッジからドーム、マッターホルン状岩峰が目の前だ。衝立や南稜は遥か目の下になる。天神平ももう此処のほうが高くなった。国境稜線を行くハイカーの声が風に乗って聞こえてくるほどだ。
 東南稜を登る人影も見えたので「錦少年~!!」とコールしたが、風の中に消えてしまったようだ。

 観倉台からはもうオキの耳で寛いでいるハイカーの声が風に乗って絶えず聞こえてくる。もう少しだ。あまりに稜線が近いので「第1岩峰を過ぎてしまったか?」と思うほどであった。

 第1岩峰は「日本の岩場」では、「登ればIII+だが右から巻ける。」と書いてある。右側は一ノ倉沢側である。草付きがスパッーと谷に落ちている。まあ、巻いて巻けないことはないが・・・。巻くにしても当然ロープがいる。そのビレイ点が無い。第1岩峰の取り付きに例によって錆びたハーケンが1本打ってある。ピクナルを使えばビレイ点になるから直登した方がいい、とNobさん。やはりここも10m弱くらいか。う~む、と竜少年しばし考え込む。

 クライミングシューズなら登れそうなのでと履き替える。ピクナルに長いスリングを架けるが気は心程度。1歩、2歩登ると、残置の錆びたハーケンにお助け紐が岩の中に入っているのが見える。あー、やっぱ、皆登ってるんだ、と変に安心する。そのハーケンにランニングを取って安心度が高まったので、グイッと乗り越して潅木にセルフを取ってビレイ解除。
 下でNobさん、Miyaさんが「ナイスクライミング!」と誉め褒め。イヤー、まいったなーと満更でも無さそう。(^^)
 オキの耳の頂上が近づいてくる。上で我らを見て何か言っているのが聞こえる。頂上直下を右に回りこんでヒョッコリとハイカーで賑わうオキの耳の頂上に立った。12時5分であった。

■東尾根を終わって

 東尾根グレードは1級。ガイドブックでも如何にも簡単そうに出ていて、誰でも登れるような印象である。今回は天候に恵まれ、ルートファインディングも楽に出来たし、岩も乾いていた。それとロープもクライミングシューズも用意し、Miyaさんのハンマーバイルも役に立った。岩稜登攀では、短いとは言いながら、谷川のホンチャンルートである。ハーケンは使わなかったが、いつでも打てる用意をして登った。

 3人がそれなりの道具の用意と日常のトレーニングをしてきたので、中高年であったが、ガイドブックの紹介時間内で登れた。これは別に自慢をしているわけではなく、裏を返せば、中高年なら、キチンと体力と技術のトレーニングをしてこないと1級でさえも登る事が難しい、ということだと思う。「ホンチャンの1級侮るべからず」である。

 もし、3人がもっと安易に考えて取り付いたら、思わぬしっぺ返しを受けたかもしれないと思うとこの東尾根はとてもいい勉強になったし、中高年のバリエーション登山は如何にあるべきかを占う山行になったと思う。

 また、東南稜を登った錦少年パーティとも稜線上で合流できたという、言わば、谷川バリエーションを登っての集中登山が出来た事は、岳樺クラブとして、これも大きな成果であったと思う。こういう山行が今後も出きるように継続していきたいものだ。いずれにしても天候に恵まれパーティの協力によって東尾根を登らせてもらえたことを東尾根に感謝しよう。
(記 竜少年)


■マチガ沢東南稜

      ― 澄み切った秋空の下、いつのまにか左フェースルートに ―

【日時】 10月14日 晴
【タイム】 マチガ沢出合6.15 稜線12.50 マチガ沢出合15.50
【メンバー】 錦少年、MIKI

■ 行動概要

 竜少年・Nobさん・Miyaさんパーティーに遅れて6時15分にマチガ沢出合を出発。厳剛新道を歩き、第一見晴らし台からマチガ沢に下りる。そこで、東尾根に向かう竜少年パーティーと合流。大滝は右のカンテを登る。4段の滝を上がったところが、シンセン沢への分岐である。そこで一休み。
 空は雲も切れ、紅葉のマチガ沢の全貌が見渡せる。今日は何があっても、取り付きを間違わないだろう。
 一休みの後、ルンルン気分で乾いたスラブを歩き、やがてゴルジェとなる。ゴルジェでは、1箇所残置のスリングを使ってA0となり、ザックを吊り上げる。このあたり濡れているところでは、渓流シューズが欲しくなるが、岩に鉛直方向に力をかけ慎重にのぼる。インゼルは右手を通過し、30mの幅広い滝となる。

 先行や後続のパーティーは滝左手を、ザイルをだして登っている。我々は滝右手の残置ピトンのあるところを、ザックの吊り上げ、スリングで切り抜ける。でも、一手4級がノーロープでちょっと怖かった。もっとも、6人の先行パーティーを抜いたので、待ち時間(1~2時間)が無くなったのは有難い。この後、細くなった水流に沿ってばたばた登ると、要の滝上に出てしまった。東南稜の基部を右に下って、取り付きに10時10分無事到着。ヤレヤレ、今日は迷わなかった!

 我々の後にすぐに到着した6人パーティーのリーダーに先行することを断って、10時35分錦少年リードでクライミング開始。

 中央壁などを一緒にのぼってきたパートナーを谷川で失ったMIKIさんは、ルンルン気分の錦少年に対して、「くれぐれも慎重に!」と厳しい表情。乾いた岩に喜んでいると、すぐに凹状の濡れたところを登ることになる。残置ピトンに導かれて濡れた箇所から右上にでる。

 核心部の「ハング下を右にトラバース」という箇所を探すのだがなかなかでてこない(実は先ほどの濡れた箇所であった)。3級ぐらいのところをあがっていくと、かぶった箇所があってそこを目指して凹状部を攀じあがり、右にトラバースして確保支点とおぼしき箇所に。このトラバースは5級ぐらいだし、確保も残地ピトン4本を使ってハンキングビレーだし、ロープは40mも出ているし、何か変だなー?(ノーマルルート2ピッチ目のクラックと凹角部の間の垂壁を登る派生ルートらしい?)。

 MIKIさんがつるべで2ピッチ目をリードするが、出だし3mは5級は十分ありそうなかぶった箇所。残置ピトンに中間支点をとって、MIKIさんにしてはめずらしく躊躇い気味に慎重に、そして最後は掛け声とともに突破。後は、4級の箇所を、残置ピトン・リングボルトと岩塔に中間支点をとって無事に確保支点に。

 3ピッチ目は錦少年リードだが、左上すべきところを正面のクラックにルートをとったため、左フェースルート4ピッチ目(5級A0)に入ってしまう。「なんか変だなー?スリング掴みたくなるなー?」と言いつつ、サイズがキチンとあわないエイリアンも使ってディエードル登りでコーナークラックを登り終える。ところが、また5級ムーブとなる。ここでやっと気がついて、左の階段状のリッジに移る。すぐに終了点となるが、ロープをしまうのも面倒なので、後2ピッチつるべで2級くらいのリッジを、写真を撮りながらのぼる。

 5ピッチ目終了点で肩がらみ確保をしていると、稜線にすでに到着していた竜少年パーティーから声がかかる。コンテで稜線に12時50分に着いて、5人で握手に記念写真。

 陽だまりで昼食・デザートの後、初めて、雪のない西黒尾根をよたつきながら下る。よたつきぶりが酷かったのか、途中でギアの一部をMIKIさんが担いでくれる。下山後、湯檜曽での湯湯治を以って、5人による谷川岳集中クライミングは終了。



■ 感想

 谷川岳は天気がよくない。今回のように澄み切った秋空と紅葉を背景にクライミングなんて、なかなかあることではない。それに、今回はルートを間違って、5級ムーブを含む充実した?クライミングとなった。谷川も標準タイムで登れるようになって少し慣れたようだ。本ちゃん・アルパインクライミングのこのエリア、機会があればまたやって来て、集中クライミングを楽しみたいものである。何と言っても、近くて温泉があり、その上、道の駅も水上ランプ至近に整備されたのだから。

 なお、派生ルートや左フェースルートでは、残置ピトンは古く一部腐食もしており、打ち足すのが妥当。また、クラックの部分ではエイリアンの2.5番、キャメロットの2番を使うべき。今回はプロテクションが貧弱で、要反省。
(記 錦少年)

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