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北アルプス 栂海新道縦走

― ハセツネカップのトレーニング山行 ―

 今回の山行は上越の沢登りが悪天で中止となっため、10月のハセツネカップのトレーニング山行として急遽思いついたものです。

 こう書くと、いかにも泥縄式で、新道の開拓に努力された「さわがに山岳会」やこの地に特別な思いをいだいて入山された竜少年さんやその他の愛好者たちに対して不遜な態度と見られかねませんが、さわがに山岳会の新道開拓の記録である「山族野郎の青春」を大学生のときに読み、いつかは登ってみたいという30年来の念願が突然実現したと考えれば許していただけるでしょうか。

 今回は竜少年さんの記録をプリントアウトしたものを携行して休憩するたびに読ませていただき、それぞれの場で竜少年さんがどういう思いであったかを知り感動を共有できたような気がしました。
 なぜか一人で登っているような気がせずに、心強く感じることができました。



■9月15日
 親不知の駅を降りると、国道をいきなり走り出す。平坦な道ではなく登山口まで上り坂が続いていたため、コースタイム1時間のところを40分もかかってしまった。

 登山口からは細い道が続いているが、小走りに進みながら、どうも変だという気がしてならなかった。地図上では急登のはずなのに山腹を巻いてアップダウンを繰り返しており、やたらに送電線の鉄塔と出会うからである。視界が開けたところで右を見ると、なんと後ろにあるはずの海がみえるではないか。慌ててコンパスを取り出すと、南へ向かうべきなのに西へ向かっている。

 ここで今までの「送電線の巡視道に迷い込んだのでは」という疑念が確信に変わった。「さあて、どうするか」としばし考え込む。来た道を戻るのがセオリーであるが、しばらく戻っても正しい道は発見できなかった。
 ジョギング並みに飛ばしたので、かなりの距離は来ているはずだ。登山口まで戻っても正しい道があったような記憶がない。そのまま正しい道が見つけられずに登れませんでしたと帰るのでは物笑いの種になってしまう。

 地図と睨めっこしていると、送電線に沿って主稜線から西に支尾根が張り出しているのに気づく。背後の斜面を登って支尾根に出て、東に主稜線に向かうのが一番早いだろうという結論になる。途中ヤブが出てくるかもしれないが、それは望むところだと斜面を登り始める。支尾根上はたいしたヤブもなく、じきに主稜線に飛び出す。1時間以上のロスと体力の消耗をしてしまった。

 最初から飛ばしすぎたせいか、弱点である左足の方に違和感が出始めたので、スピードダウンしてマイペースで登ることとする。いくつかのピークを越えて、自動車道が横切っている坂田峠に出る。

 ここから白鳥山までは急登が続くが、このころになると足の調子も回復してパワー全開となり、コースタイム3時間の登りを1時間半で登って昼過ぎに白鳥小屋に着いてしまった。この時点では、ライトを付ければ今日中には朝日岳まで行けると確信する。

 白鳥山からの下りも快調に駆け下りる。途中、今日はじめての登山者に出会う。さわがに山岳会の年配の一行で、新道開拓当時のメンバーが今も登山道の整備に尽力しているようであった。

 犬ケ岳に近づくと、栂海小屋の赤い屋根が見えてくる。ところが雷鳴がしたかと思うと突如土砂降りとなってきた。3時過ぎに小屋に逃げこんで雨宿りする。先客が一人いて話し込んでいると、このまま小屋に泊まってしまおうかなという気持ちに傾きかけてくる。1時間くらいで雨が止んでガスが切れてきたので、弱気を振り払って前進することにするが、歩きだしてものの10分もすると、また雨が降り出し雨足は強まる一方であった。

 サワガニ山頂にたったときにはかなり風雨が強く、このままの天気ではライトをつけて行動するのは無理と判断して今日中に朝日岳まで行くことは断念したが、せめて黒岩岳を越えて黒岩平の水場までは行きたいと思っていた。しかし、黒岩山の手前の文子の池あたりで暗くなってしまい、水も1リッターあったので水場まで行かなくてもなんとかなるであろうと考えが変わり、風の当たらない灌木の中でビバークすることになった。

 夜中も雨は止まず、ツエルトの中はプールのようになってしまった。先日、杉さんのログハウスでの宴会で聞いた山の怪談を思い出してしまい、なかなか寝付かれなかった。


■9月16日
 昨日の遅れを取り戻そうと3時頃には出発したかったが、寝過ごしてしまい4時に起床、出発は5時過ぎとなってしまった。幸い雨は止んでくれたが、昨日ぬかるみの中を歩き通して運動靴が渓流シューズと化した後に濡れた靴下のままで寝たこともあって、古傷の左足が痛むのでマイペースの速度で行くこととし、駆け足は調子が出るまでは控える。

 黒岩平、アヤメ平と美しい湿原が続く。夏山シーズン中は高山植物が見事であろうが、今はそろそろ木々が紅葉しかけており秋の気配が感じられる。長栂山の登り当たりから、足の調子も回復して順調なペースとなり、照葉の池では朝日岳の雄大な山容を迫ってきて登高意欲も高まってきたが、朝日岳から 
 下山するか南下を続けるかの決断をそろそろ迫られてくる。せめて雪倉岳までは行きたいという気持ちが強かったが、どう頑張っても栂池高原の最終バスには間に合いそうもないということで朝日岳からの下山を余儀なくされる。

 蓮華温泉に降りるのであれば千代の吹き上げから朝日岳へはピストンとなるので空身で行ってもよかったのだが、トレーニングだということで雨水を含んで20キロ近くまでになっているザックを背負ったまま、登り50分のところを25分で駆け上がる。頂上からは剣、白馬三山の眺めが素晴らしい。あいにく登ってきた栂海新道の峰々は雲の中であった。

 蓮華温泉への下りは、どのくらいのスピードが出せるのかを確認するために駆け下るつもりであったが、道がぬかるんでいたため思うように走れなかった。おまけに蓮華温泉近くになってからは予想もしていなかった急登の連続となったため、コースタイム5時間10分に対して4時間とあまり短縮できなかった。蓮華温泉では最終バスまで2時間近く時間があったので温泉に入ったり、食事をしたりとゆっくり過ごすことができた。



■ 感想
 今回は悪天、荷物の重さ等の悪条件が重なって、ハセツネカップの練習としてはあまり成果が上がらなかった。本番と同じコースを行くのが一番なのでしょうが、成績にこだわっているわけでもないので、登りたかった山とトレーニングとの一石二鳥を兼ねる山行という形になりました。ただ今回のように駆け抜けるだけの山登りは味気ないので、のんびりと景色を楽しむ山登りもしてみたい。そんな気がしています。
(vibram 記)

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