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奥只見 恋ノ岐川

【目的地】奥只見 恋ノ岐川
【日時】2001年8月12日(土)~13日(日)
【メンバー】vibram(単独)

 平ケ岳は残雪期には二度登っているが、夏にこのピークを目指すのは昔、奥利根の水長沢からの遡行が失敗して以来である。



■8月12(日)
 前夜に相棒のTの車に同乗して銀山平を目指す。途中、雨が激しく降り、今回の山行に不安がよぎる。銀山平で仮眠し、明るくなってから恋ノ岐出合に向かう。雨は止み、なんとか入渓できそうである。出合には数台の車が駐車しており、入渓の準備をしているパーティーが2パーティー見えた。さすがに人気の高い沢である。我々も出発の準備をする。

瀞をへつる
 他のパーティーは山渓の表紙から抜け出たような最新のカラフルな正統的沢登りスタイルでヘルメットやハーネスを装着し、カラビナを何枚もぶら下げている(何に使うのかしらん)。それに対して、私の方は、T-WALLから直行してきたので短パンにポロシャツ、頭は手ぬぐいで鉢巻というスタイル、相棒も似たようなものでフーテンの寅さんのようないでたちである。おまけに我々の登攀装備といったら10メートルの細引き1本だけである(これが後で役に立つのであるが)。気のせいか、彼らからの視線に冷ややかなものを感じる。

 入渓してしばらくすると、小滝が次々と現れるが、いずれも容易に登れるものばかりである。淵をヘつったり、ナメ滝をヒタヒタと歩いたりと楽しくてたまらない。私は昔はいていた渓流シューズを使用したのであるが、最初はどの程度フリクションが効くか不安でおっかなびっくりで登っていたものの、慣れてくるとレイバックやヒールフックもどきで登ったりと、ボルダリングをやっているような気分で小滝登りを楽しむ。

 そのうちに、やはり正統的な沢登りスタイルの男女6~7人のパーティーに追いつくが、手には釣り竿を持っている。見ていると、すぐに岩魚がつり上がった。岩魚の宝庫といわれるだけのことはある。
 
 このパーティーとは前後して進むことになったが、オホコ沢の出合のテント場は彼らに先にとられてしまう。その少し先にもテント場があったが、下がぬかるんでいるので、ここにツェルトを張る気にはなれない。ここから先には泊まり場はないということであったが、ツェルトを張るぐらいの場所はあるだろうと先に進む。

 1時間半くらい行くと、沢から少し上がった地点に草を敷き詰めたキャンプの跡を見つける。沢からの高さが充分でなく増水時の危険は感じたが、その場合には夜中でも後ろの斜面を逃げようということになり、就寝中もいつでも逃げられるように荷物はザックに詰めておく。


■8月13日(月)
 夜中に稲光はあったものの雨にはあわず、朝を待って遡行を再開する。
 このあたりから岩魚が至る所に見られるようになり、まさしく岩魚の宝庫であった。さすがに一般の釣り人はここまでは上がってこないであろうが、釣り竿を持った登山者も乱獲を避け、この岩魚の宝庫がいつまでも保たれるようにしてほしいものだ。

小滝の連続に歓喜する
 この日も小滝が次々と現れる。そのうちのひとつで相棒が先に右側からへつって滝を登りだすが、途中からホールドがなくなり行き詰まってしまう。私が左側から取り付いて滝の上に出て、相棒に細引きを投げて引き上げる。

 このあたりまでは迷うところはなかったが、本流とおぼしき流れが左に屈曲し、そこにすだれのような滝が正面から流れているところで、どちらが本流かで判断に迷いがでる。沢床が低い方が本流であるというセオリーからすれば右が本流であるが、方位、遡行図との対比では左が本流と考えられる。

 仮に左が間違いだとしても、一般登山路は左側の近いあたりにあるはずなので、少しのヤブ漕ぎで抜けられるはずであるが、右に間違っていってしまうと、支尾根に迷い込んで脱出不能になるという消去法からも左をとるべきだという結論になる。左に進路を取ると、果たして遡行図に出ている40メートルの滝(といっても実際には数段に分かれているが)が現れて、進路が正しかったことを知る。そこから先は源流の様相を帯びてきて、ときたま小滝が現れるものの、次第に流れは細くなり、ついに水流は消える。

 代わって頑強なネマガリダケのヤブ漕ぎが始まる。私はヤブ漕ぎにはなれているので半ソデ、短パンのままでも大したことはなかったが、慣れていない人は長ソデ、長ズボンに軍手をしないとキズだらけとなってしまうだろう。ちなみに急峻な地形のヤブ漕ぎのコツはネマガリダケの適当な本数をまとめて根元を足で素早く踏むことであるが、このとき足の裏がタケの上だけにあると滑ってしまうので、足の裏の一部は必ず地面もしっかり踏むことである。こうすることにより、体力消耗も抑えられてスピーディーに行動でき、キズも避けられることになる。

 さて、話を本題に戻すと、左から一般登山路が近づいているのがわかっていたので、直上せずに左の方にトラバース気味にヤブ漕ぎを続けていると、案の上、一般登山路へひょっこり出た。さすがに百名山だけあって、登ってくる3人パーテォーとバッタリ出会った。彼らもヤブの中から突然、ヨレヨレ姿の人間が出てきたのでビックリしたらしい。下の方の沢から登ってきたと言ったらさらにビックリしていた。そこから、頂上まではわずかの距離で、池塘と草原に囲まれた山頂一帯は別天地のようであった。

 予定では2日目は稜線までであったが、1日目にオホコ沢よりも大分上部に入れたおかげでまだ時間は正午を回っていない。今日中に下山することとする。疲れた体には鷹ノ巣までの長い下りは体にこたえた。相棒もかなり消耗しているようであった。いやになるほど歩いて4時過ぎに鷹ノ巣に着いたが、そこから車の置いてある恋ノ岐橋までさらに3時間以上歩かなければならない。

 事前の情報では鷹ノ巣の小屋の車で送ってもらえるようであったので頼んでみると、有料ではあるが車を出してくれたので大助かりであった。丁度雨も降り出していたし、車道を3時間も歩いたら消耗しきっていただろう。下山が1日早かったこともあり、盆帰りのラッシュにも遭わずスムーズに帰れてラッキーであった。



 今年の夏は小川山のフリークライミング、ファミリー登山による百名山登頂そして今回の楽しさ満喫の沢登りという全く違うタイプの登山を行ったが、いずれも興味深いものであった。これからも、ひとつのジャンルにこだわらず、様々なタイプの楽しい登山を続けていきたい。 (記 vibram)

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