奥秩父 乾徳山 旗立岩・中央岩稜(北方カンテ)
■9月9日
11:50 JR小岩駅北口待ち合わせ~勝沼IC~R140三富小を過ぎJA三富の先を左に曲がる(大平荘の看板有り)~(道は狭いが大平荘手前まで舗装されている、落石、対向車、特に工事用トラックに注意)~16:00民宿大平荘(旧大平牧場)の庭で幕営(トイレ、水道有り:駐車料2日で1000円+幕営料一人当り500円)
■9月10日
04:00 起床
05:26 出発~登山口入り口(右側の牧場跡の廃屋が目印、ゲート?有り)~扇平~07:45 乾徳山山頂手前下降地点
下降地点は山頂手前の登山道の西側岩壁上で、「日本登山体系」(白水社)に記載されているトポでは「無名岩稜」と書かれたリッジの終了点脇のチムニー状のルンゼである。
眼前に旗立岩の中央岩稜P2を望む広いテラス北側の狭いルンゼを懸垂下降する。下降点にはリングボルトが1本あるが、頼りないため奥の太い立ち木から240mmスリングで懸垂支点を作る。
《懸垂下降1回目》
08:30 チムニー状の狭いルンゼ内から左にカーブしたガレルンゼで50mロープいっぱいまで下降する。
ガレ場はほとんどが浮石と思って間違いなく、慎重な行動が必要。
先に下降したメンバーは落石を避け、身を隠す必要あり。記録者(tomo)も例にもれずコブシ大の落石を起こしNobさんに注意される。ロープ回収時も落石には要注意。
《懸垂下降2回目》
第1回目の懸垂終了地点から10m位下の太い立ち木から樹林帯のガレ場の下降で15m程度。懸垂開始地点までの移動もガレ場で浮石が多く慎重な行動が必要。
その後、右に見える岩稜(末端ドーム)の末端沿いに立ち木等に摑まって下降するが、立ち木はけっこう太い枝や幹でもほとんど折れるので体重は預けられない。また、足元は非常に滑りやすいので慎重な行動が要求された。
末端ドームを岩裾沿いに回りこみ、少し登ると上部が明るくなり左側(北側)からのガレルンゼを従えた岩稜が確認できた。
Nobさんによればここが取り付き点とのこと。取り付きは、右側が中央岩稜の末端部、左側は一抱え程度の石が積み重なったガレルンゼとなっている。
09:45 中央岩稜末端取り付き地点到着
ガレ状のルンゼで登攀準備、今回は2パーティの構成で、先発組:Nob・m3nb / 後発組:竜少年・tomoに分かれる。
《1ピッチ目》フェイス~カンテ(Ⅳ・A0) リード:先発 m3nb / 後発 tomo
10:40先発組はm3nbさんリードでスタート。
今回は、残置支点(赤錆びたハーケン等)がまったく信頼できないので、カム、ナッツ、ハーケン等を持参し、可能な限り中間支点を作って登ることとした。
先発組がカム、ナッツ、ハーケン等で支点を作り、後発組がその支点を利用することとした。先発組は、フェイスに乗り込んだあと、右側のリッジ沿いにルートを取った。
後発組は、カンテの左側にルートを選択した。ルンゼからフェイスに乗り込み、先発組の残したナッツを利用し1本目の中間支点を取ると、フェイス状のカンテ左側を直上し、残置ハーケンでランニングビレイをとる。
逆層のスラブで、ホールドが少ないため、A0を多用し登り、ハング下をm3nbさんの辿った右側のリッジへトラバース。
この辺りが今回の核心部だと思う。ホールドは少ないがソールのフリクションはまあまあ効いたため、無事クリアした。
リッジの右壁に取り付くと、先発組の残した支点を利用し、そのまま右壁を移動。
5m位移動した地点(P1下)で先発組に合流した。
ハング右の乗っ越しがルート図では核心(Ⅳ・A0)だったが、m3nbさんが先行して支点を作ってくれたおかげもあり、あまり難しくは感じなかった。
《2ピッチ目》ゆるい稜上のフェイス(III-) リード:先発 Nob / 後発 tomo
先発組のリードはNobさん。中央岩稜の右壁でのビレイ地点から、緩勾配の階段状のフェイスに取り付く。
易しいフェイスでランニングビレイは1本目をピナクルで取った後、取れるところが余り無かったこともあり、結果的に傾斜がきつくなるところまで取れなかった。
傾斜がきつくなる手前で、潅木、ピナクルで支点を取り、ピーク(P2)まで登った。
このピッチはクラック等が多くホールド、スタンスともに不自由はしなかった。ピーク(P2)の上部のピナクルでビレイを取り終了。
《3ピッチ目》リッジ~フェイス(III+) リード:先発 Nob / 後発 竜少年
先発組のリードはNobさん。先発組のビレイ地点(P2から下ったコル)より後方のP2の上部でビレイ。
竜少年は楽しそうに登攀を開始。特に後半のフェイスを登っている時には、全身から「楽チン、楽しい」が滲みでていた。
登り始める前のロープアップ時に、ロープが2本ともP2直下の岩角に引っ掛かり、ロープを取るのにクライムダウンしなければならなくなったハプニングがあった。
その後、リッジの下部右壁をトラバースし、フェイスに取り付くが、非常に快適なクライミングだった。
ただし、カム、特にエイリアンがクラックの中に入り込んでなかなか取れなかったことや、Nobさんの打ったハーケンがカムと合わせてセットしてあったので、残置ハーケンの効きが悪いためと間違え、残してしまったことが非常に残念で、経験不足がここで出た。
フェイスを登りP3を越えると、ハイカーのギャラリーが数多く居て、その前での写真のポーズ決めだったので、ちょっと恥ずかしかった。
13:00
登攀終了。先発組が登攀終了したのはPM12:40だった。
13:30
下山開始。先発組が、下降地点まで戻って、懸垂支点に使用したスリング等を早めに回収して合流した。後は往路を下山、途中の扇平の大岩でボルダリングらしき遊びをして帰路を急いだ。
15:15
登山道入り口~大平荘の庭(ギア整理、テント撤収)~花かげの湯(旧R140を左に少し入った場所、入浴料:一人当り500円)~R20~相模湖IC(中央高速)~PM9:45西船橋駅
■感想

初めてのリードで、取り付きまでは緊張しましたが、「絶対に落ちない、絶対に家族に迷惑を掛けない」との思いから、登攀準備を始めてからは腹は決まっていました。
「何でもありで、登りきる」と考えながら登ったのが幸いだったのか無事に登りきることができました。
あとは、運を含めて自分の力を信じれるかどうかがクライミングを左右するのではないかと考えて、前向きに登ったのが良かったのではないかと思っています。
メンバーの皆さんには、いろいろアドバイス、サポートして頂いてありがとうございました。(記 tomo)