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南アルプス 北岳バットレス四尾根主稜


7:30 府中本町出発~(車)~夕食~(車)~10:30 芦安駐車場にて幕営 bガリー大滝取付まで偵察3:30 起床
5:10 芦安駐車場~(バス)~6:10 広河原 休憩

6:35 広河原出発~(大樺沢登山道)~9:12 二俣 休憩(登攀装備以外デポ)

9:43 偵察~(大樺沢登山道)~11:50 バットレス沢(大岩) 休憩

12:16 バットレス沢(大岩)~(アプローチ)~13:45 bガリー大滝取付き 休憩

14:06 bガリー大滝出発~(二俣経由)~15:26 白根御池小屋 幕営


バットレス沢上部を詰めるバットレス沢とC沢の中間にあるアプローチ踏み跡白根御池小屋幕営地


朝焼けの中バットレス沢上部を詰める1:30 起床

3:00 白根御池小屋出発~(登山道)~3:22 二俣

トラバース道で木の根元を乗り越える箇所多々有り(御池小屋からは下りが多い)。

3:22 二俣~(登山道)~4:10 バットレス沢(大岩)  

二俣からの雪渓の横断はシュルンドに注意が必要。大樺沢沿いに部分的にザレ場があるジグザグ道を登っていく。

途中10~15分くらいの所にヒドンガリー(涸沢)がありバットレス沢と間違え易いが、バットレス沢の目印は下部に3~4人程度休憩できるスペースのある大岩が登山道脇にある事と先の小さな尾根を越える(10~15m上)と水の流れるC沢に出合うことで分かる。

右手前から望むbガリー大滝4:10 バットレス沢~(アプローチ)~4:40 バットレス沢滑滝(涸滝) 休憩

バットレス沢とC沢との間の樹林帯の尾根の踏み後を伝って登ってゆく。荒れている急登。樹林帯を抜けるとバットレス沢に合流。

滑滝手前にかなり悪いガラ場有り。滑滝からはbガリー大滝が目視できる。休憩。装備装着。

正面から望むbガリー大滝4:50 バットレス沢滑滝~徒歩~5:40 bガリー大滝取付き

滑滝からは右岸沿いの草付きのザレた踏み後をジグザグに登る。非常に悪く、下りには使いたくない悪い道。

途中から左にC沢の雪渓が見え、2尾根の突端が現れる。完全なザレ場になりbガリーの大滝に突当たる。

大滝前には脆い岩場および雪渓がある。岩場を乗越し、雪渓の左側を2尾根沿いに回りこむ。足場は非常に悪い。

大滝を右へ少しトラバースした30㎝位のバンドでセルフビレイをとる。

- アプローチ bガリー大滝 -
5:46 bガリー大滝~登攀~6:49 bガリー大滝上部

bガリー大滝1ピッチ目
本来のビレイ地点は雪渓の下のクラック沿いのため、その上部左側からトラバースしてクラックに取付く。

今回はトライアングルフォーメーションのダブルロープクライミングで、オーダーは全ルートのリードをm3nbさん、フォローがtomo、ラストはヒロリンさんで登攀開始。

このピッチはクラックに行き着くまでの右上しながらのトラバースが核心。

クラックに取付けば問題はなかった。

草付きの凹部スラブ。細かいスタンス、ホールドを拾ってゆく。難しくはない。

6:49 bガリー大滝上部~草付き~ルンゼ~横断バンド~C沢

第二尾根上部から望むC沢ロープを担ぎ、アプローチシューズに履き替えて、ザレた草付きを2尾根沿いに横断バンドを目指す。

途中からルンゼ状の急登のガレ場(非常に悪い)になり、落石を起こしそうなため、お互いの距離をおいて登る。ルンゼの途中で左側の2尾根に延びている踏み後に入る。

樹林帯をトラバースぎみに進み、途中でさらに左に下る踏み跡を発見し、分け入る。

写真中央にC沢向こう側の横断バンドが確認できる
その後、2尾根の樹林帯をC沢側に抜けるが、本来のC沢トラバース横断バンドより20m程高い位置に出て、止む無くザレた急斜面を慎重に下る。

4尾根の取付き地点(赤いペンキのマーク)がいくつか見え、目視できたうちの最も下部の横断バンドらしき樹林帯を目指して、C沢のガレ場を下る。浮石、浮岩が多いので慎重に下る。

8:05 4尾根の横断バンド~草付きスラブ~ピラミッドフェイスのリッジ~9:12 4尾根取付きテラス


横断バンドを30m位入ったところで、左上の踏み後に入り、すぐにテラスに出る。そこから、右側の草付きスラブ(Ⅱ)を登る。

ここで、ロープを出すか悩んだが、結局出さずにアプローチシューズで登攀。

さらに、樹林帯を左上する。途中、右上する踏み後もあったが、踏み後が明瞭な左上を選んだ。

本来のルートは右上する踏み後だったかもしれない。

それ以上左は切れ落ちていてピラミッドフェイスの垂壁と思えるテラスに出る。

- アプローチ ピラミッドフェイス上部 -



偵察のため、ピラミッドフェイスのリッジをシングルロープでm3nbさんがリード。

その後、ヒロリンさんが、ロープをフィックスし、オートブロックでセルフビレイしつつ登る。


ヒロリンさんが登った後しばらく間が空き、最後に登った。

最初のクーロアール的な垂壁がホールド、スタンスとも無くかなり難しい。

支点もなくゴボウかと思ったが何とかクリアした後は特に問題はなかった。

ヒロリンさんとm3nbさんで、このリッジを行くしかないとの結論に達し、またトライアングルフォーメーションに戻して登る。前半は中々手強くⅣ級程度、m3nbさんがリードしている最中、固唾を呑んで見守った。後半は緩勾配の草付きで歩いても登れた。

ついに、正式な4尾根取付きテラスに至る。テントが張れる広さがあり、岩に赤ペンキで4と書いてある。また、写真でよく目にする1ピッチ目のクラックも見える。


- 第四尾根主稜登攀 -
9:22 4尾根取付きテラス~4尾根主稜登攀~13:45 9ピッチ目登攀終了

有名なクラックの登り。ハイステップで右足を最初の幅あるスタンスに置いて、左足をフットジャム。

フットジャムを使わないと、右手でカンテを掴まなくてはならず非常に難しい。

m3nbさんはこのカンテを使用。フットジャムを2回決めて乗り切る。

乗り切った後はスラブ(Ⅲ)で、細かいホールド、スタンスを拾って登る。





右の階段状の岩場からピラミッドフェイスの頭を右に巻くのが本来のルートらしいが、左のスラブからピラミッドフェイスの頭を右に巻いてルートを取った。

簡単な草付きのスラブで、右に巻いた後のルートの記憶は無い。


白い岩のクラック。

緩傾斜だが支点も少なく、ホールド、スタンスとも余りないので、スメアリングを利かせて登る。

メンバーが持参していたトポにはⅡ級と書かれていたが、m3nbさんは「Ⅲではないだろうか?」との弁。

フォロアーとしては気持ち良く登らせてもらった。

フェイスからピラミッドフェイスの頭を巻き終えて、ごつごつしたリッジを第2コルまで登る。

第2コルのビレイ地点から中央稜をフリーソロで登っているクライマーを見た。

落ちれば、数百m落下して岩に叩き付けられると思うとゾッとした。

5ピッチ目は核心部の垂壁、ホールド・スタンスともほとんど無い。


お助け紐が掛けてあったので使用させてもらう。

垂壁を越えルート、高度感のあるリッジ(Ⅲ)。

登り易いルートを求めて、右、左とリッジを移動してバットレスの代名詞とも言えるマッチ箱のピークへ。


長くないのでシングルロープで懸垂を行った。もう一本のロープは結んで降りる。

懸垂の方法を変えたので、準備するのにちょっと戸惑う。

もう少し懸垂の方法を検討する必要性を感じた。


コーナークラックからリッジ。支点が余りない。

クラック以外のスラブ上では余りホールドが見つからなかったので、クラック内のホールドを探して登る。

リッジ上は快適な登り。マッチ箱のピークに後続のパーティーが上がってきたのが見えた。

本来はトラバースして凹角のスラブを登るのがルート(Ⅲ+)。

後続のパーティーはこのルートを登って我々を追い抜いた。

1グレード以上違うのだから止む終えないと思うが、追い抜くのはルール違反だ。

我々はスラブ状カンテを登って枯れ木テラスへ。Ⅴのグレードは感じなかった。


枯れ木テラスの枯れ木はちょっと貧弱。中央稜はここからちょっと下り、懸垂下降するらしい。後続のパーティーは中央稜へ。

我々は最後のピッチでリッジを登り、緩勾配のスラブから安全地帯へ。

14:17 終了点の広いテラスでロープを解いて休憩。

14:35 広いテラス~草付き~稜線~(登山道)~15:00 北岳山頂


テラスの左側にある草付きのザレた踏み跡を登って稜線を目指すが、非常に苦しい。足が重い。

クライミング中は感じなかったが疲れているらしい。

北岳の頂上には大勢の一般登山者が様々に寛いでいた。


15:30 北岳山頂~肩の小屋~小太郎尾根~二俣~17:30 御池小屋

山頂では非常に疲れていたが、下りで歩くリズムが安定してくると、体力が回復してきた。

5:30 起床 7:30 御池小屋出発~(下山)~9:15 広河原


広河原について、まずアイスクリームを食べてリラックス。

バスの出発までの間、広河原の元駐車場にある高さ3m程の大きな岩でボルダリングをして遊ぶ。

ルートをひとつ開拓。けっこう楽しい。

10:30 広河原~(バス)~11:50 芦安駐車場

この後、温泉に入り、冷たい桃を食べて帰路に着く。

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■山行を振り返って

今年の夏合宿は、前穂高北尾根隊、北岳バットレス隊の2隊、計9名が同じ日程で山行することになった。

バットレス隊のメンバーがヒロリン、m3nbさん、tomoちゃんの3名に決まり、打ち合わせを含め4回のトレーニングスケジュールを設定したが、6,7月の梅雨空に泣かされ、3人揃ってつづら岩でロープワークの練習をしたのが出かける5日前の日曜日、それほど今年の梅雨はよく降った。

バットレスの計画を立てるにあたり、大きく3つに分けて考えた。

1. 四尾根取付きまでのアプローチ
私個人は2000年9月に昔の山仲間と四尾根に来ており、c沢~下部岩壁を越えてcガリー沿いにルートを求め、結果敗退しているので、四尾根取付きまでが事実上の核心と思っていた。

バットレスは下部岩壁を含め、取付きまでのアプローチが長く、四尾根取付きに出るあたりは特に迷いやすい。

入山日はザックを二俣にデポして、下部岩壁bガリー取付きまで偵察に出掛け、要所に目印テープを付けて来たので、翌日薄暗い中でも迷うことなく、ダイレクトにbガリー取付きへ着いて、幸先の良いスタートを切ることが出来た。

下部岩壁を抜け、横断バンドをトラバース、c沢の上部に出るとガラ場を越えた前方左下に明確な踏み跡があり、その道をしばらく辿り左上し、更に上を目指すとピラミッドフェイスのカンテ付近に出た。

m3nbさんと相談の結果、ここを摘めれば四尾根の取り付きに出るはず、とロープを繋いでトップのm3nbさんをビレーする。姿が見えなくなり、「取り付きに出たー」の声で第一ラウンドの長いアプローチが終了した。

2. 四尾根主稜登攀
梅雨が明けて最初の週末でもあり、『取付きから順番待ち』を避けるため、御池小屋のテント場を3時に出発した。

早立ちが功を奏して、Bガリー取付き、四尾根の取付きともに先行パーティーは見られず、落ち着いて登攀開始、順番待ちや後続パーティーに煽られる心配もなく(一箇所ニアミスはあったものの)、終始私達のペースでクライミング出来たことはラッキーだった。(後で、この日も順番待ちはあったとの情報あり)

クライミングに関しては、毎週船橋ロッキーで練習しているm3nbさん、tomoちゃん、そして私も久し振りに近くの室内ジムへ通って汗を流していたので心配はしていなかった。ロープワークもトップのm3nbさんをtomoちゃんがビレーして、私がルートの確認とロープの整理をしながらスムースな送り出し、が出来ていたと思う。

四尾根終了点で3人を繋いだロープを解いて、第2ラウンド終了。

3. 頂上から御池小屋のテント場までの下山
登攀終了後、『下山途中の気の緩みで事故』という話しはあるので、下山ルートは慎重を期した。

今回初本チャンのtomoちゃんにとって頂上に立った時点で既に12時間行動だったので、m3nbさんの機転で急な下りの草スベリコースを避け、右俣コース~二俣経由で御池小屋のテント場へ戻った。しかし、二俣からテント場までの最後の20分がきつかった・・。

雨の影響でトレーニング不足を感じたのは、クライミングより脚力の方だった。
テント場で缶ビールで乾杯して(うまかったー!)、無事に最終ラウンドの幕を閉じた。

■感想
6年前のリベンジ、四尾根をトレース出来て嬉しい限りです。終了点で繋いだロープを解いて、山頂までの道のりは足取りも重かったのですが、一面に咲くお花畑に救われました。

中でもグンナイフウロがとても多かったので、ネットで調べてみたら和名は郡内風露(ぐんないふうろ)、郡内は山梨県東部の呼び名だそうで、なるほどと思いました。お天気、メンバーに恵まれ、いい山行でした。

ヒロリン




■感想

今回は、連続行動時間が14.5時間という体力勝負の長丁場で、アプローチ、トラバースの急登や悪場、懸垂含めて13ピッチの登攀、休憩は長くて20分程度、極めつけは登攀が終わった後の山頂までの40分の登り。

下りの2時間半で少し楽になったが、それでも非常に厳しいものがあった。僕の中では、7割は体力、3割がクライミング技術だったように思う。

それにしても、m3nbさんとのクライミングは意図しないにも係わらず、難しいルート(Ⅴ級が多い)を選択してしまうのは何故だろうか。まぁ経験になるので満足はしているが・・・。

ヒロリンさん、m3nbさん、お疲れ様でした。そして、アドバイス、励まし等ありがとうございました。これに懲りずに、またバリエーションルート御一緒させてください。

ヒロリンさんには、まだまだ教えてもらうことがいっぱいあるような気がするので、よろしくお願いします。

tomo




■反省と感想

「バットレスの核心は下部岩壁と四尾根取付までのアプローチ」と聞いていた為、入山当日にbガリー大滝まで偵察を行いましたが、残念ながら登攀当日はストレートに取付まで辿り着く事は出来ませんでした。

bガリー大滝を2ピッチで抜けた後、草付きの中に第二尾根をトラバースする横断バンドと思われる踏み跡をメンバーに確認させたにも関わらず、上部ガレ場へ向かってしまった事が第1のアプローチミスでした。

多くのパーティーも上部へ登り過ぎているようで、本来の横断バンドより相当上部にもトラバース道が出来ていて結果的にはC沢側に抜ける事が出来ましたが、正しいアプローチでは無かったと反省しています。

C沢沿いの岩に赤ペンキで四尾根取付の方向が書かれていましたが、そのルートは雪渓に覆われていた為に危険と判断して、下部に確認出来た横断バンドを目指しました。

C沢を渡り横断バンドを30m程進むと踏み跡が2手に分かれ、そこを上部に上がると事前にルート本で確認していた四尾根主稜取付へ登ると思われる場所(小さなテラス)にでました。

テラスの右側より、Ⅱ~Ⅲ級程度の優しい草付岩場をノーロープで50m程登った後、本来もっと右側から巻いて取付へ抜ける筈の個所で、明確な踏み跡に誘われ小さなテラスに到着。取付へ比較的近いと判断出来たのと、上部岩場に真新しい残置シュリンゲが何箇所か確認出来た為、正規アプローチでは無いと判っていましたがヒロリンさんと相談の上でロープを出して登る事を決めました。

結果的に、そこはピラミッドフェースの上部だったようで1ピッチⅤ級程度を登り、後半は緩い勾配を歩くように抜け、第四尾根の取付へ辿り着きました。

第四尾根主稜はリッジ通しの快適な登攀を堪能出来ました。今回の山行は好天に恵まれ、渋滞による順番待ちも無く、非常に良い環境の下で楽しませて頂きました。

反省点として、自分自身、ビレイ点に着いてから「ビレイ点の掃除」をした為に時間がかかってしまったピッチがあった事、渋滞による順番待ちが無かった割にパーティーの登攀スピードが遅かった事など、今後更なるトレーニングにより改良していかなければならない事と反省しています。

全ピッチをリードさせて頂き登攀を満喫出来た事をヒロリンリーダーとtomoちゃんに感謝します。

m3nb


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