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御坂山塊 三ツ峠・天狗岩と屏風岩

-ある「有望」新人の三ツ峠初見参記-

今回の三ツ峠岩トレはなんと岳樺クラブ会員の80%が参加するというたいへんうれしい山行となりました。今回は私を含めて三ツ峠初体験、超久しぶり組が多く期待と不安の交錯する山行でした。

前々日まで、当日の降水確率が70%のため「山行中止」の恐れがあったものの、直前になり予報がズレてくれ無事出発となりました。

■コースタイム

八王子駅(8:40)~(JR)~大月駅~(富士急行)~河口湖駅~(タクシー約30分)~三ツ峠裏登山口(10:40)・・・天狗岩(11:50)・・・岩トレ後・・・三ツ峠山荘(17:00=泊)
三ツ峠山荘(7:40)・・・三ツ峠の岩場(8:00~11:50)・・・三ツ峠山荘(12:10~40)・・・三ツ峠裏登山口(13:25)~(タクシー約30分)~河口湖駅~(富士急行)~大月駅~(JR)

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八王子駅のホームで元気な顔の皆さんと待ち合わせし、いよいよ三ツ峠山行の始まりです。大月で富士急線に乗り換え、河口湖駅下車。さらにはタクシーで裏三ツ峠登山口へ。裏登山口からいよいよ登り始めます。

途中、石造りのベンチのある地点で一回の休憩(11:20)をして、四季楽園の分岐を過ぎ、三ツ峠山荘の前を通り、息が上がってきたころで天狗岩に着きました。やはりガスってます。(11:50)

天狗岩は天上山方面への登山道からすぐ脇にそれた高さ約15mほどの小岩峰です。

岩場の頭頂部に荷物を置き、まずは、懸垂下降のトレーニング。

新人さん(人生と登山の大先輩ですが・・)2人に竜少年、ヒロリン両先輩がラペリングのやり方を懇切丁寧に教えていました。

次に岩場全体の偵察です。ラペル用ロープで懸垂下降をし、岩場下部をトラバースしつつ練習できるルートを探しました。

岩場を回り込むとかなり面白そうな…、いや、厳しそうなクラックとフェースが出現。

ここで立ち止まっていると上部から「おい、どうだ、登れそうかい?」とNob兄ぃの声、そそくさと先へ進みます。

リッジ部分で(これなら登れるかなぁ、どうかなぁ)と悩んでいると、上からまたNob兄ぃが「ロープたらすぞー、登って来い」と非情な声、ここで登らなければ男がすたると、ロープを装着して登りはじめます(5m程度)。


途中から、まったくホールドを見出せないので、リッジを回り込んで何とか這い上がります。

「ふ~」と言ったら、地獄耳のm3nbさんが「tomoがまたひーこら言っていっているなー!」と声が飛びます。

聞こえないふりをして、Nobさんとボディビレイを交代です。


ロアーダウンで岩の下場に降り、m3nbさん、竜少年、ヒロリンさんと合流です。

この岩場はスラブ状で全体で約12m程度でしょうか。

取り付き付近はやや厳しいものの傾斜も緩く、余裕をもって登ることができました。

最後に、バーボンさんと組んでトップ・フォローの交互確保の練習。

はじめてリード役を任されやや緊張しましたが、登山の大先輩であるにもかかわらず素直に聞いてくれたバーボンさんに感謝です。

今夜は小屋泊まりなので5時近くまでじっくり練習できました。


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朝からガスっています。今にも雨降りそうで、富士山も三ツ峠の岩場も見えません。登攀準備をしてから、三ツ峠山荘を発ち、整備された山道を奈落の底に向かって下る下る・・・。特にガスっているのでそう感じました。

今日は朝から大人数の講習会が開催されているようで、中央フェース、右フェースともにクライマーがたくさん取り付いていました。とにかく早く準備をして、早く登ろうと、一人で焦るが・・・。

m3nbさんは都学連ルートを登ろうとするが、最初の1ピッチ目なのでお隣のリーダーピッチを提案。しかし、これとてIV級+で最初の1ピッチ目としてはけっこう厳しいなあ。

・1ピッチ目 リーダーピッチ IV+ 20m
m3nbさんのリードで登りはじめる。ビレイ地点が平坦で安定していたので、セルフビレイ無しのフォローです。

他のパーティは、竜少年パーティは竜少年(リード)、バーボンさん、ヨーコさんの順で一般ルート中央を、またNobさんパーティは、Nobさん(リード)、富士丸さん、ヒロリンさんの順で一般ルート左をそれぞれ登り始めました。

順調にロープを送り出し・・・しかし、講習会で来ている生徒さんたちの声がうるさくて、コールが全然聞こえません。

「いい加減に私語はやめろよ!」と怒鳴りたくなってくるなか、かろうじて、「ビレイ解除!」の声が聞こえたのかどうか・・・。

最初のクラックがちょっと難しかったのと、最後の丸みを帯びたスラブがいやらしかったのですが、無事通過。第1バンドで無事にセルフビレイをとる。

次にどこに登ろうかと見渡すと、竜少年、Nobの2パーティが第1バンドをさらに右側にトラバースし始め、うーん、トラバースは面倒だし・・・

ふと、真正面を見ると、女性と思しきクライマーがクラックをゆっくり慎重に登っているではありませんか。これはいけるとルート図を確認。お、V級だ。

でも全くビビリません。なぜなら、1ピッチ目が比較的楽にのぼれたことと、今、登っている女性が、どう見てもあまり上手そうには見えなかったことで・・・しかし、これが大誤算。

・2ピッチ目 クーロアール V 25m

前を行く女性が非常にゆっくりと登って行き、最後の核心部に至ったとき、m3nbさん、しびれをきらして「行きます」と登って行きました。

岩場は全体として2段になっていて、m3nbさんが1段目を登り終えたところで、なんと、まだ、先の女性は核心部を越えられないで四苦八苦・・・。m3nbさんセルフビレイを取って待つことしばし・・・。

待ちくたびれた頃に、m3nbさんスタート。どうかな・・・とみていたら、支点を取るのに手間取っているのか核心部で動きが遅くなり、一気にマントリングで乗っ越しました。「おおっさすが」と思わず声が出た私でした。

さて次は、私の番、余りホールドがなく、へばりついて登ることを強いられ、「これは結構見た目より難しいわい」とずりずり上がって、1段目クリア。

2段目は最初から「俺が引っ張り上げてやる」と責任感の強い?m3nbさんは言ってくれましたが、まだ余裕のある私めは、内心ひそかに(チャレンジさせてくれぃ)と闘志を燃やしておりました。

最後の方は、技術的には難しいとか簡単だとかを通り越して、もちろんA0+何でもあり、息を弾ませ、狭いテラスに這い上がりました。「おい、こっちにビレイ取れ」で終了。「よし、引っ張り上げたぞ!」(本当かよ・・・?)

さて、次が悩みどころです。右の大岩を乗っ越して、竜少年、Nobパーティと合流するのか?左の草付きをトラバースするのか?

右の大岩を乗っ越すのは「怖い(落ちたら死ぬ)」との結論に達し、私の嫌いなトラバースを選択です。
落ちたら振られるのでトラバースは嫌いです。振られたら怪我する確率が高いし。だから慎重に、こわごわと・・・。

・3ピッチ目 草付き(第2バンド)10~15m 
とにかく、コールが聞こえない。届かない。またまた、m3nbさんとの相性を信じて・・・。本当はロープの動きをちゃーんと観察して判断しているんですよ(念のため)。m3nbさんの後を追い、岩の基部まで移動。結局、中間支点はありませんでした。まあ、必要は無いと言うことです。

次はクラック(岩の弱点を狙えば、クラックに行き着く)で、グレードはⅣ。もう、どーってことない感~じ。それより、「どこだ、大根おろしって!」

・4ピッチ目 名無しIV 15m~(II)5m

m3nbさんがクラックを越え、姿が見えなくなってしばらくすると、m3nbさんとNobさんの会話が聞こえてきた。「おぉ!大根おろしフェースの話かー」と思っていると、なかなか、ビレイ解除の合図がない、待てど暮らせど・・・。

ようやくぐいぐいと引っ張るので、ビレイ解除→ロープアップ→登攀開始。クラック(IV)を登りきると、フェースが出現。しかーし、支点がないため横にトラバース(残念)。ここがかの有名な大根おろしとは・・・(登りたかったなぁ)その横のクラックも(チャレンジしたかったなぁ)。

でも、Nobさんパーティは最上部にいて、懸垂下降の準備。のろのろしてはいられない。登れなかったら、また、鬼のm3nbさんから檄がとぶ、といろいろ考えて巻くことにしました(m3nbさんも巻いたんですョ)。自分ながら安易だー。(10:30)登攀終了。一本で~す。

・懸垂下降1回目
ロープを解して、ラペル準備。ロープをまとめて、投げ降ろします。「一回じゃ無理だから、2回に分けて、支点よりの輪から投げる・・・」、「なにごちゃごちゃ言っているんだ!早くまとめて投げろ!」と鬼のm3nbさんはお怒りです。

「えーい」と投げたのは良かったのですが・・・推して知るべし。(ロープの絡まない投げ方を取得しないとなぁ)とまた一つ課題が増えた私でした。

・懸垂下降2回目

私めが最初に下降。けっこう振られぎみで長かった。しばらくして、m3nbさんが降りてきた。

(お疲れ様)ここまでは順調順調・・・。

さて、ロープ回収、(えっ)「引けない、動かない」「どうしょう」・・・(登り返しができるかな・・・、自分たちのロープはあるよな、このロープを放棄しなくていいよな・・・)と2年前の悪夢の再現にならないことを思わず確認してしまいました。


一瞬「登り返してもいいな・・・もう1ピッチ、III級程度のクライミングができるし・・」と思ったのですが、必死にロープを引くm3nbさんの姿をみて、私も全力でロープを引いていたのでした。

まあ、動いて良かった。皆に心配かけることもなくなりました。そして、ロープ回収、ザックに収納。

・懸垂下降3回目
懸垂下降中の竜少年
今度はm3nbさんが最初で私が2番目(ラスト)。無事着地(ザックが重かったので、着地のショックで腰が・・・)。ロープの回収はヒロリンさん、富士丸さんがやってくれました(ありがたやー)。

皆さんそろってご無事でなにより・・・反省点は多々ありますが、まぁ充実した岩トレでした。(11:50)

雨が降り始めてきたので、そそくさと退散することにしました。

登り返した三ツ峠山荘で身支度をしていると小屋のご主人のご好意でコーヒーブレイク(いやー生き返る)。

私にとって初めての三ツ峠での岩トレ。反省する点も数多くありましたが、じっくり取り組むことができ充実した二日間でした。

二日間にわたって暖かく「指導」してくれたm3nbさんに感謝です。

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■感想と反省

30数年前に北九州の山岳会(小倉山岳会)に所属していた時もどちらかと言うと「岩登り」よりも「縦走登山」の方が好きで、そんなに岩登り・岩登りではありませんでした。

今年の03/07(火)に初めて船橋ロッキーへ行き、これまた初めての室内壁を登り、この三つ峠岩場まで18回通いました。

三つ峠の岩場は文献などで名前は知っていましたが(関東の岳人のトレーニング場)ガスに煙る岩場は想像以上に大きく険しいなあーと思いました。

初日の貸切の天狗岩でのクライム、確保、懸垂下降・・・等を丁寧・懇切に教えて戴いたことが、二日目の三つ峠岩場で役に立ったなあーと思いました。

Nobさんの好リード。ヒロリンさんの好バックアップで何とかクライム、確保、懸垂下降を無事に出来ましたことを心より感謝致します。

この二日間の合宿を通して代表を始め先輩諸氏が「安全第一」を本当に念頭に置いて行動されているなと心より感じ、自分もその様にならねばと肝に銘じた次第です。

トモ&富士丸&ヒロリン
これからもロッキー、外岩場でのトレーニングによりレベルアップを図って行きたいとは思いますが、一方では冷静に「58歳」であることも再度認識して、無理をせず・調子に乗らず、新たな「岳樺クラブ」の仲間との絆を大切にしながら、これからの山行を楽しんで行ければと思っています。

次の「Jヶ岳」、来たる夏合宿「穂高北尾根」を安全に楽しく登りたいと思っています。これからも宜しくご指導方お願い致します。

富士丸

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