.トップページ -> クライミング -> 前穂高岳・四峰正面壁 北条・新村ルート

*掲載内容についての注意がございますのでこちらをご覧下さい→

前穂高岳・四峰正面壁 北条・新村ルート

 8月4日、20:30武蔵野線・新小平駅集合。接近している台風が気になるが、予報では3日間好天のようだ。

ヒロリンさんの車で中央道から一路、松本に向う。一日早く涸沢に入山している竜少年さん達はもうシュラフの中だろう。松本インターから158号線を走り沢渡に到着。沢渡の駐車場に車をとめテントで仮眠をとる。


松高ルンゼとその右側に中畠新道
松高ルンゼとその右側に中畠新道
岩登り、木の根登りが続く中畠新道の急登
岩登り、木の根登りが続く中畠新道の急登
ひっそりたたずむ奥又白の池
ひっそりたたずむ奥又白の池


■8月5日 晴れ
 沢渡からバスに乗り上高地に向う。上高地に着き、ヒロリンさんが計画書を投函に行って、奥又白に3パーティー入山と情報を聞いてきてくれた。天気もすばらしく良く暑くなりそうだ。

中畠新道のまだ見ぬ急登を思い、上高地を出発する。徳沢が間近になる明神、前穂のすばらしいパノラマが目に入ってきた。今日、前穂北尾根を登っている竜少年さん、Nobさん、ヨーコさん、ma3nobuさんは何処まで登っているのだろうか。

徳沢で水を補給してザックの重さはヒロリンさん18K、私20Kとなった。かなり軽量化したが登攀具とロープが重い。新村橋を渡りパノラマコースをゆっくり進む。奥又出合が近づくと、目の前に白いスラブの松高ルンゼが現れた。松高ルンゼの右の尾根が中畠新道となり、岩あり木ありの急登が始まった。お日様も高くなり暑くなってきが樹林の日陰も多く助かる。しかし、やはりきつい登りだ。休憩時間など決めず休み休み登っていく。

11:00 トランシーバーを出し、北尾根を登っている竜少年さん達に交信する。「2峰にいる」とNobさんから応答があった。北尾根パーティーも順調のようだ。
樹林帯をぬけると松高ルンゼから分かれた涸れた沢筋の登りとなる。先を歩く私にヒロリンさんが「木が見えてきた?」と問いかけてきた。帰宅してからガイドプックを読むと、木とは「宝の木と呼ばれる岳樺」の事であった。

ブッシュの中の急坂を登ると二本の宝の木が見えてきた。14時過ぎ奥又白池に到着、前穂の岩壁群が見渡せる静かなこの池は、まさに別天地であった。中又白谷に流れる冷たい水でウィスキーの水割りを作り、山々を眺めながら明日に備えのんびり過ごす事となった。

上高地(6:50)・・・明神(7:35)・・・徳沢(8:45~9:05)・・・中畠新道入口(10:30)・・・奥又白池(14:08)


蝶・常念の稜線からご来光
蝶・常念の稜線からご来光
不安定な雪渓を通過してC沢へ
不安定な雪渓を通過してC沢へ
取り付きから見上げる100mの草付きの壁
取り付きから見上げる100mの草付きの壁



■8月6日 晴れ午後曇り
 2時起床、外に出ると天の川が見え満天の星空だ。
4時、ヘットランプをつけ出発、奥又尾根を登り朝日が昇る。休憩をとりハーネスを着けながら朝日を受ける北条・新村ルートのラインを確認する。奥又白谷にトラバースする踏み跡を捜すが、はっきりしたものがない。ブッシュをつかみ奥又白の谷に下り、不安定なガレ場を登り下りしながらトラバースして雪渓上部に到達する。

6本アイゼンを着けバイルを持ちC沢の出合に向かって登って行く。大きく開いたシュルンドを避け右にトラバースしてC沢出合に上がりホッとする。出合すぐ上のチョックストーン右のガレ場を登ると甲南バンドにつながる踏み跡に出た。ここに広いテラスもあり正面壁を見ながら休憩をとる。甲南バンドに向かい草付を登る途中で松高ルートの残置スリングが見える。T1まで登り、そこから左に5Mほどトラバースすると北条・新村ルートの取付に到着した。

1ピッチ目
ヒロリンさんリードでスタート。草付から凹角状の中を快調に登って行く。すぐに「ビレイ解除」のコール。続いて「いいですよー」のコールに私も登って行く。

2ピッチ目
つるべで私がリードで登って行く。傾斜も強くなりフェースが現れるがフリクションもよくきき快適だ。30Mほど登りビレイポイントとなる。

3ピッチ目
ヒロリンさんリードで右上のチムニー状の凹角へ快調にロープがのびていく。ヒロリンさんの姿が見えなくなりハイマツテラスに上がっていった。ハイマツテラスは広くダイレクトルートの古いハーケンが頭上に打たれていた。天気もよく、ここで小休止をとる事になった。

4ピッチ目
右にトラバースして上に核心部の有名なハングとなる。若い頃の記憶では高さ10M程のハングと思っていたが、20Mはあろうか。アブミを取り出しハング下に上がり残置ハーケンにアブミをかける。最初の一つ目の小ハングは楽に越えたが二つ目の小ハングで少々バテぎみになり、三つ目のハングではフィフィテンションかけ減速してしまう。三つ目のハングを越え右にフリーでトラバース、更に右上してピナクルの小テラスでピッチをきる。ヒロリンさんにコールを送り、ヒロリンさんも人工で登ってきた。

5ピッチ目
右にトラバースとなり続けて私がリードする。ハングよりここが核心ではないかと思っていた。右上に残置スリング2本見えるが、そのルートは登る気になれず。更に高度感のある下りトラバースを右に10Mほどすると、上にクラックがあり、その横にはカンテから右上するルートもあった。クラックに向かい直上するがロープの流れが重くなり、右上のカンテに2本の残置ハーケンがあったため1本ハーケンを打ち足しカンテ上でピッチをきる事にした。ルートの見極めに反省の残るピッチとなってしまった。 

6ピッチ目
ヒロリンさんが私の下までトラバースして来る。ビレイしているカンテに一人しか立てない為、ヒロリンさんにクラックをリードしてもらう。クラックに上がるところが、がぶりぎみで難しそうだ。ヒロリンは落着いて残置ハーケンにランニングビレイを通しクラックに上がる。クラックの中の小さなチョックストーンにスリングを巻きランニングビレイをとる。クラックの出口で苦労していたが・・・上のテラスに上がって行った。「ここでビレイしまーす」とコールがきた。 

7ピッチ目 
私がリードで草付を右上すると緩傾斜帯となった。ブッシュでビレイ支点をとりコールを送るが届かないようだ。ロープの動きを見てヒロリンさんも登ってきた。上に北尾根の稜線も見え、ここが終了点となった。

 緩傾斜帯を右にトラバースすると北尾根4峰下の稜線に出た。4・5のコルに下り5峰を越え5・6のコルに下り立つ。奥又白谷への下りは所々崩壊ぎみのところもあり、若い頃の記憶とは違って緊張しながらの下りとなった。奥又白池14:40に到着、完登!ヒロリンさんと握手!

 奥又白池を後にして中畠新道を下りていく、急下降するようにどんどん高度を下げていく。新村橋を渡り徳沢に着くと、なんと徳沢園の前のテーブルに宝の木?「岳樺クラブ」の北尾根パーティー4人が待っていてくれた。まさに氷壁の宿で待ち人との再会となった。

奥又白池(4:00)・・・C沢出合(6:00)・・・甲南バンドT1・北条新村取付(7:00)・・・ハイマツテラス(8:00)・・・終了点(11:15~30)・・・北尾根4峰稜線(12:10)・・・5・6のコル(12:50~13:00)・・・奥又白池(14:40~15:45)・・・徳沢(18:25)


■8月7日 晴れ
 徳沢の木々の上に前穂の北尾根、正面壁が朝日に輝いていた。前穂をバックに全員で記念撮影をして上高地に下山する。(記 Miya)
徳沢(6:00)・・・上高地(7:50)



■感想
 ヒロリンさんと6、7月、古いハーケンが打たれているツヅラ岩で30ピッチ以上のトレーニングを行ってきた。中畠新道のきつい登り、そして下山。不安定なガレ場と雪渓登りの緊張感。トレーニングの成果か、落着いて登る事ができたと思う。若いころ、奥又白は四峰正面壁を始め東壁、Dフェース、冬に第一尾根と懐かしいところだが、奥又白の池は訪れた事がなかった。先人の名クライマー達が未登の壁を見上げたこの池に来る事ができ嬉しかった。5年前、山を再開して、また奥又白を訪れる事ができるとは思わなかった。パートナーに感謝します。
また訪れる機会があれば北壁・Aフェースを・・・。(Miya)

                   **********************

 ロープ・登攀用具・アイゼン・バイルなどなどヘルスメーターと格闘し、デジカメも撮りっきりカメラに変更するなど何とか18キロザックに押さえてチャレンジした中畠新道でした。岩登り、木の根登りの連続に音を上げながら辿り着いた奥又白の池は・・・、急峻な台地の上にひょっこり現れ、やっぱりクライマーのオアシスで、そこから眺める前穂の岩の峰々はすばらしい眺めでした。

 ルート、取り付きなども迷うことなく同定出来るほど願っていた通りの快晴と、4峰・正面壁に他のパーティーがいないという絶好の条件に恵まれました。北条・新村ルートのルート名にもなった北条理一氏は傑出したクライマーだったとのこと、その当時の達人たちに思いを馳せながら攀った一日でした。Miyaさん、ありがとうございました。(ヒロリン)


クライミングの最近記事(5件)

上記以外の記事は「クライミング」のカテゴリーページをご覧下さい。

PageTop

Copyright © 2006-2021 山の会「岳樺クラブ」 All Rights Reserved.