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奥秩父 乾徳山・旗立岩中央岩稜 他

乾徳山・頂上付近の3本の岩稜を登る

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■旗立岩中央岩稜

 岩を攀じて山頂に至る。これぞ岩登りの醍醐味である。その一つが乾徳山旗立岩中央岩稜である。と散々聞かされて、行ってみたい気持ちがふつふつと沸いてくる。
 でも、気管支炎のようで咳が止まらず、ここ3ヶ月ばかりはロクに歩いていないので、2時間の歩行に耐えられるかなー、と一抹の心配。

 ま、ダメなら帰ってくるかとあきらめムード。だがしかし、今回は総勢7名という岳樺にとっては画期的な参加人数、ガンバラなきゃとの気持ち半々。うーむ、真っ青な秋空にロープを延ばすことができるか。


下降点から取り付きへ
中央岩稜への下降点は小広い展望台になっていた。「日本登山体系」に掲載されている地図上の無名岩稜の終了点脇にあるチムニー状のガリーである。

おー、あれかー、中央岩稜は・・・、む、む、正に滝谷ドームだ、とはSuperJJさん。まだ新しいリングボルトとハーケン2本、念のために立ち木からバックアップをとって懸垂支点としてクニさんが自分の庭のように降りていく。

30m一回、50m一回のあと踏み跡のようなそうでないようなところをヤブをこいで取り付き点を探す。勝手知ったるクニさんでも少し迷って、顕著な中央岩稜のオーバーハングを見上げて、あった、あった。
取り付き点といってもボルトが打ってあるわけでなし、少し登ったリッジ上でそれぞれに登攀の支度をする。

1ピッチ目 30m IV・A0 
Aチーム=クニ、SuperJJ。Bチームはヒロリン、ミエリンそして竜少年。
まず、Aチームのクニさん先行、なんだかヤラシなー、むむ、オーバーハングを乗越したぞー、と雄叫びがコダマする。スゲー、大好きな人工を使わずフリーで越えてる。
続いて、SuperJJさん。「いや、えー、気持ちいいー!」とか訳の分からない言葉を発して、さっさと上がって行く。さあ、Bチームの番だ。

Bチーム 11時50分スタート ヒロリンさんリード。
リードのヒロリンさん、落ち着いてジワリジワリと登る。少し凹角状なので途中、ホールド、スタンスが合わず左、右と探すが思い切ってカンテ沿いに行き活路を見出す。
その後は右にトラバース気味にとって真っ直ぐに小ハングに突入するのがルートだが、最後のハングの少し手前で左に行き過ぎ、クリップしたため、ルートを右に修正したときクリップが外せず結局ロープがZ状態となってしまった。が、危なげなくオーバーハングを乗り越す。落ち着いたいいリードを見せてもらった。

つづいてミエリンさんはZ状のクリップを外すのに苦労していたが無事にハングも乗り越えて安心、安心。
残置支点は意外と豊富で最後のオーバーハングの乗り越しはハーケンがベタ打ちであった。ただ、逆層とツルツルの岩質なので、スメアが効きにくいこと、ホールド、スタンスが微妙なので、IV級というより、IV+は確実にあるのではなかろうか。核心部はハングよりも凹角状のほうがイヤラシかった。それでもトポではIIIである。ハング上には、リングボルトが2本打たれていた。

2ピッチ目 30m II~III- 
とっくの昔にクニさんチームは上がっている。風が出てきて寒い。
水平のナイフリッジ上を行くようになる。P2の手前でピッチを切る。ここは特に危なげ無く景色を見ながらビレイができる。時々ハイカーの声が風に乗って聞こえてくる。

3ピッチ目 30m III 
P2のピークは5,6メートルの垂直な壁で快適なフェースである。ヒロリンさんが「えー、ここを登るのー?」と一瞬心配顔。その頃になると、クニさんチームや頂上岩壁第一、第三岩稜を終えてきたNobさんチームのメンバーが登山道からガンバの声援とカメラの放列を敷いている。「そーだよー、ナチュプロだよー。」とNobさん。

「ヒロリンさん、思い切って!ハーケンがんがん打っていいから」と下から励ます。
よーし、とばかり、カッキーン、キーン、キーんと気持ちのいい音が響く、イイゾー効いてるぞー。エイリアンをもう1本効かせて、サッと登る。お、まて、まて、写真、写真、とビレイをしながら片手でカシャ。余裕の登りだからできる早業。

思ったよりホールド、スタンスが豊富で最後に気持ちのいいクライミングをして登山道に飛び出す。そこには、クニさん、SuperJJさん、Nobさん、タマちゃん、などが笑顔で迎えてくれた。勿論クロモリのハーケンを回収したのは当然である。



■感想

 天気に恵まれて素晴らしいハイキング&クライミングができた。そして終了点が山頂(稜線)という登攀の醍醐味を味わった。この組み合わせは大事にしたい。余裕を持って取り付けば、余裕をもって登ることができる。正に「岳樺クラブのライトアルパイン12景」にふさわしいルートだった。

身体の調子が今ひとつ本調子でなかったのを気遣ってくれて、ロープ持ちましょう、大丈夫ですか?と皆が優しくしてくれて・・・。でも、そういった気遣いをされながらの山行は基本的におかしいのである。節制をしたりしても如何ともしがたいのが病気である。くれぐれも病気や怪我はしてはいけないのだ。

力のあるTさん、FさんそしてMさん達が様々な事情で会を離れて、今後どうしたものだろうか、と小さな胸を痛めていた。が、この山行で、皆が力を貸してくれれば、何とか岳樺らしい山行が今後もできそうな予感が強くなってきた。所詮は一人では何にもできない、皆と一緒にやってこそだと思う。もう一がんばりしてみましょうか。
(記 竜少年)


■第一岩稜と第三岩稜

今回は岳樺クラブとしてはめずらしく7名もの参加者があった。全員で旗立岩を登るには多すぎるので二手に分けて、私とT嬢は乾徳山頂上から派生している二つのリッジを登ることにした。

 無名岩稜終了点で旗立岩中央岩稜を登る本隊と分かれて、乾徳山頂直下に向かう。7人でにぎやかだったのが急に二人きりになってしまい何だか心細くなる。何か理由をこじつけてみんなに合流しようかと思ったが、それも情けないので意を決して?第一岩稜を目指す。
 ルートガイドは「岳人」2000年11月号の特集記事が役に立った。(Nob)

■第一岩稜

 第一岩稜取り付きへは乾徳山山頂直下の杖葉岩と呼ばれる鎖場手前から西へ下降する。途中、III級程度のクライムダウンがあるので、ここは無理をせず針葉樹の幹にロープを回してザレた岩混じりの急斜面を懸垂で降りる。

 下降点から20m位でザレた石がごろごろしている大きなテラスに着く。畳20畳くらいはあろうか。ここが取り付き点である証拠に確保用の比較的新しいハーケンが残置されていた。

1ピッチ目 15m IV
 Nobトップで9時50分スタート。正面やや左よりの傾斜の緩いカンテから取り付く。カンテに沿って上がっていくが、下から見たよりはホールドは少なく外傾していて登りにくかった。途中、中間支点用にクロモリのハーケンを1本打つ。
 カンテを通過してからは傾斜が強まり、右手に回り込んでからややかぶった凹角を越えてピッチをきる。

2ピッチ目 25m II
 見晴らしの良い快適なリッジを頂上めざして進むだけのピッチだ。頂上側から眺めると立派なナイフリッジに見えるが簡単すぎてやや面白みに欠ける。終了点は頂上の一角で、ちょうど鎖場の終わるところに着く。登攀終了は10時35分だった。

 第一岩稜はクライミング初心者が初めての外岩体験をするのに格好のルートかもしれない。
 頂上はたくさんのハイカーで賑わっていた。こんなところにヘルメットとガチャ類をぶらさげたクライマーが混ざるのはいささか奇異な感じを受ける。早々に退散した。


■第三岩稜

 第一岩稜を無事に登り頂上に立ったあと、今度は第三岩稜をめざす。「岳人」記事によれば、山頂北側の梯子を降りきったところの小広い場所から左に回り込んで第三岩稜を横断するバンドを目指すとあったが、藪こぎをすること30分、どうしても横断バンドが見つけられない。

 仕方がないのでもう一度山頂付近まで登り返し、山頂北側から西面を覗くと顕著なリッジが上がってくるのが確認できた。これが第三岩稜の3ピッチ目のリッジだな、と判断して逆に20mの懸垂1回で横断バンドに降り立つ。

 横断バンドを南に10mほど進むとバンドが途切れ、岳人記事にあるように枯れたダケカンバの木が立っていた。揺らしてみると何だか心細いので脇に打ってあった残置ハーケンに捨てスリングを巻き付けて枯木もろとも懸垂用の支点とする。約25mの懸垂でようやく第三岩稜の取り付きと思われる地点に着いた。3mほど離れた岩の庇の下には岳人記事にあるとおり「夢想国師の座禅窟」があった。こんな険しい所にいったい誰が安置したのだろうか。とにかく石像に向かってしっかりと安全祈願をしておく。

1ピッチ目 20m IV・A0
 12時15分、Nobトップでスタート。見た目は易しそうなのだが、乾徳山特有の逆層の岩肌でホールド、スタンスともに少なく苦労する。登ったラインには残置ハーケンは見あたらない。薄いリスがあったので薄刃ハーケンを1枚打とうとするが、途中で岩が剥がれてしまった。仕方がないのでノーピン状態でずり上がる。するとようやく残置ピンが出てきた。効きを確かめてからロープをかけて、さらに左手にある残置ピンに手をいっぱいに延ばして何とかクリップ。この後、クラックに小サイズのエイリアンをセットして鞍部状のギャップにたどり着く。ふー、結構こわかった。
 いつもは余裕のT嬢も「キャー、墜ちるかもー!」とか言いながらめずらしく真剣な表情でフォローしてくる。

2ピッチ目 10m IV
 再びNobトップで取り付く。一見したところ残置ピン類は皆無である。いくら短いピッチとはいえノーピンというのは精神衛生上よろしくないので、出だしにハーケンを1本打つ。まあ気休めかもしれないが何もないよりはずっといい。

 ルートは短く、傾斜は急だが岩も安定していたので思い切って登っていったら無事に横断バンドに着いた。第三岩稜の核心部はここまで。あとは易しく快適なリッジ登りを残すのみだ。
旗立岩の方を眺めれば、クニさんチームとヒロリンさんチームが健闘しているのが手に取るように見える。がんばれ!

3ピッチ目 30m II(南側面のクラック沿いはIII)
 このピッチは傾斜も緩く、またクラックも発達しているのでカムのセットの練習によい。トップはT嬢に交代。

T嬢、ぐんぐん高度を稼いでいく。やがて視界から遠ざかってしばらくで「Nobさん、ビレイカイジョー!」の声が届く。
 リッジ登りを楽しみながらゆっくりフォローしてT嬢の待つ終了点へ。13時20分終了。お互いに握手。
(記 Nob)



■感想

 これで、2年前に登った旗立岩と合わせて3本のルートをトレースしたことになる。
乾徳山の岩場は、長いものでも3ピッチ90mほどである。三ツ峠のゲレンデで3本つないで登った方が長いかもしれない。

 戦前から登られていたと言われているが、今では往時の面影は朽ち果てた残置ピン類に見いだす位のものであり、ゲレンデというより短いながらも立派な本チャンルートだと思う。
頂上の喧噪に比べて、岩壁群をクライミングの目的で訪れる人はほとんどいないようだ。それだけに静かなクライミングに集中できる環境が残されている。

 自分でルートを読み、ハーケンを打ち、カムをセットするという岩登りの基本的な楽しさを手軽に体感できるエリアである。また訪れてみたい。
(Nob)

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乾徳山は、残雪の5月にアイゼンなしで登って痛い目にあった、私の記憶にはまだ新しい山。樹林、草原、岩・・そして眺望と2000mとは思えないほど変化に富んでいて登山者をまったく飽きさせない。頂上へ突き出る最後の1ピッチなどは、岩登りの経験をもっていても緊張が走るところだ。
そこで岩登り?・・・岩好きとしてはじっとしておられず、またまた『岳樺クラブ』の山行にお邪魔しちゃいました。
                 
第一岩稜、第三岩稜ともピッチは短いものの、そのルートの辛さは結構なもの。
残置のハーケンはわずか2,3本。ハーケンを打てば岩が剥がれてくる。岩は逆層で丸っこく滑りやすい。
ハーケンべた打ちで、その通りに登っていればなんとかなる・・そんなルートにしか行ったことが無い私などは完全白旗状態で、パートナーのNobさんに全てお任せだった。

第三岩稜の最終ピッチ、一本リードさせてもらった。【といってもII級程度の簡単な所ですが・・(* *)/】
フレンズを掛けながらの初めての登りは結構緊張。でも無事登り終えて一安心。良い経験をさせて頂いた。

帰りしな『これがアルパインクライミングの本来の姿なんだ』と言っていたクニさんの言葉がグッとくる。これからもっと勉強しなくては…。

 紅葉に包まれ、富士に見つめられながらのクライミングは最高だった。今度は是非是非中央岩稜にチャレンジしてみたい。(もちろん、つるべで・・・)

(記 T嬢こと、たま)

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