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北アルプス 剱岳・八ツ峰VI峰Cフェース(剣稜会ルート)

- 憧れのそして懐かしの剱岳 -

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 チンネの計画から八つ峰VI峰C,Aフェースへと計画が徐々に変更されていったが、それでも今の僕の体力では、C,Aの両方できるのだろうか、真砂沢にしても剱沢ベースにしてもあの長大な剱の山と雪渓を歩き切ることができるのだろうかと一抹の不安もある。
しかし、また懐かしのCフェースを登れるのか、今度登るときはどんな気持ちで登れるのだろうか。剱は優しく迎えてくれるのだろうか。



■8月23日(土) ガスのち晴れ

◎室堂から真砂沢ロッジ
前夜新宿からアルピコバスで一直線に室堂に入る事が出来る。外は朝7時を過ぎたというのにガスが立ち込めて寒い。登攀用具のギアを詰め込んで一見小さいザックで軽そうに見えるがなかなかどうして、僕でさえも17キロはあろうか。室堂から剱御前まではジットガマンしてゆっくりと歩く。別山乗越から懐かしい剱岳が眼前に飛び込んで来る。

あれが本峰、あれが源次郎尾根その向うが八ツ峰、真中の一際目立つ岩峰がVI峰。目指すCフェースだ、と剱岳が始めてのT嬢に知ったかぶりの山座同定。真っ青な真夏の空が広がってきた。

別山平の山岳警備隊の建物の前を通って剱沢に降り立つ。剣山荘への路へ入ってしまったためか、一部滝を迂回しなければならなかったが、直ぐ上には剱沢から真砂沢ヘとハッキリとした登山道がついているのが後で分かった。雪渓に降り立つ地点に分かりやすいように小さなケルンを積む。
剱沢の雪渓は8月下旬とは思えない程の雪量であった。長雨と冷夏のため雪解けが進まなかったのだろうか。平蔵谷を分け長次郎雪渓を分けるとまもなく青い屋根の真砂沢ロッジに到着した。遠くには鹿島槍が青い空を突き刺していた。

【タイム】
室堂(7:50)・・・別山乗越(9:42~10:30)・・・剱沢小屋(11:05)・・・長治郎谷出合(12:40)・・・真砂沢ロッジ(13:10)


■8月24日(日曜日)晴れ

◎真砂沢ロッジからCフェース取り付き
3時35分起床。まだ暗い小屋の前のベンチで出発の準備をしていると小屋主が熱いお茶を振舞ってくれた。

出発をして小一時間ほどすると長次郎谷出合となる。今日は霧のち曇り、午後から雨との予報である。なんとかお昼までにはCフェースだけでも済ませたいと気があせるが急な雪渓に遅々として進まない。
小屋を一番で出てきたが、4人の若者達に抜かれ、また別の若者達に抜かれてしまった。若さってやっぱりスゴイナー、こちらはアイゼンをつけて必死に登っているのにアイゼンも付けずにサッサト抜いていくんだからと昔日の自分と重ね合わせながら一歩一歩と歩を運ぶ。

 辛かった雪渓歩きもどうやら終わり、先頭の若者はAフェースへ2番手はCフェースであったが、なんとか次の順番を確保出来た。前のパーティはRCCと剣稜会ルートに分かれたので程なく登る事が出来た。後からは1パーティ2名が続いているだけであった。


◎八つ峰Ⅵ峰Cフェース剣稜会ルート(高差約160m,5ピッチ)
Aパーティ=Nob、ヨーコ。
Bパーティ=竜少年、T嬢。

1ピッチ目(35m)
スタート 8:00(Aパーティー)
先行Aパーティ、リード=Nob。Bパーティー、リード=竜少年。
剱岳には薄暗いガスが纏わりついていて、霧のち雨の予報がチラと頭に浮かぶ。
確保地点にハーケンが数本打ってあるだけで約30mノーピン状態である。Nobさん2箇所程支点をとって直ぐにビレイ解除、快調だ。続くヨーコさんの直ぐ後をBパーティ竜少年が続く。花崗岩のスラブは快適にフィットし何の心配もない。フレンズの0.5はチョット気休め程度だったか。
直ぐ上でヨーコさんがフレンズはずしに苦労しているので「僕がとるから残置して。」と親切なような図々しいような事を言って使わせて貰う。ルンゼのような凹角に入り、ガバガバのホールドでテラスへ出る。

2ピッチ目(40m)
凹角を上がってフェースと言ってもルンゼっぽいところを登る。ここにはハーケンが3~4箇所ほどあったような気がする。ハイマツ混じりを登ると広いテラスへ出る。リングボルトでビレイ解除。ラストのT嬢が着く直前にNobさんは3ピッチ目を登り始める。
心配していた空模様も段々青空が広がって来てフェースが夏の太陽を浴びて光ってきた。

3ピッチ目(40m)
先行Aパーティ、リード=Nob。Bパーティ、リード=T嬢。
先行するNobさんが直上、ロープを綺麗に振り分けて真っ直ぐに登っていく。僕のカメラは電池切れで役立たず。
ここで後続のBパーティ。
竜少年「T嬢、剱岳で初リード。どうだ?それもこのルートの核心だ。」
T嬢「う、う、嬉しい-、やらせて頂けるんですかー。」
ヨーコさんに続いてT嬢リードを始める。危なげのない登り方でホッと一安心、これなら任せても大丈夫だ。ロープが青空に向かって一直線に延びていく。クライマーもビレイヤーも至福の一時である。
やがてビレイ解除のコール。すっきりとして快適なフェースを直上して少し左上するとリッジ上のテラスに出る。

4ピッチ目(20m リッジのトラバース)
先行Aパーティ、リード=Nob。Bパーティ、リード=T嬢。
ここのトラバースは写真にすると最高に絵になる所だ。5m程リッジを直上すると高度感満点のナイフリッジを爽快なハンドトラバースで約10m。
振り替えれば、長次郎の雪渓と間じかに迫るV峰の岩峰群、剱の岩々。正に雪と岩の殿堂の真っ只中に居る実感が沸いてくる。

5ピッチ目(25m)
先行Aパーティ、リード=Nob。Bパーティ、リード=竜少年。
先行Nobパーティがリッジを登り、竜少年が続いて登る。あっと言う間にCフェースの頭に出る。T嬢が登ってくるのをカメラにNobさんが収めて、終了となった。
終了 10:20(Aパーティー)

◎Cフェースの頭からV,VIのコル
Cフェースの終了点からいやらしい踏み跡を辿って下ると懸垂支点がある。ハイマツの下向きの根がビレイ点。補強し25mイッパイで直ぐ下の懸垂支点に着く。右側にしっかりとしたハイマツの根。50mイッパイの懸垂でV,VIのコルに降り立った。

◎V,VIのコルから剱沢小屋
計画ではCフェース終了後Aフェースへと転進であるが、行動体力、明日の天候など勘案すると剱沢小屋へ行くのが一番よさそうとの結論になった。

 体力、気力とも充分なNobさんにはAフェースを遣り残しては心残りのところもあったかも知れなかったがパーティ全体の力を考えて快諾してくれた。
 長次郎雪渓を下り剱沢の登り返しが僕にとっては一番の核心であった。

【タイム】
真砂沢ロッジ(4:25)・・・長治郎谷出合(5:15~24)・・・Cフェース取付(7:10~8:00)・・・Cフェースの頭(10:20~11:00)・・・5・6のコル(12:40)・・・Cフェース取付(13:00~30)・・・剱沢小屋(17:05)
(記 竜少年)



■感想

「チンネへいけないものか。」
61歳になる僕にとっての最大の難関は、アプローチと登攀終了後を如何にしたら歩ききることができるのだろうか、という体力問題であった。剱はあまりに大きかった。
山を再開後はなんとか昔日と同じとはいかなくてもアルパインができないものか、と思いつつ来たが、やはり体力の衰えは如何ともし難いものがある。剱岳のような本チャンアルパインはもう難しくなったと言わざるを得ない。

数年前から「ライトアルパイン」でと思いつつ小屋泊まりを計画に入れながらの山行を中心にしてきたが、今後は行動時間、行動量と体力をよく秤に掛けないといけない、と思う。
 しかし、今回登攀はCフェース1本だったけれど、悲しい程懐かしく登れたし、またやっぱり山の仲間はイイと思えたし、剱岳は相変わらずの姿で迎えてくれたし。いろいろラッキーが重なって僕にとってはまた一つ忘れられない山行の一つとなった。(竜少年)

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38年前、剣沢から眺めた憧れの八ツ峰の岩峰へ立つことが出来て、また、夢がひとつ叶いました。
あまりの緊張感で眠れず、剱沢と長次郎雪渓の登下降は本当に辛かったの一言に尽きます。

Cフェースの岩峰から眺めた剱本峰、岩と雪の世界はまさしく"気分はガストン・レビュファー"でした。ここまで私を応援して下さった竜少年さん、Nobさん、岳樺クラブの皆様に心より感謝致します。そして、T嬢さん、ご一緒して下さってありがとうございました。
(ヨーコ)

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久々に室内壁練習に顔を出したところ、光栄にも夏合宿のお誘い。
聞けば『剱』とのこと(^^)。
初めての剱、その上只今浪人中の身としてはこんなチャンスめったにない。欲に目がくらみ身の程を考える前にまずは参加の手を挙げてしまった。
せめて今の自分よりも力をつけて剱に入ろうと、ゲレンデに室内にとチョッとだけまじめに通うがろくにグレードが上がらないまま当日を迎えてしまった。(ハァ~)
                         *
1日目からガスの中での出発となり、なにやらこの先天気はあまり期待できそうもないとの前情報。しかしながら見事、自称??晴れ男のNobさん(ゴメンナサイ)のお陰で行動中一回も雨具のお世話にならずにすんだ。

それどころか後立山連峰の隅々まで見わたせるほどの天候(ろくに日焼け対策を講じなかったばっかりに、美しい40代を迎えられそうもないほど鼻の頭が真っ赤になってしまった!)だった。
殊に剱沢(別山平)のロケーションはサイコーで聞きしに勝るものがあり、ただただ感動…。
                         *
登攀当日、夜明け前にもかかわらず真砂沢ロッジのご主人が暖かいお茶と励ましの言葉で送り出してくださった。(なんとありがたいことか…帰ったら宣伝しよっと(^^))

長次郎雪渓は斜度も強く、スタートからアゴを出してしまう。(少なからずもチンネ…なんて夢を描いていた自分があー、恥ずかしい)。何組もの学生諸君とのデッドヒートの末、
トップの座を明渡しアダルトチームはひたすら安全に行くことにした。
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ようやくCフェースの取り付きに到着するが1組の学生クン達を待つだけですんなり順番が回ってきた。
興奮を抑え、気を引き締めてパートナーの竜少年さん(ひぇ~。いいのかなー)と健闘を誓う。1P目・2P目リードの竜少年さんは難無くクリアーするが、私は緊張のためかスタート体が硬く足の動きが決まらない。スラブから凹角へ…しばらくすると岩の形も見えはじめた。

3P目、「タマちゃんリードしてみる?」の竜少年さんの言葉。その好意をありがたく受けることにした。「支点は取れるだけ取っていこう」の指示に見えるハーケンに片っ端からスリングを掛けていくが、後からの回収した竜少年さんはさぞや大変だっただろう。

このルートのハイライトともいえる4P目…。さらにリードさせて頂いた。ナイフリッジ手前のフェースを登っているとNobさんから「こっち向いてー」のお声がかかりハィ、ポーズ。(何から何までホンとスイマセン)
ナイフリッジへのトラバースは高度感たっぷりで、フリクションも良く利き快適。対岸のDフェースもしっかり見ることが出来た。

ここでもわざわざ岩の裏に打ってあるハーケンまで利用して支点を取ったため、トラバースから右上でさらにロープの流れは悪くなり、セカンドのビレイをしようにもロープが動かない。かなりもたついてしまった。登ることに気が急いてしまった結果だ。

5P目竜少年さんリードで終了、頂上でまた記念撮影。Aフェースの頭には学生諸君の姿が見えた。Aフェースの岩もせり立っていてとても素晴らしく、いつか登ってみたい。
 下りはロープをはずした途端、恐怖心が沸いてきた。2回の懸垂の後V・VIのコルへ。
                         *
ロープの処理・支点の取り方・時間等課題は多かったが今回とても充実したクライミングが出来たと思う。
こんなへなちょこクライマーを温かく迎えてくれた剱と岳樺クラブの皆様の、懐の深さに感謝しつつ…
               『8月24日はリード記念日』
                             by万智…じゃなくて、たま

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