御坂山塊 三ツ峠・鶴ルート
― 久しぶりのマルチピッチクライミングに冷や汗たらたら!? ―
■7月13日(土曜日)
来るべきバットレスのホンチャンマルチピッチの練習にはるばる千葉から電車とタクシーを乗り継いでやってきました中央カンテの取り付き点。ギアを身に付け、クライミングシューズに履き替えようとしていたその瞬間、一天にわかに掻き曇り、ドット降り出す大雨に全身ずぶ濡れビショビショ。登るどころの騒ぎでなく、泣く泣く帰宅。イカンな~、もう一度来ないと・・・。さて、今度は中央カンテが登れるか。
■7月27日(土曜日)
メンバーは、前回泣いて帰った竜少年、ヨーコ、Nob、の3名に加えて錦少年の計4名。
前夜1時頃、錦少年の新車のエクシードで快適に裏三つ峠着。ここには、綺麗なログハウス風のトイレが新設されている。ドアを開けて中に入ると電気が点燈。勿論水洗。ベンチ付。スゲー!
朝、ノロノロと起きてゆっくりと歩いて四季楽園には10時15分。ベンチで身支度をして、あの中央カンテに向かう。ところがなんと、順番待ちで3組目。では、と鶴・亀ルートに向かう。ここは誰もいない。よし、鶴だ。
1ピッチ目
11時15分スタート。トップは竜少年。セカンドはヨーコ、錦少年。ラストにNob。バットレスを想定して4人1パーティとして登ってみる。
竜少年、半年ぶりのマルチピッチに少々緊張気味。鶴ルートはアパッチハングの左側を適当に攀る。
バンドにあがって右へトラバースをするのだが、ピッチを切るのに10mほど手前で切ってしまい、第2ピッチまで右にトラバースをもう一回3人に来てもらわなければならなくなってしまった。
第2ピッチの手前には新しいペツルのボルト2本に太い残置スリングがある。
2ピッチ目
見上げるとフレークのクラックが濡れている。濡れた汚いスリングが下がっている、そこまでがどうやら核心。いつもここは濡れているそうだ。ヤダナー濡れた岩をリードか~、竜少年途端に弱気になり、錦少年に代わって貰う。(^^;
ヘキセントリックとフレンズを巧く使って濡れた汚いスリングの上のフレークのガバを取り成功。下から「ウマイナー~」コールが起こる。フレークの上からは右にトラバースして、立ち木でビレイ。
3ピッチ目
続けて錦少年にリードはお任せ。出だしが一寸いやらしい。錦少年は左に巧く回りこんで乗り越す。竜少年が同じことをやったが、巧く行かず直上して乗り込む。ここはリーチ差が出るな~。ヨーコさんには少々ハンデかも。
トラバース気味のバンドの左上はホントにいやらしい。ロープは後続のために全てランニングに通すことに。墜ちて振られるとヤバイ。
幅20センチくらいのバンド(八寸バンドの入り口くらいか)に立ち上がるところがイヤラシイ。そこでビレイ。
錆びたリングボルトが3本。錦少年は支点の補強に岩の穴ボコなどを利用して3本ほどフレンズをセットしてくれたので大分安心する。
次のヨーコさんに登ってもらう。が、スタートの直上はやはりヨーコさんには不利。上から「Nobさーん、肩か頭貸してあげてー。」などと無責任にコールを飛ばす。直上をあきらめて左に微妙に回りこんで成功、息をきらしてあがってくる。狭いバンドなのでNobさんには一寸待って貰う。その間次のピッチに進む。
4ピッチ目
狭いバンドから左にトラバースをすると八寸バンドを経て亀ルート。直上すると鶴ルート。
フレンズの入った穴ぼこをホールドにして、一段上がる。そこから左へトラバース。上から「ハーケンがみんなきいてない~。クロモリハーケン寄付するぞー。」とやや悲痛な声とともにハーケンを打つ音が聞こえてくる。下でヨーコさんと「あの音は一寸効いて無いなー。」とか、「お、効いてる、効いてる。」等と評論に余念がない。そこで、ようやくヨーコさんビレイでNobさんにあがって貰う。
穴ぼこホールドで一段上がると、また左上、クロモリハーケン2本のうち1本回収。ザクザクと細かい石のあるバンドに出て、右手の立ち木でビレイ。左上から右へ回り込むので、バンドにあがったところで竜少年が後続のヨーコさん、Nobさんをビレイしてあがってもらう。
5ビッチ目
立ち木から10mくらい上がったところが終了点の第3バンド。最後にあがってもらったNobさんにそのまま第3バンドの踏み跡まであがって貰い、ヨーコさん、錦少年、最後に竜少年があがって終了。15時。
第3バンドを右に辿っていくと権兵衛チムニーの先の懸垂支点にいける。そこから50m懸垂2回で一般ルートの右リーダーピッチの下に降り立った。全員降り立った時には午後4時になっていた。
■ 感想
なんとか前回13日のリベンジを果たすことができた。核心部は2ピッチ目の濡れたフレークの直上の6~7メートルか。
鶴ルートはグレードとしてはIV級プラスだが、トラバースが多いだけに登る力だけでなく、支点工作力、ロープの流れを考えたランニングのとり方、墜ちたときの力のかかり具合の想像力、核心部へのチャレンジ力などなど、ピッチは4~5ピッチと短かったが登攀の総合力が要求されるルートだと思う。
4人を1パーティとして登ったが、バットレスの場合は、もし、4人の参加メンバーの場合なら、2人一組として、2パーティが妥当な組み合わせかもしれない。
(記 竜少年)