鈴鹿 御在所岳・前尾根主稜、中尾根 他
■藤内壁に
鈴鹿の御在所岳・藤内壁は、10代の終わりに氷壁登攀(と大げさに表現していました、当時は)を計画してみたものの実力不足で頓挫して以来、頭の片隅に残っていたエリアである。岩と雪で報告されていた、100mを越える10~11のカリフォルニア・ドリームなんて、どんなところなんだろうと興味をもっていた。
アプローチの東名は、豪雨と工事渋滞で苦労したが、まずまずの天気で連日クライミングを楽しむ。
横岳西壁ぐらいのスケールで、花崗岩のミニ一ノ倉という感じである。
取り付きまでの踏跡でも濡れているとけっこう緊張する。当然、アルパインクライマー専用エリアという感じで、関西、北陸のクライマー、地元ガイドと知り合いになる。
スケール、ルート・グレードの多様性からして、岳樺クラブのホームエリアにもなりそうである。東名・四日市インターから10kmという近さも魅力で、温泉もけっこう楽しめる。
■11月3日、前尾根、ガス、小雨、北風強し
前尾根取り付き、9時30分、登攀開始10時。ザックをしょって、つるべでフレンズのセット・ロープワークの練習しながら、コンテも交え、のぼる。
P7は快適なクラック(4級)を錦少年リード、次の5.8ぐらいのボルトルートは、MIKIさんリード、P6は5.9位のボルトルートと4級のチムニーを登る。ここでは、ガイドの蟹江さんにチムニー登りを教わる。あとは、なんだか適当に面白そうなルートを登り、記憶も不明瞭。昼食をはさみ、えんえん10ピッチあまり登った後、P2とP3のコルに2時到着。
そこで藤内壁の写真をテーマーにしているクライマーの村山さんに会い、写真を頂く。
地元のカップルクライマーに登り方を披露してもらった後、P2のやぐら(4級)を登って3時過ぎに前壁ルンゼの踏跡を下る。雨でしっかり濡れている。登山道に4時着。
テントサイトを裏登山道入り口駐車場から、鳥居駐車場に移動。駐車場のわびしい遠慮したテント生活となる。ただし、温泉は歩いて5分。
■11月4日、中尾根、ガス・時々晴れ
2ルンゼ経由で中尾根取り付きに10時着。この取り付きルート、一ノ倉のひょんぐりの滝巻き道を彷彿とさせる。ロープがところどころ張られている。取り付き直前の岩場が濡れていて悪いのでロープを出す。先行2パーティーがあり、奮闘している。
前のパーティーは出だしの7mで、ここが核心部だが、苦労している。かなりがんばったが、いったん降りてくる。中尾根は、80度くらいの壁の連続で名前とはえらく違う。昨日は荷物は気にしなかったが、この傾斜を見て、私は雨具と靴だけもって、残りはフォローのMIKIさんにわたす。
緊張して、11時35分リード開始。この2年のクラックの練習の成果があって、P4の1、2ピッチ目は快調。その後、P4を越えP3取りつくまでが複雑なルートで、MIKIさんリード。
P3はしっかり切り立った壁でその真中のクラック、チムニーがルート。一昨日の大雨と昨日の霧雨で濡れている。出口でチムニーからワイドクラックに移るところが核心。ここは、キャメロット3.5番を効かせ、レイバックで突破。ともかく、リード、フォローとも奮闘する。
とはいっても、花崗岩でフレンズががっちりきくので安心。
P3のピークに1時30分着。ここまでは4級+~5級だが、濡れていたせいか、二子山中央稜3ピッチ目(5.7~5.8)より難しいと感じる。
終了点まで、後3ピッチ。3~4級であり、核心部は終了したが、3時着となり、それから濡れた1ルンゼ上部をガスの中ルートを探しながら下るのは、不安なのでここで終了とする。
重いザックを担ぎ、奮闘したMIKIさんは残念そう。正面に赤い花崗岩の壁がガスの切れ目に見える。
懸垂3回の後1ルンゼ経由で一ノ壁に向かう。素晴らしい壁である。登山道に3時30分着。
中尾根は、確保支点は整備されているが、残置の中間支点は乏しく、老朽化している。谷川人気ルートに比べると格段に少なく、信頼できない。フレンズ、岩塔、チョックストンが頼りだが、それでよい。
いっそうのこと、残置を撤去して完全なナチュラルプロテクションのルートにしたら魅力的だろうな。
フレンズが使用できない完全なフェース部分はどうするかという課題があるが。
明日は雨という予報なので、温泉とビールを十分楽しむ。
■11月5日、一ノ壁、晴れ
なんと晴れ、どうなってんだ?それならと一ノ壁でクライミングと急きょ出かける。「岳連ダイレクト」とかいう5級ルートなど2本のぼる。50mロープをほんとんど使いきる。壁もたっていて、小川山ストリーをやさしく、そして長くしたルート。ここは、ペツルのボルトも整備されている。いつもと違ってアルパインクライマーだけだから、下手なことを気にする必要もない。左端では、福井のクライマーがアイゼントレしている。
ロープワークの練習もして、1時30分終了する。名残惜しいが、帰路に着く。
(記 錦少年)