秩父 二子山・西岳中央稜
中央稜はやさしいのか、難しいのか。古い資料は難しく、新しい資料はやさしいとなっている。
最近のイレブンがあたりまえの人にはやさしいのだけれど、わが年代(錦のみ該当)ナインテンウロチョロ組には難しいのであろう。
さて、新しい岩場の常として、国道、林道、登山道、岩場へのアプローチすべてで迷う。
林道はともかく、なんで国道で迷うのであろうか?ソウイエバジンセイモ、、、?
岩場へのアプローチも草で道が判然としない、あっちウロウロ、こっちウロウロである。チュウオウリョウ、トリツキ、イズコ?
とにかく、会ったクライマーは二人だけ。
■クライミング(天気:曇り時々はれ、山頂部ガス)
そんな訳で、取り付きは昼になる。おかげで、昨日の雨で濡れた岩場は乾きかけていたが、凹部は、濡れてしっかりと水が付いてている。
先着の横浜のパーティーは諦めて、横断バンドから上半分を狙うとのこと。
われわれも様子をみていたが、日も時々射すし、凸部は乾いているようだから、落ちても大丈夫なボルト連打のスーパータジヤン(10d)になんでもありでとりつく。
取り付きのハングの頼りのガバも水がたまっている。頼りになりそうなホールド、スタンスはすべて濡れている。小さなデリケートなのは、乾いているという皮肉な状態。もう、ヌンチャクはつかむは、ボルトにのるは、外のクライマーに見られていないことを幸いに、ひでえリードとなる。
終了点から中央稜2ピッチ目とりつきのトラバースが悪く、フレンズ2つ使ってのりきる。たよりにフットホールドが湿っているのである。
既存の確保支点のボルトも緩んでいて、岩塔に掛けたスリングで補強する。
MIKIさんがザックかついで、スーパータジヤンをフリーで見事フォローしたのには驚き。
げー、おれのリードはなんだったのか悲しくなる。
その後の、中央稜2ピッチ目とりつきへのトラバースで岩が欠けてMIKIさんがわずかにスリップ。石灰岩てのはもろいようだ。確保支点のボルトがスリップを支えてくれたけど、確保支点を補強していて良かった。スリップの瞬間も補強した支点とエイト環の組み合わせで、ホイきた、てな感じで落ち着いていられた。
テラスでセルフビレイをとって一息いれる。MIKIさんも何度かのマルチピッチの経験でフレンズ回収、ビレイ、ロープワークがスムーズになってきた。
さて、日が射すけど時間も時間だし、ボルトの打たれた2ピッチ目5.8どうしようかなー、と話あっていた時に(2時40分)、ハイキングの青年から、連れの女性が足に怪我をして、助けてほしいとコール。
すぐに、降りることにする。
■ 救助活動
クライムダウン、懸垂下降で取り付きにおり、怪我人の所に錦少年とMIKIさんで向かう。大声で呼ぶが返答がない。心配になってくる。
15時半ころ、ローソク岩北面で、やっと青年を発見。その少し上で連れの若い女性を発見。ハイキングで道に迷い、岩場への取り付きの道に入り下降中、道にそって10mくらい転落したとのこと。
負傷の軽い青年は自力で歩き、左足負傷の女性は二人で肩をかして歩く。ローソク岩北面にて救急キットで応急手当てをする。
女性は自力で移動するとの意思なので、二人で手助けして移動させるが、なにぶん並みの男性以上に大柄だし、岩場への踏み跡では、遅々としてはかどらない。
MIKIさんが説得して、救急車を呼ぶことにする。16時、携帯で電話して、消防署から救急隊を派遣してもらい、林道で待ち合わせすることにする。
16時30分ころ、錦少年は林道で先発の救急隊3人と会い、岩場取り付きにひきかえす。中央稜取り付きで、降りてきた3人と出会う。錦少年と救急隊3人で両方から抱えておろす。
応援部隊4人が下に到着しているが、暗くなってきているうえ、道が錯綜して、こちらに来れない。MIKIさんが笛で合図してようやく位置確認する。
合流してスノーボートに女性を移動させ、MIKIさんのガンバの掛け声で、8人で搬出開始。さっきの4人での搬出に比べるとうんと楽である。
やがて、県警救助隊3人も、暗闇の中到着する。これで、格段に搬出は順調となる。
女性は胸も強打しており、かなり痛そうである。MIKIさんがさすったり抱きしめて励ます。夜の岩場の踏み跡での搬送は、大人数でもけっこう大変である。
道もぬかるんでいる。祠エリアに着いてからは速度もうんと早やまり、林道に19時過ぎ着。
今日は、アプローチ、クライミング、救助活動と盛りだくさんであった。こんな日もあるのだろう!
それにしても、携帯電話、救急セット、笛、ヘッドランプ、過去の経験、すべて役にたった。
(記 錦少年)