.トップページ -> クライミング -> 奥秩父 瑞牆山・十一面岩 正面壁 翼ルート

*掲載内容についての注意がございますのでこちらをご覧下さい→

奥秩父 瑞牆山・十一面岩 正面壁 翼ルート

突然の雷雨のため無念の撤退。でも、充実のアルパインルート。再訪を誓う。

  シーズン最初の本ちゃんクライミングは十一面岩翼ルートに行った。メンバーは3月までアイスクライミングに夢中だった中年トリオ。残念ながら雷雨のため2ピッチで撤退したが、楽しさ、怖さも十分で、充実したミニアルパインだった。



【天気】 曇りのち雷雨
【参考資料】 白山書房刊、関東周辺の岩場

【時間】
 6時30分 韮崎出発
 7時30分(工事中の植樹祭広場手前)駐車
 9時10分 十一面岩正面壁 大洞穴左の取り付き点
10時登攀開始
14時取り付き点戻り
15時30分車戻り
16時30分帰宅



【詳細】
 私自身は昨年の晩秋ここを登っているので、アプローチの先導をつとめた。
9時過ぎに翼ルートの取り付きに行くと先客がいた。やはり人気コースらしい。
今回の装備は、10.5mmx45m、9mmx50mのロープ。
フレンズ1セット、キャメロットの#2~#5、ハンマー、ピトン。など。

 10時に登攀開始。1ピッチ目は錦少年、MIKI,私の順。フォロワーが、皆の荷物を持つことになったが、2人のアプローチシューズまで入っている。ザックは約8kgの重さになってしまった。
 錦少年、仕事は超多忙ながらも、フリーで鍛えた成果か、アブミ無でクリアー。見ていて危なさがない。たいしたものである。2番手のMIKIもフリーは5.11。<どうやってのぼるの?>と悩んでいる。
<膝をクラックに突っ込んで…>と下からアドバイス。黒いタイツはジャミングにはもったいない気持ちもわかる。MIKI,10mくらいでずるっーと落ちる。
 <何でもOKのアルパイン。落ちないほうが大事だよ>とアドバイス。3番手は自分。3月の南ア荒川アイスクライミング以来、ロープに触れてない。

4月~5月は山スキーに熱中して、この日いきなり本ちゃんを迎えてしまった。さて、登ろうとしたけど、ウウウ、ザックが重い、重すぎる…。息ははあはあ。エイドの個所も何とかクリアーして、ほっとしたのもつかの間。両手で掴んだ岩が突然剥れ、体が中に舞う。大きさ30cm厚さ10cm位の岩。下に誰かいて、当たったらただでは済まない大きさである。錦少年やMIKIが登ったときに、落ちなくて良かった…と肝を冷やす。体重64kgでザック8kg一番重い自分で剥れたのである。やっぱりゲレンデではなく、ここはアルパイン。

 本ちゃんで落ちたのは初めてだが、垂直な壁なので怪我はなし。オーコエー…。気を取り直して1ピッチめを登りきったが、腕はパンパン、息はゼイゼイ。

 2ピッチめチムニ-40mの好ルート。自分は前回リードしているので、錦少年にリードを譲った。錦少年は取り付いて、<あれれ、ここどうやって登るの?>フリーのジムやゲレンデは、チムニ-が無いから(?)判からないらしい。

 選手交代、自分が登場。荷物から開放されて快調である。チムニ-は両足を前後に開いて、フリクションを利かして登るから、腕がパンプして後でも登れる。

最初のハングはキャメロットを3個も使って乗り越す。順番に架け替えて行けば、常時3個が墜落を防いでくれる。好みの問題であるが、自分にとっては壁よりも、チムニーの方が怖さが少ない。
 25m付近にチョックストーンがある。長めのスリングにカラビナをつけて、隙間から投げ上げて岩を回す。これで落ちないプロテクション出来たのでもう安心。ここから先の10mは楽勝で乗りきった。

 2番手のMIKIが取り付く頃、急にガスが出て寒くなってきた。雨がきそうだ。MIKIが喘ぎながら登ってくると、ポツポツと雨が降りだし、落雷が轟く。
 雷は横から聞こえるし、体には金属をたくさん身につけている、確保しているから、逃げる訳にもいかない。本降りの雨の中<頑張れ>とMIKIにかける。雨で滑って苦労している。霧と雨の中、雷鳴とMIKIの喘ぎ声が岩に響く。

 MIKIが2ピッチめを終えた時は、すでに12時30分。錦少年から<撤退しよう>のコール。MIKIが持ってきた雨具を着て、どうやって下降しようか、2本のロープを結びながら冷静に考えた。チョックストーンがあるので、懸垂後にロープが引けなくなる可能性が非常に大きい。

もうピッチ40mを下るためには、ロープの回収が必要である。
<10.5mmを残置しろ>と錦少年からのコールが来るが、人気ルートに残置はみっともないし、1ピッチめの下降もあるし、イエスとは言えない。そこでチョックストーンで、懸垂のピッチを切ることにした。
 まず、私がチョックストーンまで降りて、キャメロットの5番でセルフビレーをとってから、チョックストーンのスリングにセルフビレーをとるのと同時に9mm50mで懸垂支点を作る。幸い9mm50mはダブルで下まで届く。

 MIKIを下ろして、彼女のビレーをとって、懸垂ロープを架け替えしてもらう。MIKIが無事に降りてから、自分が下降するという段取りは大変うまくいった。チョックストン下の不安定な岩溝に30分もぶら下げっていたので、疲れた…。
 核心の下降が終われば、あと1ピッチ。ここは垂直な40mではあるが、ロープが抜けなくなる心配も無い。胴震いのくる寒さに震えながらも順調に下降できた。
 16時30分、韮崎の我が家に戻って<無事を祝って乾杯…>とビールを空けた。



【感想】 
 2ピッチ下降も含めて4時間のクライミングだったが、なかなかの内容だった。ミニアルパインとでも呼ぶべき、今年最初の本ちゃんである。
 反省点は、前日の寝不足(3人とも3時間)、クライミングのトレーニング不足(杉)、荷が重すぎたの3点。(さらに不可抗力かもしれないが、岩を落下させたこと。)
 雷雨の撤退時、冷静にベストな下降方法を選択できたことは良かった点。なによりも、クライミング中の雷があれほどコエーものであること、思い知った。
山梨の<杉>                                              

クライミングの最近記事(5件)

上記以外の記事は「クライミング」のカテゴリーページをご覧下さい。

PageTop

Copyright © 2006-2024 山の会「岳樺クラブ」 All Rights Reserved.