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仁寿峰クライミング 2000-1

■成田フライト
6月14日 US883便 成田18:30発、Soul/Kimpo着20:50.
成田16:00全員集合となる。既に微苦笑、小林青年はほろ酔い加減。搭乗手続きを済ませ、インスボンが無事成功に終わるよう結団式をビールと日本酒で結成する。

定刻、飛行機が動き出した。滑走路の途中で、アナウンス「ただ今、翼の電気系統を点検中ですので、暫くお待ちください。」・・・「これから修理のためドックに戻りますので暫くお待ちください。」・・・「修理に時間がかかる模様です、もう暫くお待ちください。」

既に夜の9時を廻った。丁度ソウルに着く頃だ。

「本日のフライトは取りやめます。これからホテルにご案内・・・」機内から悲鳴にも似た声が溢れる。オイオイどうしてくれるんだよ~。

手際よくバスに乗せられて、手際よく成田グリーンホテルに案内される。な~んだ、微苦笑さん家の近くじゃないか。仕方が無いので解団式をして、今ごろはソウルのテウ旅館ダゼ。

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6月15日 US883便 成田8:00発、Soul/Kimpo着10:30
5時のモーニングコールに起こされて、また手際よく搭乗手続きを済ませる。午前8時。今日もまだ飛ばない。8時30分まだ飛ばない。今日もダメならあたしゃ、怒るよふんとうに。
08:45
大変長らくお待たせしました、ただ今より・・・。あ、ようやく飛ぶか。金浦国際空港に到着してペグンサンジャン(白雲山荘)へ日本語と英語と韓国語のミックスの電話を掛ける。トクハンシーと連絡が取れる。

模範タクシーと幾らで、と交渉する。2万ウオンだ、というとザックをおろし始めて、4万ウオンという、よし、3万ウオンだ、ノー、ノー。結局3万3千ウオンで手を打つ。2台に分乗して12時少し前、懐かしのトソンサに到着。模範タクシーだけあって応対もいい。結局値段交渉は、メーターで乗っても同じだった。

この時期の韓国は暑い。全身汗でぐしょ濡れになって懐かしのペグンサンジャンに到着。徐徳漢氏(ソ・トクハンシー)、金基泰氏(キム・キテイシー)が迎えてくれる。小屋の従業員の皆さんにもオレガンマンイムニダ(再会できて嬉しい)、アンニョンハショムニカの連発である。

一休みで早速クライミングに行く。初日ということと時間もあまり無いので、ショートルート(マルチピッチ)でイージールートを交渉する。

結局 キテイシー、微苦笑、小林青年、カズコさんでヴィドゥルギルート、トクハンシー、竜少年、オカベさんパーティでヴィドゥルギルートダイレクト(別名ファンタジーエクスプレス)。

それぞれ取り付きは全く同じで、ヴィドゥルギルートはフレークを左上して、A0を右上する、丁度「くの字」を描いて行くが、ダイレクトルートは文字通りスラブを真っ直ぐ直上するルートである。

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ヴィドゥルギルート(5.8)
キテイシーが例によってファイブテンのアプローチシューズで攀って行く。核心は、取り付きからスラブに乗りあがるところのレイバック気味の1手か、カズコさんはリーチの面で少々不利だが、持ち前のテクであっさりクリア。

キテイシーは 途中2箇所ほどフレンズを掛けて快適に攀る。ラストのカズコさんが「フレンズはずれな~い。」と叫んでいる。

2ピッチ目は右上で、ハングの下をヌンチャクの掛け替えのAO.腕力でぶら下がり、ハーネスに掛けて身体を安定させる、これを繰り返す。

3ピッチ目は快適なクラック。花崗岩にジャミングがよく効く。鋸山の成果か。クラックを終わるとペタペタと歩いてインスボンの頂上だ。

微苦笑さん、小林青年、カズコさんの3名はこのルートが初めてで、特に小林青年、カズコさんはインスボン初お目見えだったので感触を掴むのには絶好のルートだったと思う。

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ヴィドゥルギルートダイレクト(別名ファンタジーエクスプレス=10a)
出だしはヴィドゥルギルートと全く同じ、スラブに乗りあがるまで一緒。スラブに乗り上がるとしっかりしたビレイポイントがある。

2ピッチ目がヴィドゥルギ3ピッチ目に合流するのだが、そこまでスラブの直上である。トクハンシーはスタスタと平地を歩くように何の苦も無く攀っていく。

ハンガーボルトが7~8箇所、約25mあるか無いかのスラブのスタンスにそ~っと体重を掛ける。手はバランスをとるだけでただ触っているだけである。

上から見ている微苦笑さん達から檄が飛ぶ「竜少年がレスト、レストと騒いでいるのを見ると気持ちがいいぜ~。」オイオイこちらは必死なんだぜ。

トクハンシーがミギ、ミギと上から声がかかるが、竜少年にとっては左、ビダリ、ビダリというのは右。次のオカベさんは、上から右だ、左だ、と言っても分かってる、分かってると好きなように登ってくる。

我がパティーも快適なクラックを登って、スタスタとは行かないが、慎重にそっと歩いて頂上にでる。懸垂支点の所まで、昨年まで無かったFIXロープが張られている、きっと日本人用に張ったのだろうと思われる。

懸垂 25m1回、50m1回で元の取り付き地点に戻った。

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インスボン頂上にて

■6月16日 医大ルート
昨夜はトクハンシーとよ~く相談して、シュイナードBを皆で行こう、と約束してたはずだが、大スラブから登り始めている、どうもまだ言葉がよく通じずコミュニケーションがよく取れていないようだ。

と考えているうちに、大スラブを2ピッチ攀ってオアシステラスにでる。ここで、「トクハンシー、シュイナードBじゃないのか。」「あ?シュイナドピ?」

「シユイナドピ、ラッペリング?」う~ん、オアシステラスからシュイナードBに行くには懸垂で回り込んで、取り付きにいくらしい。「医大ルート?」「ソ、ウイデイキル」「OK,OK」

ま、こんなやり取りがありまして、結局、A0の医大ルートになる。キテイシーチームもあがって来て、今日は、写真を皆、撮ってあげるという。

トクハンシーチーム(竜少年、オカベさん)が先行する。

1ピッチ目
オアシステラスから顕著なリッジとクラック。クラックからスラブへでる一歩が何も無い。第1の核心。一手。スラブからまた斜上するクラックを辿って足幅の狭いテラス。キテイシーがバシバシ写真を撮りまくっている。

キテイシーはカメラに専念しているので、トクハンシー~竜少年~オカベさん~カズコさん~微苦笑さん~小林青年と数珠繋ぎに攀る。竜少年やオカベさんが1ピッチ終わってもオアシステラスで小林青年が昼寝しているのが見える。

2ピッチ目
垂直のスラブにボルトが5本キラリと光っている。10a,A0.ボルト間隔が以外に遠い。例によってトクハンシーは息も切らさず、ヌンチャクをカチャカチャかけてさっさとあがって「ビレイカイジョォ」2番手は竜少年。腕力に物を言わせて、ク、ク、くッツソー、とどかね~。ロープがピンと張るとテンションがかかるのでヌンチャクが横を向く。すると届かない。身体を伸ばした瞬間ロープに一瞬弛みができる、するとヌンチャクからロープのテンションが抜け、ヌンチャクに手が届く。これは疲れる。だから、シュイナードBにしようとあれほど言ったのに~。

3ピッチ目 
スラブをじわじわ登って耳岩の下にでる。皆がくるまでレスト、レスト。

4ピッチ目は耳岩を登るのだが、全くのフリーなら10bという、「ノーボルト10b,トライ?」とトクハンシー、ノーノーよ。出だしの一歩が空中に飛び出す感じだ。

昨年錦少年がたしかリードしたところだと思う。その一歩さえ超えてしまえば、快適なスラブを行く。まあるい狸の腹の上にでる。事実上ここが終了点。

あとは、10mの懸垂でルンゼにおり、10m上り返して、少しいくと頂上だ。

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■6月17日
今日は竜少年とオカベさんが帰る日である。早めにクライミングを切り上げてソウルに夕方には着きたい、と昨日は充分コミを図ったので、竜少年「竜少年、オカベさん ランチタイム ペグンサンジャン OK?」

トクハンシー「インスA バリエーション OKヨ。」

そして微苦笑、小林青年、カズコさんパーティは充分時間があるのでシュイナードBとした。小屋を8時過ぎに出る。また、便所の横を通って、イヤなガリー状を下って大スラブを回り込んで、シュイナードBの取り付きに全員集合。

キテイシーがシュイナードBの1ピッチをきる頃我々もオアシステラスへ向けて、登りはじめる。キテイシーが「アライさ~ん、オカベさ~んサヨナラ。」とコールを送って来る。

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インスA バリエーション
1ピッチ目 
オアシステラスから顕著なルンゼ状を行く。このルンゼは、狸の腹から懸垂10mでおりた所に合する。

20m位登った所で医大ルート側にトラバースをする。今日は、オカベさんがセカンド。竜少年はラストで気が楽だ。と最初は思ったが、これが後で裏目に出ようとは。このトラバース地点でフレンズが外れない、オカベさんが苦労している。

よ~し、ラストが取ってくぞ~。とコール。オカベさんトクハンシーのいるビレイ点へ。続いて竜少年。フレンズ外しは任せておけ、と豪語したが、こ、こ、これは、大汗かいて殆どあきらめかけた頃最後のガンバリで何とか「はずれたぞ~。」

2ピッチ目 
少し被ったクラックを強引に乗ッ越す。ここからが格心部。トクハンシーが微妙な立ちこみでヌンッチャクでランニングビレイをとる。

クリップしたロープを右手に2本持って左に徐々にトラバース。約2メートル50位か。A0か。左手のホールドは殆どない。え~?こんなの見たこともやったこともネ~ゼ。

ラストの竜少年に向かって「竜少年さ~ん、このグリーンの残置スリングにロングスリングかけて、2本一緒に持って、最後はスリングの片方を離してスリングを回収せよ。」と身振りと韓国語と日本語と英語で説明している。「OK 了~解。」

セカンドのオカベさんはヌンチャクに掛けてロープを右手で、トクハンシーと同じように持ってソロリ、ソロリ「竜少年、こんな長いスリング持ってる?」え~、もってねえよ。

グリーンの残置スリングに竜少年が持っているロングスリング1本では、足りない。2本繋いでも1m20しかない。結べば当然、結び目ができる。結び目は引いても多分抜けない。う~ん、微妙なスタンスで考える。一つにはスリングの長さが足りない。二つには繋いだスリングが回収できるか。

3本繋いだら絶対回収不可能。でも、長さは必要。2本繋いで懸垂下降のアカヒキの要領でやるしかないか、トラバースはテクでなんとかカバーしよう。

そろりと何とかトラバースにギリギリ成功。20ミリ幅のスリングは、残置スリングから抜けないばかりか、片方のスリングが引いているスリングの輪の中に入って、逆に締まってきたではないか。

キャー、残置か~?それでも少しずつ引いて漸く回収、今日のラストは失敗した。と内心。そこを抜けてもトラバースの連続で左側壁でビレイ。このビレイ点も殆どぶら下がり状態。

3ピッチ目 
今度は右にトラバース。スタンスはスラブ。ホールドは下向きのフレーク状。後は、簡単なガリー状を登って、狸の腹の下のルンゼにでて登攀終了。

インスボンの頂上には11時を少し廻った時間である。お~、3回目の頂上だ、白雲台(ペグンデー)の沢山のハイカーにエールを送る。トクハンシーは私達との別れに、なんとビールを3缶ザックに隠し持ってきたではないか、カンパイだ、乾杯だ。トクハンシーありがとう、オカベさん乾杯だ~、なんだか彼の気持ちとやさしさが嬉しくなってしまった。少し、あたたかいビールだったが、最高に美味かった。

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  • インスボン

    今年は井戸の水が少ない。例年(といっても過去2年だが)、水はツルベ井戸から美味しい清浄な水が自由に汲めたが、今年は、井戸の底の方に、しかも少し濁っている。相変わらず冷たいことは冷たいのだが。

    小屋の側を流れる小川も全く流れておらず、滝も涸れて滝壷にかろうじて溜まっているような状態である。水は小屋で貰えたが、実に寂しい限りだ。雨が殆ど降らない、そうだ。

  • 今年は殊のほか暑かった

    天候が続き、クライミングには絶好であった。花崗岩の乾いた岩が満喫できた。

  • 交通機関

    模範タクシーは文字通り、優良タクシーでメーターと値段交渉でも殆ど同料金である。また、乗っていても愛想や対応もいい。

    降りるときには、名刺をくれたり、挨拶して別れる。また、もし、お客から苦情や、値段でインチキがあると捕まる、といっていた。黒塗りにオレンジのラインが入っている。

  • 通常タクシー

    車全体がシルバー色。最初からメーターが大目に設定してある(ような気がする)。例えば、トソンサからウイドンまで1000ウオンだが、1300ウオンにメーターが設定してある。トクハンシーから1000ウオンと聞いていたので、大分交渉したが1300ウオンで手を打った。大荷物を背負ってウイドンまではチト大変だもの。

  • 地下鉄の正しい乗り方

    地下鉄は日本より綺麗で路線ごとにナンバーが振ってあり、更に駅にもナンバーが振ってあるので、先ず間違えることは無い、と思って乗ったら間違えた。

    日本の地下鉄なら反対に行く場合階段を登って向こう側に行けばそのまま乗れる。しかし、韓国は違う。行く方向を間違えて乗ってしまった場合、次の駅で降りて階段を登っても出口しかない。反対側に行こうとしたら、出口をでて、もう一度キップを買いなおさなければならない。


  • 韓国のビール(メクチェ)は軽めで美味い。どぶろくのマッコリは推奨。マッコリの上澄みを「ドンドンジュ」と言ってこれはもっと美味い。

    屋台や飲み屋でグリーンのペットボトルに入っているのはドンドンジュよ~と日本人には言ってるけど嘘。それは「生マッコリ」生は日本語で書いてあって、マッコリは韓国語で書いてあるので直ぐ分かる。カルピスとマッコリを混ぜたみたいであまり美味くない。

    ドンドンジュと言ってこれがでて来たら「ダメ、NO.」と断るべし。

  • 飲み屋の選択に失敗

    昨年、錦少年、微苦笑、ユミコさん達と山の帰りに寄ったミョンドンの酒と料理が忘れられず、同じお店を思い出し、思い出ししながらなんとか見つけました。

    でも、今年は気分を変えて、昨年入ったお店の隣の店に入った。これが大きな間違いでした。どうしてその店に入ったかというと、昨年入った店は胡坐座敷に対しこちらは椅子席、またこの店のオーナーが日本の女性週刊誌に紹介された、と大々的にポスターが張ってあったから。

    椅子席に座り、とりあえず「メクチェ」と注文。するとなんと「びんびーる」が温かいではないか。「ノーノー、ダメダメ、ヌルイぞ」とこれが間違いの始まり。

    なんと氷を持って来たではないか、「ばかゆうんじゃね~、金払ってビールに氷入れて飲むバカがどこにいるんだ~」と日本語でまくしたてる。

    するとその温かいビールに無理やり栓をして冷蔵庫に入れてる。アリャ、あれをまた出すつもりだぞ。とみていると今度は冷えたビールを持ってくる。「あるじゃん。」と機嫌を直す。

    ブルコギその他を注文する。よし、次はドンドンジュだ、と注文すると、な、な、なんとマッコリを持って来るではないか、あたしゃ、怒ったね、「これはドンドンジュじゃね~、マッコリだ。」というと「いえ、いえドンドンジュよ~。」と平気な顔して言うではないか。「だめ、ひっこめろ」

    もう、隣の店に行こうか、と悲しくなってきてしまい、料理も並び始めたのでそうもいかず、大失敗。ここでダメ押し「ドンドンジュがある、というから入ったんだぞ、ドンドンジュだ~。」と南北問題やら、日韓問題を棚上げしてドンドンジュ問題に固執して、あわや日韓紛争か、と思わせる雰囲気がただよう。

    すると流石に韓国の商売人ですね、つ、つと表に出て行った。「オッツ、隣の店に行ってドンドンジュを借りてくるんだな」と勝手に想像する。「お待たせ、ハイ、ドンドンジュ。」といってグリーンのペットボトルの生マッコリを持ってくる、あ~あ、もう、これ以上怒るとヤバイかも、と思いしぶしぶ受け取る。

    ここでオカベさん「竜少年、この薬酒っての飲んでみない。」「うん、よさそう」と注文。これが大正解。美味い。もう、これで今までのドンドンジュ問題をすっかり忘れて、ブルコギの食べ方の講義など受けつつ、テーブルに皿が並ぶ。ま、南北首脳会談も行われたことだしイ~。

    店を出てからも「薬酒」が忘れられず、オカベさん今の店に戻ってお土産にする。ガムとあめを貰って一気に平和ムードが漂い、やっぱり韓国はイイ、ということになりました。


(荒井良 記)


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