.トップページ -> クライミング -> 八ヶ岳 阿弥陀岳北稜と横岳石尊稜

*掲載内容についての注意がございますのでこちらをご覧下さい→

八ヶ岳 阿弥陀岳北稜と横岳石尊稜

 このところ雪が降ってなかったせいか、美濃戸口のバス停も雪は全くといっていいほどなく、砂ボコリが舞っている状態だった。
 しかし、29日から31日までは雲ひとつない晴天、しかもほとんど無風という気持ち悪いくらいのお天気つづきでの登攀となった。



■12月29日 快晴 阿弥陀岳・北稜
 入山翌日ということもあり、睡眠時間をたっぷりとり年末の仕事疲れを癒すことができた。
この日は無理をしないで阿弥陀岳北稜をめざす。これが岳樺流なのだ。
入山パーティーは私たちを含めても3組。しかもお互いに離れて行動していたので本当に静かな半日を楽しめた。
 最近は中岳沢の途中からジャンクションピークを目指すのではなく、夏道に入って北稜の末端ピークをめざして登るらしい。分岐には目印があるので間違えないとは思うが、気づかずにそのまま中岳沢を上がってしまうパーティーもいるから注意するに越したことはないと思う。

みんな元気一杯だ。
荒井さんからトップを任される。なるべくトップの経験を積んでもらおうという先輩方の気持ちがわかり、正直嬉しかった。
前回の主稜で初めて冬季登攀のトップをつとめたのは良かったのだが、核心部でミシンを踏んでしまい、ヒヤヒヤして見守ってくれた先輩方なのになんと寛大なことか。

さて、核心部の2ピッチは無風快晴で快適そのもの。アイゼンをしっかりきかせて快調にザイルをのばすことができた。
積雪量も山麓ではほとんどなかったものの、稜線上にはほどほどにあって雪山気分を十分に味わえた。
最後の雪稜で仲間を迎え入れ、そのまま阿弥陀岳山頂へ。素晴らしい展望が私たちを迎えてくれた。

【コースタイム】
行者小屋BC(8:55)・・・北稜末端ピーク(10:20)・・・JP(10:30)・・・核心部取付点(10:50)・・・阿弥陀岳(13:05~30)・・・BC(14:30)



■12月30日 快晴  横岳西面・石尊稜
 パーティー構成はAチームがカネダ兄・ヤスコ姉・荒井さん、Bチームが酒井さん・微苦笑さん・Nob。この編成がなかなか良かった。手堅く老練な?Aチームに対してアンバランスさの中にも未知の可能性を秘めた?Bチーム。ウン、先が楽しみだな。

 6:30出発。中山乗越を経て柳沢北沢右侯に入る。ほどなく小同心ルンゼを左に分け、三叉峰ルンゼを進む。
いよいよルンゼの氷爆が迫ってきたところで、あれっ間違ったかな?入るべきルンゼが1本手前だったのかも知れない。先行者のトレースは右手(左岸)の尾根末端に上がっていたので酒井さんに偵察してもらう。
 その結果、正しいアプローチであることがわかり取り付く。ちょうど石尊稜の末端にあたる場所だ。ここで後続の7人パーティーに先行を許してしまった。

 末端尾根から第一岩稜までは不安定な斜面だが、ザイルを出すほどでもない。岩稜取付点にあるダケカンバの根元で順番待ちをする。1時間半近くは待ったと思う。

 しびれを切らした酒井さんが登りはじめたのが9時45分頃。頭上の先行パーティーの一人から「落ちるかも知れませんのでよろしく」と言われたとか。
続いて微苦笑さんが意外にも?(失礼!)安定した足取りで登っていく。いよいよラストの私である。傾斜は緩い(約60度)のだが、凍った草付きが案外くせ者でスリッブしやすい。
不安定な所で酒井さんご自慢のチタン製ハーケンを回収する。落としたら大変!上からのねっとりとした視線を十分意識しながら回収に成功。ホッ。(^^;

 岩稜上で酒井さんに迎えられ、ダケカンバの急斜面をそのままつるべ状に直上する。
約25m登った所の灌木に支点を求めて、微苦笑さん、酒井さんと順番に上がってもらい、酒井さんは続けてつるべで高度をかせぐ。以下、同様の方法でザイルを伸ばしていった。

 Aチームのカネダ兄パーティーとはつかず離れずで進む。雪稜の幅は広くなったり狭くなったり結構変化に富んでいて面白い。昨年登った赤岳主稜に比べたら幾分急だろうか?
天気は最高で微風快晴である。振り返れば中央アルプス、北アルプスや遠く妙高連山まで一点の雲ひとつない。
 ヤッケのポケットに行動食を入れていなかったためにシャリバテ気味となり、ほぼ中間と思われる地点の緩斜面で大休止をとる。ピヅケルでバケツを掘り、ゆったりと安定したところで仲間と談笑できる幸福に感謝した。

 後半もナイフリッジ状の雪稜を混じえた変化に富む斜面が続く。しかし、結構長くまたコンテニュアスでなくスタカットで安全を期して登ったために意外に時間がかかってしまった。
14時をまわる頃、稜線に突き上げる第二岩稜基部に到達する。すっきりとした岩稜でぜひトレースしたかったが、時間切れになる恐れも出てきたので直登はあきらめ右に鉾岳ルンゼ上部の雪面をトラヴァースするルートをとる。

このルート、見た目はやさしそうだが、ルンゼ上部の横断なので雪崩の心配があり、一番危険な地点(ルンゼのほぼ中央)で3人が集結したときは足下がすくわれそうになりホント怖かった。

 時刻も15時を過ぎるとどんどん時計の針が進む感じがした。時折縦走路に登山者が歩いているのが見えているのでそれほど焦りはなかったが、それでも明るいうちに地蔵尾根上部の鎖場を通過したかったので、気が気ではなかった。
ヤスコ姉は落ち着いたもので、微苦笑さんにカメラのモデルの注文をつけている。微苦笑さんは、落ち着かないらしく顔がこわばっていた。(^^;

 時間短縮のため、酒井さんは半マスト結びによるビレイ態勢をとっている。インクノットにしよう思ったら半マスト、半マストをつくろうと思ったらインクノットができてしまう情けない私は、カラビナ掛けの単純なグリップビレイである。

 ま、そんなこんなでトップの酒井さんが縦走路に出る。続いて微苦笑さん、私と無事に縦走路にたどり着いた。登撃終了16時。陽がだいぶ西に傾いている。

 さて、縦走路に出ても横岳の稜線は気が抜けない。雪が少ないせいで鎖が露出しているために下降しやすいが、多雪の場合は結構いやらしい所だろうな。ここを慎重に通過して、地蔵尾根下降点へ。振り返ればAチームの3人が日ノ岳付近の急な雪面を下降中だった。夕闇せまる地蔵尾根を黙々と下ってとっぷりと陽の暮れたテント場に着いたのは17時を過ぎていた。

【コースタイム】
行者小屋BC(6:30)・・・石尊稜末端尾根上コル(7:45~55)・・・取付点(8:15~9:45)・・・縦走路(16:00)・・・BC(17:00)



■感想
 石尊稜は、荒井さんがつねづね標榜していた「参加メンバー全員でアルビニズムの香り漂うクラシックルートをトレースしよう。」という、この会のひとつの目標が初めて達成された山行として大いに評価できるのではないだろうか?

 6人もの仲間が適度な緊張感と仲間同士で登れる安心感・連帯感に包まれながら一緒に行動できたことに大いに感謝をしたい。
また個人的には、初めて八ヶ岳に入山した19歳の若い頃には想像もできなかった「横岳西壁」に岳樺の仲間の支えでトレースを刻むことができたことに感謝したい。初級向けのルートとは言え26年越しでの中年の快挙に変わりはないのだから。(記 Nob)

クライミングの最近記事(5件)

上記以外の記事は「クライミング」のカテゴリーページをご覧下さい。

PageTop

Copyright © 2006-2021 山の会「岳樺クラブ」 All Rights Reserved.