北ア(新穂高→室堂)縦走を1泊2日で! ~2019.7.13-14~

dakekanba-admin

山域:北アルプス 新穂高温泉→室堂
日程:2019年7月13日(土)~14日(日)
参加者:ムー

昨年の剱岳1Day縦走(早月尾根→室堂)に続いて、今年は距離を伸ばしてみました。
行程は、新穂高温泉→笠新道→笠ヶ岳→双六小屋→三俣蓮華岳→黒部五郎岳→薬師岳→室堂です。
本来、テント泊であれば3泊4日程度の行程だと思いますが、海の日の3連休なので3日間で計画しました(16日(火)を予備日)。・・・が、さらに無理をして2日で下山しました。
簡単な報告ですがレポートをご覧ください(^_^)

自分を知るためのソロ縦走
今年もみっちゃんが国立登山研修所(富山県の立山駅近く)へ行くことが分かっていたため「今年はどうしようか?」と一人で地図とのにらめっこをしていた。昨年は、早月尾根からゴールの室堂まで北側を歩いたので、今年は南側から北上して室堂へと縦走するルートとし、新穂高温泉から入山することとした。
ソロということで一般登山道を縦走するわけですが、バリエーションルートやクライミングと違い、何を目的にするかは人によって違いがあるのではないでしょうか。私は「黒部源流の雄大な景色」や「槍ヶ岳や穂高の眺め」等の景観は気にしていません。ソロで登る場合は、特に自分の体力、精神力、判断力等、言い方を変えると「自分の限界」を知りたいと思っている自分がいます。ただ、勘違いしないで欲しいのは「遭難スレスレの限界を攻める」ことをしたいわけではないことです。自分の限界を知ることで、少しでも今後のトレーニングに活かし能力向上に努め、また、山行中の自分の調子を知ることで、より安全な登山を目指したいと思っています。トレーニングの延長みたいなものだと言うと言い過ぎで、実際には自分の調子を確認(自分の身体との対話)しながら歩くことを楽しむので、今回は天気で中止しようとは思いませんでした。

新穂高温泉を出発!
富士山五合目救護所の勤務を終えたみっちゃんと合流し、新穂高温泉には日付が変わってから到着した。登山指導センターに登山届を提出し、出発!

最初は笠新道まで1時間弱の林道歩き、良いウオーミングアップ。

笠新道は、急登。あとから来たトレイルランナーに抜かれる。昨年の早月尾根では、後半大きくバテたのでペースを抑えて登ったつもりが、だいぶ速くて稜線に出る頃には疲労を感じる。

夜が明けると予報通りの曇り空だが、ルートが見えるようになっただけでも気楽♪雨さえ降らなければ良いのだ。

稜線に出るまでで登りの筋肉を使ってしまったのか、笠ヶ岳までは、ほぼコースタイム。笠ヶ岳では、日本海側は明るいが槍穂の稜線はガスの中、すぐに折り返す。

雨予報の3連休も、多くの登山者
ここから稜線歩き、事前の情報では軽アイゼン等が必要ということで軽アイゼンを持ってきたが、雪はグズグズで急斜面でもないので使わずに済む。すれ違う多くの登山者と情報交換すると、皆さん雪の状況やルートの危険度を知りたがる。山小屋が多いせいか水場の質問は無かった。

稜線とは言え、国土地理院の地図でも分からないアップダウンが続き、疲労が蓄積されていく。双六小屋に到着した時点で相当に疲労していたが、まだ午前中のため行動終了とはできない。栄養補給と給水等の大休止をして再出発、双六岳への稜線ルートは残雪のため閉鎖中で、三俣蓮華岳へ進む。

この辺りは、なだらかで広い・・・いわゆる「たおやか」と言い表すことができる山容なのかと思う。北海道を縦走(旭→富良野)した際の景色にどことなく似ているなどと、自分らしくない(景色の)ことを想っているな~と考えながら歩いていた。
初日のテント場をどこにする?
双六小屋を境に登山者が減ったが、三俣蓮華岳を過ぎると裏銀座方面への縦走登山者が多く黒部五郎方面はグッと人が減る。

それでも、登山者は多く感じる、さすが北アルプスだ。黒部五郎小屋へ稜線を下りている最中に、登ってきたお兄さんが「あれー薄着ですよねー、なんでー?」と、挨拶抜きに叫んでいる。一人で叫んでいるのかと思ったが私に向けた言葉で、寒いので上着を着るか迷っていたところを長袖Tシャツの私が来たものだから、迷ったとのことだった。「稜線の南側は風があるが、北側は無風で暑いので」と説明したところ「俺もこのままもう少しガンバロー」と登っていった。
風の影響でガスが飛んだのか、黒部五郎のカールがキレイに望めた。小屋までだいぶ下る、この後の登りが想像されて嫌だった。

稜線から赤い三角屋根が見えていた黒部五郎小屋にお昼過ぎに到着。この先の小屋まで進んだ場合、到着は日没ギリギリとなる。
結局、まだ昼過ぎなのでと出発。カールのルートは、石の上をジャンプしながら進む。途中で出会ったソロ登山者と情報交換した際に「明日、雨が降ってカールを進むと渡渉が多くなり苦労するかも」とアドバイスされていた、今晩から雨予報なので進んでよかったと感じる。

キレイに見えていた黒部五郎岳も、到着する頃にはガスの中、記念写真だけ撮って先へ。さすがに疲れている。日暮れギリギリまで歩くような無理をする元気は明日に取っておこうと、次の小屋まで進むのは止め、風のなく平坦な適地を見つけ早めにビバークする。明日の地図を確認しながら夕食を摂り横になると、いつもと違ってすぐに眠っていた。

雨中の出発と暗闇でのルートファインディング
いつものように「良く寝た!」と思って起きると数時間後、2度寝して起きても深夜。予報通りに降り出した雨が、テントを叩くがザーザー降りではなく安心する。いつもなら「朝はまだか~」と嘆くが、今日は割り切って出発の準備をする。しっかりと朝食を摂りながら荷物を片付け始めると、シングルウォールのせいか結露が激しく、マットの下は水浸し、雨予報のため装備に加えたタオルで拭いては絞る、を繰り返す。
風のない適地のおかげでスムーズに撤収作業を終え、2日目未明に出発!標高的にはゴールの室堂と同じ高さ、疲労していても今日の方が楽なハズ!さて「どれほど回復しているか?」軽~い上り坂で、大して回復していないことが分かりガッカリ、まだ暗いので丁度良かった、ユックリ行こう。
暗闇に雨は、先月の高尾山夜間縦走でトレーニングしたので良かった、しかも高尾山の妙に人里から離れていない感が怖かったが、今日は大丈夫。ただし、初めてのルートなので、ヘッデンの届く5mほどをキョロキョロしながら歩く。さすが多くの登山者に歩かれている道なので問題は無かったが、注意しなければならないのは以下の2点。
①ガレだらけの広い山頂(や小ピーク)で登山道をロストする。→しっかりとコンパスを見て方角を確認して進む。
②登山道が雪渓に飲み込まれている。(雨で雪上の踏み跡も消えている。)→地図を見てルートを確認する。
どちらも、道をロストしかけると焦るので、明るくなるまで待つくらいの気持ちを初めから持っていれば冷静になります。今回は、地図とコンパスであっさりとルートを見つけたのですが、ダメな場合でも焦らないことが大切ですね。
 まだまだ遠い室堂と諦めない気持ち
太郎平小屋に着く、やっと携帯電波が届く場所に戻ってきた。計画書でもみっちゃんに場所の情報を入れるという事にしていたが、昨日の双六小屋手前から電波は入らなかった。雨の避けられる庇の下でエネルギーと水を補給する。そこから10分ほどの薬師峠キャンプ場は、遠くからテントの明かりが見えたので「ほっ」としたものだが、近づいてみると暗い中20張り以上のテントがあり、さすが北アルプスと思った。

ここから、沢のように水流となった登山道を、雪渓を絡めながら登っていくので、道も分かりにくく歩きにくい。稜線に出ると多くの登山者が泊っている薬師小屋、朝食前に一服している登山者の脇で休憩。

北アルプスで一番美しいと言われている薬師岳に、明るくなり始めた頃に到着、雨煙で景色ゼロ。北薬師岳まで岩場が続きとても歩きにくい。薬師岳より低いはずなのに、かなりアップダウンがあり、「(北薬師岳は)これか」を何度も繰り返すが着かない。コースタイムの30分どころか45分ほどかかる。今日中に室堂に着くのは気にせず、とにかく行けるところまで安全に進もうと頭を切り替える。

スゴ乗越小屋に着くころには雨も上がり、暑さ対策でレインウエアを脱ぐが、途端に喉が渇き始める。なので、スゴの頭と越中沢岳への登りは精神的に厳しい最初のピークだった。それでも何故か前の人に追い付いてしまい道を譲ってもらう際に「どちらまで?」と聞かれ「行けるとこまで・・・」と苦しみながら本音で答えているのに「カッコイイ!」と言われた。
五色ヶ原に到着!終バスに間に合うか!?
登りの筋肉は、とっくに使い切ってしまったが、下りの踏ん張りはまだ大丈夫だと思っていた。しかし、下りで着地する際に腹筋が痛み出してきた。これは、歩行中ずっと腹筋を使ってきたせいで、腹筋を触りながら歩くと腹筋に力が入っているのが分かる。腹筋をマッサージしても効果が無く、痛みは変わらず。腹筋が痛くて歩けないなんて情けないなぁ~と思う。荷物を降ろして上体反らしをすると回復したので、痛くなったら上体反らしを繰り返した。
五色ヶ原に着くと大量の水がジャージャーと流れている。しっかりと給水をして時計を見ると11:45、まだコースタイム以上にガンバしないと間に合わない。でも、残りの歩く距離も6時間を切っている。バスに間に合わなくても、雨を避けてテントを張ることのできる場所が室堂にはあるだろう♪と先に進む。しかし、いきなり出鼻をくじかれる、ザラ峠から獅子岳までの400mの登りが体力的に限界を超えて精神力で登っているボロボロの私を追い詰める。

ここが最後の精神的なピークだったが、その後の鬼岳と龍王岳のWパンチは、しっかりと雪切りされて歩きやすくなった雪渓でなかったら、長時間苦闘したでしょう。

歩きやすい雪渓のおかげで一気に時間も短縮し、誰もいない室堂には16時に着くことができた。

疲れ切ってヘルメットをしたままバスに乗車すると、腹筋が痛み出してきた。座っているので上体反らしもできず、ひたすら耐えるしかなかったので下山した開放感・満足感はお預けとなった。
今後のこと・・・
翌日には、みっちゃんも国立登山研修所での仕事が終わり帰ることとなったが、帰り際にみっちゃんが「また次回ねー」と仲間に言っていたので「今年が(国立登山研修所での仕事は)最後だったよね?」と聞くと「分からない( ̄▽ ̄)」と言う。
・・・地図を見て来年の事を考えようとしたが、いつもなら浮かんでくるルートは、今は浮かび上がってこなかった。もしも、ルートが浮かび上がってきたら・・・行っちゃうんだろう、山を歩くのが好きだから(^_^)v
ムー