稲子岳南壁左カンテ ~2019.7.13~

dakekanba-admin

■日程:2019/7/13(土)
■参加者:KOO、Qちゃん、すけちよ

三連休だというのにまたしても天気はイマイチ毎日のように天気予報とにらめっこ。好転の兆しはない。前夜泊日帰りで行ける場所…稲子岳南壁はどうだろう?と話はまとまった。なんとかお天気が持つことを願いつつ現地へ向かう。
3人とも稲子岳南壁を登るのははじめてだ。計画書を提出すると会長から取り付きまでが分かりづらいと思うから以前の記録を参考にするようアドバイスをいただく。それぞれ事前にいろんなレポを読んでいたが、私は我が会の記録の〝グリーンロープに「←中山峠40分 しらびそ小屋40分→」の標識プレート〟を見落とさないようにと先へ先へと進んでいた。流石に自分でも行き過ぎているんじゃないかな?と思いはじめているとkooさんから行きすぎだよ。この辺から入るはずと声がかかる。すけさんも俺もこの辺から入ると思う、というので登山道から脇道に入ると、真新しいピンクテープが要所要所にあるではないか。標識プレートは濁流に流されたようだ。テープに導かれながら、フカフカの苔むした急な斜面を踏み抜きに注意しながら登って行くと岩場に出た。すぐ近くで声が聞こえる。声がする方を見ると既に1パーティ登っている。登山道で抜かれた方々だ。ここが左カンテ?でも目印の残置ハーケンに赤いペンキが塗ってあるのと、木に黄色と黒のテープが巻きつけてあるのが見当たらない。周辺を探し回るがそれらしきものはない。やはり先ほどの場所が左カンテだよ、と戻ると、なんとなんと!しらびそ小屋で休んでいたご夫婦に一歩遅れをとり、3番目になってしまった。

登り始めたばかりだから準備をして待とうと支度をしていると、そこへ今度は4人パーティがやってきた。
そのうちの1人に岳樺クラブの方ですか?と訪ねられる。??なんでわかったんだろう?聞けば、ヘルメットにステッカーが貼ってあるのを見たとのこと。なんと昨年GWに前穂の山頂で写真撮ってもらった「しらびそ山の会」の方であった。あっ!そういえばそんなこともありましたね。凄い偶然。
聞けば我々と同じく三連休天気があまり良くないので、場所を変更して稲子岳南壁に来たとのこと。3人の若手の指導に当たられていたベテランの方は何回も来ているようで、こんなに混んでいるのは始めてだと仰っていた。

登り始めてからは「そこは抜ける所がスタンス無くて嫌な感じ」とか、「このルートはハングしているけどこっちからも登れるよ」とか要所要所でアドバイスをしてくださり終了点に着くまで私達を見守ってくださった。初見で先の見えない私達にとって、とても心強かったです!しらびそ山の会の皆様本当にお世話になりました。
帰りも登山道に出るまでそんなに時間もかからず、道も明瞭。今回のような岩場があればいいのにねー、と達成感に浸りながら駐車場へと向かう。心配していた雨は駐車場に着いた途端降り出した。

覚え書き①(南壁取り付きまでのルート情報 2019/7/13現在)

しらびそ小屋より中山峠への登山道を登って行くと、丸太を横に積んだ石堤らしきものが見えてきます。そこから、稲子岳方面に藪を進むと赤テープやリボンを付けた木が何本も見えてきます。それらをたどっていくと、正面に岩場(基部)が出てきて、「黒・黄・黒」のテープが巻かれたダケカンバの木の上が南壁の取付きです。

稲子岳頂上からは中山峠方面に踏み跡やリボンをたどって下降すると、最初の登山道(中山峠寄り)に下りてきます。

覚え書き②(しらびそ山の会の方から聞いた情報)
登山体系に載っているルートは左カンテ以外は崩壊して登れない
・・・ということで、しらびそ小屋ベースで合宿もいいかも、という考えは儚くも消えた。。。

@Qちゃん

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練習の成果を感じ取れるホンチャン、チャレンジでした。
梅雨空には勝てず天気が持ちそうな1日を使っての山行。八ヶ岳の東側は普段縁の無いエリアでイメージが湧かない。ただ千葉からの移動時間を考えると有効な場所の1つ。稲子湯駐車場を6時に出発、岩稜に着いたのは9時ごろ。赤テープが着いているのでスムーズに行けたと思う。先行パーティーの2人組が取りついているルートが左カンテか判らず、概念図と見比べて左左と壁を見ながらルートを探してみたがそれらしいルートが見当たらず、先行パーティーの所に戻ると1組待機していて、最初にたどり着いた場所が左カンテだったんだと気が付いたが、迷っている間に1組先行されてしまった。
時間も早いし慌てず以降と思っていると直ぐに次の組が後ろに着き挨拶をしているとダケカンバの方ですかと声をかけられ、去年のゴールデンウイークに前穂の頂上で一緒になったしらびそ山の会の方々で、山で会えるのはとても嬉しい出来事でした。

私を真ん中に3人でロープを結び1Pは私がリードでスタート。いきなりヒリヒリする緊張が走るスラブのクライミングでしたが、先週の聖ヶ岩での練習が生きて、固まることなくシューズのグリップを確認しながらゆっくりと高度を上げられた。セカンドQちゃん、サードのすけさんが今度はリードで2P。セカンドは周りの景色を楽しむ余裕が少しできてアルパイン独特の切れ上がった景色を貴重な晴れ間に眺めることが出きた。3Pもすけさんリードで左側のクラック沿いに上がる。めぼしい支点が無いためカムを2発決めてグリップしながら登る。わたしは、念のために持ってきたジャミンググローブを着けてセカンドで登りましたが2mぐらいの立ったクラックがなかなか難敵で高度感が無ければ何てことは無いと思われるが、この高さでクラックをジャミングするのはしびれる。ただグローブのおかげで素手なら傷だらけになるのが怖くて思い切ってできなかったと思われるハンドジャムを躊躇なくできた。フットジャムの膝を交互に抜くのに足を入れる深さと足首の角度をいろいろ試しながらなんとかクリア。私には今回の核心に思えた。4PはQちゃんリード。5Pは直登ルートと左から巻くルートの2ルートあり、終始テールテゥノーズで上がってきたしらびそ山の会のリーダーの方が直登は1手かぶっている場所が有るということで、今回は無難に左のルートから上がりました。5PはQちゃんリードで登り始めましたが途中でキビしい箇所があるということで、安定した場所にとどまってもらい、私が追い抜く形でクリア。6P、Qちゃんリードで10:00に開始したクライミングを13:00に無事完登することができました。その後はしらびそ山の会の方々と撮影会を行って山頂をあとにしました。それにしてもこのルートを普段のトレーニングに使っているとは羨ましい限りです。今度は直登ルートにチャレンジです。

@KOO

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当初計画していた明神岳南西尾根縦走は雨天中止となりましたが、今回の稲子岳南壁は前週の聖ヶ岩合宿での練習を生かせた場面が多々あったり、カムとジャミングの恩恵にあずかったりと、たった一日なのに十分にリカバリできる実りのある外岩山行となりました。
先行は2パーティで、すぐ後に別のパーティが続いた。そのパーティはなんと、おととしの岳沢GW合宿で前穂高山頂でカメラを撮っていただいた「しらびそ山の会」の方々であった。
http://www.shirabiso.net/sankouhoukoku2018.html#20180504
http://www.shirabiso.net/2018/dakesawa.pdf(下から6行目)
編成はKOOさんにロープ2本を結んでQちゃんと私がフォローでスタート。1P目はKOOさんリード。難なくQちゃん、私が続く。2P目は私がリード。途中のガレ場は落石に細心の注意を払う。3P目も私がリード。核心だろうか、先行パーティも皆ここで行き詰っていたようだ。右のチムニーはガレていて後続者への落石の可能性が高くなるため、左の高さのあるクラックを選択するが1つ目のピンが遠い。途中に亀裂があるのでここで微苦笑さんからあずかった「会のカムデバイス」を使ってみた。会のカムはよく見るとギザギザの部分が摩耗していて、まるでツルツルのタイヤのようなカムばかりで、諸先輩には申し訳ないが、正直、役目を果たすのか不安であった。だがカムを初めて使う身分なのでそんな贅沢なことは言ってられない。カムの番手も分からないままセットしてみると、まぐれ?なのかカムがぴったりと亀裂にハマった。下に引いてもビクともしない。思わず「うれしー!」と叫んでしまう。(会のカム達よ、ごめんなさい)
カムがハマると安心感が違う。2個目のカムもハマり1つ目のピンに辿り着くことができた。が、左手のクラック以外は何もない。ハンドジャムには広すぎる。悩んでいると「ピンにスリングをかけてアブミにしたら?」とKOOさんのアドバイス。右手でA0の選択も考えたが、ピンの位置が高かったので堕ちてもダメージは少ないはず。思い切って以前、微苦笑さんから教えてもらったフットジャムを仕掛けてみると面白いように上に進めるではないですか。微苦笑さんとの練習が本チャンで生かせてよかったです。今後はカムで山行ルートの選択肢を広げたいですね。
4P目はQちゃんがリード。しらびそ山の会の方が言うには5P目は右(直登)ルートと左(巻き)ルートがあって、左は「階段状」で、右は「ややハングしていて少し難しいけど面白いのはこっち」とのこと。先ほどの3P目を簡単にクリアしてきているしらびそ山の会の方々のアドバイスは我々にはレベルが違うと判断して無難な左ルートを選択した。(笑)
5P目はQちゃんリード。途中から狭くなって右に折れるいやらしいルンゼだった。スリングをかけるような場所がなかったため、途中でKOOさんに交代。無理をしない選択が正しい。これはこれでリードがケガなどをした場合を想定した練習となってよかったのではないかと思う。

最終6P目は大岩を超えるようなピッチでQちゃんがリードで、無事にピークに着いた。そこでまたしてもしらびそ山の会の方に会旗の記念写真を撮ってもらい下山となった。しらびそ山の会の方々には途中、いろんなアドバイスや情報をいただきました。ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう。
最後にこうしてカムやジャムが使えたのもこれまで会を築いてきた皆さんのおかげです。
今後ともよろしくお願いします。
p.s しらびそ山の会のリーダー格の方が新人メンバーらしき方の育成をされてました。厳しくもあり優しくもあり。その姿がなんとなく竜少年に見えてなりませんでした。僕らも竜少年とこうできたらなぁ、などと話ながら下山しました。

@すけちよ