奥明神沢から前穂高岳 ~2018.5.3-6~

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山域:北アルプス 前穂高岳(奥明神沢~ダイレクトルンゼ)
日程:2018年5月3日(木)~6日(日)
メンバー:ムー(L)、すけちよ、Koo、ドリル、Qちゃん

 

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入会して2度目となる春合宿は以下のような行程となりました。

5/2(水)雨 沢渡の某所で雨を避けての前泊

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5/3(木)曇 雨は止み岳沢へ。コブ沢に向かい黙祷

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5/4(金)雪 終日停滞

5/5(土)雪のち晴れ(強風) 昼から晴れて奥穂南稜を偵察

5/6(日)晴れ 前穂高登頂

行く前からのあいにくの天気予報に、「テントで終日停滞か~」とテンションが下がるのかと思いきやなんのその。5人全員、ヤル気イク気満々。

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「停滞をやってみたかった」

「こういった経験が必要」

「どんな気持ちになるんだろう」

いつも晴れる山行とは違ったものを待ち望むメンバー。頼もしいですね。

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実際、前泊含む4泊5日のうち半分以上がほとんどテントの中での生活でしたが、時間を持て余すことはなく、どちらかというと充実していたのではないかと思うくらい快適でした。ジャンボテントと人数の関係もありますが、雑談、昼寝、今後の計画、行ったところ、行きたいところなどを話したり。話題、ネタは尽きない。

一粒のチョコレートを大小さまざまに5分した遭難シミュレーションに中年5人がジャンケンで盛り上がる。そして夜はいつも以上に苦労して担ぎ上げた大量の飲料物と工夫された料理で更に盛り上がるのでした。

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5日は午後から天候がいくぶん回復し、奥穂高南稜の取り付きまでの偵察とビーコン訓練。ムーさんが南稜のルートを説明してくれると、しだいにメンバー全員のベクトルが奥穂高山頂に向いたようで、今後が楽しみです。

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最終日はようやく前穂高にチャレンジする天候となり、午前3時に起床。雪はしまっているのでアイゼンの効きはよいのですが、転べば下のテント場まで滑落していくくらいの傾斜が山頂まで続くため、これまで経験した冬山行とは格段に違った緊張感を感じました。

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ダイレクトルンゼの難所「ノド」を通過して行くと更に傾斜がきつくなるのですが、ただひたすらに雪渓を登るせいか、山頂にはあっという間に着いた感じがしました。もちろん、下りは登り以上に難易度が増し、緊張感を通り越して恐怖を感じましたが、すぐさまバックステップ(クライムダウン)に切り替えて下降。下りの3分の1はバックステップでしたが、自分にはこれが一番合ってるやり方なんだと思ってます。

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「ノド」は懸垂下降でクリアしましたが、これまでの山行経験からかメンバー全員、懸垂下降の準備にかかる時間が確実に短くなっている気がします。

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話が前後しますが、山頂は奥穂、北穂、槍ヶ岳、明神岳、そして先月登った霞沢岳が一望で、すばらしい景色の中で会旗を掲げることができてよかったです。おかげで合宿の最終日と今季の雪山を締めくくることができました。

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今回、雪山に携わってきたメンバー5人が初めて全員揃っての山行となり「寝食停滞」を共にできた経験は大きく、昨年同様にすばらしい合宿になったと思います。いろいろとフォローしてくれたリーダーのムーさん、KOOさん、ドリさん、Qちゃんに感謝です。

最後に、停滞しても楽しく登れたのはこれまで築きあげてきた会の皆さんのおかげです。今後ともよろしくお願いします。

すけちよ

 

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荒ぶる山との向き合いが、ゴールデンウイーク合宿のテーマになりました。

雪を求め、白馬から去年と同じ岳沢に変更したが、連続で天気に恵まれた山行から打って変わって天気予報は荒れ模様。出発を悩まされる状況ではありましたが、停滞も経験の一つと気持ちを切り替え臨むことに。前泊の沢渡駐車場は大雨。3日は荷揚げと訓練を目的にしていたので雨の具合をみて遅めの出発したのが正解で濡れずに岳沢まで到着できたのは良かったのですが、西穂高沢に雪がつながっていないなんて。去年快適にトラバースした斜面は使い物にならない状況。途中の景色が去年とはまるで別物で雪がとても少ない状況に3,4月の異常な温かさの影響を改めて感じる光景でした。

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ベース設営後、コブ沢の前で黙とうをささげ安全の大切さと生きて帰る技術の再確認のため、雪訓の時に抜けたスノーバーの設置方法の確認をしたいとのMuuさんの申し出にリード、ビレイヤーの手順確認後実際に設置したスノーバーにテンションを掛け実験してみましたが、重力に対して若干寝かせることで抜けないことを確認できました。

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訓練を終え今晩の食事は、豪華すき焼き。Qちゃんの目利きの牛肉に舌鼓を打ちビールとワイン。停滞覚悟ですからアルコールもたんまり上げてあるのでグランピング気分の1日目でした。4日は予報通りの悪天候で、こうなると楽しみは晩飯でキムチ水餃子、ビール、日本酒で盛り上がりました。5日も回復が遅れ午前中は荒れ模様で1日半テントにこもることになりましたが、思っていたほど苦にならなかったというか、ジャンボテントで逆に快適なくらいでした。5日の午後は、いずれは登るであろう奥穂南稜の取り付き近くまで足慣らしをし、明日に備え早めに休むことにしました。

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6日、待ちに待った好天の中4時20分に前穂高を目指して出発。Muuさんを先頭にはやる気持ちを抑えつつセーブしたスピードで高度を上げていく5人。快晴・予報風速13mの中、アイゼンの効きも安定していて快調に登ることができました。

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7時20分、久々の3000mに到着。やはり嬉しいものです。明日のことを考え早々に下山開始。雪の切れたノドの部分はロープを出して順番に降りていると、最後のすけさんの番になった時、待ちきれない単独行者が先に降りてきた。ところが岩の足場から雪面に切り替わる場所でバランスを崩し尻餅、あわや滑落寸前で踏みとどまった。サングラス越しの無表情の顔から恐怖心がにじみ出ているのが分かった。その後、単独行者が精神的ダメージから抜け出して動き出すのに3,4分掛かったと思う。メンバーでは無かったが奥明神沢の核心部、目の前で起きたヒヤリハットでした。シーズン最後の雪山でしたが、最終日に頂上に立って終われ、停滞しながらも達成感を感じられる合宿でした。

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雪山不慣れな新人メンバーを引っ張ってくれたMuuさん、一緒にレベルアップできたすけさん、Qちゃん、ドリさん今シーズンはお世話になりました。

来シーズンが楽しみです。

Koo

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山行前の色々な不安が、実際に参加・経験して解消した山行でした。

雪質は気温によって刻々と変わっていき、アイゼンの効き方がどのように変わるのか。

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日向と日陰、風が吹いた時では体感温度も全然違うので、着る物やグローブをどれくらい重ねればよいのか。

足を滑らせれば大変なことになってしまう急な坂を、どうやって歩けばよいのか。

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落石が起きた時、どんなふうに転がっていくのか。

やはり山は経験しないと身につかないのだなと思いました。

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ドリ

 

 

やっと雪山をやるメンバーが揃ったというのに悪天予報⤵︎今まで会長も羨ましがる⁈ほどの好天に恵まれていただけに、このタイミングでか…

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あまりの雪の少なさから場所を岳沢ベースに変更し、目指す穂高の山域にねむる大先輩に、入会の報告と、安全に活動が出来るよう見守って下さい。と黙祷を捧げることができた。

雨、吹雪と目まぐるしく変わる山の天気に翻弄されながら2日停滞の後、前穂高に全員登頂することができた。山頂からは、藪漕ぎに泣かされた霞沢西尾根、遠くに槍ヶ岳、奥穂高、明神などの峰々が我々を迎えてくれ、悪天で登頂を諦めてテントを撤収する人も多い中、耐えた甲斐があったと心底思った。

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今回も下山時に懸垂下降をすることになった。岩に頼りない捨て縄がかかっているだけの場所で安全に懸垂下降をするにはどうするか?リーダーのムーさんが出した答えは、前のパーティとは違うセットの仕方だった。状況に応じ、その都度最善の方法を他のメンバーと相談しながら考えてくれる。

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2日間の停滞中、雪上トレーニングやメンバーと様々な話しをする事が出来た。皆、いろんな事を知っていてとても学ぶことが多い。度胸だけでなく技術も身につけ、これからもいろんな事に意欲的にチャレンジしていきたい!

Qちゃん

 

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「今年のGWはどうする?」「○○尾根、○○稜はどうか?」というような楽しい話を仲間でしていると、昨年のGWに私が「来年!」と言った言葉が頭の片隅で “ねぇ、私のこと覚えている?忘れていないよね?”と私に囁いてくる。私は “あぁ、もちろん忘れていないよ、う~ん、だけどね・・・”と歯切れが悪い。。。

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今年のGWは当初、竜少年に薦められた双子尾根(白馬杓子岳)を挑戦する予定だったが、3月以来の高気温による雪解けが速く雪稜は藪と化し尾根歩きは厳しいと判断した。そこで、雪も残っており、個人的にも“約束の地”である奥明神沢、ダイレクトルンゼから前穂高岳を参加者に提案した。

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計画は連休前夜出発し、5/3にベースとなる岳沢にテントを張り訓練、5/4に前穂高岳、5/5に西穂高沢から西穂高岳、5/6予備日とした。出発が近づくと天気の大荒れ予報が出て、テレビでもお天気お姉さんが「登山をされる方は中止した方が良いですよ」と言っている。でも参加メンバー全員「停滞も山経験の1つ」とブレなかった。そこで私は、食料・飲料計画は2泊3日だったので、3泊目の飲料(だけ)を追加で用意した。そのせいで背負う荷物は、入会した年の忘年山行以来ではないかという重さであった。岳沢まで「フーフー」言いながら担ぎ上げて歩く時に『年に一度くらいはかなり重い荷物を持ち、苦しい経験をするからこそ、軽量化の大事さが分かる』のではないか、という思いが頭に浮かんできた。

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天気は予報以上に長く荒れて、4日から5日の朝まで吹雪いていたので、3日はスノーバー・デッドマンを使用した支点作成を中心にした雪上確保、5日は午後から奥穂南稜の取り付きを確認した後でビーコン捜索などを5人で実施しました。また、自身初の停滞でしたが5人でコミュニケーションを取ることができ、テントでの過ごし方、段取りや手際など、それぞれの知識や技術の共有化が図れたことを含めて「登れずに下山することになっても、良い経験をした」と感じていました。

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予備日としていた6日、ついに朝から良い天気となった。7日(月)は全員仕事なので下山を考慮して3時起床4時過ぎ出発。頻繁に高度計を確認し一定のペースを維持するように高度をあげていく。雪面の角度は、どんどんと急になり壁を登っているのではないかと思ってしまう。昨日の朝まで降った雪も締まっているためアイゼンが効くが、昨年の西穂高沢のように陽が当たれば雪は緩み登りも下りも難儀するのは間違いない。また、雪崩の心配もそうだが、奥明神沢は両側を岩壁に挟まれて、かなりの落石の痕跡が残っており、やはり早めに下山しなければと再認識した。というわけで、リズムよく登ったのは以下のとおり。

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♪~♪~~

2日間の停滞で体調がBest! 奥明神沢下部は景色が低調! なわけでペースは快調! ダイレクトルンゼに入ると挑戦的角度! 視界は拡張! 下見りゃ緊張! ノドの通過は会長のっ!アイゼントレの成果で好調! 雪壁を慎重に! そしてハイマツ帯を通過すると突然山頂!

♪~(^^♪

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山頂の標識が(埋もれて?)無かったので5人でのグータッチを忘れてしまったが、みんな槍穂の景色にはしゃいで山頂のひと時を楽しんだ♪そして、登りよりも危険な下山は、ノドは懸垂下降、急斜面はクライムダウン(バックステップ)を使用し、安全に下山しました。

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山へ行けば行くほど登りたい山やルートは増えていきます。今年は奥明神沢から前穂高岳に登頂しましたが、岳沢から登っていないルートはまだ無数にあります。「来年!」という単語が “忘れてないよね?”と囁いてくるのに、後ろめたく思っていましたが、今回は粘って登頂できたのでスッキリしました(*^^)v

ムー

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