爆風&無風の朝日岳東南稜 ~2019.3.17~

dakekanba-admin

山域:那須連峰 朝日岳 東南稜
日程:2019/3/17(日)
メンバー:ムー(L)、すけちよ

有名な那須の爆風を体験しに(!?)、朝日岳東南稜を再訪しました。参加者からの報告です!

3月になり気温の上昇を感じると「今シーズンの雪山も終わりに近づいている・・・」と焦る自分がいる。今年もアイスクライミング、スノーシューと、大好きな雪山を楽しんだと思う。しかし、雪稜はどうだろうか?「攀っていないなぁ(>_<)」と思う。
そこで、すけさんと八ヶ岳南部のバリエーションルートの計画を立てたのだが、土曜日の天気予報が良くない。中止にするのは嫌だったので、昨年の秋に攀った「朝日岳東南稜」に1日だけの晴天を活かして登ろうと計画変更しました。

前夜に冬季の登山口と言える大丸園地でテントを張るが、とんでもない爆風にテントがひしゃげる、その度にビールが倒れないかと心配した。(・・・って飲んでるんかーい( `―´)ノ)そんな感じで、爆風も気にならないほど気持ちが大きくなった(?)ところで就寝。そして、夜が明けると風はすっかりと止んでいた。
前回の感想として、朝日岳東南稜の嫌なところは、ガレ場や浮き石が多く、落石(先行者からのものと、自分が落としてしまうもの)の心配が強かった。今回は冬季のため積雪や凍結により、無雪期よりも心配せず楽に攀れました。ただし、登山口までの道路は冬季閉鎖のため、小一時間ほど追加で歩きます。

この季節は藪もなく取り付きまでのアプローチも楽です。取り付きでアイゼンを装着し、稜線沿いのガリー状の場所に積もっている雪の部分を選んで攀りました。

岩場ではアイゼンの爪を突起に丁寧に乗せながら、確実に高度を上げていきます。

前回、途中で唯一ロープを使用した懸垂下降箇所では、今回もロープを使用して安全に下降しました。降り立ったギャップの底からは、右に周り込んで上を目指しますが、先行しているソロの方のトレースがありません。すけさんと「?」となり念のためルートを見回しました。結論としては、我々が進もうとは思いもよらなかった正面の壁を攀り返したということでした。
核心部分を越えるとガレた広い稜線になり、続いて藪の生えた稜線を進めば、あっという間に山頂に到着します。山頂では先行のソロの方が休憩していて、少しお話しすると我々がいつもお世話になっている「聖ヶ岩」の整備を行っている白河山岳会の方でした。いつも、お世話になっている事と、今年もお世話になる(春と秋の土日で訪問予定の)件などを話しました。

山頂では、この日のNewアイテムである「小旗」or「手旗」を掲げ、すけさんと2人で記念写真を撮り一般道で下山しました。下山後は熱い源泉かけ流しの温泉で温まり、リニューアルした矢板北パーキングエリアで唐揚げ定食(大盛)を食べました。衣に混ぜたコショウが効いていて、とても美味しかった!そこでは、キリマンジャロ登山でお世話になったYさんに偶然出会い(同じく東南稜を登ったとのこと)、充実した1日の締めくくりと思いましたが、その後、東北道は事故のため14kmを90分以上という大渋滞(T_T) これは、時間の無駄!と判断し、佐野SAで仮眠をしてから帰宅しました。
那須は風が強いので、こんな無風の日は「ありがたい」に越したことはないのだが、正直「拍子抜け」させられた。だが、これに油断せず、今後の山行も万全の対策で山に臨みたい。(ちょっと真面目過ぎな〆?)
ムー

当初、予定していた八ヶ岳の計画書(ムーさん作)はスパルタそのもので、1日目に阿弥陀北稜+八ヶ岳主稜、下山して2日目に阿弥陀南陵という、稜線テンコ盛りの行程だった。とはいえ、それに応えらえるようせっせと連日スクワットに励んだが、残念ながら天候不順で急遽日帰りの東南稜に転戦となった。その東南稜は去年の9月以来、2度目となる。またムーさんとのバリはあの鋸岳以来だ。

土曜日の夜に大丸(おおまる)温泉駐車場で仮眠しようとテントを張るも、吹き下ろしと思われる強風にテントが吹き飛ばされそうになる。竜少年が言ってたとおり、相変わらずここは風が強い。公衆トイレの横に隠れるようにテントを張り、明日はこの強風に悩まされるだろうとムーさんと事前反省会(?)を経て就寝した。
翌朝目が覚めると強風がウソのようになくなり無風状態。ゴーグルやらカイロを用意してきたのにいい方に裏切られる予感。

冬季はこの大丸温泉駐車場から先はゲートで閉鎖され、峠の茶屋駐車場までは徒歩となる。峠の茶屋付近からはそれなりの積雪で、4番と書かれた案内板付近から右へ下降する。

途中、東南稜を見ると先行する人が1名いるのを確認できた。東南稜の取付きでアイゼンを装着する。

登り始めはやっぱり雪があったほうが登りやすいねー、などとムーさんと話していたが、中盤は吹き溜まりに多少の雪があるものの、雪のないところのほうが多かった気がする。

東南稜は途中、V字に切れ落ちた5メートルほどの懸垂下降ポイントがある。我々が下降するとそこからのトレースがない。先行した方は対面の岩をフリーで登ったとしか考えられない。すごいですねー。

頂上から直下の約50メートルはちょっとしたクライミングポイントとなる。実はここが一番いやらしい場所と思えた。無雪期ではガバと思える岩が手袋をしていると微妙にガバではなくなり、頼りになるのはアイゼンとなる。何ヶ所かはピッケルを必要とする場所もあった。ここは足を滑らせると取付き下から数百メートルは滑落する場所でもあり、今思えばロープを出すべきだったかなと思ったが、スリングもかける場所もなかったので今後注意すべき場所とした。またそれとは反対に天覧でのアイゼントレ、グローブトレ(by KOOさん手袋)が生かせた場所でもあった。
山頂に着くと、やはり強風はどこへやらで、ほとんど無風にちかい。先行されていた60代くらいの男性が休まれており、お声掛けするとなんと聖ヶ岩のゲレンデを維持メンテされている白河山岳会の方であった。思わすムーさんと顔を見合わせて「毎年使わせてもらってます!ありがとうございます!」と感謝の意を伝えた。途中の5メートルの登り返しもこの方だったので相当のベテランとお見受けしました。毎年この時期は足慣らしで東南稜に単独でやってこられているようで、聖ヶ岩の「奥の院」の開拓状況や、取付きから難しいよね、とか共通の話題に話がはずみました。
山頂には他の登山客もやってきて、常連と思われる方から話を聞くとやはり風がないのはめったにないらしいです。風や雪にいじめられるのは嫌ですが、あまりに平穏な状態でのアルパインは少し残念な気持ちにさせられました。

とはいえ東南稜は強風さえ克服すれば比較的近くて環境の整った場所であり、何度も来てもよいコースではないでしょうか。
あと、大丸温泉駐車場に面した「那須大丸ガーデン」の露天風呂は思わず「ムーさん、絶対押すなよ!」と言いたくなるほどめちゃくちゃ熱い湯でしたが最高でした。
矢板北SAで遅めの昼飯(鶏のから揚げ定食がおすすめ)を食べると事故渋滞が発生していて、佐野SAでムーさんと車中で昼寝して無事帰ってきました。
こうして楽しめたのもチームのメンバーとこれまで会を築いてきてくれた会の皆さんのおかげです。今後ともよろしくお願いします。
すけちよ