雪山トレで欲張って槍ヶ岳、奥穂高岳 ~2019.11.2-3~

dakekanba-admin

山域:北アルプス 槍ヶ岳、奥穂高岳
日程:2019年11月2日(土)~3日(日)
メンバー:ムー

11月の登山
例年、晩秋の山行場所を検討する時、3000m級の山は、積雪したばかりの微妙な雪の付き具合や薄氷に難儀するため選択肢から外しており、結果として行く回数の多かったのは妙義山に代表される西上州や、同程度の標高(2000m未満)の岩場のある山でした。
今年は9月から10月にかけて台風・大雨に伴う災害が多く発生し(仕事・道路事情・登山道の状況を勘案し)たことで、幾つかの山行を見合わせましたが、11月の3連休にみっちゃんが上高地へ行く(みっちゃんのHPの記事→2019国際山岳救助協議会ICAR(イカール)総会報告会とレスキュー研修会に参加)という事なので、この時期としては初めてですが、雪山トレーニングにかこつけて槍ヶ岳に登ってみようというミーハーな心を抑えることができず、みっちゃん号に同乗させてもらいました。実際に歩いてみると快調で、計画では控えめに書いた奥穂高岳もついでに欲張って登頂してきました。
トレーニングなので、写真も報告も少ないですがご覧ください!

今回の目的!
雪山トレということで、①アイゼン・ピッケルを使った歩行、岩場の通過、②寒さ慣れ、③脚力の維持を目的にしていました。①は、どちらかと言うと半年近く間が空いたので復習的なものでしょうか。②は、毎年の事ですが、寒さに慣れておかないと辛いので予習か。③は、雪山ではなくても山登りには必要なものなので、いつも意識しています。また、前述以外にも今回の山行でデビューするインナーウエアやザックの使用感がどんなものになるのかと楽しみにしていました。

徳沢までみっちゃんと。
金曜日、私の仕事が急遽夜勤明け休みとなり早く出発できたので、土曜日は朝から上高地入りする。みっちゃんは昼に上高地入りすればよかったのだが、せっかく時間があるので徳沢まで一緒に歩いて、シーズン終了間際のセールで300円に値下げしていたソフトクリームを食べてから別れた。みっちゃんは、上高地まで戻る際に行ったことのなかった明神池や穂高神社奥宮などを散策して帰ったようで、有意義に過ごせたようで良かった。

ソロの良いとこ!!悪いとこ??
当初計画では、昼に上高地入りして横尾でテント泊としていたが、朝入り(上高地)したので、ババ平の槍沢キャンプ地には行けるだろうと考えていた。岳人10月号の特集「ひとりの山」-単独行を楽しむために-を読んだせいか、「自由に歩けるのがソロの良いとこなんだ」と今まではソロで登ることも少なかったのと、計画通りにこなすことが登山だと思っていたので、その自由さに改めて気付かされた。
ただ、ソロでバリエーションルートに行こうとは思わないし、今回のように一般登山道をソロで登る場合も、電波圏内では都度、状況連絡を入れることにしていた。
これを読んでいる多くの方がご存知かと思いますが、先日、雪山装備を持たずに富士山頂からインターネット生配信中をしていて滑落し亡くなった遭難事象の影響なのか、明らかに新品のアイゼン・ピッケルを背負った日本人、外国人も多く見られた。中には、チャック袋に入った取扱説明書がぶら下がったままのピッケルを背負っていて「大丈夫!?」と他人事ながら心配してしまう。
槍沢ロッジ・ババ平のキャンプ地には昼前に到着。さすが槍ヶ岳、多くの登山者がいる。ここから先の営業中のテント場は槍ヶ岳山荘のみ、だが「最悪ビバークすれば良い!」と先に進む。

槍ヶ岳登頂!
ババ平のキャンプ地を過ぎると傾斜がきつくなるが、快調にスタスタと進む。2600m付近からは雪がちらほら残っていて、2700m付近でほぼ雪面となったのでピッケルを出した。照り付ける日差しのせいで雪はグズグズになっているので、アイゼンは付けずに山荘まで上がったが、人によっては軽アイゼンだけ付けてピッケルはザックに背負ったままで「滑る!滑るー!」なんて声を上げて四つん這いになって登っている人もいて、「そのまま下に滑ってこないでねぇ~(;^ω^)」って呟く。

槍ヶ岳山荘に着く直前には、息苦しくてペースは大幅に落ちたが13時半に山荘テラスに到着。「今日の雲一つない青空を逃してなるものか!」とアイゼンを装着して、ザックを背負い直して槍の穂先へと向かう。ここ数日の好天で見た目は雪が少なくなったように見えたが、基本的に足元は雪で、梯子部分のみ雪が無いような印象。そんなに嫌な部分はなく、快晴無風の山頂に到着。明日は、高曇りの予報であったので今日のうちに登頂でき、360度の素晴らしい景色を眺めることができ満足した。

まだ、下りの足は残っているから・・・。
槍ヶ岳山荘のテラスに戻って14時過ぎ、ここにテントを張ったら最高の耐寒訓練となるだろう。でも、まだ14時過ぎだし、下りの筋肉は使っていないので下りる。本音では「ここで寝るのは、寒すぎるー!」という恐れもちょっぴりあった(-_-;)
途中で暗くなるだろうとヘッデンを用意して下っていくと、5人と2人の若者グループに続けて出会った。最初の5人の中には大鍋を背負ったメンバーもいて、大学山岳部?と思った。聞くとサイクリング部で上高地まで自転車で走ってきて、そのまま登山しているという・・・羨ましい経験をしている、青春だ!ただ直後の休憩している2人は、1人が明らかにバテているようで、話しを聞くと先ほどの5名の仲間で、5人に先行・幕営をお願いしたそうで、「日暮れまでには小屋に着くと思う」と付き添いの1人が元気に答えてくれたが、その後どうなったのか?気になる。バテている状態でこの先小屋までは条件は悪くなるばかり、かなり微妙な時間だろう。
その先は、さすがに登山者と会わず、まだ明るいためババ平を通過。横尾には暗くなった18時半に到着、横尾まで下りるとキャンプを楽しんでいる方も多く、暗くなっても外で話しながら夕食というグループも多く、遅く着いたバツの悪さも消えて、すぐさまテントを設営、明日の天気予報が晴れに好転しているのが分かり、「奥穂を目標として、まずは涸沢まで登ってみよう!」と、夕食を食べ、明日の段取りをして就寝した。

奥穂高岳へ!
・・・時計を見ると、寝てから1時間ほど・・・、寒くはないが外の話し声か足音で目が覚めたのか?すぐに就寝・・・再度、目覚めると2時だったので、なるべく音を立てないように朝食を食べ、必要な荷物をザックに詰め込む。(さすがに今日はテント装備を担いで奥穂高岳へ登る体力はない(>_<))
そーっつと暗闇の中を出発。ヘッデンを点けているのに、視界の上方には常に星空が見えるほど星が明るい。冬の星座の代表と言えるオリオン座を正面に1人歩く。涸沢辺りで夜明けを想定したので誰か歩いているかと思ったが、この時期だからなのか誰もいない。怖がりな心が、何かの物音や暗闇で強くなる。「この時期に熊って出るんだろうか?」という心配は涸沢まで続いたが、何とか怖さと上手く付き合うことができた。
夏に前穂北尾根でテント泊した時の涸沢と違い、売店も片付けられて小屋閉め間近の寂しさがある。

テント場から分岐するパノラマルートを登っていく、下りは涸沢小屋に下りたが、登りはパノラマルートの方がなだらかで、昨日の槍ヶ岳往復で疲労した足には優しいルートだった。
積雪は槍ヶ岳と同じで2600~2700m付近からで、昨日の槍ヶ岳と違い夜明け前で雪が締まっているのでアイゼンを装着する。モルゲンロートが美しい!

穂高岳山荘へとザイテングラートは、岩が出ている所が多くアイゼンを引っ掛けないよう気を遣う。体力のある限りグングン登れる槍沢とは違うので、ペースは上がらないが7時前に穂高岳山荘テラスに到着した。

入会のきっかけ
5年前のGWに穂高岳山荘で自炊をしていた私の前にDGさん(OB)が同様に自炊していたのが、私が岳樺クラブに入会したきっかけだ。雪山を始めたばかりなのに翌朝ソロで山頂を目指すという私にDGさんが、様々にアドバイスをくれたことを思い出す。「山岳会って、何か体育会系な怖さがあるなぁ~(>_<)」と、文化系の部活で活動していた私が恐れていた山岳会を、身近にしてくれた人生の転機のような機会を与えてくれる出会いだった。ちなみに、その後に私も多くの山を登ってたくさんの登山者に出会ったが、当時の私のように入会してくれた方は残念ながらいない(^^;)
山荘は、奥穂高岳と涸沢岳の按分に建っているが、奥穂高岳方面は崖となっていて再出発後にいきなり核心的な岩場となる。ただ今回もソロだが5年の間に得たものも多い、とにかく慎重に無理せず登って尾根上に出れば、やはり昨日のように息苦しいが快晴のコンディションに足も進み、無事に登頂した。

感想・反省点など
雪が無いとアイゼン・ピッケルを使った歩行練習の意味が無いので、よい訓練となった。寒さに関しては、「自称晴れ男」なので、今回も(?)好天となってしまったせいか、寒い思いはせずアウターシェルは枕にしか使わなかった。ただ、日差しを受けながらの急登では、汗をかいたが新しいインナー(メリノスピンサーモ)は、汗抜けが良いと感じた。
スマホを機内モードにしているため電波圏内か確認するのが面倒で、端折って連絡をしないことがあり、安全管理上必要なことは確実にやらないといけないと反省した。
ムー