山域:谷川連峰 谷川岳~茂倉岳
日程:2019年11月2日(土)
メンバー:アッシー
11月の3連休。待望の晴天予報~(^^♪業務命令で土曜出勤や残業の日々から解放され、『いざ、山へ!』と思案。台風の影響の少なかった山域を探し、3年振りに谷川岳へ行く事にした。夏・冬と何度も足を運んだ素晴らしい山。晩秋は初めて・・。出発直前のニュースで紅葉を紹介された映像に心躍らせ、1泊2日の心づもりで自宅を後にする。
深夜、白毛門駐車場に到着。星空を車窓から仰ぎつつ、うとうとした頃に大音量のラジオを鳴らした車が照明とドア全開で隣接停車。他にもまだ空いているスペースはあるのに。『マーフィーの法則か、ついてない』ぼやきながらも、爆睡。あれ?5時出発の筈が5時40分出発に。寝坊~(笑)これも単独行の特権☆
薄暗い中、徒歩で登山指導センターへ向かう。坂道はロープウェイの駐車場待ちの車で長蛇の列。繁忙期の光景を目の当たりにした。登山指導センターの水は元気に流れる。ここ数年、涸れる事もあり、足が向かない理由に。今日は西黒尾根から頂上へ上がり、馬蹄形縦走計画。計画書を投函すると次々に軽装の男性がやって来る。皆さん、ソロ山行。
水3L。16キロ超のザックを担ぎ、呼吸を意識し、静かにそろそろと歩く。後ろからドスドスと足を鳴らす人が来る度に道を譲るのは、自分が突っ込まない為。歩き方で力量は知れる。この道は急登、というより長い。岩場のセクションで使うパワーを温存し、ゆっくり歩く。台風被害で登山道に倒れた巨木を跨ぎ、他は支障なし。(同じ倒木を上下から撮影)
久しぶりのテント装備は足に堪える。特に岩場でのフラッギング。空身と違って重量が片足にのしかかり筋肉がピキピキ軋んでいる。肩甲骨付近が攣りそうなのは、最近ランジ練習を頑張ったせいなのか?加齢か、それとも職業病?
クライミングの嗜みがあれば、鎖は不要。手もたくさんあり、足も置ける。山道で追い越された中高年ソロの皆さん方は岩場に向かったとたん、ペースダウン。足場も定めず鎖を握って力任せに上がっている。鎖を握った人がまだ乗越していないのに、待ちきれず鎖の端を握り取り付くせっかちさん。更には鎖を握って岩に対峙中の人のすぐ横を、声もかけず空身で駆け上る若者。危険が潜む光景。やってはいけない危険行為を自覚せずに山に入る輩の多い事。もらい事故は回避したい。声をかけあえば済む状況はままあるが、シャイなのか?譲り合い精神は死語か。山での猥雑な世界が見えた。森林限界を超え、高度をあげていくと、周囲の眺望が目に飛び込む。同時に塩分と水分不足なのか、ラクダのコル手前で足に違和感を覚える。往来の邪魔にならない岩場のテラスで長休憩し、様子見。芍薬甘草薬服用。同じ岩場でも、9月に歩いた北アルプス・奥穂高岳縦走より疲労感半端ない。今回は歩荷訓練。梅干・鰹節・とろろ昆布の即席スープでもうひと頑張り。薬と補給で回復。頂上に向かう。
目に映る、天神尾根からも蟻の行列のように頂上へ繋がっている。まず、肩の小屋に行きトイレを借り、トマの耳はスルー。もう一つのオキの耳のルートも往来で渋滞気味。休憩中に山頂から聞こえていた、『ホラ貝』の音色。奥之院でも経を唱えながら、祈願中。遂に音源キャッチ。色々な目的で頂上近辺は大賑わい。足元は泥濘と折れた薄氷と霜柱。イワショウブのドライフラワー。冬が迫っている。風も無く、日差しの恵みを受け半袖姿も見かけたが、晩秋なのだ。蓬ヒュッテも無人冬季避難小屋になった。一見強面。無口だけどお茶目で優しい管理人さんがいないのか、と思うと寂しい。サッポロ★ビールも買えないなぁ。
奥の院を越えても人の往来は絶えず、『皆、縦走目的?』と勘繰るが軽装すぎる。適当な場所で谷川岳へ戻る人が大半だった。やがて、人もまばらに。一ノ倉岳手前のピーク手前にてカップ麺でエネルギー補給。幸い、まだサプリも飲んでいないのに身体は徐々に山慣れし、快調。ザックの重みでお気に入りのアルパインパンツがサルエルパンツに早変わり。格好悪い。何とかならないか?笹原と草紅葉のコントラストに、湯檜曽川を見下ろす高度感。澄んだ秋空の眼下には燧ケ岳。遠くには八ヶ岳。なだらかな山容の巻機山。慣れ親しんだ山に、いつか行きたい山々。鳥になったような気分で縦走路を気持ちよく進む。
日没時間から勘案して、蓬ヒュッテには16時には到着するかな~と思っていたが、茂倉岳で縦走を止めた。天候・条件申し分なし。かつてない最高のコンディションに充分満足した。入会2年。やっと許可された谷川岳単独行。(個人的には振り出しに戻る。)
翌日は曇り空。この山の、天気模様は激しい。軽アイゼンもあるが、何となく山に向き合う意欲が失せた。今日ほどいい天気では無いだろう。《おうちへかえろう~♪》今夜は珍しく家族が揃うというし、茂倉新道から土樽の駅へ下山。矢場の頭から木の根を跨ぐルート取りに手古摺る様子の男性に途中で道を譲ってもらう。日本語の堪能な外国の方で、『登る人が優先でしょ?』という。素直に感心。遠慮すると『写真を楽しむからゆっくり降りたい』そうなので、先行する。今日会話を交わした人の中でピカイチ☆素敵なヤマヤさん♪
マーフィーの法則に縛られる、と思う今日一日、同じ感性の方にお会いした。
もうすぐ尾根も終わり、という場所で矢場の頭から私を見下ろしていた先行者2人組に追いつく。男性の歩様を見て声かけをしたが『大丈夫』とのこと。私と同年代のご夫婦とお見受けし、相方の女性も落ち着いた様子。素直に従う。茂倉新道は粘土質や赤土の斜面が随所にあって、滑落注意。適所に張られたトラロープを躊躇なく使用。他の山域では、秋の濡れ落ち葉で滑落、落葉に埋もれた岩で致命傷を負うなどの死亡事例を聞いた。危険は常に潜んでいる。田尻尾根の下山ルートより、こちらの方が尻もち指数、いや危険度は高いと個人的には思う。しかも、最後の最後、力が残っていないと足に堪えるのだからヤマヤの力試しルートだ。景色も最高!ブナ林の巨木に圧巻。自然林の紅葉は見事だった。
過去の記憶を辿り、土樽駅16時10分到着。1日3本。最終電車の18時07分まで、無人駅舎のベンチで待機。顔についた塩を拭く。日没前、慌てた様子で登山者が飛び込んで来る。隙間だらけの駅舎のベンチが人とザックで埋まる。外気温9℃。寒暖差が激しい。宿泊用に持参した防寒具が役に立つ。運賃は車内で現金精算。240円。闇の中、川端康成の『雪国』・長い清水峠トンネルを越えて土合駅到着。関越道は渋滞なくストレスフリー。今回、シューズをフリクションの効くエンデュランスハイク用(新品)履き降し。岩場の溝で見事に足が極まり、抜くのに一苦労。(笑)アプローチシューズが良かったかな?
馬蹄形が思わぬ方向へ転がってしまったが、白毛門から朝日岳を経て蓬峠は既に登頂済。後は繋ぐだけなのだが、それはまた別の機会に。この風景を見れば満足した事がご理解頂けるかな?近くていい山。谷川連峰。大好きです♪
アッシー