山域:北アルプス 黒部川 赤木沢
日程:2019/8/20(火)-21(水)
メンバー:みっちゃん、ムー
台風10号の通過後の好天を期待していましたが、思いに反して秋雨前線が活発となりました。特に北陸地方は豪雨により被害が出るほどに・・・。
そんな中での沢登り、目的が沢登りだけなら中止していただろう今回の計画。薬師沢小屋の小屋番「やまとけいこ」さんに会えるのを楽しみに行ってきました。
簡単な報告ですがレポートをご覧ください(^_^)
山ナースガイドとして初の夏山シーズン
山ナースガイドとして独立起業し初めての夏山シーズン、「ああぁ〜川の流れのように〜♪♪」と悠長にはいかず、流れも読めず揉まれまくり(笑)。
気持ちの体制を整えるためにちょっとブレイクしないと、ということで、以前一緒に仕事をしたことのある「イラストレーターのやまとけいこ」さんの「黒部源流山小屋暮らし」を実感するために、けいこさんが働いている薬師沢小屋への訪問を思いつきました。
もちろん黒部源流まで行くので、いつか入ってみたかった赤木沢の遡行も楽しむという楽しさ満載の夏休み計画です。プロの山岳看護師として活動し始めたのに、夏山シーズン真っ盛りに自分の夏休みを取ってどうするんだというお叱りの声が聞こえてきそうでしたが、黒部の源流と心の源流を確かめに行ってきました。
太郎平小屋の夏山診療所を表敬訪問
初日の薬師沢小屋までのアプローチは雨予報、太郎平までは霧雨だか余裕の登山でした。
太郎平小屋では山岳看護師として診療所に表敬訪問。医学生の方と、山で多い傷病手当について長話してしまいました。太郎平小屋診療所には入ってくれる医療者が少ないということで、来年は是非私もこの診療所にはいりたいと思いました。
「やまとけいこ」さん
そこから薬師沢小屋までの間に雨足は増して全身びっしょり、沢装備で良かったと思いました。
薬師沢小屋は電波通信が届かないので、私の訪問にけいこさんはビックリ。
ゴーゴー増水している黒部川を観ながら、明日の赤木沢遡行のアドバイスをけいこさんからいただきました。雨が止むと黒部川はどんどん水量も減っていきましたが、逆に雨が降るとあっという間に増水するという事なので肝に命じました。
黒部川~赤木沢
次の日の早朝、けいこさんにお別れを告げ、赤木沢出合まで黒部川を遡行。
水量が多めなので渡渉を4〜5回繰り返し、泳ぎもしてやっと出合に到着。ここまでが核心と言っても良いくらい。
赤木沢に入った途端に、美しい赤い沢床のナメに心が弾みます。と言ってるそばから、滑る沢床のトラバースでスッてんコロりん(汗)
赤木沢は終始、美しく明るい開けた沢で、源頭部もツメまで美しく楽しめる沢でした。
稜線に出てからは風が強かったですがモリモリ歩き、太郎平小屋でご褒美の大盛りうどんで温まり、沢のようになった登山道を折立まで下りました。
心の源流
下山途中、富山県警のヘリ「ツルギ」が旋回を繰り返しているのが気にかかり、やはり私は登山者ではなく常に山岳看護師なんだと実感しました。
みっちゃん
初めての折立から出発
折立へと向かう有峰林道の岐阜県側は、今期は災害復旧工事のため通行止めで入れないため富山からの大回りで時間がかかる。朝6時のゲートオープンとともに林道を折立へと走り7時過ぎに曇天の中を歩き出す。
自称「晴れ男」なので雨は降らないだろうと軽く考えていた(;^ω^)が、1時間も経たないうちに降り出す。予報を見て「今日は降る」と思っていた(自称「晴れ男」なのに!?)ので、すかさずレインウエアを着込む。その後、強風を伴った土砂降りとなり太郎平小屋に着いた時にはずぶ濡れになっていた。
雷雨となり、登山道は水没
太郎平小屋は、先月の北ア縦走で未明に寄った場所。先月は南から北へと通過したが、今回は西から東へと通過する。みっちゃんと診療所学生との会話中、高校野球のTV中継が気になった・・・。薬師沢小屋までの2時間ほどは、ゴロゴロという雷鳴の轟きとバチバチという土砂降り、ドーと言いながらそこら中から水流が登山道を横切っている中を歩く。「これだけの水が流れていると、水量は多いだろうなぁ・・・」と思う。それを口に出してしまうと明日の沢登りが中止になりそうで怖くて言えないうちに薬師沢小屋に着いた。
薬師沢小屋は、その名の薬師沢と明日遡行予定の黒部川との出合に建てられた小屋で、小屋のテラスから黒部川が見える。
濁流の黒部川・・・だが、まだ諦めない!
よく黒部源流、赤木沢遡行の写真には「エメラルドグリーンに輝く」「北アルプスの宝石のような」と形容されています。ところが、テラスから見える黒部川は、濃い茶色の濁流となっており、災害中継で見るような映像そのものでした。
実は、私は泳げないのですが、この流れは泳げるとか泳げないとか関係ないというほどです。とりあえず、明日の沢登りは、明日の朝の水量を見て決めることとし、“緊張の糸”が切れないように朝食もお弁当にしてもらいました。
イラストレーター「やまとけいこ」さん、本名ですか?
みっちゃんの知り合いの「やまとけいこ」さん、私は「山と渓谷(やまとけいこく)」から付けた名前で本名ではないと考えていました。失礼だとは思いましたが「安藤奈津(あんドーナツ)」「大場加奈子(大バカな子)」的な名前かと伺うと、本名「大和景子」さん、とのことで驚きました。
そんな無礼な質問をする私にも、ソフトな対応でいわゆる不愛想な小屋番さんとは大違いの薬師沢小屋でした。乾燥室も完備されており、びしょ濡れの装備も乾きました。
サァー、赤木沢へ!
我々の小屋への到着後に雨は止み、夕方には青空も見え、テラスで長閑に過ごすことができた。(さすが「晴れ男!」)
寝る前には沢登りの準備を済ませていたので、翌朝、暗いうちに起きてお弁当を食べてからも時間には余裕があった。今日の天気も午後になるほど悪くなるため、早くに出発したいが水量が見えないため、明るくなるのを待つ。
ただ、その間に「やまと」さんから、役に立つ貴重なアドバイスをいただくことができました。増水した際のエスケープは左岸から赤木岳方面へ、赤木沢大滝後は右の枝沢を詰めて北ノ俣岳方面を目指した方が時間短縮となる。等々。今回のように既に水を含んでいる山で、下り坂の天気予報の時には心理的に落ち着くアドバイスでした♪
核心!?の黒部川
事前の情報では赤木沢の出合まで黒部川の遡行は60~90分。その間に渡渉が数回あり水はかなり冷たいという。今日の気温も低い(稜線で気温10度)らしいので、なるべく水に入らないように進行方向を見ながら左岸を進む。
下り坂の天気を考えると、スピードも考慮しなければならないので多少は覚悟して浸かると、思ったほど冷たくない。北方稜線の時に剱沢を渡渉した時の痺れるような冷たさを想像していたので、むしろ「暖かい♪」と思った。薬師沢小屋で渓流釣りに来ていた方が「雨が降ったので水がぬるい」と言っていたことに納得した。
水温はぬるくて助かったが、渡渉は怖かった。左岸が壁と急流に阻まれて渡渉せざるを得なくなり何度か(4回?)渡渉を選択したが、水深と流速の反比例のような関係から、渡渉する場所を選ぶのにも悩んだし、流されたら(泳げなくて、マジで)死ぬかもと思うと、一度目の渡渉の後はなるべく渡渉をしないルートを探した。
赤木沢は左岸側なので、左岸を頑張って進む。トロトロと流れていれば深くて足がつかなくても壁伝いに進む。「へつり」ってせいぜい足先が濡れるくらいだと思っていたが、これもへつりなのか!?泳げない私にとっては、黒部川は核心であった(;^ω^)
快適♪な赤木沢
黒部川でストレスがかかったせいか、その反動で赤木沢は快適そのものだった!
ほとんどの滝もシャワークライミングで突破できるし、
開放感のある渓様で天気が下り坂でなければ、のんびりしたいくらいだ。
大人気の赤木沢も、こんな天気だから誰もおらず、みっちゃんと2人で久しぶりの沢登りを楽しんだ。
ツメもお花畑を進んで登山道へと出る快適な沢だった。
登山道に出てしまえば、7月に通った道。一度見た映画のストーリーを黙っていられず話してしまう子供の様に、みっちゃんに「この先で木道になって」とか「ルートは稜線から外れて迂回する」とか、1人ではしゃいでいた。
最後の〆も土砂降り!
登山道に出て、たまにパラパラと降った雨も、我々が太郎平小屋に着くのを待っていたかのように土砂降りとなった。おかげで折立までの登山道は沢と化していたのだが、我々は天気を見越して沢靴のままだったので、そのまま下山しました(^_^)v。
下山して知ったことですが、ちょうど北陸地方に活発な秋雨前線による大雨が降って各地で災害となったようです。そんな中で大雨の合間を突いて今回の目的である「やまとけいこ」さんに会え、赤木沢を遡行できたのは大成功でしたヽ(^o^)丿
ムー