山域:吾妻連峰 グランデコスキー場→西吾妻→天元台高原スキー場
日程:2019/3/21(木)~23(土)
3/21:鉄道で移動
3/22:猪苗代駅→グランデコスキー場→リフトトップ→西大巓→梵天岩→西吾妻小屋
3/23:西吾妻小屋→梵天岩→中大巓→天元台高原スキー場→米沢駅→バス・鉄道で移動
メンバー:ムー(L)、Koo(SL)、Qちゃん、みっちゃん
山の会「岳樺クラブ」による『平成最後』の吾妻連峰縦走、どうなったでしょうか。参加者からの報告です!
初見の山域で、吹きっさらしの強風と、視界のきかないガスッた景色は、心理的プレッシャーが大きかった。
気象予報で22日午前中は上空1500mで6~0度、午後には上空1500mに‐9度の寒気が入るのを確認していた。予報天気図で急速に発達する低気圧の等高線は狭く本数も多いので、強風は一目瞭然。飯豊山の予報最高風速は29m。ただ吾妻連峰は5~7掛けと見立て、北西もしくは西風なら追い風になり行ける可能性ありと判断し、グランデコのゴンドラ乗り場に着くと、今日は風が強いので減速運転をしていますとのこと。「ですよね~・・。」
ゴンドラを降りて平日は動いていないリフトトップに着くと、MSRスノーシューのゴムベルトが千切れた残骸が、あちらこちらに沢山散らばっていて「おいおい大丈夫か俺のMSR?」と思ったら今日が初出動だった。去年のスノーシュー山行に参加する予定で買ったのにインフルエンザで出番を失いカラーボックスの肥やしになっていたんでした。ただ、あんなに沢山千切れたゴムバンドを見ると、どのぐらい持つのか、予備バンド買って持っていた方がいいのか、と考えさせられました。
前日の雨(のせい?)で締まった雪はスノーシューを脱ごうかと思うくらいで、順調に青々とした樹林帯を進んでいきます。厳冬期には周りのトドマツが樹氷になっているのか、と思いながら進んでいると、西大巓頂上手前辺りから風当たりが強くなり始まりました。西吾妻手前までは風は強いが気温は高いみたいで手足のしびれはない。標高2000m付近をトラバースして中大巓に向かうルート上に出ると左側面からの強風。時折よろめきながら歩いていると指先にしびれが出てきた。強風のためか、気温低下のためか、はたまた両方のためか、いずれにしても厳しい状況になっているだろうということは感覚的に感じ取れた。
今までなら状況変化で厳しくなってきたときにレイヤリング、装備の変更で対応してきたし変更できる装備を準備してきた。ところが常に強風にさらされている状況では、レイヤリング変更のタイミングが見つからない。少しでも強風に素肌をさらせば途端に体温を奪われる恐怖に、指先の連続運動と歩みを止めず動き続けることで耐えて「風よけの場所が出てくるのを待つしか無いのか」と脳内試行錯誤。この時、私の中にパーティー全体を俯瞰して見る余裕はなかった。自分の対強風対策に思案していたが、みっちゃんが歩みを止めて「(西吾妻)小屋に戻ろう」と提案があった。臨機応変、適切に対応するための準備と心構えのシュミレーションをしてきたつもりだったが、“引き返す”というシュミレーションを怠っていた。「天候不順なら撤退もありますよね~」なんて言っていたのに。今回の行程で経験し、得たであろう私の経験値とレベルアップ値の内訳だと思います。吾妻連峰の検索をすると出てくる平成6年の遭難事故。準備と装備が有れば回避できたのか?はたまた入った時点で遭難が決まっていたのか?私たちが、行けたかどうかは、想像の域を出ませんがレポートを書かています。いつかミッションコンプリートしたいです。
Koo
2月のスノーシュー山行が楽しかったので「また行きたいな〜」と思っていた矢先に、ムーさんが以前から温めていた吾妻連峰縦走をやるというので便乗させてもらうことにした。今回はみっちゃんも参加、青春18切符で電車旅も楽しめるとワクワク🎶していたが天候はイマイチ⤵︎霧に強風予報だ。
とりあえず「行けるところまで行けばいい」と上野駅から電車で猪苗代駅、そこからバスに揺られグランデコスキー場、さらにゴンドラ、リフトを乗り継ぎリフトトップから歩き始め、途中2泊して高湯温泉へ下りる予定の長旅は始まった。が、平日の為リフトが止まっている(・_・;そこは歩けばいいとゴンドラへ乗り込みスキー場へ降り立つ。
大した風ではない。これならなんとか本日の目的地(弥兵衛平付近)まで行けるんじゃない?などと思ったのは西大巓までだった。予報通り段々と風は強くなり、視界は数メートル先までしかきかない。強風に煽られよろける事もしばしば、歩みも遅くなり先を行くメンバーとの間も開いてきた。雪もカリッカリッで先日の奥日光とは勝手が違い、滑らないようにと足に余計な力が入り疲れる。縦走に必要な装備が入った荷物も重く肩に食い込む。1月の蝶ヶ岳山行で闇の中を長壁山から山頂までトレースをつけた時は視界がきかなくても途中で諦めようなどとは思わなかったが、この時ばかりはこれ以上進むのは到底無理と思い始めていた…風を少しは避けられる場所(西吾妻山頂近く)でこの先進んだところで吹きっさらしの風の中テントを張ることはできないと、西吾妻小屋泊を決めて戻り始める。小屋まで大した距離ではないのに着くまで長いこと長いこと…小屋が見えた時は正直助かった!と思った(大袈裟(^^;))
結局、志し半ばで山形側の天元台スキー場から下山する事になったが、学ぶべきことも多かった。特記すべきは全てにおいて無駄なく、やる事の早いみっちゃん。心配性⁈で、なんでも多く持ちすぎる私とは違い荷物も必要最低限だ。見習いたい。
吾妻連峰縦走!来年こそはリベンジできるといいな〜
Qちゃん
冬季の吾妻連峰には思い入れがあります。
2年前の東吾妻山側である福島県の高湯温泉からのトライ(記録は、こちらをクリックしてください。)は、深雪に阻まれ時間切れ、滑川温泉に下山。
今回の西吾妻山の麓であるグランデコスキー場からのトライは、風速30m近い強風とホワイトアウトにて途中断念し、山形県の天元台高原スキー場に下山。
ナビゲーションと状況判断が試される山行となり、みんなで良い経験と良い勉強になったと思います。
そもそも悪天候と分かっていて、なぜ入山したのかというと「避難小屋での豪華(2日分の食料)な宴会の為」と答えておくのが無難かもしれません。
次回は東西の吾妻山を結べるようにしたいものですが、「挑戦する」という事自体が楽しいのかもしれませんので、また挑戦したいと思います。
みっちゃん
2年前の縦走以降、今回の縦走に備えて、様々に情報収集していたのですが、あっさりと短縮行程で終わってしまって残念でしたが、良いこともありました。
① 青春18きっぷを使って参加者全員で、のんびり話しながら各駅停車の旅をして登山口まで往復できたこと。(その模様は、こちらをご覧ください。)
② 僅かながらも縦走計画の未踏箇所を更新でき、山容や雪質などの情報を収集できたこと。
③ 今年の蝶ヶ岳・日光白根山の経験を活かして、寒さ・爆風にも不安なく歩けたこと。
④ 全員で相談し、安全登山を第一に考えて方針(行程を短縮し下山する)を決定できたこと。
⑤ 自分のスノーシュー(TSL)の点検箇所を発見したこと。
途中で左足のビンディング(樹脂製)が壊れたが、スリングで復旧はできた。帰宅して確認したところ右足も同じ個所に疲労が伝わっていることが確認できた。さらに両足とも修正でき、次回以降は点検しておけば長期使用に問題ないことが分かった。
⑥ 寒冷・爆風・ホワイトアウト時のナビゲーションに課題を見つけたこと。
今回の行程区間は、グランデコスキー場および天元台高原スキー場から西吾妻山への日帰り登山コースのため、多くのトレースがあり助けられた。悪天候の時こそムダに時間をかけずに方向を決め前進できるように改善したい。
最後に
2年前は、吾妻連峰を東西に縦走するというルート発見に“喜び”。
昨年は、自分1人でも縦走する!という己の勇気の無さに“怒り”。
今年は、悪天候に翻弄されて、行程が短縮してしまい“哀しみ”。
来年は、・・・(^^♪
ムー