山域:北アルプス 剱岳 北方稜線
日程:2016.9.2~9/4(2泊3日)
行程:9/2 晴れ 扇沢~ハシゴ谷乗越~池ノ平小屋(小屋泊)
9/3 晴れ 池ノ平小屋~北方稜線~剱岳~剣山荘(小屋泊)
9/4 晴れ 剣山荘~室堂
メンバー:Muu みっちゃん
登山を始めて3年ほどですが、剱岳には親近感を持っています。初登山に挑戦したのが剱岳でした。今の会社に転職して、無趣味の私に見かねた先輩が誘ってくれて「リュックと合羽と登山靴だけ買えば良いよ♪」と言われ何も知らずに気軽な気持ちで出かけたのが剱岳でした。1日目に剣山荘に入り目前に迫る剱岳に圧倒され、翌日の挑戦にドキドキしていましたが、残念ながら夕方までの好天が夜には大雨となり、翌日、雨の中を下山して終わりました。
2回目は、雪山で知り合った方から夏の長次郎雪渓に挑戦しないか、というお誘いを受けて挑戦しました。この時も剣山荘に入り、2日目の朝に出発し長次郎雪渓を詰めて、剱岳山頂を目指すものでした。アタック日は、朝だけは晴れていたのですが、モクモクと黒い雲が空を覆い、熊の岩から上では初挑戦の時の様な土砂降りに見舞われ、かなり危ない思いをしながら必死で登頂、下山しました。
その1週間後に、当会(岳樺クラブ)に入会して源次郎尾根に挑戦し、素晴らしい天気の中を登頂することができました。
そして今回が4回目。本格的に山に登り出して3年で4回目の挑戦、親近感を感じている剱岳には、北方稜線を登って走破を目指します。長次郎雪渓に挑戦した時から、北方稜線を黒部ダムからハシゴ谷を経由してアプローチし、槍ヶ岳の北鎌尾根のように登りながら剱岳へ登頂したいと考えていました。しかもテント装備で!
海の日の3連休にソロで挑戦してやろうと考えて、会長に相談すると「一人は、ちょっと・・・」というアドバイスでしたので、9月の第1週に鋸岳をみっちゃんとやろう!と話していたので、北方稜線に変更をお願いしました。
テント泊の計画書で会長におうかがいを立てると、あまり良い返事ではありません。心配したみっちゃんから小屋泊まりに変更しよう!という提案があり、「山に行けなきゃ意味がない」と気持ちを切り替え、北方稜線への挑戦権をまずは得ることができました。
9月1日の仕事が終わると急いで帰宅し、立山黒部アルペンルートの長野県側入口の扇沢へ移動し仮眠。始発が7:30とゆっくりなおかげで、いつもより寝る時間は多かった。黒部ダムでトロリーバスのホームをそのまま前に進み、ダムの放流側へ出て歩き出す。普段は見下ろしている観光放水を、逆に見上げるという新鮮さ。黒部川沿いの変化にとんだ風景。思わず止まって眺めていたい景色が連続しますが、池ノ平小屋までの長い行程を考えて、着実に進んでいきます。ハシゴ平で大休憩してハシゴ谷を越えます。道迷いしやすいという事前情報に少し不安でしたが、整備されているせいか道は明瞭で難なく越えて、雪が異常に無い剱沢雪渓が見えました。
剱沢へ出合うと、事前情報で今日架設するという橋は・・・現在進行中で架設中でした。すぐに橋が架け終わる雰囲気ではないので、渡渉しました。実は、初めての渡渉でしたが、一番驚いたのは沢の深さや流の速さではなく、水の冷たさです。考えてみれば当たり前ですが、すぐそこの雪渓から融け出した水です。転ばないように慎重に歩こうなんて思いは早々に消えて、早く水から出たい一心で渡り終えました。途中に足を空気中に出して休憩できる岩があったので良かったですが、無かったらと考えると本当に恐ろしい冷たさでした。
その後、池ノ平小屋まで誰とも出会わず、三の窓や小窓の雪渓を眺めたりしながら歩きました。池ノ平小屋は、これまた奥深い雰囲気を出す良い小屋でした。この日は貸切でお風呂にも入ることが出来ました。また、剱沢の架橋に行っていた小屋番さんが暗くなってから戻り、北方稜線のことや、翌日の宿泊手配など気を遣っていただき、とてもありがたかったです。
翌日、明るくなってからの出発が安全だ。というアドバイスをいただいたので、日の出の少し前に小屋を出発!まずは斜面をトラバースしながら小窓雪渓へ向かい、小窓雪渓では軽アイゼンを装着してゆっくりと詰めました。
稜線に出てからいきなりやってしまいました。それは、経験者(と言うおじさん)に付いていき道が無くなったのです。しかも、ちょっとした岩場に着いて道が無くなるという、今までに何人が迷い辿り着いたんだろうという終点。おじさんは基本に戻り、もと来た道へと下りて行きましたが、みっちゃんと僕は、岩場を登り藪漕ぎして突破しました。北方稜線の最初に「安易に人に付いていく」という山でやってはいけないことを思い出させてもらって良かったのですが、かなり体力を使ってしまいました。この先は踏み跡も明瞭で、さらに例年であれば雪渓をトラバースする核心にも雪はなく容易に通過できました。
しかし、一般ルートと違いガレた岩場の通過が多く、小窓の王への登りや池ノ谷ガリーなど、落石を起こさないように歩くだけでなく、登りやすいルートを探しながらの登りが続きました。そこから八ツ峰に続いて長次郎谷など、あっけなく剱岳の名所を見ながらの登山が続きます。最後に長次郎のコルへの下降は懸垂で下りました。
剱岳への初登頂のみっちゃんと、山頂でのんびり過ごした後で、下りでしか通ったことのないノーマルルートを下山しました。
今年の夏は、北海道・北鎌尾根・北方稜線と「北」つながりでしたが、来年も目標を持って準備をしたいと思います。
<Muu>