山域:幕岩(湯河原)
日程:2015/4/29~30
メンバー:竜少年、微苦笑、Mierin、みっちゃん、Muu、まみち(報告者)
今回は、岳樺御用達「悟空スラブ」にて3人Pマルチのロープワーク確認と、1/3及び1/5引上げシステムのセット習得が主な目的の岩トレです。
私(まみち)は入会したての新人中高年。悟空スラブは初めて、マルチも初めて、リードも初めて、セカンドのビレイも初めて。……リードで登れるのか、上がってちゃんと支点を取れるか、方向を間違えないでビレイデバイスをセットできるか、手繰ったロープがぐちゃぐちゃにならないか……とにかく、初めてづくしで……これまで教えていただいたことがちゃんとできるか、バリバリ緊張しつつ東海道線に乗り込みました。
4/29ごきげんに晴れた千葉から、西へ行くにつれ雲行き怪しく、湯河原に到着時には、しのつく雨、雨、――ということで、午後まで雨止みを待って、桃源郷エリアに向かいました。
まずは、竜少年による引上げシステムのレクチャーです。マルチルートを登るときに持っている登攀具だけで、引上げシステムを作ります。立ち木を利用して、セカンドをビレイするときのセルフビレイ、デバイスのセットからスタート。これに60cmスリング2本、ヌンチャク2本を組み合わせ、なんということでしょう! 1/5引上げシステムが完成したではありませんか!! 少ない力で、セカンド役のみっちゃんが引き上げられてきます。
(60cmスリング+ヌンチャク1本で1/3引上げシステム→さらに60cmスリング+ヌンチャク1本を追加で、1/5引上げシステム)
「じゃ、やってみよう。」ということで、みっちゃん、Mierinさんがシステムを作ります。竜少年の説明を思い出しながら、お2人の手順をガン見。おかげで、自分の番ではシステムをつくることができました。1回では覚えられない中高年、反復、だいじです。
全員がひととおりやったところで、「じゃあ、今作ったシステムを図に描いておこうか。」と竜少年。へ? 写真撮りましたけど……。釈然とせぬまま紙とペンを出して描いてみるとこれが、なるほど。自分で図を描いてみることで、不明瞭な点が浮き彫りになり、理解が定着するんですね。
その後、アボリジニ(10a)とシルクロード(5.7)をトップロープで練習し、初日は終えました。
4/30 悟空スラブへ。取付までは、上部エリアに向かう道を行きます。
取付支点付近は昨日の雨でまだ濡れていたため、立ち木を利用してビレイポイントとし、2ピン目からスタートすることに。微苦笑・みっちゃん・MuuのPが先行、竜少年・Mierin・まみちのPが後続します。皆さん手際よく準備されます。
先行PはMuuさんがオールリードで進みます。ガチャの音とコールが響き、なんともいえない! 緊張とわくわくがないまぜになって襲ってきます。
先行Pはさくさくと快調に登り、ピッチを切ったところで、後続Pスタート。リードはMierinさん、まみちがビレイ。すでに緊張しているまみちはさておき、Mierinさんはするすると登っていかれます。「どうぞー」の声にいざ登攀開始。初めての悟空スラブ、1ピッチめは手も足もあり、少しホッとしました。
サードで竜少年が上がってくると、2ピッチ目はまみちリード。緊張MAX。傾斜が緩いとはいえ、絶対に落ちてはいけない。支点まで慎重に登り、手順を一つ一つ確認しながらセカンドのビレイ。先行Pの微苦笑さんが残っていてくださって心強かったです。3ピッチ目はMierinさんリード。竜少年がビレイします。垂壁を攀じるMierinさん、かっこいいです。
と、途中で、そのまま終了点まで行ってしまうとロープの長さに懸念が、ということで、ピッチを切ることにしました。先行Pのみっちゃんが途中のポイントに残り、伝言してくれました。先行Pのみなさん、ありがたや。
そこで、どうせなら、セカンドのまみちがMierinさんを追い越してつるべにしよう、と竜少年。……さっきMAXだった緊張が、ドMAXに……4級くらいのようですが、へっぴり腰でルーファイもおぼつかなく、時間がかかってしまいました。みっちゃんがずっと声をかけてくれたので、何とか登れました。
終了点からは相模灘と初島が見えたのですが、振り返る余裕もなく、Mierinさんが竜少年を下のビレイポイントまで上げ、終了点までお2人が上がってきて、全員がそろってようやく、景色が目に入りました。深く息を吸い込むと、新緑の清々しさとともに爽快感に包まれました。
下りは、エコバッグを使った岳樺流懸垂下降で下りました。
その後、来た道を桃源郷エリアまで下り、いんちきするな(5.8)をトップロープでやっつけて、2日目を終えました。
初めてづくしの幕岩岩トレ、たいへん充実した2日間でした。そして、もっとできるようになりたいと、強く思わされた2日間でした。
『ザイル伝う ほのかな体温 山笑う』
~続いて、参加者の感想です~
「竜少年の感想」
4/30 今日のテーマは悟空スラブを超えてヤブを漕ギ頂上へ。
8時に民宿をでる。悟空スラブの下部はまだ昨夜の雨の影響で水が流れている。しかし、上部はすっかり乾いていて条件はGood.ムーパーティ、ミエリンパーティそれぞれ順調にロープを伸ばしていく。見上げれば、青い空、新緑の緑、グレーの岩肌。振り返れば、青い海に三浦半島、初島が浮かんでいる。
短い4ピッチを終えて最終テラスに6名が終結。苔むした岩の上の木から4メートルほどのボサと土と岩交じりのルンぜ状に泥汚れした古いFIXロープが下がっている。さて、リードするにしても、このルンゼ、見るからに危なそう、恐らく昨日降り続いた雨で地盤がゆるゆるになっているのだろう。ウーム、乾いていればな~・・、残念。今回はここまで。ヤブ漕ぎは見ただけで敗退。
梅の季節に再来を約束。次回こそクライミングからヤブ漕ぎ、そして山頂へ。行くぞ。
「微苦笑の感想」
幕山の周辺は新緑に燃え爽やかな風が吹き、悟空スラブの終了点から振り返れば煙った向こうにかすかに伊豆大島が浮かび、初夏満開のマルチを楽しみました。新品の7.9ミリロープは軽くATCのすべりも抜群ですね。ロープを使うマルチは、いかにロープがうまくさばけるかによって、よりスピーディーなクライミングができます。遅いと日が暮れてしまいます。岳樺クラブの山行目的である”ライトアルパイン”の必須アイテムの一つであるマルチピッチの技術を確実に習得していただければ嬉しいです。
「Mierinの感想」
悟空スラブ
竜少年、まみちさんと私のパーティ。
まみちさんと私が交互にリード、岩も乾きスラブも快適だった。
眼下に望む真鶴半島、前日の悪天候は雷と共に去り、雨に洗われた幕山は萌葱色の新緑で華やかだ。
民宿泊、アプローチ30分、これぞスーパーライトアルパイン!
これで充分。
「みっちゃんの感想」
今回はテント泊ではなく幕岩近くで民宿二食付き、これはクタクタになるまでクライミング三昧かと思いきや、予想外の突然の雨で出鼻をくじかれました。しかし、そこは岳樺、セルフレスキュー(3分の1&5分の1引き上げ)やロープワーク講習をやり、会での共有と確認がしっかりできました。
夜も夕食後に山でのスマホ活用法(コンパス、天気予報、地図など)教室が開かれ、山でのテント泊も楽しいけど、民宿泊もとっても良いと思った山行でした。
「Muuの感想」
今回、悟空スラブということで、初めて全ピッチをリードさせてもらえました。3ピッチ目からは登攀も初で、良い緊張感があり終了点では達成感にひたることが出来ました。天気が良かったこともあり、終始皆さんの笑顔が溢れていて楽しかったのと、上達したいという想いから、早く次のクライミングをしたくなりました。