剱岳八ツ峰6峰Cフェース剣稜会ルート+上半縦走

dakekanba-admin

山域:北アルプス
日程:2021.08.1-3
メンバー:Qちゃん、レイザー

行程
8/1(日) 8:00 室堂 → 剣沢キャンプ場 → 雪渓取付き(偵察) → 剣沢キャンプ場(テント泊)
8/2(月) 1:30 剣沢キャンプ場 → 2:30 長次郎谷出合 → 4:30 6峰Cフェース取付き → 9:00 Cフェースの頭 → 13:00 八ツ峰の頭 → 15:00 長次郎のコル → 16:00 剱岳 → 19:00 剣沢キャンプ場
8/3(火) 7:30 剣沢キャンプ場 → 室堂 → 帰着(バス、電車)


今回は剱岳六峰Cフェース剣稜会ルートへ。
昨年8月に源次郎尾根に行った際、レイさんから9月の連休にやりませんか!?と提案があった。
その時は、えっ⁈まだ、まだ、そんな場所に行くのは無理。と断ったが、この一年色々な場所でトレーニングを重ね満を持して臨んだ。

午前0時に起床
身支度を整え1時半に出発、漆黒の闇の中ひたすら雪渓を歩く。


段々と傾斜もきつくなり、ようやく空もしらみ始めてきたので安定した岩で休憩をとる。


後ろを振り返るとヘッドライトの明かりがいくつも見え、あっという間に2パーティが思い思いの場所からCフェースの基部に到着。

我々は2番手スタートとなる。下調べしてきたルートの取り付きは雪渓が庇のようになっていて濡れている。
傾斜は緩いが濡れたスラブを避けて先行パーティは難しい場所から取りついた。
当初の予定では奇数ピッチ私だったが、先行パーティと同じ場所から登攀するのは無理と判断、レイさんにお願いする。
が、まさか!レイさんが手こずっているのだ💦足掛かりがない上に重い荷物。この場所の岩も濡れていてヌルヌル。
ほとんど手だけで体を支えている状態。私は固唾を呑んで見守るしかできない。
なんとか持ち堪えて岩の上に立った時には安堵した。こんなにレイさんのビレーをしていて緊張したのは初めてである。

その後はツルベで順調にロープを伸ばし4p目へ。


このコースハイライトのナイフリッジを目前に、あれ?こんなに短いの?これがナイフリッジ?と少々拍子抜け。
そう思えたのも先週バットレス四尾根のナイフリッジを経験したからである。今回はスタンスも豊富。
阿弥陀北陵のレポにあるレイさんの言葉を借用すれば
〝恐るるに足りず〟
サクッと通過してレイさんをビレー。

写真の腕が悪く写真はイマイチで残念⤵︎だが、フェースというだけあり、後続パーティが登ってくるのもよく見えるし、周りのロケーションは素晴らしい。


昨年は源次郎尾根から今いる場所を登攀する人を見て、いつかはチャレンジしてみたいと思った場所にいるのだ。
今まではおっかなびっくり、口から胃が出そうになりながら恐々登攀していたが、今回は心に少しばかりのゆとりを持って楽しみながら登攀することができた。

終了点からは迷いに迷ったが、最終的に八ッ峰上半縦走~本峰を目指す。
途中幾度となくこの判断を悔やむ。
なぜなら私的にはこちらの方が核心だったからである。
剱岳の貸し切りの山頂に立ち、下山も気の抜けない道を歩きテントに戻ってきたのは19時過ぎとなった(^◇^;)

以前お世話になった先輩からアルパインとは総合力と教えていただいたが、まさしくその通りだと感じた山行でした。

Qちゃん


昨年の源次郎尾根でQさんと
「次回は八ツ峰にチャレンジしたいですね!」と会話、今回晴れて実現しました (^^)/

剣沢キャンプ場(2,550m)をベースに1:30ヘッデンスタート。
我々がトップバッターのようだ。
昨年よりも残雪は多く、30分程度で12本アイゼンで雪渓に取付く。
それから長次郎谷出合(標高1,950m)まで黙々と雪渓を下る。
ここから左右の岩稜に挟まれた、不気味な長次郎谷雪渓の急坂をゼーゼー登っていく。
雪渓の左右に寄りすぎるとたちまちシュルンドに突き落とされるので、ヘッデンを絶えず左右に照らし自分の位置を確認しながら進む。


暫くすると暗闇の中、要塞のような熊の岩がドーン!と現れた。
当初熊の岩テン泊も検討したが、テン泊装備を担いでこの急登はキツイ、変更して正解だった、、、

4:30 Cフェース手前の大岩(2,650m)に到着。累積標高差1,300mで既に太腿パンパン
しかも雪で取付きが埋まっているのでは?手前にクレバスもあるしビビってくる ( ゚Д゚)


夜が明けるのを待ってクレバスを迂回してCフェースへ向かう。
取付きを探していると他に2パーティ(2人組、3人組)がやってきた。
「お、残置ハーケンを発見!」私が最初に取付きを見つけたが、2人組(学生)は準備が早そうだったのでトップを譲り我々は2番手スタート。

<5:30 Cフェース登攀開始>
1ピッチ目(私):30m(Ⅲ)
ピッチグレードは「Ⅲ」とトポに記載あるが、とんでもない。
本ルート1番の核心は1ピッチ目取付き初っ端である。
左上したクラックに手を掛け、足は垂壁スラブにフリクションを効かせて攀じるのだが岩が濡れていてツルツル ( ゚Д゚)
A0出来そうな残置ハーケンは無し、持ってきたカム(#1、2)では大きすぎるし、危うく落下しそうになり息が止まる (>_<)
その後、スラブから凹角を登りテラスへ攀じるのだが岩は結構脆い、落石に注意してビレイ(どの終了点とも残置ハーケン有)。

2ピッチ目(Qさん):30m(Ⅲ) 快適なリッジから凹状フェースをハイマツの間を縫うように攀じる。
途中振り返ると、源次郎尾根が目前に迫りサイコー !(^^)!

3ピッチ目(私):40m(Ⅳ-) スラブ状フェースを左上し、リッジ右寄りのフェースを攀じる

4ピッチ目(Qさん):20m(Ⅲ~Ⅳ-) 本ルートのハイライト。
両側スッパリと切り落ちたナイフリッジをトラバース。
しかしバットレスを経験したQさん、余裕のルンルン気分でトラバース (^^♪


高度感はあるがホールドは豊富、バットレスの城塞ハングに比べれば何てことは無い。
熊の岩と剱本峰バックに記念撮影! (^^♪


5ピッチ目(私):25m(Ⅲ-) リッジ右の凹状から易しいリッジを攀じり終えたところが、Cフェースの頭(終了点)

登攀終了

 

この後、Aフェースの頭から懸垂下降で下山するか、上半縦走するか意見が分かれる。
Qさんリーダの最終ジャッジは「このまま登りましょう!」 (^^)/
<9:00 上半縦走開始> 6峰から望む八ツ峰の頭とチンネ左稜線に圧巻! ( ゚Д゚)


6峰Eフェースの頭と八ツ峰の頭の2箇所が懸垂下降とトポに記載あったが、とんでもない! ( ゚Д゚) 岩稜歩きがほとんどを占め、ザレザレ、「ラクー!」の連続で緊張が全く解けない。
懸垂支点のあるところはクライムダウンはせずに、全て(10回近く)懸垂下降を選択した。
特に8峰の懸垂下降(短い垂壁+ギャップのアップダウン)は左右に振られないよう緊張した (>_<)


この辺りからガスってきて、クレオパトラニードルが異様な雰囲気を醸し出していた。

<13:00 八ツ峰の頭到着、北方稜線縦走開始>
当初の計画では池ノ谷乗越から長次郎谷右俣雪渓をクライムダウンする予定であったが、剣沢の県警詰所の情報では「クレバス多発で危険!」

そこで途中雨が降ってきたら左股雪渓からクライムダウン、降らなければ劔本峰まで縦走の計画とした。
雨がポツリと降ってきたときはさすがに「ヤバい!」と身の危険を感じたが、本降りとならずに済み縦走を選択。
「北方稜線はルーファイが肝!」と言われているが、当会入会直前にソロで縦走を計画(この時は台風で中止)、
過去レポや動画でイメトレした記憶が残っていたので、特に迷うことなく本峰へ到着 (^^♪

<16:00 劔岳下山開始>
山頂は無人、貸し切りで下山開始。
テン場まで3hの道程はホント遠かった、、、
陽が暮れる前にマイホーム(テント)に帰れて良かったよー (ToT)/~~~

<所感>
八ツ峰上半縦走のインパクトがあまりに強くて、Cフェースの記憶が薄れてしまった (^^;
また今回のルートは岩稜の連続でアップダウンが激しく、体力的には北岳バットレスを越えるものがあった、、、
アルペンムード漂う劔岳、やはり別格ですな。
来年は「チンネ左稜線」を目標とします! (^^)/

レイザー