山域:北アルプス
日程:2021/05/02-4
メンバー:Qちゃん(L)、レイザー、アーサー
沢渡の駐車場に向かっていると早くもフロントガラスに雨粒が…認めたくないから鳥の落とし物だよ。などと言っていたが駐車場に着いた時にはアウターを羽織らなければならない雨足になっていた。
今日の予報はあまり良くないのはわかっているが気が重い。皆無言で準備を進めバスに乗り込む。雨は雪に変わり上高地に降立つと地面はうっすらと白くなっていた…
一般登山道を外れ下宮川谷の登り。驚いた事にピンクテープに岩にペンキ印がついている。
湿った雪に重い荷物、歩き易い場所を選びながら歩みを進めなきゃと黙々と歩いていたのもあり、レイさんがもうすぐ宮川のコルだからそこで一息入れましょう。と声をかけられるまでなんと2時間も休憩無しで歩いてしまっていた💦メンバーへの配慮が足らんな。
地図を確認し、真っ白な雪面をトラバースしながら高度を上げていく。ここにきてまさかのラッセル!!それもパフパフのパウダースノー。
場所によっては膝まであり直ぐに疲れて先頭をアーさんに譲る。代わって暫くすると深みにハマり腰まで潜りなかなか抜け出せずもがいている。初めての残雪期雪山での洗礼をうけ、そこから先はレイさんのオンステージ。新雪を物ともせず顔色一つ変えずズンズンと進んでいく。私はついて行くのがやっとだ。時折止まって待っていてはくれるものの、追いつけば直ぐに先に進む。後ろを歩けば後続圧力だし前を歩いてもいや〜な圧がかかるのだ(^◇^;)
ようやく目的地に到着しテント設営が終わる頃には雪も小降りになりところどころ雲の切れ間から青空も覗く。ガスがとれると目の前には
銀嶺の前穂三本槍、明日登る明神岳が間近に見え絶景にうっとり。こんな景色なかなか見られるものじゃない。明日天気が良くても今日これだけ雪が降り条件的にはかなり厳しいはず。途中敗退となってもここまできた価値はあると思った。
翌朝は雲一つない快晴とはならず、行く手を阻むかのように雲が湧きだしている。だんだんと傾斜はキツくなり、アーさんが遅れだした。その様子をみて第一階段を登り始めたレイさんにこの先途中敗退も充分にあり得るから安全に降りてこられる所までにしましょうと伝える。
レイさんも今日予定通り全ての工程をこなすのは無理と思っているようだが、ラクダのコル迄行ってみたいな…とぼそっとつぶやいた。が、
目の前に聳える壁のその先迄行ける気がしない。後方のアーさんに声を掛けると、足の踏ん張りが効かない、足が上がらないとのこと。その時点で私の気持ちは決まった。今回はここで終わりにしようと。
傾斜がきついので後ろ向きで、一歩一歩決めて慎重に降りるように声をかけるが新雪だからなかなか足が決まらずに時間はかかるし疲れる💦ようやっとひょうたん池につき一服し、途中デブリもあったので周りの状況を確認しながら慎重に上高地戻った。
今回の反省
アーさんは初めての会でのテント泊。神経も使うし、寒くてほとんど眠れなかったようだし、荷物は重く、ひょうたん池までの道すがらもトラバースで足が決まりづらく怖い箇所があったとのこと。絶対に無理はしないから不安を感じたり、体調が思わしくなかったら直ぐに言ってね。とは伝えたつもりだが、何回か積雪期バリエーションをやった事がある私と初めてのアーさんでは怖いと思う場所も違う。もう少し配慮をすべきだった。また天候不順で会長はじめとする会員の皆様にもご心配をおかけしてしまい改めて判断のタイミングの難しさを痛感した。
今回途中敗退とはなりましたが、クライマーの聖地?奥又白の池の場所も目視できたし、このコース無雪期に一度チャレンジしてから再トライしてみたい。
Qちゃん
当初は白馬岳主稜を予定していたが今年は雪が少ないということもあり
明神岳東稜に予定変更してアタック (^^)/
アーさん車で道中、「今日はドライブ日和ですねー!」と快晴を喜んでいたのも束の間、
沢渡入りする頃にはシトシトと雨が降り出し、上高地入りする頃にはパラパラと雪が降り出す…(^^;)
明神橋から明神岳方向を見上げるも、雪雲に覆われてまったく眺望なし。
「まあ、予報では夕方から回復傾向とのことだし、予定通りひょうたん池を目指しましょう!」と出発。
なんと、雪道なのに先行者のトレースが全く見当たらない。
おっ!ひょっとして貸し切りか !(^^)!
時々薄雲の奥にボンヤリと太陽が見えるときもあるが、深々と降る雪は一向に止まず。
そして宮川のコルを過ぎた頃からは、膝上ラッセル地獄が待っていた…( ゚Д゚)
GWのこの時期に新雪ラッセルが出来るなんて!
ドMにはたまらん !(^^)!
上部からの雪崩に注意しながら急斜面をトラバースしていく。
16時半頃、無事にひょうたん池へ到着。
スコップで整地してテント張り終える頃にやっとガスが晴れてきた。
まるで冬景色の明神岳東陵や前穂の三本槍がドーンっ!
この景色を3人で独占できただけで、もう満足!
アーさんの当会テン泊&雪山テン泊デビューということで、思う存分水作りに励んでもらいながら宴を楽しみ早々に就寝 (^^)v
翌朝は予報通りの晴れ (^^♪
早々にテント撤収しガチャ装着し、いざノートレースの東稜へ!
朝日に照らされた銀嶺の三本槍(右手)、霞沢岳(背面)の眺望にうっとり、ラッセル地獄に耐えながらジリジリと進む。
ここで、明神・前穂高の後方からどんよりとした雪雲がだんだんと迫ってきた! ( ゚Д゚)
Qさんと「核心のバットレスまで行ければラッキー、懸垂でピストン撤退になるかもね。」と会話していたところ、アーさんのペースが落ちてきた。
どうやら寒さで夕べほとんど眠れなかったようだ。
慣れないラッセルに雪上テン泊、精神的にもかなり負担をかけてしまったようだ。
アーさんに体調を確認後、Qさん「ここで撤退しましょう!」の決断。
私はちょうど第一階段を攀じり始めていたところだったので、1ピッチ目終了点付近の平地までフリーで攀じらせてもらう。
下りはダブルアックスで慎重にクライムダウン。
宮川のコル手前を下山中にQさん、「もと来た道で下山するのもつまらないので藪漕ぎしていきましょうね」とダケカンバのブッシュへ突入。
藪漕ぎもドMにはたまりませんね… (^^;)
ダケカンバの枝にパチパチ叩かれていると、会長から「滑落停止練習、まだまだやるぞ~!」と雪上訓練で弄られたことを思い出す。
今回の山行は途中敗退となり残念ではありますが、
新雪ラッセルもできたし前穂の三本槍も拝めたので、個人的には満足な山行でした (^^)
いつかこのメンバーでリベンジするぞ! (^O^)/
レイザー
北アルプス明神岳へレイザーさんからお誘い頂き
憧れの北アルプスに経験者と行けるとなれば返事は「はい」か「イエス」の2択だった
しかし雪中のテント泊も北アルプスも初めて、まして明神岳とは?・・
それから色々とリサーチ
ネットの山行記録やユーチューブの動画を検索したり等々
調べれば調べるほど不安がよぎった、なぜなら険しい岩場や急斜面の雪面を下りetc
20キロ以上のザックを背負って完遂できるのかだろうか
しかしながら北アルプスを一度は見てみたい、好奇心が上回ってしまった
午前4時自宅を出発、待ち合わせ場所のマッドステーションへ5時前に到着
ほどなくして駅から歩いてくるレイザーさんとQさんの姿が見えた
都会に大型ザックを背負った2人の姿がひと際目立ちかっこよかった
自分もザックが似合うようになりたい~そんな日が来るのだろうか・・
~中略~
高速を走り沢渡駐車場に車を停めバスにて上高地へ到着
憧れの上高地はあいにくの天気で時折雪と強い風が吹いている、それでもワクワクしながら辺りを見回して完全におのぼりさん状態であった
予報では今日いっぱい雪なので特に期待せず明日以降の晴れ予報に期待した
明神館まで約1時間の歩き、平坦だが重いザックとQさん先行の早いペースに汗を出しつつ、辺りには写真で見た通り美しい上高地の景色に感激
初日は明神館からテン泊地のひょうたん池を目指す
空は相変わらず厚い雲に覆われている
しばらく樹林帯を登る、所々にペイントやテープによって大まかな方向はめぼしがつくがルートファインディングしながら歩く
足場はそれほど悪くないけど20キロ超のザックを背負っての登りは堪えた
ペースを上げると汗が噴き出てくる、レイザーさんの後続圧力は無視しよう、心に誓った
なるべく息を切らさず汗をかかず・・
スローペースにレイザーさんとQさんはストレスだったろう
樹林帯を抜け見晴らしの良い雪面を登り続け、斜度は段々ときつくなってきた
5月だというのに雪が深い、最近降り続いた雪が積もりその下には堅い雪の層が有って完全に2層に分かれている、素人目に見てもいつ雪崩れてもおかしくない状況、特にひょうたん池手前の急斜面を横切る箇所は緊張した(案の定下山時は雪崩れたあとでした)
麓から歩いて4時間ちょっと経過しや~っとキャンプ地のひょうたん池に到着
見渡すと目の前に前穂高岳、少し左手に明神岳が雲の切れ間から時折姿を見せた
厳つく素晴らしい山容にモーレツに感動した
感動に浸っている間、早速先輩二人はスコップで雪面を掘り起こしテント設営に取り掛かっている
2人を見ていると行動がとても速く常に先々を想定して動いている
ぼーっと景色を見ていた自分もスコップで基礎工事に取り掛かる
テントを設置してもしばらくは現場監督の元、テント底に雪を放りこんだり、平らにしたり手直しをしながらなんとか満足の出来る状態になった
今回楽しみの一つだった雪のテント泊、みんなでコンロを囲み一杯やったり食事をしたり
酒は飲めないけどテント内に揮発したアルコールでほろ酔い気分を味わった
雪を溶かして水作り、積もりたての雪はとても綺麗で、美味しく頂きました
翌朝2:30起床 朝食を済ませテント撤収作業や登攀装備をして5:30スタート
いきなり雪が深い、アイゼンを履いた足は膝上まで埋まり徐々に急になる斜面に手こずった
先頭を行くQさんはピッケルで目の前の雪を掻き、膝で雪を押さえ足場を作りながらリズムよく登っていく、そのあとを自分が登るのだが、それでも雪は膝上までズボズボと埋まり心拍数は上がる
Qさんとの距離が開く
先頭をレイザーさんに交代し次にQさん、最後に自分となって第一階段方向へ向かう
更に距離が開く
深い雪と隠れた背丈ほどの落とし穴に捕まりながらも、必死に着いていく
斜度は更に急になり岩も出てきた
岩と雪のミックス帯をアイゼンで登るのが思いの他難しくふくらはぎが攣ってしまった
空を見上げると明神の向こう側から雲が流れてきた
ここを頑張って登り切ってもその後の工程を考える明神から岳沢までの工程が難しそう距離も長い
それを考えると無理は出来なかった
先を行くQさんが何度か声をかけてくれた
「あーさん大丈夫~?」
「だめで~す」
この先の工程を行くにはまだまだ技術・体力が足りなかった
レイザーさん、Qさんには大変申し訳なかった
しかし2人は快く自分の判断を肯定してくれた
レイザーさん「無理は禁物です、無理な時は無理だと言う、その判断に間違いないです」
Qさんも大きく頷いてくれている
レイザーさんQさんの心意気に感謝します
下山では昨日歩いた斜面は大きく雪崩れた跡だった、逆に少しほっとしながら歩く
樹林帯に入り登りとは違う薮漕ぎルートを選択、生い茂った笹薮や会の名前であるダケカンバの枝を手で書き分け滑る斜面に尻もちをつきながら下る
麓につく頃には天候が悪化してきた、時折嵐のように吹雪いていた
やっとの事で上高地に到着!
途中撤退であったがメンバーで交わした握手で充実感が沸き上がる
とても勉強となった大満足の山行でした
レイザーさんQさんには消化不良となった山行だったと思いますが、快く下山頂いたお二人には感謝です
アーサー