■山域:南アルプス 甲斐駒ヶ岳(黒戸尾根)
■日程:2020/2/22-23
■参加者:Qちゃん、すけちよ
当初予定していた常念岳東尾根はところどころ雪がないとのことで急遽、甲斐駒ヶ岳に変更した。
変更しても天候が悪化するとの予報に敗退覚悟で「難所」のところまで行ければと決めて出発する。
難所とは8合目御来迎場の先にある大岩を右に迂回する場所で、毎年のように滑落事故(特に下り)が起きている。一度は通過してみたいと思っていた。
ところが今回の山行はその難所よりもとんでもない暴風雪に見舞われたことが一番の経験となった。
その黒戸尾根の出だしはTシャツでもいいくらいの陽気でとても2月とは思えない。
それでも笹ノ平から凍結した路面が見え始め、高巻きも限界となってしぶしぶとアイゼンを履く。
覚悟はしていたもののアイゼンを着けて七丈小屋まで7時間の道のりを歩くのかと思うとうんざりする。今日は小屋泊で荷物はいつもよりは少ないはずなのだが長ーい黒戸尾根は甘くない。
刃渡りを過ぎたあたりから雪が降り始め、積雪も多くなる。出だしの陽気が嘘のようだ。
七丈小屋に着いたのが16時前で、雪も本降りで全身真っ白となった。
第二小屋は24時間ストーブがついていて超快適。12人の宿泊者がいて明日は天気が回復するのでもっと混むらしい。
ストーブの周りで自炊しているとアイスクライミングで知り合ったというフリーの男女4人のグループと話す機会があり、積雪条件が良ければ黄蓮谷を目指すとのこと。話す内容からして精鋭でかなりの熟達者、スキルの持ち主のようにお見受けしました。
翌朝、一晩での積雪量は30cm、深いところで50cmというところで、7時半にアタックを開始。
先行者がつけてくれたトレースも刻々と強くなる風と雪でほぼ消えていて膝下程度のラッセルとなる。
8合目御来迎場にて会旗で記念撮影し、そこから少し行った岩稜帯に入ると今回の目標である「難所」が見えたが山行はここまでとした。長い黒戸尾根、ここまできて、という気持ちはもちろんあったが、ここから先は吹きっさらし。とても山頂まで行けるものではないとあきらめがついた。難所を通過することはできなかったが見ることができただけでも十分だった。
下山を開始すると、黄蓮谷を諦めた4人のフリーの方々が登ってきて山頂を目指すとのこと。「精鋭部隊でもさすがに今日は無理でしょう」と心の中でつぶやく。
そのまた後続のカップルは僕らと同じ判断でここで下山するという。途中、危ない箇所はロープを出して懸垂下降で無難に対処する。カップルも懸垂下降をするのにロープを貸してほしいとのことでお貸しした。せっかく持ってきたロープなので役に立ててよかった。
そして8合目御来迎場に差し掛かったところからいきなり風速30メートルはあろうかと思う暴風雪に見舞われることになります。
耐風姿勢、もしくは立ち木に掴まっていないと倒されるためまったく身動きができない。しかも暴風が長く続くためホワイトアウトに。後ろにいるはずのQちゃんが見えない。しかもマツ毛が凍結したのか雪が付着したのか、しばらく目が開けられない状態にも陥る。家に置いてきたゴーグルはこういう時に使うのものなのか。。。泣
聞けばQちゃんもこんな風は経験したことがないという。
立ち木の高い位置の赤いマーカーを頼りに歩を進めようとするがよく見えないので次のマーカーを確認してから行動する。うかつには動けない。暴風雪ホワイトアウトは地図、コンパスも利用できなくなるはずなので怖いものがあります。
無事小屋に戻り、お昼ごはんを食べていると先ほどの4人のフリーの方々が帰着した。早い帰着だったので途中撤退だろうと思っていると、なんと山頂を踏んできたとのこと。焦った様子もなく楽しかったらしい。
誰もが撤退を判断するようなこの暴風雪の中、とんでもない人がいるものだ。うらやましいと思う反面、自分にはそんな技量もなければ勇気すらない。それらが自己責任という壁を超越していないとできない行動だ。そんなことを考えながら登りよりも更に長く感じる黒戸尾根を下山した次第です。
今回はアルパイン、バリエーション的な要素のない山行でしたが、雪山の怖さ、自然の猛威を感じた山行となりました。それでもいつか雪の山頂を踏めるようリベンジしたいと思います。
暴風雪でも8合目まで行けたのはQちゃん、会を築いてくれた会の皆さんのおかげです。
今後ともよろしくお願いします。
『22日(土):朝までは小康状態だが、日中は南西風が急速に強ま
その予報通り雪は昼頃から降り出した。
雨じゃなくてよかった。が、湿った雪の為アウターが濡れ始めた。
七丈小屋を目指して登り始めた時は全く
翌朝起きてみるとまだ雪は降っていた。
山頂まで行くのは無理としても降雪の中歩くのはテンションが下が
八合目で消えたトレース。時間的な事も含め様々な事を考慮して下山
当初の予定は2度目となる八ヶ岳の阿弥陀北陵。三連休だというの
所々スケートリンクのように凍った道。高巻きをしたりと始めは避
山頂は踏めなかっだけれど記憶に残る山行になりました。