梅雨明け十日で前穂北尾根! ~2019.8.2-4~

dakekanba-admin
  1. 山域:北アルプス 前穂高岳北尾根
    日程:2019年8月2日(金)~4日(日)
    メンバー:ムー 他2名(会員外)+1名(会員外:行きの上高地までと、下山時の岳沢から同一行程)

よく当会の会長、竜少年が「梅雨明け十日(は、天気が安定する)」と口にしているのを聞いていましたが、今年は梅雨明けしても大気は不安定と天気予報では言っていました。しかし、「自称、晴れ男」と言っているムーは、「晴れ男!?」と勘違いしちゃうような天気の中で、登攀してきました。簡単な報告ですがレポートをご覧ください(^_^)

テント泊装備で前穂北尾根
前穂北尾根に誘われた時、涸沢をベースにしてアタック装備で登攀をすると思っていましたが、行程は以下のとおりでした。
上高地→涸沢(テント泊)→前穂北尾根→岳沢(テント泊)→上高地
以前の私が上記の計画を聞いたら「軽量化のムシ」が騒ぎ出していたかも知れませんが、5月の双子尾根、6月のコブ尾根、夜間縦走訓練、7月の北ア縦走と、テント泊装備でバリエーションルートの登攀、またはそれを想定したトレーニングをしてきたので、ちょうど良い機会に誘ってもらえたと楽しみになりました。また、同い年のメンバーにプラスして、岳樺クラブに入会する前から、登攀だけでなく料理の上手さも聞いていた方と3人でパーティを組むこともあり、岳樺クラブで1位2位を争う大食漢のムーとしては、前穂北尾根チャレンジのドキドキと山行自体のワクワクで「良い天気に恵まれますように!」と願っていました。

恥ずかしながら、無雪期は初めての涸沢
平日の朝とは言え、さすがはシーズンの上高地、多くの登山者がいます。天気は不安定なせいか、穂高の上部は雲に隠れていますが、今日は涸沢への入山だけなので気楽です。横尾を過ぎてから、無雪期の涸沢に入るのは初めてだと気付きます。登山を始めてから6年目にしては恥ずかしい気がしますね。3人の装備は50㍑以内のザックにまとめていますが、全員が2日分の食材にプラスしてウイスキー、焼酎、ワインといったアルコール飲料を背負っているため、涸沢へ近づくにつれて傾斜が増すと疲労を感じます。
でも、それが返ってコーラや生ビールを格段に美味しくさせてくれます。テントを設営し、前穂北尾根ⅤⅥのコルへの取り付きを(遠目に)確認してからヒュッテのテラスで生ビールを飲んでいると、突然パラパラと降り出します(>_<)。満席のテラスの登山者は、クモの子を散らすように、ヒュッテやテントへと非難します。我々も、この降り方だと濡れると瞬時に判断してテントに避難して夕食の準備。夕食は、なんと!手作りハンバーグです!そして、生野菜のサラダのバジルソース和え。夏の山で食べられると想像もしたことも無かったごちそうでした♪(そもそも手作りハンバーグを食べたのは、いったい何時以来だろうか(;^ω^))ご飯も白米から炊き、テントの中は、ご飯の良い香りが充満しました。明日へのエネルギーは満タンです!

ⅤⅥのコルでスーパーマンと出会う
アタックの日の朝、今日は岳沢までの行程で時間に余裕があるので、ルートが見えるほどの明るさになってから出発。

まずは軽アイゼンを付けて、雪渓を歩き雪渓が切れる辺りで夏道へと乗り換えてコルを目指します。

コルに着くと下からソロの方が上がってくるのが見えたので、休憩がてら待っていると65歳の穏やかな方でした。が、話しを聞いてビックリ。なんと、剱の八ツ峰をⅡⅢのコルから縦走してから下山し、昨日、新穂高から穂高岳山荘を経由して涸沢小屋に泊まったそうで、「小屋泊まりで装備が軽いから~」と言っていましたが、毎日、2000mくらいの標高差を登山しているようで、先月の北ア縦走の経験から判断するとスーパーマンだと思いました。

穂高は素晴らしい!
Ⅴ峰に取り付いて感じたのは、かなりの人が入っている割には、岩場になるとルートが分かりづらいということ、多くの人が入っているのでルートは分かりやすいだろうとナメていたのだと反省です。バリエーションルートでは、いつもそうですがルートファインディングが重要だと感じます。
Ⅳ峰は、いくつもルートがあるようで、先ほどのスーパーマンおじさんは、我々の考えるルートと違う所を登っていました。また、先行パーティがⅣ峰の頂に苦労して辿り着いている様子が見えます。登りながら一息ついて見渡せば、槍ヶ岳までの残雪のかかった稜線が美しく、素晴らしい展望に珍しく感動です(*^^*)。

核心のⅢ峰は、クライミングシューズで安心♪
Ⅳ峰の頂からⅢ峰を見ると、先行パーティが取り付いたばかりで、スーパーマンもコルで休憩しています。我々が、コルに下りる前にルートを観察しながら相談していても、先行パーティ(2パーティ)は、なかなか進まず、スーパーマンはソロなので譲ってもらおうと登っていきました。我々もルートの確認が終わってコルに下りて、しばらく待ちました。先行パーティは、我々と同じ3人組が2パーティおり、随分と待った気がします。ここでガスが沸き上がってきたので、先行パーティは見えなくなりましたが、声が聞こえなくなったので、クライミングシューズに履き替えてロープを結んで進みます。
私がリードしたのは、後半の易しい箇所だったので尚更ですが、クライミングシューズのグリップ力で安心して登れました。ただ、私は変なところで軽量化にこだわってしまい、薄い靴下を持ってこなかったので、山頂近くで足の指が痛くなってきました(>_<)

“山あるある”には騙されないゾ!
Ⅲ峰からⅡ峰、そして本峰の間が至近なのは、地図を見て分かっていましたが、Ⅲ峰からⅡ峰の間が登った感じがしなくて、先に見えているのがⅡ峰かと思い、上がってくるメンバーに「もうⅡ峰は目の前なので、もう一息ですよー!」と声をかけていましたが、皆さんから「あれが山頂でしょう?」と言われます。
「そ、そうですねー。」と頷いておきながら、内心は「これは、山あるあるの『もう着く、もう着くと言いながら着かない』ヤツに違いない!疲れてきているので、もしも山頂じゃなければ皆がショックを受けるだろうから、私はⅡ峰という心の準備をしておこう!( ̄▽ ̄)」と考えながら進んでいると、突然ヘルメットを被らず軽装の男性が現れて「奥穂に行きたい」と言うではありませんか、「前穂から奥穂へは直接行けないので、一度、紀美子平に下りて…」と説明すると、その男性は何も言わずにプイと行ってしまいました。山頂の標識を見て喜ぶ前に、何だか嫌な気分で山頂と知らされてしまいましたが、山頂の標識を見て安心しました。

珍しく花の名前が頭に入った(^^)v
岳沢でのテント泊で北尾根登攀のお祝いをして、翌朝下山する際に、この時期に咲く花の名前を教えてもらいました。普段、花の名前を聞いても右から左で忘れてしまうのですが、今回は3種類の花を珍しくちゃんと覚えています。ゴゼンタチバナ、トリアシショウマ、ホタルソウ。今まで花鳥風月を楽しむような気持は無かったのですが、花を見ながら歩くだけで上高地までの下山路が楽しくなった気がします。最後まで良い経験をしました!
ムー