九州へ遠征して百名山登山(阿蘇山、祖母山、九重山) ~2019.5.15-18~

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山域:九州 阿蘇山、祖母山、九重山
日程:2019年5月15日(水)~18日(土)
参加者:ムー、みっちゃん
行程:5/15 成田→大分 阿蘇山
5/16 祖母山登山
5/17 九重山登山
5/18 予備日 大分→成田

 

まずは、みっちゃんの感想です↓

「日本にも良い山はいっぱいある」という事で、全国の山を行脚していますが、今回は九州の阿蘇山・祖母山・くじゅう山に行ってきました。

百名山ハンターではありませんが、やはり押さえておきたい人気のお山で、ちょうどミヤマキリシマのお花の時期(咲き始め)。

阿蘇山もくじゅう山でも、ミヤマキリシマの群生を見ることができました。これは一見の価値ありです。

そして、3年前の熊本地震の時に災害支援ナースとして支援にあたった熊本県阿蘇郡西原村を訪れてみました。
3年前は潰れてしまった家や、ブルーシートの屋根の家が、あっちこっちにありました。
いまは新しいお家が多く、一見復旧しているように見えても、まだ仮設住宅で暮らしている方も多くいらっしゃり、道路も鉄道も復旧作業中です。

出来ることとすると、訪れてお金をせっせと落とす事くらいです。
お水も食べ物も美味しいので、また訪れたいと思いました。
みっちゃん

続いて、私(ムー)のレポートです。ちょっと長いですが飛ばさずに読んでもらえると嬉しいです↓

GWの10連休が明けてから1週間たらずで、3日間の休暇・・・5月の半分を休んでいるという職場での負い目も出発直前までの残業でチャラになったと勝手に思いこんで九州へ!
海外遠征と同じで、航空券を取っての登山は天候が悪くても簡単に日程の変更はできない。出発前日の気象庁の予報では、1日目はまずまず、2日目と3日目は曇り時々雨、4日目は雨と段々と悪くなる様子。家から車で行く登山と違うので簡単に中止できないのは仕方ない、救いなのは無理して山に登らなくても熊本・大分には観光地も多くあり、グルメと合わせて4日間いても暇になるようなことは無いことだ。

初日の天気が良いとは言っても、大分空港へ昼過ぎに着いてからの登山。空港の前に山があるわけがなく、阿蘇山まで車で2時間、仙酔峡の登山口に着いたのは午後4時前であった。登山口から高岳へと左へカーブしながら伸びている仙酔尾根の下部にはミヤマキリシマが多く咲いていた。花には興味のない私もミヤマキリシマの名前は聞いたことがある。ただ、阿蘇山ではなく九重山だけだと思っていた。しかも今回の訪問時期が最盛期(6月頭)よりも少し早いので、今回は見ることができないと思っていた、だから、ちょっとだけ得した気分になった。

ちょっとだけと言うのは、この午後遅い時間からの登山が、悪いことをしているような気持が消えないからで、ただでさえ火口からモクモクと噴煙を上げているような山で、下山が遅れたら・・・駐車場には平日にもかかわらず(ミヤマキリシマが見頃のためか)案内の方もいらしたので、日が暮れて暗くなった時にポツンと車が残っていたら、どうなるのだろう?

とにかく、行程は短いので「明るいうちに下山しよう」と阿蘇五岳の最高峰である高岳へと仙酔尾根を登っていく。さすがに活火山の山だけあって樹林帯と言うものはなく、いきなり開放的な尾根歩きとなるが日差しが暑い。基本的にはグリップの効く岩場の登山道となっていて段々と傾斜が増す尾根だが、所々にガレ場もあり下りでは滑らないように要注意だ。

ペンキマークもしっかりあるため考えずに登っていけるところが幸いしたのか、急登ではあったがまだ太陽が高いうちに高岳に到着した。

高岳は火口よりも高い位置のため噴煙の上がる火口を見下ろすことができ、一般的な山頂からの風景とは違った「地球が生きている」と感じることができる景色を見ることができた。

下山時は常に駐車場が見えており、ミヤマキリシマ目当ての観光客が多く訪れているのが確認できたのと、明るいうちに下山できそうだと分かったので安心して足元に集中し歩けた。また、登山開始時よりも優しくなった日差しの中で、ミヤマキリシマの色が濃くなったので、観光客に混じり鑑賞した。
ただ、明るいとは言っても時間は午後7時近い。そー、九州の日没は東京に比べて30分も遅いのだ。そして、阿蘇山付近は(申し訳ありませんが)田舎なので、お店が閉まるのは早い。荷物を車に放り込んで「かんぽの宿 阿蘇」へgo!平日でガラガラの広~い風呂にのんびりと浸かりたいという未練が残ったが、今日は朝からろくに何も食べていないので、スーパーマーケット「えびすぱーな阿蘇店」へ駆け込むと閉店5分前(PM7:55)。「滑り込みセーフ!」と言う余裕もなく、慌てて買出しを済ませ「道の駅阿蘇」へ着き、やっとのんびりできた。
しかし、道の駅阿蘇は九州中部を東西に横断する大動脈「国道57号線」に面しており、朝まで大型車の騒音が続いていたので、ウトウトと過ごし何度も時計を見ては「まだ○時かぁ~(>_<)」という、いつものパターンを繰り返すのであった。
翌日は4時に起きて、簡単に朝食を済ませ祖母山の登山口「神原(こうばる・・・九州は原と書いて“はる”と読むことが多い)」へと移動。登山口に着くと無人の軽トラが1台と車中泊をして登山の準備をしているおじさん(おじいさん?)が1人だけ、我々は登山の準備は出来ているので、おじいさんに「今日は予報に反して良い天気ですね。お先に登ってます。」と挨拶してすぐに出発する。
昨日の阿蘇山と違い、祖母山は山頂直下まで樹林帯の中を登る。最初の30分は沢沿いの自然観察コースとなっていて、動物・樹木・地質等の説明看板があり、勾配も緩く歩きやすい気持ちの良いコースだ。

そこを過ぎると同じような景色が続く尾根道を標高差600m上がり稜線に到着。祖母山まであと30分という国観峠からは、他の登山ルートと合流する。ここから山頂までは傾斜は緩くなるのだが、地面もゆるくなり滑らないように注意が必要だったので、下山時は木の棒を拾ってストックの代わりに使った。

山頂に着くと、運悪くガスがかかっていたが、それでも雲間から遠く竹田市が眺められた。ガスが晴れるのを待っても良かったのだが、山頂は何故かハエだらけ、じっとするとたかられるので動きながら行動食をお腹に入れて、記念写真を撮ったらすぐに下山する。

下山時には、平日にもかかわらず10人以上の登山者(多くは年配のご夫婦)とすれ違った。また、登山口のトイレや登山道、標識もしっかりと整備されており「さすが百名山!」と言わずにはいられない。下山時の自然観察コースには地元竹田市の中学生が課外授業で訪れており「こんにちは!」という元気な挨拶が続き、賑やかな下山となった。
昨日の強行軍とは違い、今日はお昼過ぎを予定していた下山時刻よりも早くに下山した。下山後の予定は細かく決めていないので、とりあえず登山口近くの「音無井路十二号円形分水(通称、円形分水)」に向かう。ここは、私が見てみたかった施設で、昔、この地域では水量の分配を巡り争いが絶えなかったという、それを円形分水が作られたことにより解決したという話しをTVで見て、ぜひ1度訪れ実物を見たくなった。円形分水の現物を見ると、その大きさは想像以上!水量は田植え時期で最大!分配の様子が美しい!と当時の方々の知恵に感動しました。

その後、やたらと案内看板が出ていたので、白水の滝に寄ってみる。下山後の疲労が消えないうちですが、日差しも強くなり気温も上がってあまり歩きたくはなかったが、滝まで600m歩くことになった。ただ、落差と幅のある見事な滝でマイナスイオンを浴びてスッキリしたし、湧水を汲んで明日の分までの水を補充できた。

それから、みっちゃんが熊本地震直後に災害派遣された熊本県の西原村へと移動、祖母山側からだと阿蘇カルデラの外輪山を越えて、カルデラ内に入り横断して、カルデラ外に出る。阿蘇カルデラの大きさを目と体で実感しながら進んだ。
西原村までの道も復旧していない箇所もあり、改めて地震の怖さを感じた。実は、出発の数日前から日向灘を震源とする地震が何度も発生しており、「南海トラフ地震の前兆か?」と心配していた中での九州への出発だったので、常に地震のことは気になっていた。西原村では、みっちゃんは懐かしさを感じるとともに復興の様子や「まだまだ」という複雑な感想を持っていたようだ。
陽も傾いてきたので、今晩の宿泊予定地「大分県竹田市」へ“戻る”。再び、外輪山を越え阿蘇カルデラに入り今度は阿蘇山の北側を進む。

途中、営業中の「道の駅阿蘇」で濃厚なソフトクリームを食べながら阿蘇山を見ると、これだけ離れていても昨日の仙酔尾根がくっきりと分かり、昨日の事だが懐かしく感じた。ちなみに、鉄道は大分県側からここ阿蘇駅までしか通ってなく、田舎のローカル線とは言え草の生えた線路や、熊本方面に列車が走っていない時刻表を見ると寂しくなった。

今日は、大分県の豊後竹田駅の近くの日帰り温泉「花水月」に入浴してから「道の駅竹田」で仮眠する予定なので、まずは花水月に行くと地元「竹田市」と書かれた法被を着た方々に「今日は休みだよ、ここから数十分の長湯温泉は良い温泉だから行ってごらん♪」と親切に教えてくれた。車の中でガイドブックを確認し、明日登山予定の九重山へも近く、温泉街の中に道の駅もあるようなので早速カーナビの目的地を変更する。

長湯温泉は、炭酸ガスが溶け込んだ温泉として有名で、平日にもかかわらず多くの方が入浴されていた。我々は、花水月の前で勧められた「御前湯」に入った。以前入浴したことのあるスーパー銭湯に炭酸泉というものがあり、体中に泡が付いた記憶があったので湯船の中の手や足を観察していたが、全く泡がつかない。いかにも地元の方っぽい年配の方に聞く勇気もなく、きれいさっぱりして脱衣所によく貼ってある「温泉の効能」の文章を読み漁っていたら下記の文章があり、頭の中もサッパリすることができた。
『ところで、長湯温泉においでいただく方の中には「長湯の温泉はすべて炭酸ガスの泡が付着する」というイメージをお持ちの方がいらっしゃいます。多くの炭酸ガスが含まれているといっても温度や他の含有成分との兼ね合いなどもあり、浴槽で炭酸ガスの泡が付着するのはわずかです。ちなみに、御前湯の浴槽では泡は付きません。しかし、泡が付かない、といってがっかりする必要はありません。炭酸ガスを多く含んだ泉質は折紙付き。泡が付くか、付かないかの違いだけで効能に変わりはありません。』
温泉を出てから「道の駅ながゆ」へ車を動かす(と言っても100mほどです)が、10数台分しか駐車スペースは無くすべて埋まっている。ならばと御前湯の駐車場に戻り竹田市にあったスーパーマーケット「フレイン」で購入した総菜を食べた。まだ外は明るいのと御前湯の営業終了までは、ここは落ち着かないだろう。また、明日の天気はヤマテンによると下り坂なので早めに下山することが望ましいということから「九重山の登山口まで移動して仮眠しよう」と決めました。
登山口のある赤川温泉近くの登山者用駐車場には、軽トラが1台のみ泊まっていました。空には星が見えていますが、下り坂の予兆なのか風が強くなってきています。素早く車の横にテントを張り寝ます。昨夜が睡眠不足だったのと静かな駐車場のためか、さすがによく眠れました。
朝、今日も暗いうちに起きると、空には星が見えています。天気予報はハズレ?かと思いながら朝食をとりテントを片付けていると、段々と空も明るくなり始めます。空はいつの間にか曇っていて、雲の流れから風が強いことも分かりました。準備ができたので薄暗い中、ヘッデンを点けてスタートします。
登山道は、樹林帯の中のため強風も感じさせない。序盤は傾斜も緩く広い尾根だからか道迷い防止のテープが、たくさん貼ってある。傾斜が急になってくると、低木の中を明瞭な登山道となるが、この辺りで登山道沿いにミヤマキリシマがたくさん咲いていて、あいにくの天気で眺望は無いが飽きることがない登山となった。仙酔尾根のミヤマキリシマと比べ、高所のためか花も小ぶりで山に咲く花らしいと感じられた。

急こう配と岩が多くなってくると、いよいよ山頂が近く感じられ、岩稜帯に出ると予想通りの爆風の洗礼を受けた、そして、雨は降っていないが爆風とともにぶつかってくるガスガスの水分が眼鏡に付着して前が見えなくなるので、眼鏡をはずして山頂を目指した。

岩場を進むこと10分ほどで久住山山頂に着く、この後、最高峰の中岳を目指す予定であったが、視界は数10m程しかなく天候が下り坂なことも考慮して、下山することにした。

下山時には、10人弱の登山者の方とすれ違った。こんな天気でも登る人がいるのは、我々と同じように遠征しているからのようで、翌日は更に天気は悪いので今日は登っておきたいのだろうと思った。駐車場に戻ると、これから登る準備をしている方々もいて「もう登ってきたの!?」「ええ、今日の天気は下り坂なのでお気をつけてください。」というやり取りをして見送った。
行程を短くしたこともあり、下山しても午前中である。「この天気じゃ、観光地に行くのもなぁ~」と悩んだところ、みっちゃんが(ここ数日は、フライを中心としたこってり系の食事のため)蕎麦が食べたいという。九州で蕎麦???、調べてみると小一時間の移動で、有名な蕎麦街道という蕎麦屋が立ち並ぶ町のある小国町があった。その蕎麦街道なかでも有名な「吾亦紅(われもこう)」に行く。
驚いたことに、九重山から西の小国町は晴れておりムシムシと暑かった。ちょうど冷たいざるそばが美味しい天気で良かった。また、混雑するお昼前に入店できたのも良かった。休日は行列ができるそうだが、平日も行列しそうな勢いだったので、並ぶのが嫌いな私はホッとした。
予定していた登山も終わったので、
道の駅小国

→国鉄宮原線廃線跡

→北里記念館(北里柴三郎)

→宿泊地と移動した。最終日は、暴風雨の中を阿蘇火山博物館→長者原ビジターセンターと山関係の施設を見学し、大分空港から無事に帰ることができた。
これまでも、北海道の旭岳から富良野岳のような大縦走や、屋久島縦走など飛行機を使い遠征してきましたが、今回のようなレンタカーを借りての日帰り登山の遠征は、縦走の遠征と比べて荷物も少なく、天候に合わせて計画を変更できるため、とてもお手軽だと思いました。
ムー