両神山へ表登山道から ~2019.4.27~

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山域:秩父 両神山
日程:2019/4/27(土)
メンバー:アッシー

すっかり岩人間になってしまった。今はフリークライミングに夢中。(だって登れないんだもの。)岩場で集中していると写真も取れず。たまには、登山レポをUPします。
10連休初日。岩の誘惑をかいくぐり、たまにはぶらぶら山歩き。竜少年が気をもむが、一人歩きはいいものだ。危険が伴うのは単独、グループ登山だろうが同じだと思う。
どうしたら危険を回避できるか考える。(もちろん『行かない』という選択肢は無い。)読図・天気予想・身体・過去の事故事例など常にアンテナを張って、準備をしっかりする。自信が無ければ、諸々準備ができるまで封印。帰ってきたら、毎回山行を顧みる。装備のメンテナンス、地図を見直す事、危険な思いをした場合は『じゃ、次はどうすればいい?』と自問自答する。山行記録を付ける事は振り返りが出来るのでお勧め。(ヤマケイオンラインの『マイページ』を活用中。)
今回は両神山へ。昔、三峰口から雲取山へ行く途中、ギザギザした山容に目を奪われた。そんなゴジラの背歩きを楽しみにしていたが、志賀坂からの林道ゲートが閉じたまま。(1週間程前に電話で確認した時は説明無し。実際はGW期間中限定で秩父側から八丁峠区間のみの通行だったらしい。)『八丁峠は諦めて表登山道へ急遽、変更』とメールで知らせる。

日本百名山にして秩父の霊峰。事前準備では国土地理院の地図に地名・ルートを記載したので、大体の地形は頭に入っている。山を巻いて、やがて沢筋の道へ。渡渉数回。徐々に高度を上げていく。表登山道は石碑や仏像があちこちに。神仏習合信仰を見てとって「修験は女人禁制。近世なら、歩けない山だったな~」と感慨にふける。

汗冷えしないようにレイヤリングと、水分補給。エネルギーを適度に補給し、テムレス着用。低体温症に気を付ける。(小鹿野町の気温は朝8度!)

『天気とくらす』では午前中はC→B判定。夜半の雨も徐々に落ち着く。レインウェアを着るが木立で雨に直接当たる事は無かった。沢は増水もなく、通過した人の泥濘に滑った足型を見て、注意を払う。霧もなく視界明瞭。ピンクテープと道標で迷うことなく歩く。距離が長いのはわかっているのでゆっくり、ゆっくり。いつも当会の会長である竜少年が言っているね。ゆっくり、ゆっくり。時折鎖の垂れた岩場を通過する。40代の頃は色んなものを詰め込んで歩いたが、今は必要なものだけを背負う。体力も年を重ねる度に落ちていく。1週間前に懸念していた凍結はなく、軽アイゼンを車に残置した判断にニンマリ。一人の良い点は好きな時にトイレ休憩や花を愛でたり、飲食したり。時間配分が自由。嫌なら止めてもいい。要は気楽なのがいい。今回も花を観察したり、清滝小屋の裏のドーム状の岩場を登ってみたり。(多分、清滝。)安全のため、持参したハーネスやヘルメットはここで活用。産泰尾根に上がり、両神神社・御嶽神社を通過。体調も気持ちも上々。⤴⤴

「横岩」手前で鹿ではない獣の鳴き声にビビる。この山で、全身黒ずくめで歩いていたら熊退治のハンターに銃を向けられ、下山時に歩行ペースの違う仲間と分岐を誤ってはぐれたという知人の涙交じりの苦い体験を思い出す。視界に入ってきた、下山中のおじさんに驚くと『熊ではないですよ(笑)』と返される。気さくにお喋りできるのも一人ならでは。『頂上には団体さんで足の踏み場もない』と情報を頂き、ピークの手前で休憩して、時間ずらし作戦。朝の天気予報では午後また、C判定で風に注意。寒いので再びレインウェアを着る。丁度、団体さんと入れ違いになり、頂上は3人組グループの方と4人。天候が良ければ、この山は展望がいい筈。夏は暑いだろう。生憎、富士山は厚い雲に覆われ、アルプスも見えず。それでも雪を被った甲武信ヶ岳や浅間山は確認できた。

雨は止み、太陽が顔を覗かせていた。目をやると木立が凍って白く見える。周囲の景色と山座同定に夢中になっていたら、いつの間にか山頂を一人占めしていた。田中陽気氏の【グレートトラバース・日本100名山人力踏破】でサトちゃんが陽気さんにアイスやカツ丼味のおにぎりを差し入れたシーンを思い出す。(サトちゃんとは、この山行記録で出てくるスーさんチームメンバーの一人です)サトちゃんと私は解散した山岳会で仲間になる筈だった。あの人懐っこい笑顔が思い出される。不思議だが山を通じて人はつながっている。サトちゃん、やっと登ったよ~。両神山。

さ~て帰ろう。帰路はすれ違いざまにたくさんの人が頂上を目指している。挨拶するのも忙しい。先を歩く親子登山の子供の尻もち。足をひきずっているお父さん。帰り道は登りで酷使した筋力が低下している。転倒には気を付けよう。危険個所は往路で確認済み。目星はつけた。険しい八丁峠ルートより登山人数の多い表登山道ルートでも事故は多い。高巻き道から沢へ滑落したら命の保障はない。すれ違いで人に道を譲るとき、ツウは山側の危険の少ない場所で待機するが、谷側で背を向ける人が多い。お気遣いは嬉しいが、ポジション取りは大事ですよ~。所作一つにも個々の判断力と登山技術の力量が出る。

頂上の、まるで冬のような景色と変わり、花に彩られた日向大谷に無事下山。

小西浩文氏の【生き残った人の7つの習慣】は最近読んだうちの良書。今回の山歩きでも、『ゴール直前の「気の緩み」に注意せよ』という言葉が頭に浮かんだ。先月も檜洞丸に深く関わる友人と山歩きし、実際に起きた悲しい話を聞いた。正直、一人歩きが危ないのか、グループ登山がいいのかはわからない。ただ、『竜少年や家族を悲しませるような内容の登山はしたくない。』と、いつも一人歩くたびに思う山歩き。怪我で療養中の竜少年に『ご心配かけました』と下山メールをする。せっかくの10連休だが、天候が安定しない。会の合宿をはじめ、幾人かの知人が北アルプスで過ごすと聞いている。雪崩が心配。皆さんの無事を願う。ビレイパートナーがいないと成立しないクライミングが今の山岳会でのメイン活動だが、たまには山に足を向けたい。
アッシー

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