裏同心ルンゼ&阿弥陀北稜 ~2018.12.22-24~

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山域:八ヶ岳(横岳・阿弥陀岳)
日程:2018/12/22(土)-24(月)
メンバ ー:
裏同心ルンゼ:Muu(L)、Koo
阿弥陀北稜:すけちよ(SL)、ドリル、Qちゃん、
赤岳鉱泉:みっちゃん

岳樺クラブの会山行としては久しぶりの年末雪山山行として、八ヶ岳(南部)へ行ってきました。参加者からの報告です。

私(Muu)が岳樺クラブに入会した4年前の年末山行は八ヶ岳で行われ、初めての雪山テント泊、初アイスクライミング、初マルチピッチ(すべてフォローです)と、初物尽くしでした(その記録はこちらをクリック)。しかし、その年を最後に年末の八ヶ岳雪山会山行は、メンバーの卒業や帰省等により実施されなくなりました。
そこで翌年からは、雪山をやるみっちゃんと2人で登るようになり一昨年の裏同心ルンゼ、昨年の裏同心ルンゼから小同心クラックの継続登攀(その記録はこちらをクリック)とステップアップしました。しかし、そのみっちゃんも国際山岳看護師として活動を始めたなか、遊びの予定に付き合わせるわけにもいかず・・・と思っていたタイミングで、雪山を登る(または登りたい)メンバーが入会し、昨シーズンの後半から一緒に様々なルートにチャレンジしてきました。
そして、今年はXmasの3連休で4年振りに八ヶ岳雪山山行が実施されることとなりました。家庭の都合がはっきりせず、参加表明が遅れた私ですが、参加にあたって考えていたことがありました。それは「2パーティ以上でルートを登る」ことです。

雪山でロープを出し多人数一緒に登攀することは、低温や強風などの厳しい環境のため、現実的ではないという事があります。しかし、私がそれ以上に強く意識していたのは、私を含めて経験年数は少ないメンバーが多いですが、2パーティ作れるだけの経験を積んできた。そして、今回の2パーティによる登攀実施により、各人の経験値は飛躍的に上昇し、今後の山行もより安全に行えるとともに、以前のように実力や志向の違うメンバーが参加しても会山行が成立する余裕が生まれると思っています。
もちろん、登攀はせず赤岳鉱泉までの入山を目的とし、赤岳鉱泉に宿泊するのであれば、登山道も滑り止めさえあればよく、装備も軽量になるため、多くの方が雪化粧をした八ヶ岳を楽しむことができます。
・・・私のレポートでは毎度のことですが、前段の話しが長くなかなか山行報告にならず申し訳ありません。実際の山行の話しに移ります(^_^;)。

今回、私はKooさんと2人でパーティを組み、裏同心ルンゼをアイスクライミングで詰め上げて大同心稜を下降する計画です。Kooさんが昨年入会した際に「アイスクライミングをやりたい!」と思っているのを知っていながら、昨シーズンは一緒に行けず、申し訳ないなと感じていたので「今年は!」と思っていました。
北稜パーティ(すけさん、ドリさん、Qちゃん)を見送った後、6:15赤岳鉱泉を出発。明るくなり始めた頃にF1に着くと先行2グループがおり、1グループ目(3人)が登攀中。2グループ目(4人)は「練習してから登るので、お先にどうぞ」という。誰も居なければKooさんとスクリューのセット、取り外しなど確認してから登ろうと思っていたが、時間が経てば混むことは容易に想像できるので、頭の中がトップギアに切り替わり、1グループ目に続いて登りだす。

私は4度目の裏同心ルンゼということで、今回は「リードは全て私がやりますね」と、事前にKooさんに伝えていました。F2(3段)では、1グループ目が左側を1段ごとにビレイしていたので、こちらは一気に登るつもりで「右から行って良いですか~?」と確認してからスタート!1段目を登ってみると、先行グループのビレイ中のリーダーと目があった、「ん?」・・・山岳ガイドの笹倉さんではないか!?「笹倉さんですか?」と聞くと、正解でした。(夜に赤岳鉱泉で笹倉さんが講師をやるとの情報を知っていたおかげで人間違いせずに済んだ(;^ω^))

その後、ガスが垂れこめる中、F3、F4と難なく登り、F5では最上部で落ち口に抜ける際にちょっと左のバイルが外れ焦ったのと、スクリューを全て滝の中で使ってしまい、Kooさんをビレイする場所を探して時間を使ったが、3時間かからずに大同心の基部に到着。

かなりの強風とガスによる視界不良から「(稜線を登攀する)北稜パーティが山頂まで登攀するには、厳しい天候ですね。」とKooさんと話し、こちらも早めに樹林帯に逃げ込み1時間で赤岳鉱泉へ下山し、北稜パーティとみっちゃんが揃ってからのんびりと過ごした。当然、夕方からはテントで親睦を深めました(^_^)v
パーティが2人だったのと、登ることに集中しすぎたせいで写真が少なく、文章だらけになってしまいました。来年は、さらに雪山山行の参加者を増やして、親睦&登攀を楽しめたら良いなぁ~と思います♪

雪山初心者も大歓迎です。「雪山・アイスクライミング等をやってみたい!」「雪山に行ってみたい☆彡」「雪山を見てみたい♪」そんな方は、こちらにお問い合わせを~(^o^)/
Muu(ムー)

 

3連休初日朝、雨。12月22日の八ヶ岳が雨なんて。山行予定の週末がことごとく悪天候で、中止になった今年を象徴する天気。予報を信じ雨が収まるのを待って遅めのスタート。

初日は鉱泉まで登ってお終いとなってしまった。ただ、この道のりも雪が少なく中途半端に溶けて凍った登山道は、氷結トラップの見極めに神経を使う気の抜けない登りでした。暖かいとはいえさすがに鉱泉は雪景色で小屋から1段下がった場所にジャンボテントを張れるスペースを見つけ、薄っすら積もった雪を均しだすが、平らにするには雪が足らず斜めに整地した場所に張らざるをえませんでした。とは言え、シャンボに5人は居心地がいい。明日のアイスクライミングに向け心躍らせながら鍋とビール、ホットワインで体を温める。8時から小屋の食堂で開かれたみっちゃんの講演は、最後、沢山の質問を受け盛況のうちに終わるのを見て、あらためて安全な登山の実現に山岳看護師の必要性を確信しました。

23日4時起床6時、阿弥陀北稜組を見送り15分遅れで裏同心に向け出発。ヘッデン明かりの中、雪のきしむ音と金属と岩のこすれる音が響く中、一般道からロープをくぐりF1が見えてくると前に2組のパーティ。1組目はすぐにスタート、2組目はトップロープトレーニングをすると言うことで、運よく準備完了後すぐに取りつくことができた。まずは15m。リードMuuさんが確実に上がっていく。氷結状況も悪くない。前日にジョウゴ沢トレーニングができなかったため、ぶっつけ本番になってしまい2年ぶりのアイスの1打目は手元が浮いてはじかれた。手首を氷に沿わせ2発目を確実に打ち込みクランポンをけりこみ、体を上げた。次の瞬間、隣でトップロープを張るために傾斜のきつい右端を上がっていたリードの人が足を滑らし私の1m右斜め上で止まった。スクリューの支点で助かる瞬間を登り始め早々に目撃し、緊張感が増してしまったが、スクリューを適時使う心構えを改めて確認しました。

足慣らしにはちょうどいいF1からF2へ。ここで、50mロープをフルに使い3段の滝を一気に抜ける。Muuさんに必死についていくが口が乾いて息が上がる。マムートナイトに講演する笹倉さんがガイドで2人を引き上げている1組目を横目に、ここでパスさせてもらい先頭に。F3、F4をぬけ最後の関門F5は2段目の氷結が甘くアックスを打つ場所が限られてムーブが整わず、もがきながら無事完登。Muuさんのリードで無事登ることができました。やっぱりアイスクライミングは面白いです。

帰路は時折吹く突風によろめかないように慎重にトラバースしながら、ガスった尾根を間違いないようにして大同心稜を下山。途中1か所、足元の見づらい箇所以外は問題なく、ロープを出すことも無く無事テントに帰還。これからの冬山本格シーズンを前に楽しい山行でした。
Koo(コー)

 

今冬初の雪山山行は八ヶ岳。
アイスクライミング組と雪稜組に分けての行動は計画書を作成したKOOさんのナイスアイデアである。
アイスもやってみたいが、アックス2本と先っぽが1本のアイゼンが最低必要らしく「でもやっぱりお高いんでしょう?」と興味半分にムーさんとKOOさんに値段を聞くとやっぱりお高い!!!ムリムリ。

ということで、雪稜組となる阿弥陀北稜チームはドリさん、Qちゃんと私。無雪期には登ったことのあるコースだが、3人とも昨年の雪山から始めたばかりなので「ほぼ雪山初心者チーム」と自覚してのトライである。
それでもコース的に見合った体力、技術、そしてチームワークはこれまでの山行で磨いてきているので不安はなく、むしろステップアップ、自信をつけるいい機会だと思ってチャレンジしてきました。

初日から雨予報が出るなど天候は思わしくありませんでしたが、明日の北稜は午前中まで晴れ、その後は崩れるとの予報で、21時には就寝。4時に起床すると予報どおり見事な月明かりで気持ちが昂ります。
暗い中、ヘッデンで行者小屋に向かうと2人の女性が我々の後ろに連なってきて、聞けば文三郎から赤岳山頂を目指すとのこと。行者に着く頃には周りもしだいに明るくなってきて、見えてきたのはなんと深いガスに囲まれた山々。さっきの晴れ間はどこにいったのか?

あれこれ考えてもしょうがないので3人で相談して無理せず行けるところまで行くことにした。無雪期と違って一般道から途中、右へかけ上って稜線に出るのではなく、トレースに沿って歩くと既に稜線を歩いていることに気付いた。雪の有無でまったく違う山になるので面白い。
そろそろ傾斜も強くなりかけると風が時々強く吹きつけるようになり、明らかに天候は下り坂。これから回復するのはまずありえない。100メートル先はガスで見えないがここでも無理せず行けるところまで行くことにした。

その途中、こんなことを考えていたと思います。
「トレースは明瞭、立ち木(支点)も豊富。このまま行けるんじゃないかな」
「ここまできて下山したらもったいない。荒れたらすぐに降りればいいかな」
「山頂からの下山は懸垂下降の渋滞で荒天に晒されるハメにならないか」
などなど、経験もそんなにないくせに、いろんな想定や妄想が頭をよぎりましたが、『荒天では登らない』という最もシンプルな答えを選択し、ロープなしでも登れる程度の3ピッチを進んでから撤退としました。

その3ピッチを懸垂下降で下ると雪も降り出してきて、その途中で3パーティとすれ違いました。登攀の邪魔にならないように下降すると、うち2パーティは我々と同じように撤退を視野に入れながらの登攀をするとのことでしたが、1パーティのリーダー格らしき方は「なぜ降りるんだ?」とメンバーに質問したらしいです。おそらく北稜は初心者向けの簡単なコースなのに、なんで?と不思議に思われたのでしょう。このような天候でもパーティによって考え方や捉え方が違うんだな(もちろん我々とレベルが違う点もありますが)と思いました。
行者小屋に着くと赤岳山頂に向かった女性2人も下山していて、はやり山頂に近づくにつれ、ガスと強風だけの世界のため撤退してきたとのこと。行者小屋に「出張」にきていたみっちゃんも僕らを心配していてくれた。やはり山頂は20m以上の風が吹いているとの情報。
去年から始めた雪山は、いつも天候に恵まれていたこともあって今回は未知のゾーン。しかもムーさんやみっちゃんのような経験豊富なメンバーが帯同しない雪山に対して3人がどう判断するかを問われる山行でありました。残念な気持ちはもちろんありますが、3人とも「ほぼ初心者」と自覚していたので悔しい気持ちはなく、むしろまた来てリベンジができるといった気持ちの方が大きく次回につながる楽しみとなってます。

今季初の雪山での歩荷、それと我々初心者が北稜の途中まで行けただけでも十分手ごたえのあった山行となりました。また行くぞー!
こうしてまた行く気になるのもこれまで会を築いてきたメンバーのおかげです。今年もよろしくお願いします。
すけちよ

 

今回は八ヶ岳の阿弥陀岳北稜バリエーションへ行ってきました。

美濃戸口から赤岳鉱泉を目指して登り始めます。気温が高いようで下の方は雪がほとんど見当たず、堰堤広場からやっと雪が現れ始めました。赤岳鉱泉のテント場も例年よりも雪が少ないそうです。テントを設営してから下見をする予定でしたが時間が足りず、明日の本番に備えます。

翌朝早くにすけさん、Qちゃん、ドリルの三人で出発しました。行者小屋で小休憩して阿弥陀岳北稜を目指します。途中、文三郎道と中岳道の分岐を中岳道方面に向かいましたが、少し進むとトレースが分岐していました。赤いリボンが有った方面のトレースを進みましたが、どうやら登山道では無くジャンクションピークに真っ直ぐ向かうショートカットルートでした。積雪期ならではのルートで少し楽が出来たのかな?

ジャンクションピークの辺に来ると段々天候が怪しくなってきました。三人で相談してとりあえず第二岩稜取付まで行ってみようとなりました。第一岩稜を登り始めましたが風が強くなり雪も降り始めました。
三人での話し合いで行けるかもしれないが山頂に着いてから阿弥陀岳を降りる時、この天候では予想がつかないので撤退することにしました。登ってくる人もいなかったので練習を兼ねて懸垂でジャンクションピークまで降りました。

そこから中岳道を通って赤岳鉱泉に戻りました。今回は三人で相談して行動しましたが、これはいつも言われている全員がリーダーを実践できたのではないかと思っています。
これからの山行もこの様に登れれば良いなと思います。
 ドリル

 

山を始めてから、クリスマスや年末年始に山に入る事にずっと憧れを抱いていた^_^

それがやっと実現した。今回はアイスクライミングをするムーさんと、kooさん。阿弥陀北稜に行く、すけさん、ドリさん、私 に分かれての行動。朝起きた時は星も瞬いていたのに、準備をして赤岳鉱泉を出発する頃にはうっすら見えていた山もどんよりした雲に覆われ、すけさんの表情も心なしか強張って見える。今まではみんなで同じルートに入っていたし、頼りのムーさんはいない。緊張しているのは私だけじゃないんだ。少しでも気持ちを和らげようと、おちゃらけたことをするが、返って逆効果だったか?作戦は失敗に終わり、テンション低めで行者小屋にたどり着いた。予報では、午前中いっぱいは天気がもつはずだったが前倒しで天候悪化、山全体がグレーの雲で覆われ、雪もちらつき始めた。山頂は風速20m以上との情報を得て、無理をせず取り付きまで見に行くことにする。

だんだんときつくなる傾斜に一歩一歩確実に歩みを進めるが、結局取り付きにたどり着く前に「この辺でやめといた方がいいな。」と思う私がいて「ここら辺で引き返しませんか?」と声を出す。2人もそれに同意してくれ練習も兼ねて懸垂で下った場所もあり、あっと言う間に行者小屋まで戻ってきた。まだ時間は早いが他のルートに変更しようにも電波が通じず、会に連絡も入れられない。

がっくりしながら小屋を通り過ぎようとすると手を振っている人がいる。今回同じ日程で山岳医療活動の仕事で一緒に山に入ったみっちゃんだ。仕事をしながら私たちのことを気にかけてくれていた。すけさん、ドリさんは無雪期の阿弥陀北稜に登っているが、積雪期は初めて。私はどの時期にも登った事がない。そんな3人が、この天候で登るのはリスクが高すぎると判断し引き返してきた事を伝えると、「賢明な判断だったよ。日帰りでも出来るし、また天気が良い日にチャレンジすればいいじゃない」と言ってくれた。
鉱泉の前では裏同心を詰めて下山したムーさんとkooさんが待っていてくれ心配かけて悪かったなと思うと同時に嬉しくもあった。

岳樺クラブに入会させていただき約一年。まだまだ頼りっぱなしですが、いつの日にか、皆のお荷物ではなくなるよう、ゆっくりゆっくりだけど確実に力をつけていきたい。
諸先輩方、これからもよろしくお願いいたします!
Qちゃん

会のメンバーとの山行は、本当に久しぶりでした。それも、大好きな12月の八ヶ岳とあって心が弾みます。
さすがは冬の八ヶ岳、大勢の知り合いに偶然出会いました。そして、知らない方からも「山岳看護師さんですよね?」「小林さんですよね?」と声をかけてくれる人が何人もいて、これまでの活動が実を結んできていることを感じ、とてもうれしかったです。

今回、私は赤岳鉱泉での山岳医療活動(その記録については、ここをクリック)がメインだったため、会のテントには一緒できず、入山と下山の山歩きだけでしたが、楽しい会話に足も軽くなりました。
それにしても仲間と山で飲むお酒はおいしいですが、小屋でもテントでも飲みすぎによる滑落には要注意ですね(笑)(注釈:今回、岳樺クラブのテントでは、滑落等は起きていません(^_^)v)
みっちゃん