西上州(星穴岳・碧岩) ~2018.11.24-25~

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山域:西上州(星穴岳・碧岩)
日程:2018/11/24(土)-25(日)
メンバ ー:すけちよ(L)、Muu(SL)、Koo、ドリル

星穴岳は春に丁須ノ頭と一緒に計画した際、天候不良で先延ばしした山。KOOさんが恐れるヒルの心配がない冬に訪れようと再度計画した。せっかくだからもう一山ないかとその近辺で探すと、ライトアルパイン12景のひとつである碧岩が案に浮かび、星穴岳&碧岩の計画書を書いた。

■1日目(星穴岳)
中之嶽神社から出発し、反時計回りに星穴岳を廻るルートは調べると最低4回の懸垂下降があるという。

1回目の懸垂下降は西岳からの降り口を5mほど下降する箇所にあった。こんな場所に懸垂なんてあったかな?と思いつつも無難に下降して明瞭な踏み後を行くとその先はなんと行き止まり。時計のコンパスを見ると明らかに方向が違う。あちゃ~、懸垂下降までして間違えるとは。おそらく多くの方がここでミスってるんでしょうねえ。(汗)とはいえ、すぐに引き返し、正規のルートを進む。

2回目の懸垂下降はすぐに現れた沢形の30mの急斜面。木が多い。岳樺クラブの秘技、懸垂下降用ロープ収納バッグをハーネスに備えていざ。50mダブルなので懸垂下降の醍醐味が味わえましたが、マッシャー(バックアップ)を多く巻き過ぎたのか、滑りが悪い。あとから聞けば支点の立ち木をかなり揺らしたらしい。反省です。その先、フィックスロープはあるが支点のピンボルトが抜けているような危ないトラバースを渡ったりして、星穴岳山頂で記念撮影。

3回目の懸垂下降はその星穴岳山頂から戻って降りる10mの岩壁。

4回目の懸垂下降はそこからすぐにある「射抜穴」への下降点で、50mダブルを使用。北側と南側どちらでも降りられるが、20mのうち10mが空中懸垂となる南側を選択。この空中懸垂は星穴岳の名物で、今日のハイライトですから外すわけにはいきません。とはいえ下が全く見えない恐怖もあって、ここはベテランのムーさんに先行してもらう。

いやー、足が岩から離れた後は快感しかありません。恐怖→快感のギャップがたまらない。空中懸垂ってこんなに気持ちいいものとは。日和田の空中懸垂とは比べ物になりません。登り返しができるなら子供が滑り台を楽しむようにまた上にいって何度も繰り返しやりたいくらい。ムーさん、ドリさん、KOOさんも満足できたようです。

5回目の懸垂下降はその着地点からすぐ左脇にある下降点で、「結び穴」への40mの岩壁。ここも50mダブルなので楽しめますが、後続グループが落としてくる落石には要注意です。皆、さきほどの空中懸垂の余韻のせいか、そこからすぐの結び穴には目もくれず、直下の下山ルートを選択し、出発点の中之嶽神社に無事下山しました。

星穴岳の反省として良かった点は、ルートミスはあったものの、どんな短い下降でも危険と判断したら全員一致で懸垂下降を選択したところ。また、5回の懸垂下降すべて例外なくメンバー同士がチェックし合い、バックアップ、末端処理をして、状況判断により懸垂バッグを利用したこと。段取り、分担をそれぞれが理解、行動して時間を短縮できた点でしょうか。

■2日目(碧岩 西稜)
碧岩は会の旧ホームページを見ると1999年2000年のレポがあった。いずれも同じ11月だ。三段の滝に見惚れながら滝の一番上まで行くと左の斜面に取付き口を示す赤リボンのついたケルンを発見。そこからはけっこうな急勾配で、足をとられてなかなか進めない。なんとか突き当たりの岩の牙城にたどり着くも1ピッチ目の取り付きがどこなのかしばらくメンバーで悩む。取り付きの写真をスマホに保存していたのを思い出し、画像から取り付きを特定した。

ここでクライミングシューズに履き替えたKOOさんとドリさんには碧岩のピークまで履いてもらった。申し訳ないと思う反面、とても助かりました。KOOさんがリードで10mくらいの1ピッチ目を登る。苦戦したのは2ピッチ目だ。ドリさんリードで行ったもののルートに悩んでいるようでなかなかロープが進まない。30分、距離にして40mはいっただろうか。ようやくビレイ解除の声。

ムーさんと私はマッシャーで続き、最後はKOOさんの順で登ったのだが、3人ともドリさんのところにたどり着くまでの間、驚嘆と恐怖の声しか出なかったのは間違いない。詳細は書かないが、この2ピッチ目はどう考えどう進んだのかをぜひともドリさんにレポで語っていただきたい。長文OKです。(^^)

そこからは冬枯れした藪漕ぎや、高度感のある岩場を登りつめる。時間を稼ぐためセカンドは先のコースを偵察にいくなど、4人のコンビネーションがピッチを重ねる毎に良くなっているのが分かる。核心はコース終盤の30mのところどころハーケンのある岩壁で、ここもドリさんが果敢にリードをつとめてくれた。今回の碧岩は「ドリさん劇場」と言っていい。

過去のレポでも難儀したようだが、同じ場所で同じシーンの写真を撮ったりするのを見て、大袈裟な言い方ではあるが、山の会「岳樺クラブ」の歴史、先輩達の歩んだ道を受け継いでいるような気がしてきて、改めて碧岩にきてよかったなー、と感じたところでもあった。

下山道(南稜、破線ルート)は結構厳しいコースで、無事に駐車場に着いたのは、日没16:30ちょうど。

貸し合ったカラビナやスリングを返し合うと、その量の多いこと。それだけお互いが協力し合えたのではないかと思っていますが、それだけ苦戦したのかもしれないですね。(^^;)

碧岩の反省点は時間が読めなかったところ。舐めていた感も否めない。ボカポカ陽気に助けられたが、寒風でも吹けば更なる苦戦を強いられたと思う。ただ、メンバーがそろって「ユックリ」を連呼して焦りを抑えた点はよかった。コースとしてはリボンなどなく、会のホームページのアルパイン12景に書かれているとおりの「★★★ルート」であったのは間違いない。ここを登れたのはほんとによかった。

両日とも風もなくおだやかに晴れた山から見る景色は西上州の奥深さを感じました。星穴岳は爽快だった反面、碧岩は苦戦した。そういう意味では久々にバリエーションといえるルートを満喫できた2日間となりました。こうして苦戦しながらも楽しめるのもこれまで会を築きあげてきた会の皆さんのおかげです。今後ともよろしくお願いします。

P.S.
家に帰ってから改めて1999年と2000年の会レポや、アルパイン12景の碧岩を読み返すと、あーあそこはそうだったのか、そのとおり!とまた面白みが出てきます。やっぱりレポはいいものですね。

すけちよ

 

11月の登山は、標高のある山では凍結や新雪に神経を使う季節。特に今年は冷え込みも悪いので、アイスクライミングってわけにもいかず・・・

そんな時は、西上州が良い。雪の心配もなく、日帰りで登れる山がたくさんある。今回は、そんな山の中から妙義山の星穴岳と、当会のライトアルパイン12景に認定されている碧岩西稜に行きました!・・・って、すけさんが立案と計画をしてくれたのですが(^^;)

前夜からの快晴無風により冷え込んだ土曜日の早朝、空は青く澄み渡り、星穴岳を目指して中之嶽神社を出発する。凛とした空気の中、奇岩とも言える妙義山を背景にすると、“日本一のだいこく様”が異質な存在だ。

標高差にして350mほどのため、しっかりとルートを見極めれば問題はない。特に今回のリーダーであるすけさんが、事前に調べたルート概要を確認しながら(途中、道に迷ったフリをして、私が急用で隠れるための場所も探してもらい(;^ω^))進んだため、安心して星穴岳山頂に到着。

山頂直下からは、2本の懸垂下降で下山道へ進むのだが、1本目は空中懸垂。初めての経験で、降りる前は先がハングして降りる地面が見えず、ロープも「ザァー!」っと一気に落ちていったため「ロープが地面に届いているの!?」かも分からずに緊張したが、恐る恐る降りていき、地面が見えてしまえば、後はクールに降りるだけ(^_^)v。

・・・のはずが、脚が岩から離れるまで、ギャー!ギャー!と騒いでいた。脚が離れてみると“スルスル~”とエレベーターのようにスムーズに降りていく。「こっ・・・これは、チョー気持ち良いではないか!」それに比べたら、降りた地点にある星穴岳の言われである“穴”で記念写真を撮る気も起きず、皆にもこの感動を早く味わってもらおうと思い、声をかける。

皆、スムーズに下降して、2本目の50mに近い懸垂下降。こちらは、下降始めはロープの重さでブレーキが強力で、ガクガクとぎこちない下降になる。また、降りた後も後続者の落石に注意が必要と、あまり楽しくはない。

その後は、先週の秘境ダム訪問と同様に、落ち葉が多く滑りやすい足元に気を付けて下山する。ただし、ルートにはテープが張ってあり明瞭なのでご安心を(*^^*)

 

翌日・・・昨日と同様に、快晴無風の朝。ただ、寝た場所が良かったので、昨日よりも暖かく感じる。碧岩西稜へのアプローチは、まず高齢化日本一の村である南牧村のイチオシの観光スポットである「三段の滝」へ向かう。途中に三段の滝が写った看板をチラッと見たが、「イチオシの割に大した滝ではない」と感じた・・・が、行ってビックリ!見てビックリ!落差のある美しい滝で、想像以上だったのでテンションが一気に上がった♪

ところが、そのテンションは西稜への取り付きの日の当たらない湿ったルンゼで一気にダダ下がりとなる(^^;)「これが、竜少年の書いていたドロミテ(泥みてぃ?)か!?」と、全員で叫びながら、一歩一歩踏まれていないザラザラの斜面を注意して登る。最初は皆「注意して!」とか「気を付けて!」と言っていたのだが、そのうち誰かが「ゆっくり」と言ったもんだから、焦りが消え(むしろ、皆の顔には笑みがこぼれるくらい余裕が出て)斜面をよ~く眺めて登れました。

少しだけ脱線すると、「ゆっくり」と言う単語は、「岳樺クラブ2018年流行語大賞!?」にノミネートされるくらい会長である竜少年が、山行をするメンバーに向けて声をかけた言葉なのです。思わず出てくる言葉、さすが登攀の修羅場を乗り越えてきた竜少年だなぁ~と感心しつつ・・・脱線終わります。

いよいよ、岩場へ取り付く、コーさんとドリさんにクライミングシューズを履いてもらい、すけさんと私は(クライミングシューズもザックに入っていたが)登山靴のまま攀らせてもらう( ̄▽ ̄)

1P(10m Koo)は、上部は落ち葉が溜まっていたが、特に問題はなかった。2P(50mドリル)、結果として、このピッチが今回の核心となった。藪と岩のあるルートで、ドリさんがルートを選びながら慎重に攀っていったので、日陰で待機していた3人は冷えてくる。ドリさんは30m以上ロープを伸ばしており、詳しい状況が分からなかったが、最終的に50m近くで「ビレイ解除!」となって、2番手で私が出発。

またしても、行ってビックリ!見てビックリ!最初の30mほどは、立った(急角度の)岩場を避けるようにジグザグにルートをとっていたが、そこで2mほどの立った壁にぶち当たる。正面突破するのは、脆い岩質や朽ちた木ばかりの条件から考えると厳しい。右から回れそうと思ったが、ロープは2mの壁上にランニングビレイを取ってあり、右からではロープが引っかかる木があり進めない。「本当にドリさん、リードでココを攀ったの!?」と思わず声に出しながら正面を登る。下から見えたドリさんが、しばらく止まっていたのはこの辺り。その背中からは何も分からなかったが、ドリさんのリード中の様々な思い(詳しくはドリさんのレポートをご覧ください)が想像できた。

2mの壁を突破してからも、さらに正面には高い立った壁があり、ここは、右へとバンド状を回り込むが、ここがまた非常に悪い。バンドは崩れる土で、壁の岩を手で掴み安心したいが、岩が少ない上に脆い、これはロープ無しで行くとこじゃない。進むと左上するガリーの先にドリさんを発見!「ドリさん、よくリードで攀りましたねー!!!」と何度も声をかける。すけさんも、コーさんも同じように声をかけながら上がってきた。

その後は、藪の稜線をひたすら登って最後の岩場に着く。ここまできたら、最後の〆はドリさんだ!クライミングシューズを履いた2人は右に回り込んだ場所から、登山靴の2人はハイライトとなる正面のリッジを気持ち良く攀らせてもらい、山頂に到着!

ロープを出したため時間がかかるとは言え、標高差550mほどの登攀でそんなに時間がかかると思っていなかったが、終わってみれば日没近く・・・。これは、またチャレンジしなければ!

ムー

 

たかが3m、されど3m。

考えてみれば、夏合宿以来の山行。3か月ぶりの山ですが出だしは意外と普通のテンションです。中途半端に思える季節ですが西上州の山には最適な季節。なんせヒルの心配がない。不安要素が1つ減るだけでなんと心穏やかな出だしの事か。

縦走路との分岐後1か所ルートを間違えたがすぐに気が付き無事星穴岳へ。紅葉はほぼ終わりだったが、久々の山歩きを楽しめた。記念撮影後は、メインイベントの空中懸垂へ。気分はミッションインポッシブル。下降は上々、着地はおっとっとてな感じでした。

翌日は碧岩。前日に続き天気も良くちょいゆっくり目で、みんな意気揚々の出発。滝の上から取り付きへ。

第1関門、会長の暗号解読、ドロミテー。乾いた11月末でこの湿度感はなかなかです。短い1ピッチ目、クライミングシューズに履き替えリード。さすがに日陰は寒い、とくに足元。ただ、バリエーション用に買ったジャストサイズのシューズは痛みが出なくて調子いい。

2ピッチ目、ドリさんリードで45m。だいぶ苦戦していると思ったら上がってみてびっくり!ちょうど真ん中ぐらいにある2mの壁。感覚的には80度。ここをリードで・・?半信半疑で手を掛けた岩が剥がれ落ちてロープにテンションが掛かった。

やばかった。一息気持ちを整理するが頭上に支点が作られているし、こりゃ時間かかるはなどと思いつつ左側面、感覚70度の苔むした岩を慎重に上がる。岩より根のしっかりした草の方が安心して手を掛けられる状況のリード突破は、さすがイケイケドリさんって感じですが・・・

たぶん、本来のルートとは違うドリさんルートを上がったというか、上げてもらったというか。ほとんど風がなく、やわらかい日差しが当たる場所はほんのり暖かい斜面を、気持ちよく上がっていくと頂上手前に3mの壁。

ハーケンにヌンチャクを掛けつつドリさんがリード。雄叫びを上げながら気合で上がっていく。やっとクライミングシューズ本来の性能を発揮する壁を2番手で上がる。ヌンチャクを外すとロープが体から離れてマッシャーが届かない。手にガバは無く、こりゃ唸るはと思いながら足を信じて体を3m上げると左下に普通に登れそうな斜面が有るじゃん。

またもやイケイケドリさんに楽しませてもらいました。足に合ったクライミングシューズはとても頼もしかったが頂上に着いたのは3時前。なめたらいかんぜよと碧岩に言われた感じです。ドリサンルートを避ければ楽しいライトアルパインでした。

Koo

 

星穴岳

妙義山の星穴岳で懸垂下降4発(道迷い時、山頂直下、空中懸垂、40m)に挑戦してきました。

朝から天気が良く、気持ち良く登り始めます。

途中、道迷いもありましたが、星穴岳山頂に登った後、いよいよ空中懸垂です。ムーさんがトップで降りていきましたが、途中まで下を確認できないのはかなり怖そうでした。

その次に私が降りましたが、やはり下が確認できない間はかなり怖い。そして足が壁から離れる時も怖い。しかし、体が空中に出ると意外と安定していて、降りるのがとても楽なのは意外でした。

その後に40mの懸垂が有りましたが、ロープの重みでギクシャクしながら降りました。

懸垂ばかりに気を取られ、あまり他の事を覚えていない山行になりました。

碧岩

三段の滝を超えて登って行くとケルンとリボンの目印が有り、そこから取付きへと向かう。湿った土と苔と落ち葉で登りづらく山頂まで苦しめられた。

1ピッチ目はKooさんがリードで登り、2ピッチ目を私がリードで登らせてもらった。

ロープの流れを意識しながら登ったつもりが、段々ジグザグになっていく。夢中で登っていたため、途中で何か変だなと思い引き返そうとして下を見たが、降りるのは難しそうだった。

上を探すと行けそうな所に支点を作れそうな木が有ったので、重いロープを引っ張りながら登った。セルフビレイを取り、下を見たとき、これから登る3人に申し訳ないという思いでいっぱいになった。

その後、無事に山頂まで登ることが出来ましたが、沢山の経験を積むことが出来た山行でした。是非これからの山行に生かしたいと思います。

ドリル