山ナース日記 ~Vol.8 高尾山森林マラソン~

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場所:東京都八王子市恩方地区及び周辺国有林他
日時:2018年10月27日(土)~28日(日)

空気が清々しく気持ち良い秋晴れの中、高尾山で行われた森林マラソンにスタッフ&救護として参加してきました。

この高尾山森林マラソンは22年間も続いている大会で、距離は15キロクラス、7キロクラスと短いものの、親子クラスやキッズクラスもあります。そして、マラソンのみならず、トレッキングやノルディックなど、多彩な種目があります。

「山を楽しんでもらう」という発想のもと、3歳から90歳までの参加があり、老若男女すべてが楽しめるようになっています。

この森林マラソンは、私が登山ガイドとして所属しているガイド団体が中心となって実行委員会をしており、私は大会コースの整備などの大会準備からお手伝いさせていただきました。
現在、トレイルランニング(舗装路以外の山野を走るものでトレランと略される山岳レースの事)は大人気で、トレラン人口はどんどん増えています。
シティマラソンではなく登山道を走るトレランの魅力は、やはり自然の中で美しい景色にワクワクしながら、鳥のように風を感じながら走る事だと思います。

しかし、その反面、山が舞台の山岳レースなのでやはり危険はつきものです。
今回は大会前日の朝まで降っていた雨で、コースが滑りやすいコンディションとなっていました。また大型台風の影響を受け、倒木など山が荒れている状態。

しかし、倒木も急斜面も滑る路面も、それはすべて山そのものであり、それが山岳レースなのです。危険=排除ではなく、自然そのものとして、危険の察知の仕方、回避の仕方を知ってもらい、アスレチック的に楽しんでもらうことが大切だと思います。

大会本番の救護は、合わせて9人に行いました。
全てが転倒による擦過傷(すり傷:前回の山ナース日記7の外傷処置を参照ください)で、軽傷なものばかりでした。滑りやすいコンディションだったので、無理にかっ飛ばさず慎重になったため、大きな怪我には至らなかったようです。
ゴール後の選手の中には「もともと膝が悪いんですが、痛み止めをください」とか「アイシングしたいので、氷はありますか?」と言ってくる方達がいます。しかし、山岳レースにおける救護所は、あくまでも応急処置をする場所であり、診療所ではありません。

救護班に参加する場合、私は前準備から現場入りすることを心がけています。大会のオーガナイズ(組織構成)を把握しておくことはもちろんですが、前準備から入るとコースコンディションも分かるし、大会のカラーなども見えてきます。
何より大会関係者や他のボランティアの方とコミュニケーションが取れ、協力が得やすいです。
周りの人達との協力体制はとても重要で、配置場所で自分以外のCPR(心肺蘇生法)が出来る人の把握、重傷者発生時の搬送方法の把握などは自分のみならず、配置場所スタッフで共有しておかなければならないことです。

そして、救護所は、山の中のもともと何もないところに設置するので、そこに有るもの、もしくは調達可能なものだけで工夫をして設置します。
これがなくてはダメではなく、これがあればよりベターという考えか必要です。
山岳イベントでの救護は、臨機応変に対応できる柔軟性と、天候や場所などから起こることを想定する能力がとても重要だと思います。
多くの大会では、AEDや応急処置セットを本部で準備してくれることがほとんどです。しかし、自分が必要と思う物は自分で持参します。
私は山岳イベント救護のときは、自分用のポケットマスク(人工呼吸用マスク)やパルスオキシメーター、体温計、血圧計などを持参します。

特にパルスオキシメーターは、洗濯バサミのように指に挟むだけで血中酸素濃度を測れるので、軽量コンパクトのため便利です。
高所登山ではよく使われていますが、低山でも傷病者の脈を計らなくても循環状態と呼吸状態の変化が、数字で表示されて分かります。
野外救護の現場では、限られた人数もしくは1人で対応しなくてはいけないことが多いのでとても助かります。

地元、林野庁、ガイド、一般ボランティア、学生さんなど、たくさんの方の協力と、ステキな恵みを与えてくれる自然のおかげで22年間続いている歴史ある大会、こんな大会がいつまでも続けられるように、私の活動が一助になればと思います。
小林 美智子
http://yamanurse.com/