山ナース日記 ~Vol.2 撮影隊同行~

dakekanba-admin

山域:富士山
日程:2018.08.08(水)

この夏、2回目の台風上陸、しかも今回は関東直撃か、という天気予報の中、女性ダンス&ボーカルグループが富士登山に挑戦する様子の撮影に、救護班(計2人のうち)の1人として同行してきました。撮影隊への同行は今回が初めてです。

台風情報を見て、今回は「台風が接近しているので中止になるか」と考えていましたが、「(安全に配慮した上で)六合目まででも、五合目でもいいから、少しでも画を撮りたい。」という撮影隊の希望で決行となりました。

朝方3:30に五合目を出発。台風が接近しているので悪天候のはず・・・が、なんと!六合目では雲が切れてまさかの御来光を拝めました。やはり、皆さんヒット曲を連発しているだけに「持ってる!」ということなのでしょう♪その後、八合目まで登り風雨が強くなり、良い画も撮れたという事で撮影は終了し、一同無事に下山しました。

今回、撮影隊に同行して思ったことは、山岳看護師としてこのような活動はまさにジャストミート!皆さんが山で良い仕事が出来るように医療の目線でサポートする。これは山岳看護師として適役であり、重要な仕事だと感じました。

また、遠目からですが、初めて芸能界の世界を垣間見ることができました。今回の女性グループは、メンバー11人の大所帯なのですが、皆さんとても素直で協調性があり、初めての登山だったようですが、ガイドさんの言うとおりに動いて、とても好印象でした。
また、撮影隊のスタッフも若い方が多いのですが、とても礼儀正しく、「良い映像を撮る!」という信念のもと、各自がテキパキと動き、連携をとりながら分業されていたので、プロの仕事だと感じました。


そんな撮影隊総勢40人は富士山ガイドの皆さんが的確にペースメイクしてくれていますので、高山病になる方はいませんでした。ので、幸いなことに山岳看護師(私)が活躍するような事態は起こりませんでした。しかし、風雨の中を登るということで、低体温症のリスクとは常に背中合わせでした。

富士山では、数日前に台風12号が接近した際、静岡県側で低体温症による死者がでてしまいました。低体温症の原因は「低温、濡れ、風」です。独立峰である富士山は、風を遮るものがないため、もともと強風が吹くことが多いです。また、富士山は標高日本一の山、気温も低いため風雨は一気に体温を奪ってしまいます。
では、その対策は・・・ズバリ、原因を防ぐことです。富士山ガイド&救護班では、出発前から撮影隊の皆さんが低体温症にならないよう、レインウェアをキチンと着て体を濡らさないように注意喚起し、風雨が強くなった八合目からの下山時にもフードの被り方や袖口をチェックし、風雨の侵入が無いよう注意を促しました。また、我々、救護班はテルモスにお湯を準備し、さらに火器も持参して、もしも低体温症者が出た場合、すぐに加温が出来るように準備を整えて臨みました。

皆さん夏山を楽しみ、涼を求めて標高の高い山に行かれるかと思いますが、過去にも夏山シーズンに暴風雨による低体温症の死亡事故が発生しています。夏こそ怖い低体温症、皆さんも是非気をつけてください。
小林 美智子