小川山(烏帽子岩左稜線&セレクション) ~2018.6.29-30~

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山域:小川山 烏帽子岩左稜線&セレクション

日程:2018/6/29(金)-30(土)

メンバー:みっちゃん(L)、微苦笑(SL)、ムー

当会では初めて “小川山烏帽子岩左稜線” を登ってきました。ピッチ数18と、あまり経験のない長いマルチピッチルートで、朝05:30テン場を出発です。天気は晴れ、絶好のコンディションです。「日本100岩場③伊豆・甲信」の案内の通りガレ場を登り、烏帽子沢が右俣と左俣の分かれるポイント付近の右の立木の陰にケルンを見つけ、林の奥に進むと1P目の取り付にでます。

5.6だが朝一番なので慎重に登る。2P・4Pはルートをしっかりと見極めて登り、10Pはしゃがんで短いトラバースを通過するが左側はかなり深く怖い思いをします。13P「美しいハンドクラック」はパスして裏側から登りましたが、次回機会があれば挑戦してみたいですね。垂壁に近く、落ちると大きなダメージを受けそうです。まあ落ちなければよいのですが?(17P・18Pは時間がなく省きました)。全体に難しいと言う印象はありませんが、とにかくピッチ数が多いので時間に充分な余裕を持って登りたいですね。

当たり前ですが1Pごとに振り返ると段々と高度感は増し、川端下(かわはけ)の風景が変わり、廻り目平を囲む岩峰が少しずつ下に移動し、稜線を吹き抜ける風も強さを増して、心持ち雲の流れが早くなったようです。

日和田・鋸・幕岩・聖ケ岩で練習した技術が確かめられ、マルチピッチの楽しさが満喫できます。時々金峰山方面から黒い雲が流れ陽を遮りましたが、雨に会うこともなく、10P・11Pでは風が強くなり、時間も迫り16Pのコルから下山しました。テン場に着いたのが17:00で約12時間の稜線歩きでした。


翌日は、 “セレクション” をのぼりました。07:00にテン場を出ましたが既に先客が1組、私たちが登り始めると更に1組とこのルートは人気があるのですね。日が燦々と輝き快適なスラブの登りです。核心は4Pクラックから左へ出ての乗越です。ムーさん見事にクリア。小さなカチしかなく指紋をけずります。あとは身体が半分外に出るようなチムニーをずりずりと登り、小さなスラブを上がると2本の立木がありビレイポイントです。

頂上は広く、昨日と違った廻り目平の景色を堪能します。テン場からもこのルートは見渡すことが出来、一度登れば話題に花が咲きます。

今回下りはワイヤーロープ伝いに山道を下りましたが、取り付きへ戻るには遠まわりになります。ワイヤーロープの反対側左に下りることもできるそうです。それなら自然と取り付きに帰ることができます。
パートナーのみっちゃん、ムーさんありがとうございました。また機会があれば登ってみたいですね。
微苦笑

 

昨年、微苦笑さん&ムーさん&私の三人で計画して悪天で流れてしまいましたが、今回は小川山の女神が微笑んでくれました。烏帽子岩左稜線は18ピッチあり、一日がかりのマルチピッチルートですが、むしろ烏帽子岩本峰の登頂を狙ったアルパインルートでした。


三人とも初見だったので、時間はかかり16ピッチでタイムオーバーとなってしまいましたが、トラブルなどは無く、「こっちじゃないか、あっちじゃないか」、「こっちにしよう、あっちにしよう」と、ルートを三人で探索し合って進んでいくのは本当に楽しかった。


その先が見えない、行ってみないと分からないというのは、不安というよりむしろワクワクして楽しさ満載でした。


もちろん、この三人だったからこそ「行ける!突破できる!」という気持ちがあったからですが、やはり微苦笑さんの存在は大きかったです。知識も技術もまったく敵わない。いつまでも微苦笑さんのスネをかじっているようでは駄目なのですが、私達のお父さん的存在なのでどうしても甘えてしまう。ごめんなさい(汗)


出来の悪い娘と息子ですが、これからもクライミング楽しみましょう。よろしくお願いします。
みっちゃん

 

「18ピッチ」と聞いただけで登りごたえのある楽しそうなルートだと思ったが、やはり外岩の難しさが不安として残る烏帽子岩左稜線。また、小川山の超人気ルートであるセレクションも同様だ。不安は、自分の努力で解決することが登山を楽しむための取り組み方として一番だと考えています・・・が、一般登山道と違いクライミングは、「突破できない=即敗退、しかも危険」となるため、情けないが微苦笑さんにも同行いただき、スピーディーで安全なロープワークのみっちゃんと、その2人を体力でフォローする(ことしかできない)私(;^ω^)の3人でチャレンジしました。


元々、日曜日は私用があったので、金曜と土曜で行くことにしましたが、おかげで廻り目平のキャンプ場は空いており、天気も梅雨明けのタイミングと重なり、快適な2日間を過ごすことができました。


出発は木曜の夜、割とスムーズに都心を抜け、日付が変わる前に数台しか車のいないキャンプ場駐車場に到着。翌日の烏帽子岩左稜線に備えて軽く一杯で眠る(*^^)v。金曜日の朝、長い1日に備え朝からうどんでエネルギーを補給し、5時半に出発。烏帽子岩左稜線の取り付きまでは1時間弱。ガレ場から右に入る位置だけがちょっと分かりづらい。


ロープは、さばきの上手いみっちゃんが2本結び、1本ずつを微苦笑さんと私で結ぶことにした。1P目は、見た目は木登り的な要素が多いピッチで微苦笑さんがリード。私はしんがりで登るが、湿った土を踏んだシューズが100%の能力を発揮せず、滑るため焦る。

2Pも微苦笑さんリードでクラックを登っていただく、正直1Pの5.6で滑ったのと、グレードの割に難しいので余裕がなかった。そんな調子で4P(5.8)目、ここを上がれば岩峰上に出る。階段状のクラックの先は良く見えないが、微苦笑さん、みっちゃんが登って私の番。階段状のクラックの後で横にトラバースするのも足(場)が少なく、リードであればすくんでしまいそうだ。さらに残置ハーケンから直上するが、足がなくて迷わずにA0した(*_*)

岩峰上からは小川山の見晴らしが良いが、反対の金峰山方向からは、灰色の雲がすざまじいスピードで流れてきては、川上村上空で消えていく。2人は天気を心配しているようで、一度雨雲レーダーを確認したが、特に問題はなさそうだったので、空の様子を気にしながら先に進む。


ここ(5P目)から、5.4、5.5が連続するので微苦笑さんには休んでもらうため、リードをみっちゃんと私で交代する。しかし、8Pは5.5だが、高度感のあるリッジで、身体を外に出して登る部分があり、「これで5.5かよ!」と頭の中で叫びながら、ジリジリとリードする。

それに対して9Pは5.7(35m)だが、リードしたのにリングボルト2本やハーケン2本の映像しか覚えていない。距離も半分ほどではないだろうか、短かったので「そのまま継続!」とも思ったが、このあとは名物(?)の「一瞬怖いトラバース」なので、皆を呼び込むことにする。


「一瞬怖いトラバース」は、しゃがんだ状態でアンダーを取りながら進み、足を1段下す瞬間が緊張した。そこを通過すれば、気を抜いても平気な稜線歩き。しかし、リッジの頂点にある残置クイは、ビレイには使えないのでカムで取ることにした。


ここから、もう一つの名物であるL字リッジをみっちゃんにリードしてもらい、12P、13Pは私がリードした。ただし13Pは、空中に飛び出しでスタートするクラックは、無理をせず使わずリッジ上を進み、烏帽子岩本峰頂上へ到着!ここで大休止、風の強い日だが本峰上は風が遮られ日差しが暑いくらい。

登ってきた左稜線の先には濃い緑の山からニョキニョキと聳える小川山の岩峰群が一面に見渡せ、さらにその先には川上村のレタス畑の白いビニールが一面に広がる。さらに目線を上げると青い空に白い雲がモクモク浮かんでいる・・・。そんな眺めを「もう、夏ですね~♪」などと3人で話しながら、しばし見つめていた。


このルートは、本峰に着いてもその先がある。ここから15Pを間にはさんで2度の懸垂があるため、懸垂用のロープには、私がつないでいたロープを外し、15Pは微苦笑さんにリードしてもらい、私はフリクションノットで進んだ。16Pの懸垂を終えた時点で時間を確認すると17時を過ぎていた(◎_◎;)


残りの2Pは無理せず、下山することにした。出発から12時間近く時間を忘れて登った高度も、下りるのは1時間ほどとあっけないが、アプローチの短い小川山ならではで、アプローチが長い山域であればヘッデン下山となっていただろう。ほぼ1日ロープを使った登攀で、とても充実した1日目であった。

下山してからの夜食は私の好物の鳥鍋で、下界では暑くて寝苦しい夜でも、小川山は涼しくて「鍋+お酒」がまだまだ美味しい♪微苦笑さん、みっちゃんと楽しい夜を過ごしていると、やはり小川山には、会で年に1回は合宿として皆で来たいな、と思いました。

土曜日の朝、起きてみると車はほとんど増えていない。というわけで、慌てずのんびりと準備して、本日の目的地セレクションへと向かう。さすがに超人気ルートのため、1組登っていたが、支度をし終えるとルートは空いていた。

今日は、「行けるだけリードしよう!」と考え1Pを右面のクラックではなく、左面の優しいルートから上がる・・・が、なかなかピンがなく緊張しながら、時間をかけてしまう。なんとか上に抜けてみると、1P目終了点のテラスの上に出ていたので、そのまま2Pのスラブも「行ったれ!」と登ろうと試みるが、これが怖くて進めない。

仕方ないので、一度切って微苦笑さんにリードしてもらった。見ていても緊張するスラブだったが、リードでなくてもスイスイと登れないのが悔しい!3Pは、手で取るとこのない横へのトラバースに緊張して、チムニーに入ると足と背中でズリズリと登る。

やってみると簡単だ。3P終了点の南稜テラスで休憩する。駐車場の先に昨日登った烏帽子岩左稜線がよく見えている。「あれを登ったんだ!」とか微苦笑さんが昔、ここへ来た時の話をして過ごす。今日は、昨日よりも風が穏やかでさらに良い天気だ。


4Pも微苦笑さんにアドバイスをもらいリードさせてもらう。ダメなら2Pのように微苦笑さんにリードを交代するという安心感もあった。まずは左足を木に乗せてクラックに右足を突っ込み高い位置にカムをセットしプロテクションを取る。プロテクションを取ってしまえば、みっちゃんのビレイが頼もしい。安心して次の手・足へと私に使えるしっかりとしたものがあったので、身体を上へ上へと伸ばしクラックを通過し左へトラバースする。

次は直上してチムニー状の岩場へ入り込みたい。そこへ上がるための、足(の置き場)がないため両手でしっかりとホールドをつかみ、力技で攀じ登る。両手をガッチリ極めたまま、両足をザッ、ザッっと上げていくが右足が滑ってしまう。ここで弱気の虫が心の中で騒ぎ出すのをグッと押さえつけて、もう一度チャレンジして突破!


左腕や左半身をチムニー状に被っている岩に押さえつけて、登っていくと3本の低い松が等間隔で生えており一息つける。そこから最後のスラブへと乗っ越して終了点に着いた!やり切ったという達成感に満たされて、2人を引き上げてからそのまま頂上へと抜けた。


山頂では、の~んびりと昼食を食べ、写真を撮ったりしながら過ごし、微苦笑さんの「しばらく見れなくなるけど大丈夫?」と言われて、もう一度ぐるりと岩場だらけの小川山を眺め直した。名残惜しかったが、ワイヤーをたどって、遊歩道まで踏み後を追って下山しました。


今まで小川山というと「激混み」のイメージしかなかった。岩場も帰りの(中央)高速も・・・。今回は、2日間充実したクライミングができ、帰りの高速も大した渋滞なく済んだので、自分の中にある小川山のイメージを覆した。一方、自分のことになると充実したクライミングとは書いたが、年に数回しか外岩のクライミングをせず、ジムでトレーニングもしないで挑戦しているのだから、登れずに悔しい思いをするのも当然だと思う。この思いを糧にして、今後も会の皆さんからいろいろと教わって、自分の能力を高めていきたい(^o^)V。
ムー