裏同心ルンゼから小同心クラック継続登攀 ~2017.12.23~

dakekanba-admin

山域:八ヶ岳南部(裏同心ルンゼ、小同心クラック)

日程:2017年12月23日(土)

メンバー:Muu(L)、みっちゃん

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3年前に入会した冬に勢いで購入したばかりのクオーク2本(アイスやアルパインクライミングで使うアックスとバイル)を持って、裏同心ルンゼ(以下、裏同心)を強力なリーダー(Nobuさん)に引っ張り上げてもらった。昨年はみっちゃんと2人で裏同心のアイスクライミングを大同心の基部まで楽しむことができた。今年は10月に小同心クラック(以下、小同心)をすけちよさんと登攀したので、今回は、美濃戸から日帰りで裏同心と小同心を継続して稜線まで登攀するというアルパインチックな計画を立てた。

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一緒に行くみっちゃんに計画を相談すると「条件が良ければ!」という回答。大同心の基部に10:00までに着かなければ下山という時間制限を付けて計画書を提出すると、会長からも「小同心へは時間、天候、体調がすべて整った時にチャレンジ」するようコメントを頂いて許可された。

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金曜日の夜に八ヶ岳PAまで走って仮眠、朝3時に起きて食事を簡単に済ませ美濃戸へ、心配していた路面の凍結はなく無事に駐車場へ停めて4時半過ぎにヘッデンスタート!1年で一番昼間が短い時期なので暗い中を赤岳鉱泉まで慎重に歩く。鉱泉でハーネス・ギア類を装着し明るくなった7時に裏同心へ向けて今季初アイゼンで歩き出す。

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今年は関東でも大雪の心配がされているが、八ヶ岳ではまだドカ雪が降っておらず裏同心の滝も埋まらずに楽しめる良い結氷状態。楽しめるとは言っても久々のアイスで、リードすると余分な力が入る。F1は短い距離なのにふくらはぎが疲れた。F2、F3はみっちゃんのリードで通過。小同心への継続の条件である時間には余裕があるが、長丁場なことを考慮してF4は登りやすいルートを選ぶ。F5を通過して裏同心のどん詰まりであるF6を正面に見る。ガスが垂れ込めており小同心はおろか、目前にそびえているはずの大同心もかすんでいる。「晴れ予報なのになぁ~」と考えても仕方ないし、体力的にも疲れているから大同心稜を下山かも・・・、でも時間的に余裕あるからと、F6のどん詰まりまで行ったのは反省点だった、大同心の基部へは腰までのラッセルでかなり消耗した。到着時間は制限時間の10時キッカリ!予報からは遅れたが天気は一気に晴れた「さすが晴れ男!」と自画自賛する。あとは体調との相談・・・自分は何とか大丈夫だろう、みっちゃんは「行きたいんでしょう?行ってみようか。」と嬉しい返事。

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小同心基部のテラスで、みっちゃんと小同心を見上げながらルートを確認し登攀開始。1Pは、テラスからクラックに向けて左上するが、ロープが岩に2か所も引っかかってしまい、ロープを引き上げるだけで腕を使って(腕が疲れて)しまい「(ロープ)いっぱい?」と途中で叫んでしまうほどであった。2Pもホールドはしっかりとあるので、確実に登っていくが疲労は隠せない。ピッチを切る毎に2人で休憩する。休憩がてら今回唯一の2人一緒の写真を自撮りする。そして3Pに至っては小同心の肩まで抜ける前に軽いハング部を抜けるのに力が残っていなかったので、一度ピッチを切り都合4Pで小同心の肩に到着した。

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無雪期であればこれで一安心だが、まだ横岳までの雪の付いた道のりが残っているので安心できない。肩まで登ってきたみっちゃんも、横岳の遠さにため息をついていた。最後の最後まで安心できないという不安に加えて疲れもだいぶ混じって、一見すると慎重そうに二人とも進む。稜線直前の最後の難所をロープで確保しているとロープを引く腕が痛くなった。山行中に筋肉痛になったのは「いつ以来?」と思えるほど腕が疲労していたようだ。稜線に到着し「ここまで来たら一安心!」と立ち休憩して、カラカラに空いたお腹と乾いた喉を行動食と温かいお茶で満たし潤す。

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ヘッデン下山は間違いないが硫黄岳山荘の陰で、会長に小同心を無事に抜けたことを報告しゆっくりと爆風の中を硫黄岳へ登り返す。誰もいない硫黄岳では傾いた日差しによりほのかにオレンジに照らされた南八ヶ岳の稜線が眺めることができ、長時間行動した最高のご褒美となった。

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岳樺クラブでは、会長が直接アイゼントレ(アイゼンで岩場を登る)を指導しており、私も入会後に参加した際にアイゼンでの岩登りを初めて体験したが、今回の登攀でもその経験が役立ったと実感した。今年は新入会員を中心に多数の参加者があったので、またまた今後の楽しみが増えてしまった~(^_^)v

Muu

 

八ヶ岳でのアイスは毎年12月の恒例となりつつある。

3年前は会の先輩と4人で詰め上げ、昨年はザイルパートナーであるムーさんとふたりだけで詰め上げた。

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今年は裏同心アイスに小同心クラックまで追加するというムーさんの計画を聞いたとき「やはりな・・・」。

ムーさんは無積雪期に小同心クラックをやっているため、絶対に言い出すと思っていた。

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しかもアイスとクラックを両方日帰りでやるという。ライト&ファストを考えてのことは理解できるが、しかし「そんなに甘くない」。

天候も時間も体調もすべてバッチリ上手くいく確立は高くはないので、そこは厳密に判断することを条件に行く事になった。

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出発数日前に降雪があった。美濃戸まで車で入れない場合は時間的に厳しいと思っていたが積雪はわずか、Uuu~美濃戸まで車で入れてしまった。

ヘッデン入山で歩き出しても気温は穏やか風もない。長い行程を考え、足の速いムーさんには合わせず自分のペースで歩いたが、「Uuu~」予定通り鉱泉に到着。

 

支度を整えてイザ裏同心へ、交代でリードし上がっていくと大同心の上部が見えない、ガスっている、「これであきらめるだろう」。

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「大同心稜を下山だな~」と思っていたら、「Uuu~」大同心基部に着くと雲が晴れて青空が・・・時間もタイムリミットの10時ちょっと前・・・「Uuuuuuuuuu」

「ヨシ!やろう!」と言い出したのは私だった。

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本人の強い希望でここまできたが、ムーさんは小同心クラックをすべてリードした。数ヶ月前にやっているとはいえアイゼンでの登攀は素晴らしかった、たいしたものである。私が冬季小同心に行けたのもムーさんのおかげ、感謝感謝である。

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しかし、もちろん登山道に出てから下山中、疲れただの足が痛いだの美濃戸に着くまでずっと私が悪態をついたのは言うまでもない。

みっちゃん

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