稲子岳南壁

dakekanba-admin

山  域:八ヶ岳・稲子岳南壁
行  程:10/17-18
メンバー:竜少年、微苦笑、Mierin、nobu、みっちゃん、Muu

 4度目の正直?これまで何回も計画を立て、その度に悪天候で諦めた稲子岳南壁にやっと微笑んでもらえた。
登山道から

 前日の夜、KMTさんと落ち合い、一路みどり池入口まで。車中泊の後、朝出かける前にKMTさんの体調が思わしくなく想定外の棄権。一瞬、これでまた断念?とも観念したが、なんとか6人で登る方向で話がまとまり一人で前日入りメンバー5人の待つしらびそ小屋に向かう。メンバーと合流し、一路取り付きへ。前日にみっちゃん、Muuさんコンビが偵察してくれたおかげで、嬉しい方の想定外でスムーズに取り付きに辿り着く。
アプローチから見た左方カンテ

 ところが想定外の混雑ぶり。先発組は3partyの6人。ゆっくり準備しながら最後尾が1P目終了したのを確認して登攀開始。左方カンテは3級とのことなので、確保支点以外は全部NPとし、残置ハーケンは使わないで登る。出だしがどうこうと書いてあるレポがあったが、問題ない。混雑しているので、ピッチを細かく切って待ち時間にミエリンさん・微苦笑さんが登れるようにした。おかげで通常よりピッチ数は増えたが、その分ザイルの流れはよくなって楽だった気がする。
通常の3Pの混雑ぶり

 通常の3ピッチ目は、右のチムニーに入らず左のクラックから登る。下半分のfingerから上半分のhandに移るところの一手が緊張する。#4がピッタリ決まり、上に入ったところで#4を更に上にずらすズル?で抜ける。ここが一番の核心だった気がする。

 通常の4ピッチ目は垂壁下で区切る。スタンスが狭かったが高度感は抜群、かつ垂壁でのザイルの流れもよく、悪くない選択(前が詰まっていたのでこうするより仕方なかっただけだが・・・)だったと思う。垂壁自体はホールド・スタンスとも豊富で見た目ほどのことはなかった。
最終P002

最終P001

最終P003

 最後に通常の5ピッチ目の容易な斜上クラック壁を登り、岩の登攀は終了。ズルズル滑る砂礫地を登り稲子岳山頂平坦部のヘリに辿り着いたところで登攀終了とする。待ち時間も合わせて、3人で4時間の登攀だった。みっちゃんpartyの3人が登ってくるのを待ち、記念写真を撮り下山に移る。ここでは嬉しい方の想定外で、元のアプローチ路との分岐に15分ほどで到着。西陽に染まる稲子岳南壁を見上げながらしらびそ小屋に戻る。
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 全体の印象としては八ヶ岳・北アルプスに比べればアプローチも短く、途中にガレが多い欠点はあるもののアルパインクライミング初級としては非常に良いのでは、と思った。

 アプローチをもっと短くするなら諏訪側の奥蓼科温泉から中山峠越えが良いのかも。佐久側からだと、しらびそ小屋の雰囲気もいいし、あるいは本沢温泉で登る前か後、ひと風呂浴びてという選択もあり、個人の嗜好にも合わせて計画を立てられそう。冬の登攀も含めて、これからもっと通ってみたいところと感じた。KMTさん、次回また是非登りましょう。
(Nobu)

 稲子南壁を登るには、稲子湯からしらびそ小屋までの約1時間半の登り。更に小屋から1時間半から2時間の登りの末に南壁の取付きに至る。ウーム、これは体力勝負。同行するミエリンさんと2か月にわたり、脚力UPの為のトレーニングを開始した、なぞと大袈裟なことを書きましたが、なんのことはない奥多摩ハイキングに2回いっただけですが。
 その甲斐あってかしらびそ小屋までは1時間半ほどで到着。しかし、ここまででトレの成果を使い果たした感がある。

 若い二人が南壁取付きの偵察に行ってくれた。この成果は絶大で、翌日、なんの迷いもなく取付きに行けたことは本当によかった、と思う。感謝感謝だ。
翌日、南壁の取付きに着くと、な、なんと6~7人の先行パーティがいるではないか。なかにはアイゼンを付けているのもいる、なんということだ、結局一時間以上の待ちで、これが各ピッチで待ち時間が積算、積算されていく。後続の二人パーティは1ピッチ終わったところで、あまりの待ち時間にあきれ果て、「私たち帰ります。」と言って懸垂しておりていってしまった。あ、-賢明かも?

 今回の竜少年の本来の目的は「ライトアルパイン12景」をこれもリニューアルしたくて、これに入れることができるのだろうか、との思いだった。
 ・登攀全体の印象はチョット浮石が多く緊張させられる。
 ・各ピッチでの支点はペツルが打たれていて相当安心、中間支点は錆びたハーケンが主流。
 ・グレード的にもそんなに難しくはなく、景色も素晴らしい。
 ・アプローチが長い、登攀終了してからも帰りが長い。
 ・スピードを誇るnobuさんは日帰り、当会のヤングはテント泊で一泊二日、わが古希以上は2泊が順当。
以上を勘案すると、ライトアルパインには?が着くが、時間をたっぷりとっての山行なら○が付きそう。
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(竜少年)

 取り付に立って見上げると難しそうにみえましが、ホールドは多く、グレードはⅢ級でしょうか?。ロケーションは良く左手は天狗岳、右手は広く小海町から遠方の山々まで見渡せ、足下は唐松が紅葉して黄金色に輝いていました。ルートは浮石が多いのが難点で、今回もこぶし大の落石がありました。ホールドを取る場合は細心の注意が必要です。各ピッチの終了点にはペツルやリングが打たれており、それが目安となって登りやすいです。7月以来久し振りのマルチピッチルートでクラブの仲間とロープワークを楽しみました。
最終P01
(微苦笑)

 久しぶりのマルチは錦秋に彩られた稲子岳
青空に恵まれ、Nobuさんのリードで登る。
3ピッチ目で左クラックに取りついたので微苦笑さんが「右ではないですか?」と声を掛けると「登れます」と何事もなかった様に登る。
 私はNobuさんが見向きもしなかったペツルにヌンチャクをかけてひっぱり上げてもらう。息を切らしながら「Nobuさん恐れ入りました」と話す。5ピッチ終了し、頂いた紅茶が格別美味しかった。
最終P02

 しらびそ小屋みどり池のほとりにある、岳樺の巨木を見上げながら竜少年が「岳樺の枝は、てんでんばらばらな方向を向いて、まるで我が会のようだろう。 あの枝はnobuさん、あの枝はKTMさん、あれはDGさん、微苦笑さんかな・・・。バラバラだけど、一つにまとまっているんだよな。」と話される。

雪の重さで幹が曲がることもなく、どっしりと根を張っている。
この大木は良い樹形だ思った。
(Mierin)

 土曜日しらびそ小屋に入り、テント設営後にMuuさんと2人で取り付きまでのルート探索へ出かけたが、しらびそ小屋の息子さんと佐久の山岳会の方に詳しいルートの話を聴いておいて良かった(取り付きまでは下記、ルート情報を参照)。
この日の6P取り付き

 今回の南壁左カンテ登攀は1P以外すべてリードをさせてもらい楽しかったが、浮石がかなり多く自分も小石が当たったりもしたが、登攀中もガレ場や浮石にはかなり緊張させられた。
 快晴無風のクライミング日和の中、会の方々と久しぶりに2日間を共に過ごし、血の通うロープを結んで登攀出来たのは本当に良かった。
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<南壁取り付きまでのルート情報>
 しらびそ小屋より中山峠への登山道を登って行くと、右手のグリーンロープに「←中山峠40分 しらびそ小屋40分→」の標識プレートがある。そこから、稲子岳方面に赤テープを確認しながら踏み跡をたどっていくと、尾根歩きになり正面に岩場が出てくる。その岩場に沿って踏み跡を右下へとたどると、フェイスにリングボルトが打ってある。そこからさらに進むと左カンテがあり残置ハーケンに赤いペンキが塗ってあるのが目印です。稲子岳頂上からは中山峠方面にロープをたどって下降すると、尾根歩き後の岩場に下りてきます。
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(みっちゃん)

 1P目をリードさせてもらった。登る前に竜少年から「これから登るルートを見て怖かったらやめた方が良い、怖くなければ慎重に登ってみよう」とアドバイスを受ける。岩に近付いてみて傾斜も緩いので怖く感じなかったので、慎重に手がかり足ががりを見ながら落ち着いて登ることができた。後でみっちゃんから“初の本チャン”と言われて「そうだったか!?」と気付く・・・
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 岳樺クラブに入会して1年とちょっと、皆さんのサポートと好天気に恵まれたおかげで楽しくクライミングができて大満足です。・・・が、冬がすぐそこまで来て次回のクライミングは来年(?)になるのが残念だな~(^_^;)
(Muu)