吾妻連峰縦走 ~2017.3.25-26~ 

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山域:吾妻連峰

日程:2017.3.25-26

行程:高湯温泉~五色沼~家形山~滑川温泉~峠駅

メンバー:Muu(L) みっちゃん

 山の先輩から滑川温泉を紹介されたことが今回の縦走計画の発端だった。滑川温泉は山形県の奥羽本線峠駅から4kmほど入った所にあり、冬季は自炊なら宿泊が可能ということで、年末年始にでものんびりと行くかと思っていたが、せっかくの長期休暇なので、さらに北の岩木山や八甲田山へ登山に行ったため「今シーズンは滑川温泉無いかな・・・」と思っていた。

 しかし、3月末の週末の予定を考えていたときに諦めていた滑川温泉が突如ひらめいた☆。ただ、滑川温泉に駅から歩いて温泉に入って泊まって帰るだけでは「もったいない」と、いつもの貧乏性が出てしまった。まさかこの時は、この「ひらめき☆」でこんなに苦労するとは思っていなかった。(甘い!)

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 地図を眺めてルートは福島県の高湯温泉から家形山、烏帽子山を経て滑川温泉へ下山し峠駅まで歩くと決めた。土日のみのため温泉にも入れなくなり、気乗りしないみっちゃんを説得し天気予報も良かったことから出発となった。

 事前に同ルートの情報を得ようと探したが、家形山手前の五色沼までのピストンがほとんどであった。それ以外には1994年の2月の「吾妻連峰雪山遭難事故」の記録しかなかったので、天候には十分に注意した。

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 25日の朝6時前に高湯温泉の登山口を出発。前夜までの降雪によるいきなりのラッセルとなる。今回のために2人ともスノーシューを準備していたが、慶応山荘まではトレースを進み体力温存しようと考えていた目論見が外れてしまった。ただルートは慶応山荘の小屋番さんの付けてくれたリボンで明瞭だったのが救いだった。みっちゃんと交代しながらスノーシューでラッセルし、「賽の河原」という名前からしてなだらかな地形に出たところで一息ついていると後続の6人パーティが追いつき、ここまでのラッセルを感謝され「ここからは任せてください」と先行してくれた。彼らは東海大緑樹山荘に泊まるということで、慶応山荘の先までラッセルしてくれて非常に助かった。トレースがあれば4時間で着けると考えていた慶応山荘分岐まで4時間程度で着いたので安心した。しかし、ここから再び傾斜がきつくなりカルデラ湖である五色沼を見下ろす外輪山へと登っていく。尾根へ出れば積雪量が減るだろうという淡い期待にも裏切られてラッセルが続く。幸いなのは風がなく天気が良いということであった。ところどころ雪を崩しながら尾根を進み昼過ぎに五色沼を見下ろす位置へと着いた。

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 五色沼はコバルトブルーの飲み込まれそうな美しさから、「魔女の瞳」といわれているが、まだ目覚めておらず(!?)、登るまでみっちゃんに「この時期は凍っている」と言っていなかったようで、がっかりとしている様子に申し訳なく思った。1日目に烏帽子山に着けないようなら引き返す計画だったが、みっちゃんと相談し(半ば案を押し通す形で)ここまで来たら予備のルートで考えていた家形山から滑川温泉へ降りていくプランに変更することにした。

 

 家形山へと登り返したところで驚いたのは、なだらかな山頂はアオモリトドマツが群生して開けておらず、見通しが悪いことだった。そしてツリーフォールへハマったり、コンパスの指す方向が樹林でジグザグに進んだりしたため、家形山の山頂付近の突破に時間を要した。烏帽子山への稜線も常に樹林帯でラッセルのため、下りなのに時間の経過が速かった。

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 なんとか明るいうちに稜線から下りたなだらかな場所にテントを設営することができた。しかし明日の下山までも深雪と樹林、そして明瞭な尾根ではないルートファインディングに苦しめられ、昼間に1本しかない峠駅の列車の時間の制約と不安に思いながら早めに就寝した。・・・いつもなら、なかなか寝られずに長い夜を過ごし、時計とにらめっこをしながらなのだが、いつの間にか寝ていてスッキリと目が覚めた。そして時計を見ると「23:30」・・・「!!!」・・・いつもと同じ長い夜を過ごしました。

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 26日は、曇り空の中を樹林に行く手を阻まれない開けたルートを選びながら下りていくが、少し進むと樹林帯でルートが分かりづらくなった。夏道は谷を下りているので、途中から尾根へと進む必要があり、ルートミスが心配なのでスマホアプリのGPSで現在位置を確認しながら進む。急坂を滑り下りたり、行く手に現れた崖を回り込んだり、谷沿いをトラバースしながら、(文章では表せないような苦労の結果)目的の尾根に出ることができた。その尾根を下っていくと滑川温泉からさらに奥地の姥湯温泉へと続く道路がある。・・・はずなのだが・・・スマホで確認してもすでに道路に出ている・・・そして埋もれているカーブミラーを発見した。山形側はまだまだ除雪作業が始まっていなかった。。。標高も低くなったため積雪量も減ったが滑川温泉までは、ひたすらラッセルが続いた。

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 滑川温泉からはスノーシューのトレースがあり、トレースを見た瞬間にどっと疲れが出て、峠駅まで随分と長く歩いた気がした。それでも予定の列車に余裕を持って乗ることができ、「次回は温泉に入れる計画を立てないと誰も一緒に山に行ってもらえなくなるなぁ」と心の中でつぶやいていたのでした。(Muu)

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 このルートの計画の話を聞いたとき、頭に浮かんだのが豪雪地帯でのラッセル地獄(泣)そして道迷いと雪崩のリスクでした。ということで日程両日とも天気が良好というのが絶対条件でしたが天気予報は晴れマーク、そして当日は快晴。

 高湯温泉から入山したもののさすが豪雪地帯、多いところで積雪7mはある磐梯吾妻スカイラインは4月のオープンに向けて除雪作業の真最中でした。

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 道迷い遭難しないための、天気と視界は良好なものの深雪にはかわりなく、深雪の樹林帯でルートを慎重に選びながら進みつつ、時々GPSアプリで現在地を確認しながら、頻繁にコンパスで方向を確認し、雪庇や雪崩のルートに入らないようにルートファインディングして進みました。

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 ラッセル劇場はこの山行言いだしっぺのMuuさんに主演男優賞をゆずり、私は助演女優賞に甘んじました(笑)

 次の日のお天気はやや下り坂だったため、視界が良いうちに下山地点をしっかり確認し少し下山したところで適地をみつけ幕営。そして雪を溶かして作った水がこれまた美味しい!

 二日日の下山ルートは沢への滑落の危険もあり、かなり神経を使いました。というか危ない場面もありロープが役に立ちました。やはりイザとなったらロープです。

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 「ロープがあれば何とかなる」ロープはお守りではなく道具なので、どんどん使って確実に安全を確保したい。

 やっと滑川温泉に到着したものの、今回は温泉はお預け()、昼間に1本しかない電車に乗る為に宿の写真のみ撮って、後ろ髪を引かれつつ秘湯の湯を後にしました。

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 滑川温泉からの道路はトレースがあるものの、ところどころで雪崩によるデブリが道路にまで到達しており、危険地帯はひとりひとり通過し、安全を確保しながら峠駅まで到達しました。温泉に入れずすっかりご機嫌斜めな私でしたが、峠の茶屋で名物の「力餅」をゲットし機嫌も直り、無事に登山を終えました。(みっちゃん)

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